8 / 44
8.一緒に遊ぼう
しおりを挟む
「おはよー、瑞樹」
「おう、おはよーっ」
「屋上で、寝れた?」
教室に行くと話しかけてきた女のコ、橋口 美香(ハシグチ ミカ)。
さっき屋上に来たコで、オレの腕に抱き付いてくる。
「ああ、寝れたよ」
「寝不足なの? 大丈夫?」
「だいじょーぶ」
ニッて笑うと、美香も嬉しそうに笑った。 ショートボブの髪が揺れる。
「瑞樹、桐谷くんと最近仲良いんだね」
「そうか?」
「うん、この間、一緒にアイスも食べに来てたでしょ?」
・・・・・ああ、そっか。
つき合い始めた日、帰りに桐谷と一緒にアイスクリームショップに寄った。 あの時会ったのも、美香だったな・・・・
「・・・ああ、最近な」
「じゃあさ、今度桐谷くんも一緒に遊ぼうよー」
「えー?」
アイスクリームショップでの感じからいって、美香が桐谷の事を結構気に入ってるのはわかった。
「美香、マジメな感じが好きだったのかよ?」
いっつもオレに絡んできて、『瑞樹、好きー♡』って感じだったのに。
「あれ、瑞樹、ヤキモチやいてるぅ?」
美香が笑ってオレを見る。
「はぁ? ちげーし」
オレと桐谷じゃ、タイプが違いすぎだろ。
美香はオレの腕にもっとぎゅって抱きついて、大きな瞳で上目使いでオレを見つめた。
「だいじょーぶ。 いちばん好きなのは、瑞樹だから、ね♡」
・・・・いや、別にオレが一番じゃなくてもいいんだけど・・・
「あ、瑞樹、美香、おはよーっ」
「瑞樹、どこ行ってたんだよ? カバンあったし、来てたんだろ?」
陽人と和真が話しかけてくる。
「瑞樹ね、屋上に桐谷くんと居たんだよー」
オレの代わりに美香が説明する。
「え、桐谷と?」
「最近ほんと、仲いいんだな」
「う、ん。 まあ」
「ねえねえ、今度遊び行くとき、桐谷くんも誘おうよー♡」
美香が、陽人たちを巻き込もうと誘ってる。
「桐谷も?」
「瑞樹と仲良いんなら、いいでしょ?」
「やめとけ。 桐谷そういうの、好きじゃないと思う」
・・・・かどうかは知らないけど。
なんとなく、みんなでわいわいやるイメージとか無くて。
「えーっ。 瑞樹のけちー」
「けちじゃねーし」
美香がぷうっと、頬を膨らませてオレをにらんだ。
「いいじゃん、声かけてみようぜ」
なぜか、和真まで乗り気だ。
「瑞樹と仲良いんなら、オレたちだって仲良くしてーよなぁ」
「そだな」
和真に聞かれて、陽人も頷いてる。
お前らなー・・・
陽人はオレの肩に腕を回してきた。
「桐谷とどんな話すんの?」
「ど、んなって」
「だってさ、仲良くなるきっかけがあったんだろ? 今までそんなでもなかったし」
きっかけ・・・・・
そ、りゃあ・・・・
陽人に聞かれて思い出すのは、どうしても、告白と、キス。
『星野・・・』
耳元で囁く声。
だ、めだ。
思いだすだけで、腰が、ぞくって、する。
「べ、つに、きっかけとか、ねーし。 なんとなく、だよ」
「ふーん?」
不思議そうにオレを見る陽人。
その視線に耐えられなくて、オレは陽人の腕を解きながら、
「わかったわかった。 今度桐谷も誘ってみる」
「やった♡」
美香の表情が、パッて嬉しそうになった。
「でも、来ねーって言うかもだぜ。 責任はもてねーけど」
「うん、いいよ」
あーもー、なんでこんな事に。
思わずため息をつくと、美香がオレの腕に抱き付いてきた。
「大丈夫だよー♡ 私は瑞樹が一番好きだから♡」
「はいはい。 美香、ありがとな」
お礼を言いながら、美香の頭をぽんぽんとなでると、
「今は、ね」
と、笑顔でつけ加えられた。
「あ、瑞樹。 日曜日の場所、決まったからLINEしとくな」
日曜日・・・・・ あ。
合コン、か。
「りょーかい」
「日曜日、なんかあんの?」
和真は聞きながら、陽人のカオを見て、予測ができたようだ。
「あ、合コン、か。 陽人がなんか嬉しそうだし」
「あったりー」
満面の笑みの陽人。 和真は呆れたように、
「陽人、ほんと好きだよなー」
ため息交じりで呟く。
「和真も来るか?」
「行かねーよ。 オレその日、デートだし」
和真は『デート』を強調して、得意げに言った。
「え、まじで。 もしかしてコクったのか!?」
和真はバスケ部のマネージャーのコのことが好きって言ってたんだ。
1年生の、すごくかわいいコだ。
「いや、それはまだだけど・・・ でも、デート、行くもんねー」
「よかったじゃん! 和真」
オレが肩を叩くと、和真は少し照れたように笑った。
「オレはお前らと違ってマジメだからね。 好きなコとか彼女いるのに合コンとか、行かねーし」
「んだよ、それ。 オレらだって今、フリーだっつーの。 なあ、瑞樹?」
陽人の言葉に、すぐ、反応することが出来なかった。
「瑞樹?」
陽人がオレを不思議そうに見る。
まずい。 なんか言わないと。
「え、あ、ああ。 そーだよ。 オレらフリーなんだから、責めんなよ」
なんとか、言葉を絞り出した。
「じゃあ、フリーの間に、思う存分遊んどけよー。 彼女出来たら、もう合コンとか行くなよな」
諭すような和真の言葉に、陽人は悪びれもせず、
「まあ、それはその時考えるわ」
にやって笑って言った。
『オレら、フリーだし』
陽人のその言葉に、一瞬、反応できなかった。
だってオレ、今、桐谷とつき合ってるんだもんな・・・・・
あああ、もう。
なんでこんなに悩むんだ。
いつも、彼女がいたって、行きたかったら合コン行ってるし。(それで和真に責められてるわけだけど)
いつもと変わんないんだから、気にしなくて、いい。
オレは小さくため息をついて、スマホを取り出し、陽人からのLINEを確認した。
「おう、おはよーっ」
「屋上で、寝れた?」
教室に行くと話しかけてきた女のコ、橋口 美香(ハシグチ ミカ)。
さっき屋上に来たコで、オレの腕に抱き付いてくる。
「ああ、寝れたよ」
「寝不足なの? 大丈夫?」
「だいじょーぶ」
ニッて笑うと、美香も嬉しそうに笑った。 ショートボブの髪が揺れる。
「瑞樹、桐谷くんと最近仲良いんだね」
「そうか?」
「うん、この間、一緒にアイスも食べに来てたでしょ?」
・・・・・ああ、そっか。
つき合い始めた日、帰りに桐谷と一緒にアイスクリームショップに寄った。 あの時会ったのも、美香だったな・・・・
「・・・ああ、最近な」
「じゃあさ、今度桐谷くんも一緒に遊ぼうよー」
「えー?」
アイスクリームショップでの感じからいって、美香が桐谷の事を結構気に入ってるのはわかった。
「美香、マジメな感じが好きだったのかよ?」
いっつもオレに絡んできて、『瑞樹、好きー♡』って感じだったのに。
「あれ、瑞樹、ヤキモチやいてるぅ?」
美香が笑ってオレを見る。
「はぁ? ちげーし」
オレと桐谷じゃ、タイプが違いすぎだろ。
美香はオレの腕にもっとぎゅって抱きついて、大きな瞳で上目使いでオレを見つめた。
「だいじょーぶ。 いちばん好きなのは、瑞樹だから、ね♡」
・・・・いや、別にオレが一番じゃなくてもいいんだけど・・・
「あ、瑞樹、美香、おはよーっ」
「瑞樹、どこ行ってたんだよ? カバンあったし、来てたんだろ?」
陽人と和真が話しかけてくる。
「瑞樹ね、屋上に桐谷くんと居たんだよー」
オレの代わりに美香が説明する。
「え、桐谷と?」
「最近ほんと、仲いいんだな」
「う、ん。 まあ」
「ねえねえ、今度遊び行くとき、桐谷くんも誘おうよー♡」
美香が、陽人たちを巻き込もうと誘ってる。
「桐谷も?」
「瑞樹と仲良いんなら、いいでしょ?」
「やめとけ。 桐谷そういうの、好きじゃないと思う」
・・・・かどうかは知らないけど。
なんとなく、みんなでわいわいやるイメージとか無くて。
「えーっ。 瑞樹のけちー」
「けちじゃねーし」
美香がぷうっと、頬を膨らませてオレをにらんだ。
「いいじゃん、声かけてみようぜ」
なぜか、和真まで乗り気だ。
「瑞樹と仲良いんなら、オレたちだって仲良くしてーよなぁ」
「そだな」
和真に聞かれて、陽人も頷いてる。
お前らなー・・・
陽人はオレの肩に腕を回してきた。
「桐谷とどんな話すんの?」
「ど、んなって」
「だってさ、仲良くなるきっかけがあったんだろ? 今までそんなでもなかったし」
きっかけ・・・・・
そ、りゃあ・・・・
陽人に聞かれて思い出すのは、どうしても、告白と、キス。
『星野・・・』
耳元で囁く声。
だ、めだ。
思いだすだけで、腰が、ぞくって、する。
「べ、つに、きっかけとか、ねーし。 なんとなく、だよ」
「ふーん?」
不思議そうにオレを見る陽人。
その視線に耐えられなくて、オレは陽人の腕を解きながら、
「わかったわかった。 今度桐谷も誘ってみる」
「やった♡」
美香の表情が、パッて嬉しそうになった。
「でも、来ねーって言うかもだぜ。 責任はもてねーけど」
「うん、いいよ」
あーもー、なんでこんな事に。
思わずため息をつくと、美香がオレの腕に抱き付いてきた。
「大丈夫だよー♡ 私は瑞樹が一番好きだから♡」
「はいはい。 美香、ありがとな」
お礼を言いながら、美香の頭をぽんぽんとなでると、
「今は、ね」
と、笑顔でつけ加えられた。
「あ、瑞樹。 日曜日の場所、決まったからLINEしとくな」
日曜日・・・・・ あ。
合コン、か。
「りょーかい」
「日曜日、なんかあんの?」
和真は聞きながら、陽人のカオを見て、予測ができたようだ。
「あ、合コン、か。 陽人がなんか嬉しそうだし」
「あったりー」
満面の笑みの陽人。 和真は呆れたように、
「陽人、ほんと好きだよなー」
ため息交じりで呟く。
「和真も来るか?」
「行かねーよ。 オレその日、デートだし」
和真は『デート』を強調して、得意げに言った。
「え、まじで。 もしかしてコクったのか!?」
和真はバスケ部のマネージャーのコのことが好きって言ってたんだ。
1年生の、すごくかわいいコだ。
「いや、それはまだだけど・・・ でも、デート、行くもんねー」
「よかったじゃん! 和真」
オレが肩を叩くと、和真は少し照れたように笑った。
「オレはお前らと違ってマジメだからね。 好きなコとか彼女いるのに合コンとか、行かねーし」
「んだよ、それ。 オレらだって今、フリーだっつーの。 なあ、瑞樹?」
陽人の言葉に、すぐ、反応することが出来なかった。
「瑞樹?」
陽人がオレを不思議そうに見る。
まずい。 なんか言わないと。
「え、あ、ああ。 そーだよ。 オレらフリーなんだから、責めんなよ」
なんとか、言葉を絞り出した。
「じゃあ、フリーの間に、思う存分遊んどけよー。 彼女出来たら、もう合コンとか行くなよな」
諭すような和真の言葉に、陽人は悪びれもせず、
「まあ、それはその時考えるわ」
にやって笑って言った。
『オレら、フリーだし』
陽人のその言葉に、一瞬、反応できなかった。
だってオレ、今、桐谷とつき合ってるんだもんな・・・・・
あああ、もう。
なんでこんなに悩むんだ。
いつも、彼女がいたって、行きたかったら合コン行ってるし。(それで和真に責められてるわけだけど)
いつもと変わんないんだから、気にしなくて、いい。
オレは小さくため息をついて、スマホを取り出し、陽人からのLINEを確認した。
0
お気に入りに追加
250
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
春ですね~夜道で出会った露出狂をホテルに連れ込んでみたら~
夏芽玉
BL
4月、第3週目の金曜日。職場の歓迎会のせいで不本意にも帰りが遅くなってしまた。今日は行きつけのハプバーのイベント日だったのに。色んなネコとハプれるのを楽しみにしていたのに!! 年に1度のイベントには結局間に合わず、不貞腐れながら帰路についたら、住宅街で出会ったのは露出狂だった。普段なら、そんな変質者はスルーの一択だったのだけど、イライラとムラムラしていたオレは、露出狂の身体をじっくりと検分してやった。どう見ても好みのど真ん中の身体だ。それならホテルに連れ込んで、しっぽりいこう。据え膳なんて、食ってなんぼだろう。だけど、実はその相手は……。変態とSMのお話です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる