イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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6.約束

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イラついて準備室を後にしてから、桐谷とは結局話さないまま学校終わって帰った。


ずっとイライラしてしまっていたから、陽人には 「瑞樹こえーっ。オンナノコの日かよ」 て、からかわれたりしたけど。

もちろん、陽人のことは一発殴っておいた。




夜、風呂も入ってさっぱりしてリビングに居ると、仲良くしている女のコからLINEが来た。

他愛もない話題だけど、結構盛り上がった。

楽しくやりとりを続けていて・・・・ でも、ふと、思った。


このコは、オレの彼女じゃ、ない。


もちろん、オレは彼女以外のコともLINEはするし、彼女がいてもいなくてもそれは変わらない。

でも彼女がいる時は、やっぱり彼女と一番LINEするよな・・・・


この間桐谷に告白されてから、一回も、LINEしてない。

それに学校でだって前よりは少し話すけど、それでもたくさん話すわけじゃないし、昼だって変わらず、陽人たちと食べてるし。



LINE・・・・してみるか・・・・・?

つき合ってんだし、別にしてもいいよな・・・・・・

・・・・・まあ、今日あんな感じで別れたから、気まずくはあるけど・・・・・・・


でも。


「・・・・・・オレ、あいつの連絡先、知らねーじゃん・・・・・」


LINEでも友達ですらないし、ましてや、電話番号やメアドなんてもっと知らない。

つき合ってんのに、連絡先を知らないなんて、今までなかったことだった。


LINEの、クラスのグループトークを開く。

メンバーの中に、桐谷の名前を探すと、


「・・・・・あった」


『桐谷 涼司』


マジメなあいつらしく、ご丁寧にフルネームだ。


アイコンは・・・・

「え、・・・アイス?」


・・・・桐谷と一緒に食った、あのアイス、だよな・・・・

あいつ・・・・いつの間に写真なんか撮ってたんだ・・・・?

しかもそれ、アイコンにするって・・・・・


「・・・・ははっ」


思わず、笑いがこみ上げてくる。

イメージ違い過ぎだろ。 桐谷がアイスって。



「瑞樹。 スマホ見ながらひとりで笑うな。 気持ちわりぃ」

兄ちゃんが眉をひそめてオレを見る。


兄ちゃん、星野 渚(ホシノ ナギサ)は、今大学1年生。 オレの2つ年上だ。


「彼女か?」

「ちげーし」

思わず笑ってしまったのを見られて、ちょっと恥ずかしい。

兄ちゃんはソファに座ってるオレの隣に腰を下ろした。

嬉しそうにスマホをいじってる。


「兄ちゃんこそ、カオにやけてんじゃん。 きもい」

「えー、そうか?」

オレのイヤミなんか気にも留めてない。 ていうか、耳に入ってなさそうだ。

これは相当ご機嫌だな。


「すげーゴキゲンじゃん。 なに、彼女?」

兄ちゃんはメッセージを打ちながら、

「いや、まだつき合ってない。 けど、イイ感じなんだよなー」

と、嬉しそうに答えた。

「このつき合う前のドキドキする感じ、いいよなー」

「ふーん」

兄ちゃんはすげー楽しそう。

そのコのこと、好きなんだなぁ。



兄ちゃんは、オレとタイプが全然違う。

小さいころから剣道をやっていて、背も高くて体つきもがっしりしている。

ずっと剣道をやっていたからか、考え方も真面目だし・・・・ 長男ってのもあるのかな?

とにかく、ちゃらちゃらしてるオレとは、全然違う。


「相手の人って、同級生?」

「ああ。 今度の日曜、映画に行こうって話しててさ」

聞いてもないのに、デートの予定を教えてくれる。

「ふーん。 さっさとつきあえばいーじゃん」

「言ったろー。 このつき合う前の感じ、好きなんだよ。 すげーどきどきするしさ」

少し照れたように笑った後、ちょっと不安気なカオになる。

「・・・そうは言っても、本当につき合えるのかどうかは分かんないしな。 フラれるかもしれないし。 盛り上がってんの、オレだけなのかな、とか不安になったりするしな。  だから余計、今の感じが好きなのかもなー」

「え、でも2人で出かけるんだろ?」

「まあ、そうなんだけど」

兄ちゃんはオレを見て笑った。

「ま、モテる瑞樹には分かんねーだろうなあ」

「・・・・んなこと、ねーけど」


・・・・確かに、オレ、そういうのでどきどきとかしたことねーな・・・・

いつも、女のコからコクられて、それでつき合ってきたから。



オレは自分のスマホに視線を落とした。


『桐谷 涼司』


「・・・・初めてLINEするときとか、緊張した?」

兄ちゃんの方は見ずに、聞いてみた。

「そりゃあ、緊張したぜー。 既読になるまでもどきどきだし、返信来るまで何度もチェックしたりしてさー」

・・・だよな・・・・・


『友達に追加』


そのボタンを、押すのをためらってしまう。


・・・・急にLINEしたりしたら、ヘンに思われるかも・・・・・・?

だいたい、LINEするっつっても、何の話したらいいのかわかんねーし。



・・・やっぱ、いーや。



ため息をついて、スマホをソファの上に放った。


すると。


♪~

LINEの着信音。


さっきまでLINEしてた女のコかな。

そう思ってもう一度スマホを手に取る。


「えっ・・!?」


思わずソファの背もたれから起き上がり、前のめりになって、スマホの画面を見る。


『桐谷 涼司 が あなたを友だちに追加しました』


桐谷・・・・が?


♪~

また着信音が鳴って、

『星野だよな?』

桐谷から、メッセージが来た。

オレは『Mizuki』と、名前だけで登録してる。 だから、確認で聞いてきたんだな・・・・


なんか、少し胸のあたりがあったかくなった気がした。

自然と、口元が緩む。


『ああ、そうだよ』

『よかった。 たぶんそうだとは思ったけど、違ったら困るからな』

返信はすぐに返ってくる。

『勝手に登録して悪かったな』

『いいよ』

・・・・だって、オレだってしようとしてた。


『今日ごめんな』

・・・・・・準備室でのこと、だよな・・・・・

オレのキスを、桐谷が拒否した、あのこと・・・・


もう少しキスしたかったのに、拒否されて、不完全燃焼になって、イライラした。

オレのこと好きだって、あんなに熱っぽく言ってたのに、キス、拒否るなんてさ・・・・・


『なんのこと?』

でも、それでイライラしてたことを素直に認めたくなくて、そっけなく返す。

『準備室のこと。 怒ってただろ?』

・・・・少しは、気にしてたのかな。

だから、急にLINEしてきたのか?

『べつに』

やっぱり素直にはなれなくて、そっけなく返してしまう。


・・・・・・・・・・

テンポよく返ってきてた会話が途切れる。

・・・・・なんか、へんなこと言ったかな。

そっけなく、しすぎた?


なにか返した方がいいかな、と思い、画面を見つめたまま考え込む。

でもなんて書いたらいいかわからなくて、ただ時間が過ぎる。



♪~

考えるだけで何も書けないでいたら、桐谷からメッセージが来た。

『怒ってないなら、よかった』

・・・・・怒っては、ない。 イラついたけど。

でもそのイライラさえ、桐谷からLINEが来たことでずいぶんなくなってることに、ふと気付いた。



『明日朝、屋上で会わないか?』


朝、屋上で・・・・?

桐谷からの誘いに、イライラがなくなるどころか、気分が高揚する。


『行けたら行く』

それなのにやっぱり、そっけなく返してしまう自分がいた。



『じゃあ星野、また明日な』

『ああ、またな』



桐谷とやりとりしたスマホの画面を眺めながら、オレはソファにごろんって横になった。

隣に座ってた兄ちゃんに、足がバシって当たってしまう。

「いてっ、瑞樹、足!」

兄ちゃんに足を叩かれても、自然とカオがにやけてしまうのを止められない。


オレ、桐谷からLINEもらって、そんで明日誘ってもらって、嬉しかったんだな…。


「瑞樹、なんか嬉しそうだな」

兄ちゃんに指摘されるほど、カオがにやけてるんだろうな。


「べっつに」

言葉とは裏腹に、やっぱり気分は高揚してて。

オレは桐谷からのメッセージを眺めていた。


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