イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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8.一緒に遊ぼう

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「おはよー、瑞樹」

「おう、おはよーっ」

「屋上で、寝れた?」

教室に行くと話しかけてきた女のコ、橋口 美香(ハシグチ ミカ)。 

さっき屋上に来たコで、オレの腕に抱き付いてくる。


「ああ、寝れたよ」

「寝不足なの? 大丈夫?」

「だいじょーぶ」

ニッて笑うと、美香も嬉しそうに笑った。  ショートボブの髪が揺れる。 


「瑞樹、桐谷くんと最近仲良いんだね」

「そうか?」

「うん、この間、一緒にアイスも食べに来てたでしょ?」


・・・・・ああ、そっか。

つき合い始めた日、帰りに桐谷と一緒にアイスクリームショップに寄った。 あの時会ったのも、美香だったな・・・・


「・・・ああ、最近な」

「じゃあさ、今度桐谷くんも一緒に遊ぼうよー」

「えー?」


アイスクリームショップでの感じからいって、美香が桐谷の事を結構気に入ってるのはわかった。


「美香、マジメな感じが好きだったのかよ?」

いっつもオレに絡んできて、『瑞樹、好きー♡』って感じだったのに。

「あれ、瑞樹、ヤキモチやいてるぅ?」

美香が笑ってオレを見る。

「はぁ? ちげーし」

オレと桐谷じゃ、タイプが違いすぎだろ。


美香はオレの腕にもっとぎゅって抱きついて、大きな瞳で上目使いでオレを見つめた。

「だいじょーぶ。 いちばん好きなのは、瑞樹だから、ね♡」

・・・・いや、別にオレが一番じゃなくてもいいんだけど・・・


「あ、瑞樹、美香、おはよーっ」

「瑞樹、どこ行ってたんだよ? カバンあったし、来てたんだろ?」

陽人と和真が話しかけてくる。


「瑞樹ね、屋上に桐谷くんと居たんだよー」

オレの代わりに美香が説明する。

「え、桐谷と?」

「最近ほんと、仲いいんだな」

「う、ん。 まあ」


「ねえねえ、今度遊び行くとき、桐谷くんも誘おうよー♡」

美香が、陽人たちを巻き込もうと誘ってる。

「桐谷も?」

「瑞樹と仲良いんなら、いいでしょ?」


「やめとけ。 桐谷そういうの、好きじゃないと思う」

・・・・かどうかは知らないけど。

なんとなく、みんなでわいわいやるイメージとか無くて。


「えーっ。 瑞樹のけちー」

「けちじゃねーし」

美香がぷうっと、頬を膨らませてオレをにらんだ。


「いいじゃん、声かけてみようぜ」

なぜか、和真まで乗り気だ。

「瑞樹と仲良いんなら、オレたちだって仲良くしてーよなぁ」

「そだな」

和真に聞かれて、陽人も頷いてる。

お前らなー・・・


陽人はオレの肩に腕を回してきた。

「桐谷とどんな話すんの?」

「ど、んなって」

「だってさ、仲良くなるきっかけがあったんだろ? 今までそんなでもなかったし」


きっかけ・・・・・

そ、りゃあ・・・・


陽人に聞かれて思い出すのは、どうしても、告白と、キス。


『星野・・・』

耳元で囁く声。


だ、めだ。

思いだすだけで、腰が、ぞくって、する。


「べ、つに、きっかけとか、ねーし。 なんとなく、だよ」

「ふーん?」

不思議そうにオレを見る陽人。

その視線に耐えられなくて、オレは陽人の腕を解きながら、

「わかったわかった。 今度桐谷も誘ってみる」

「やった♡」

美香の表情が、パッて嬉しそうになった。

「でも、来ねーって言うかもだぜ。 責任はもてねーけど」

「うん、いいよ」


あーもー、なんでこんな事に。


思わずため息をつくと、美香がオレの腕に抱き付いてきた。

「大丈夫だよー♡ 私は瑞樹が一番好きだから♡」

「はいはい。 美香、ありがとな」

お礼を言いながら、美香の頭をぽんぽんとなでると、

「今は、ね」

と、笑顔でつけ加えられた。



「あ、瑞樹。 日曜日の場所、決まったからLINEしとくな」

日曜日・・・・・ あ。

合コン、か。

「りょーかい」


「日曜日、なんかあんの?」

和真は聞きながら、陽人のカオを見て、予測ができたようだ。

「あ、合コン、か。 陽人がなんか嬉しそうだし」

「あったりー」

満面の笑みの陽人。 和真は呆れたように、

「陽人、ほんと好きだよなー」

ため息交じりで呟く。

「和真も来るか?」

「行かねーよ。 オレその日、デートだし」

和真は『デート』を強調して、得意げに言った。

「え、まじで。 もしかしてコクったのか!?」


和真はバスケ部のマネージャーのコのことが好きって言ってたんだ。

1年生の、すごくかわいいコだ。


「いや、それはまだだけど・・・ でも、デート、行くもんねー」

「よかったじゃん! 和真」

オレが肩を叩くと、和真は少し照れたように笑った。


「オレはお前らと違ってマジメだからね。 好きなコとか彼女いるのに合コンとか、行かねーし」

「んだよ、それ。 オレらだって今、フリーだっつーの。 なあ、瑞樹?」


陽人の言葉に、すぐ、反応することが出来なかった。


「瑞樹?」


陽人がオレを不思議そうに見る。

まずい。 なんか言わないと。


「え、あ、ああ。 そーだよ。 オレらフリーなんだから、責めんなよ」


なんとか、言葉を絞り出した。


「じゃあ、フリーの間に、思う存分遊んどけよー。 彼女出来たら、もう合コンとか行くなよな」

諭すような和真の言葉に、陽人は悪びれもせず、

「まあ、それはその時考えるわ」

にやって笑って言った。


『オレら、フリーだし』

陽人のその言葉に、一瞬、反応できなかった。

だってオレ、今、桐谷とつき合ってるんだもんな・・・・・


あああ、もう。

なんでこんなに悩むんだ。

いつも、彼女がいたって、行きたかったら合コン行ってるし。(それで和真に責められてるわけだけど)

いつもと変わんないんだから、気にしなくて、いい。


オレは小さくため息をついて、スマホを取り出し、陽人からのLINEを確認した。




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