イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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3.数学

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「はよーっ」

教室に入ると、いつも仲良くしてる奴らがいた。

「お、瑞樹ー」

オレは自分の席にカバンを置くと、そいつらの方に近づいた。


高井 和真(タカイ カズマ)。 バスケ部に入ってて、さわやか系で長身のイケメンだ。

髪は柔らかい黒髪で、笑うとかわいいが、前に見に行った試合の時とかは、すごく真剣な表情でカッコよかった。


「おはよー、陽人、お前宿題忘れたの?」

せっせと数学のノートを写している陽人に声をかける。

「おー、昨日持って帰んの忘れててさ。 まあ朝うつさせてもらえばいいかーって思って」

「って言っても、和真のうつしてんだろ? 間違ってんじゃねーの」

「しっつれーだな。 瑞樹のよりはマシだよ」


せっせと和真のノートを写してるのが、中間 陽人(ナカマ ハルト)。 

こいつはオレと同じで部活やってなくて、帰りもよく一緒に帰ってる。

陽人もオレより背が高くて、髪はかなり明るい茶髪。 ピアスもしてて、見た目かなりチャラいけど、いい奴。

こいつもかなりモテんだよなー。



「なあ瑞樹。 今日帰り、つき合ってくんねー?」

陽人がノートからカオを上げずに聞いてくる。

「なに? なんか買い物?」

「ああ」

「いーぜ」


そうこうしてると、チャイムが鳴って、先生が入ってきた。





・・・・・・眠い・・・・・

数学の授業中、オレは睡魔に襲われてた。

窓際の席のオレは、窓の外を眺めてみた。 明るい陽射しが、目にまぶしい。


・・・・1年生か? 授業でサッカーしてる。

いいなー。 楽しそ。

オレも体動かしてーなあ。



バン!


いきなり間近でした大きな音に、びくってなる。


「・・・・星野ぉ」


数学の先生が、怖いカオでオレを見てた。

さっきの大きな音は、オレの机をたたいた音だったようだ。


「そんなに体育が楽しそうか?」

「あ、いや・・・・」

「数学は楽しくないかー?」

「そんなことは・・・・」

「さっきから呼んでも全然気付いてないしな」

・・・・まじかよ。

「ほら、前に出てさっさとあの問題解け!」


黒板を指差して、先生が怒る。


えー・・・・・ 絶対無理だ・・・・・


オレはとぼとぼと前に出て問題を眺める。

・・・・・・・ぜんっぜん、わかんね・・・・・・・


「星野ー?」

「せんせ・・・・・・ 無理です・・・・・」

泣きそうになりながら先生を振り返る。

「だろうな。 ちゃんと授業聞いとけよー」

「はい・・・ すみません・・・・・」


前に出た時と同様、とぼとぼと席に戻る。

途中、陽人と目が合ったら、すっげー笑ってた。


くっそ、ムカつく・・・・


「じゃあ、桐谷。 解けるか?」

「はい」


オレに代わって当てられた桐谷が、前に出て問題を解く。

迷うことなくチョークを走らせ、答えを導き出した。


すっげー・・・・

やっぱ桐谷って、頭イイなー。


「正解だ。 さすがだな、桐谷」

桐谷は表情を変えず、自分の席に戻った。


「星野も、桐谷を見習えよー」

「はーい」


だってオレ、頭良くないし。

桐谷みたいにって、無理だっての。






「あー、すげー恥ずかしかった」

「ああ、当てられた時か? だって瑞樹、呼ばれてんのにぜんっぜん気付いてないんだもんな」

和真が笑いながら言う。

「まじかよ? そんなに呼ばれてた? オレ」

「ああ。 先生がどんどん切れてきてた」

「うわー・・・ やっべえよな。 しばらく真面目に授業受けよう」

「普段から真面目に受けろ」

数学の授業が終わって、陽人たちと話してたら、桐谷が口を挟んできた。

「ちゃんと聞いてれば、あのぐらいの問題は解けるぞ」


普段、桐谷からこんな風に話しかけてくることなんて、ない。

だから陽人も和真も、少し驚いた表情を見せた。

オレも内心は、ちょっとびっくりしたけど。


「・・・聞いてたって、わかんねーよ。 オレ、桐谷みたいに頭良くねーし」

「だったら、なおさらちゃんと授業は受けろ」

・・・・・オレがバカだってこと、否定はしねーんだな・・・(汗)


オレが少しぶすってしてうつむくと、和真が笑いながらオレの肩をたたいた。

「まあまあ、桐谷の言うことはもっともだし、な?」


「星野」

ぐって、いきなり、和真が叩いてきたのと反対の肩を掴まれた。



「な、なんだよ?」

意外と至近距離に桐谷のカオがあって、少し焦ってしまう。

近い距離に、一瞬、昨日の記憶が蘇る。

やばっ・・・・


「今日放課後、時間あるか?」

「き、今日は、陽人と約束してるから、ムリ」

カオが赤くなりそうで、思わず目を逸らしながら断った。


「・・・・そうか」

桐谷の手が、オレから離れる。

「わかった」

そう言うと、あっさりと自分の席に戻って行った。


少し、その後ろ姿を目で追ってしまう。


「・・・・桐谷が瑞樹誘うって、珍しくねー?」

「な。 いきなり話しかけられて、ちょっとびっくりしたし」

陽人と和真がカオを見合わせる。

「お前、桐谷とそんな仲良かったのか?」

陽人に聞かれて、少し口ごもってしまう。

「あー・・・ うん、少しな」

「へー、そうなんだ。 なんか意外だな」


昨日あったことなんて、陽人にも和真にも話せない、よな・・・。

オレはごまかすように笑うしか出来なかった。



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