イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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15.※ 怒ってる?

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「ん・・・・」

目を開けると、見慣れない天井が見えた。


あれ・・・・?

オレ、どうしてたんだっけ・・・・


首を動かしてゆっくりと周りを見ると、

「あ」

ベッドに寄りかかって床に座っている桐谷が見えた。

オレの声に桐谷が振り返る。 その手には、読みかけの本。


「星野・・・ 目、覚めたか?」

そう言って本を置いて手を伸ばし、オレの頬に触れた。

「オレ、寝てたんだな・・・ ゴメン。 ベッド占領してるし」

体を起こそうとすると、腰や後孔に重い感覚があった。

少しカオをしかめるオレに、

「体、きついんだろ? まだ寝てていい」

桐谷がオレの肩を抑え付けて、オレはまたベッドに寝かせられた。


「なにかいるか? 飲み物、持ってくるよ」

そう言う桐谷はいつも通りクールな表情なんだけど、その瞳にはオレを気遣う光。

オレは桐谷の腕を掴んだ。


「桐谷がいい」

「え?」

「ここに、居て」

甘えるように少し上目遣いで言うと、桐谷は口角を持ち上げた。

手で、オレの頬をなぞる。

オレはその手を掴むと、自分の口元に引き寄せて、キスをした。

桐谷の瞳を見つめながら、舌を出して、そっと舐める。


「星野っ・・・」

桐谷はオレにカオを寄せてきて、唇にキスをした。

お互いに、舌を絡ませる。


「んっ・・・・」


やっぱ、桐谷とのキスは、気持ちイイ。


しばらく深いキスをして、ちゅって音を立てて唇が離れた。


でも、まだ、キスしたい。

そう思ってると、

「・・・ごめん。 星野が寝てる間に、家族が帰ってきたんだ」

少しすまなさそうなカオで、桐谷は言った。


「そ・・・っか」

じゃあ、あんまりべたべた出来ないな。

「ごめん」

謝る桐谷に、オレは少し笑った。

「別に、桐谷のせいじゃねーじゃん。 謝んなくていーよ。
家族って?」

「両親と、妹。 一緒に買い物に行ってたみたいだ」

「へえ。 桐谷、妹いるんだ」

きっと桐谷に似て、マジメな感じなんだろうなー・・・


・・・・そう言えば、今、何時なんだ?

部屋を見回して、時計を探す。

壁にかかっていた時計を見ると、16:30。

「・・・オレ、結構寝てたんだな・・・・。 ゴメンな、桐谷。 暇だっただろ」

「いや、そんなことない。 大丈夫だ」


コンコンッ

部屋のドアがノックされる。


「涼司。お友達、どう?」

部屋の外から声がする。 桐谷のお母さん、かな。

桐谷は立ち上がってドアに近づいた。

オレは慌てて体を起こす。

・・・やっぱ、カラダ、痛え。


あ、そう言えば、服!

布団をめくってみると、オレはちゃんと服を着ていた。

桐谷が着せてくれたの・・・・か、な・・・・・


桐谷はドアを少しだけ開けて、お母さんと話をしていた。

オレは立ち上がって桐谷に近づくと、その肩を叩いた。

「星野。 大丈夫か?」

「ああ」

ニッて笑うと、桐谷は少し安心したような表情になり、ドアを大きく開けた。


桐谷のお母さんは、背が低くて、とてもかわいらしい人だった。

・・・・っていうか、若くね・・・・・?


「あ、ごめんなさいね! 起こしちゃったかしら?」

「いえ。 あの、勝手にお邪魔してすみません。 桐谷くんの友達の、星野 瑞樹です」

自己紹介をしてぺこりとお辞儀をすると、桐谷のお母さんはカオを輝かせた。

「涼司にこんなカッコいいお友達がいるなんて・・・・!」

え、カッコいい、って、オレ?

褒められてるの、かな。

まあ、オレってチャラいし、今までの桐谷の友達には、居ないタイプだろうなあ・・・・・


「星野くん、よかったら夕飯、食べていく?」

桐谷のお母さんがにこにこ誘ってくれる、けど。

「あ・・・・ すみません。 夜は、家で食べます」


桐谷とセックスした後に、その家族と笑顔でご飯とか・・・・・ 無理だ、オレ。

そう思って断ると、とても残念そうなカオになった。

「そう・・・。 涼司のお友達が来るなんて珍しいから、いろいろお話したかったわ・・・・」

なんだか逆に申し訳なくなってしまって、

「あの、また今度、ご馳走になります」

って、つい笑顔で言ってしまった。

すると桐谷のお母さんは、嬉しそうに笑った。

「そうね、今度はぜひ食べて行ってね。 お邪魔しちゃってごめんなさいね。 ゆっくりして行って」

「はい、ありがとうございます」


部屋にまた、桐谷と2人きりになる。

「桐谷のお母さん、なんかかわいい人だな」

「そうか?
・・・・って言うか、星野が礼儀正しくて、びっくりした」

「なんだよ、それ。 オレだって、挨拶ぐらいできるっての」

そう言うと、桐谷はフッて笑った。

「まあ・・・ そうだよな」

桐谷の中のオレのイメージって、相当チャラいんだろうな・・・・



「・・・オレ、そろそろ帰るな」

「もう?」

「ん。 寝てばっかで申し訳なかったけど」

オレは桐谷の腕を掴んで引き寄せた。

首に腕を回して、抱き付く。


「・・・・一緒に居るとさ、キス、したくなるから」


至近距離でそう告げると、桐谷は少し頬を紅潮させた。

「星野っ・・・ そういうこと言うの、恥ずかしくないのか・・・・・」


照れてる桐谷。 かわいい。


「だってさ、ほんとのことだし。 オレ、桐谷とキスするの、好きだから」

そう言って、一瞬だけ、唇を合わせた。


そのまま離れようとすると、桐谷はオレの背中に腕を回してきた。

「・・・・キス、だけ?」

「え?」

「好きなのは・・・・ キスだけ、か?」


背中に腕を回されてるから、すごく至近距離にカオがある。

でも、桐谷は少しうつむいていて、視線はオレを向いていない。


オレは首に回していた手を、桐谷の頬に当てた。

カオを少し上げさせて、オレの方を向かせる。


「・・・・セックスも、よかった」

囁くように告げる。

桐谷はオレを見つめて、・・・・きゅって眉根を寄せて、目を閉じた。

「そう・・・・か。 よかった」


そう言うと、オレの肩を掴んで、自分から離させる。

「・・・・送るよ」

「あ、ああ」


桐谷の行動が少し意外で、ちょっと戸惑う。

セックスがよかったって言ったら、もっと喜ぶかと思ったんだけど。

・・・・実際、気持ちよかったし。




部屋を出ると、

「あ、お兄ちゃん」

桐谷の妹がいた。


黒髪のロングで清楚な感じだけど、瞳は大きくてくりってしていて、とてもかわいかった。

お母さんに似てるんだろうな。


「こんにちは」

にこって笑いかけると、オレを見て少し頬を染めた。

「こっ・・・、こんにちは」

「桐谷の妹さん、だよね?  オレ、星野 瑞樹。 よろしくね」

「こ、こちらこそ。 あ、桐谷 希望(キリヤ ノゾミ)、ですっ」

オレを見て、少しぽーってなってる妹ちゃんを横目に、桐谷はオレの腕を掴んだ。

「希望、星野を送ってくるから、母さんに言っといて」

そう言って、オレの腕をぐいぐい引っ張って、玄関へ連れていく。


そうやってバタバタしてると、桐谷のお母さんがリビングから出てきた。

「あら、星野くん、もう帰るの?」

「あ、はい。 すみません、お邪魔しました」

ペコリとお辞儀をすると、

「ほら、行くぞ」

桐谷に急かされる。

「また遊びに来てね」

にっこり笑ってる桐谷のお母さんと妹ちゃんに見送られて、オレは桐谷の家を出た。






駅まで桐谷が送ってくれてるんだけど。

さっきから無言で、オレの前をスタスタ歩いてく。

「桐谷」

声をかけても、振り返らない。

オレは小さくため息をつくと、少し足早に歩いて、桐谷に追いついた。  そして、後ろからその腕を掴む。

「・・・桐谷っ、待って」

ぐって強く掴んで、オレは足を止める。 さすがに桐谷も、足を止めた。


「なあ・・・なんか、怒ってる?」

さっきから、態度がなんか変だ。

足は止めたけど、オレの方は振り返らない。

「・・・別に、そんなことない」


・・・明らかに、怒ってんだろ、その態度。

思い当たる節がないオレは、桐谷の態度にイラついてしまう。


「怒ってんだろ、それ。 ・・・なんか気に障ったんなら謝るけど。
・・・とりあえず、もう少しゆっくり歩いてくんねー?  そんな早足、しんどい」

オレの言葉に、桐谷はハッとしたように振り返った。

「気に食わないんなら、送んなくていいから。 道、調べればわかるし」

オレはスマホを取り出した。 アプリを立ち上げて、駅までの道順を表示させる。

「じゃあな」

そのまま、桐谷の横を通り過ぎて、駅へ向かおうとする。

と、今度は桐谷がオレの腕を掴んだ。


「なんだよ。 道わかるから、もういいって」

イラついて、声が低くなってしまう。


「星野・・・ ごめん。 体きついのに、オレ全然気使ってなくて」

「別にいいよ。 女のコじゃあるまいし」

桐谷はオレの腕を離さない。

少しうつむいて、キュッて目を閉じてる。


少しして目を開けると、オレを見た。

「・・・ごめん。 ゆっくり歩くから、送らせてくれ」

「別にいいって」

桐谷は首を振った。

「オレが送りたいんだ。 ・・・いいか?」


桐谷はさっきまでと違って、いつもの様子に戻ってた。 申し訳なさそうな表情で、オレを見てる。


「・・・一人で前歩くの、ナシな。 さみしーから」

言ってから、ちょっと恥ずかしくなったけど。

「わかった」

桐谷は優しい声で返事をしてくれた。


スマホをポケットにしまって、オレ達は並んで歩き出した。





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