君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

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35.わかってもらいたい

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次の日は土曜日。


オレとあきらは話合って、今日部活が終わったら、亮介を誘ってみようって決めていた。

オレは少し重い腰を引きずりながら、部活の練習メニューをこなした。

・・・部活中も、亮介はオレたちと全く話をすることはなかった。



片づけをしている時、

「亮介」

あきらが亮介に声をかける。

亮介は無表情のまま、あきらを振り返った。


「悪いんだけどさ、この後少し、時間取れねえ?」


「・・・・わかった」

返事だけすると、亮介はすぐにあきらから離れていった。


あきらがオレを振り返り、小さくうなずく。

オレもあきらにうなずき返した。


・・・・よかった。

話しするのも拒否されるかと思ってたから。








帰りに3人でファミレスに寄った。


オレとあきらは隣に座り、亮介とテーブルを挟んで向かい合う。


「亮介、ゴメンな。 部活の後、小山さんとデートとかだったんじゃねーの?」

「いや・・・・大丈夫」

亮介はあきらとは視線を合わせず、こわばったカオのまま返す。


あきらは小さく息を吐いた。

「亮介・・・・オレたちのこと、黙ってて、ゴメン」

「・・・・ゴメンな」

オレも一緒に謝る。


亮介はしばらく沈黙した後・・・・視線は上げないまま、口を開いた。

「いつから・・・・なんだ・・・・?」


「・・・・ちゃんとつき合いだしてからは、1か月過ぎたくらい・・だな・・・」


「そっ、か・・・・・」

亮介はため息まじりに呟いた。



・・・・またしばらく、沈黙が下りる。


どうしようもなくてうつむいていると、あきらがテーブルの下で、膝に置いていたオレの手を握ってきた。

安心させるように、オレの手をそっと撫でる。



亮介は視線を上げるとオレを見た。


「・・・・最近、レイキがモテオーラ・・・っつーか、フェロモン出てんのって、あきらとつき合ってるから、だったんだな」

言って、亮介は少し微笑む。

「・・・・・あー、オレ、全然分かんなかったぜー」


「亮介・・・・ゴメンな」

オレが謝ると、亮介はため息をついて笑った。

「そーだよ。 何で言ってくんねーんだよ。 いっつも好きなコできたら、すぐ報告くれたじゃんか」

「うん・・・・」

さすがに、あきらですとは言いにくいけどな・・・・


「・・・・・レイキ、よかったじゃん。
彼氏? お互いに彼氏になるのか? ・・・・まあとりあえず、好きなやつとつきあえることになって」

「亮介・・・・」


「あきらもさ、今まで遊んでばっかだったじゃん。 
遊び相手を切って本気になるって言ってた相手って、レイキだったんだな」

「・・・ああ」

「よかったじゃん。 本気になれる相手、見つかってさ」



亮介はいつものように、ニッて満面の笑顔になった。


「おめでとな!2人とも!!」



オレとあきらはカオを見合わせて微笑んだ。



亮介がオレたちのこと、受け入れてくれた・・・・・・!



オレは席を立って亮介の隣にいき、がばっと抱き着いた。

「りょーすけー! ありがとな!!」


「よしよし。 よかったな、レイキ」

亮介もオレを抱きしめてくれて、頭をぽんぽんと叩いてくれる。


「おい、レイキ。 亮介に抱き着くな。
亮介も、その手、放せよ」

少し低くなったあきらの声がする。


「わーあきら、こえー。 ヤキモチやいてんのか?」

亮介がにやにやしながら、あきらをからかった。


オレは亮介に抱き着いたままあきらを振り返り、

「べつに亮介はいいだろ?」

「だーめ。 レイキが抱き着いていいのは、オレだけだ」

目を細めていうあきらに、オレと亮介はカオを見合わせて笑った。

「あきら、結構独占欲強いんだな。 意外だなー」


あきらはオレを引っ張って、亮介から引きはがした。

「いーだろ、別に」


あきらの頬がほんのり赤いのは・・・・ 気のせいじゃない、よな・・・?

あきら、照れてんのか・・?

・・・・かわいー、かも・・・・・




「昨日、ゴメンな。 オレひどいこと言っただろ。
・・・お前ら、ケンカでもしてんじゃねーかと思って慌てて追っかけてったら、いきなりあんなんだし・・・・
なんか、わけわかんなくって、さ。 ・・・・・ほんと、ゴメンな」

亮介はオレたちに頭を下げた。

「いいよ、亮介。 心配してきてくれたんだし」



「でもさ、1か月以上前ってことは・・・この間遊園地に来てくれた時。 あん時って、もうつき合ってたんだろ?」

「ああ」

「何か・・・・・悪かったな。 お前らつき合ってたんだったら、やめとけばよかったな」


ああ・・・・・河原のこと・・だよな・・・・


「お前らもしかして、それでモメたのか?」

亮介が心配そうにオレたちを見る。

「あー・・・・ そうとも言える・・・・・かも」

オレは言いながら恥ずかしくなった。 


亮介はため息をついて、

「まじかー。 河原、あきらのこと好きだもんなー。 分かってたんだけど、まーあきらだし、適当にあしらえるだろうって思ったらさ」

ゴメンなって、オレに手を合わせる。

オレはへらって笑った。

「別に、亮介のせいじゃねーよ」


「そうそう、でもさ。 びっくりしたのが紺野だった!」

亮介は少し興奮気味に言った。


紺野・・・か・・・・

紺野もあきらのこと・・・・好きなんだよな・・・・・


ちくって、胸の痛みを感じる。


「だなー。 あきらって、やっぱモテるよなー・・・・・」

オレがため息まじりに言うと、あきらと亮介が驚いたカオでオレを見た。


「はあ?」

「レイキ・・・・お前、何言ってんだ?」


思いがけない2人の反応に、なんだか慌ててしまう。

「な、何だよ。2人して・・・・」

あきらと亮介はカオを見合わせて、


「レイキ、まじで天然すぎだろー!!」

「お前、ホント鈍いんだなー!!」

2人一緒に笑い出した。



な、何なんだよーーーー!?



「レイキ、紺野が好きなのはお前だよ」

亮介は笑い過ぎてにじんだ涙を手で拭きながら、驚きの発言をする。




「・・・・・・・は?」


オ、レ?



「いやいやいや。 ちがうって」


だって、紺野はあきらと仲良い河原を見て、『私も見習わなくちゃ』って。



「お前さー。 遊園地で体調悪いって言っただろ? あんとき、紺野ほんとに心配してたんだぜ?
結局みんなと回らなくて、お前んとこ行ったじゃん。 あきらが好きだったら、あきらから離れるわけねーだろ」

「しかも、お前と腕組んでたじゃん。 すげー嬉しそうに」

「お前だけ名前で呼ばれてるし。 『レイキくーん』って、さ」

「みんなでいるときも、レイキのことばっか見てるぜ?」


2人で畳み掛けるようにオレに説明する。



・・・・そ、そんなに言わなくても・・・・・



「紺野、1年の頃からお前のこと好きなんだってさ。 恵梨香ちゃんに聞いた」


ま、まじかよ・・・・・・?


「1年の時、レイキにコクれば良かったのにな。 そしたらレイキ、彼女出来たのに・・・・・」


言いかけて、亮介はあきらの鋭い視線に気づく。


「あ、いや。 ・・・わりぃ」



こ、紺野がオレのことって・・・・・まじかよ・・・・・

絶対、あきらのこと好きだと思ってた・・・・・・



「ま、まあ、紺野は残念だったよな。 だから、あんまり期待持たせるような態度、取んねー方が良いぜ?」

「・・・うん・・・・・」

でも、期待持たせるような態度って・・・・・


あきらがオレの肩を抱き寄せる。

「紺野にあんまり優しくすんな。 笑いかけるな。 名前で呼ぶのなんか許したら、期待するだろ」


で、も。


「だって、友達だし。 笑ったり優しくしたりなんて、当たり前だろ? 名前だって・・・・・断れねーじゃんか・・・・・」

「なんで? 断れねーの?」

「だって・・・・・傷つくし・・・・・」


あきらはオレのカオを覗き込む。


「最終的には断るんだろ? だったら、期待持たせて断る方が、傷が深いと思うけど?
その気がないんなら、それなりの態度取らなきゃダメだろ」


オレはあきらを少し睨む。


「・・・・・・遊びまくってた、あきらに言われたくねー・・・。 あきらだって、女のコに、期待持たせてたんだろ・・・・・?」


「オレは、つき合う気はないって、最初に言ってたし。 それでもいいって、割り切れる女としか遊ばなかったし。
相手が本気になってきたら、のめり込まれる前に切ってた」


すげーことを淡々と言うあきら。


う・・・・ なんか、すごいこと聞いた気がする・・・・・

亮介もちょっとびっくりしてるし・・・・・



「それに・・・・・」

あきらは目を伏せた。


「レイキは紺野を傷つけたくないって思ってんだろうけど・・・・・
紺野に優しくするレイキを見てると、オレが、傷つくんだよ・・・・・・・・」


あ・・・・・・


オレは思わずあきらを抱きしめた。


「ご、めん。 あきら。
・・・・・・オレ、間違ってたな・・・・。 あきらを傷つけるのが、一番、イヤだ」


オレが一番大事なのは・・・・・・あきら、だ・・・・・・


あきらがフッて笑うのが分かった。


「レイキ・・・・・・ありがと。 好きだよ・・・・・・」




「・・・・・おーい。 オレのこと、忘れてねーかー?」


・・・・・忘れてました。


オレは慌ててあきらを放す。

「ご、ゴメン、亮介」



亮介は呆れたように笑う。

「すっげー好き合ってんのがわかった。 何か、イイ感じだな、お前ら」

亮介の言葉に、オレとあきらは目を合わせて笑った。

・・・・・恥ずかしーけど、すっげーうれしい。



「亮介、悪いんだけどこのことは・・・・・」

「ああ。他の奴には言わねーよ。 でもお前らも、オレがもう知ってるからって、オレの前であんまいちゃつくなよー」


言って、亮介は立ち上がった。


「じゃ、オレ行くな。 今から恵梨香ちゃんとデートなんだー」

「おう、じゃあな」


亮介は笑って店を出て行った。




・・・・・・よかった。

亮介に言えてなんかホッとしたし、受け入れてくれて、ほんとにうれしかった。


「あーきら」


オレは少しあきらに身を寄せた。

耳元に口を近づけて、


「・・・・すき」


あきらもオレの手を握ってきて、、


「オレらも帰ろーぜ。 ・・・・・レイキと、もっとくっつきたい」


耳元で囁いてきた。





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