君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

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32.イケメンには美人が似合う

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「おつかれー」

部活が終わって、あきらと亮介と一緒に帰ろうとしていたら、

「亮介くーん!」

女子テニス部も同じくらいの時間に終わったようで、小山さんがやってきた。


「あ、わりぃ。 オレ、恵梨香ちゃんと帰るな」

亮介がうれしそうにオレたちを振り返った。


「おぅ、じゃーな」

笑顔で亮介と小山さんに手を振って。


・・・どーしよ。 あきらと2人だ。

なんか、気まずいなあ・・・



河原のこととか、修吾、のこととか・・・



無言のまま、あきらと並んで歩き出す。


「・・・今日、修吾と調子よさそうだったじゃん。  部長のお叱りが、効いたのか?」

しばらくして、あきらが沈黙を破った。

「え?  あ、ああ・・・。 そうだな、部長のおかげかな」

オレはへらって笑って言う。


「・・・部長に、なんて言われたんだ?」

・・・あきらは真剣なカオで、オレの目を真っ直ぐに見ていた。

オレは耐えられなくて、思わず視線を逸らす。


「いや・・・たいしたこと、ねーよ。 もっとしっかりしろ、的なこと、言われたくらいで」

「・・・・ふうん?」


あきらがじっとオレを見ているのを感じるが、オレはあきらと視線を合わせることができない。




「・・・・・レイキ」


不意にあきらがオレの腕をつかんだ。


「っ、なに?」


あきらのキレイなカオが、至近距離にある。


「・・・・修吾と、何かあったのか?」


切れ長の瞳を細めて、オレを見つめる。


「・・・・・・・なんも、ねーって」


オレはまた、視線を逸らしてしまった。


「ちょーし、悪かったけど、もう大丈夫だし」


ごまかすようにへらって笑うと、あきらがカオを近づけてきた。



「っあきら!」



キスされそうになって、オレはあきらの肩をどんって押した。



「何、やってんだよ。 こんなとこでっ!」



小声であきらを怒鳴りつける。


ここは学校から駅に向かう道。

うちの学校の生徒も、他の通行人もいる道だ。



「・・・・・ゴメン」


あきらはオレから離れる。


それから、オレたちはお互いに無言だった。









「はあーーーあ」


屋上で、寝転がって大きなため息をつく。


今日も、天気がいい。



あれから・・・どれくらい経ったかな。

亮介たちと遊園地に行ってから・・・2回目の週末がくるな・・・・


あきらとは、まともに話をしていない。

もちろん・・・・・・キスも、してない。



今日は金曜日。

少し学校に早く着いたから、ここで時間を潰してる。


正直言うと、朝あきらと電車で一緒になりたくなくて早く家を出て、

今も、あきらと河原の姿を見たくなくて逃げてきたんだけど。


こんなに長い間あきらに触れてないのって、あきらとこうなってからは一度も、ない。


あれ以来、あきらは空き教室にオレを誘うこともないし、帰りもオレがいろいろ理由をつけて、一緒に帰ってない。


修吾とのことで、あきらに申し訳なく感じたのと、河原とあきらが相変わらず親しくしているのが原因・・・かな。


亮介と小山さんがつき合い始めたことで、最近は河原と紺野も合わせて6人で昼飯も食べることも多いし、クラスは違うけど話をする事も多くて。

あきらと河原の距離が近い感じを、目の当たりにしてしまう。

みんなでいる時以外にも、あきらと河原は2人だけで話してることも多くて。



あきらは・・・河原のこと、いいなって、思ってんのかな。


オレより河原の方が、あきらには似合ってると思う・・・けど・・・



胸がぎゅって苦しくなって、オレはシャツの胸元を握り締める。




ギィィッ・・・



屋上の重いドアが開く音がした。

オレのいるところからは、ドアは見えない。



変わらずぼーっと空を眺めていると、話し声が聞こえてきた。



「天気いいねーっ」

「そーだな」


・・・・あれ? この声って・・・・・


「ねえ、またどこか遊びに行かない?」

「ああ。 亮介になんかおごってもらわなきゃだしな」


・・・・・姿が見えなくても分かる。


・・・・・あきらと、河原、だ。



2人の姿を見たくなくて、ここに逃げてきてたのに。



2人の前に出るわけにもいかず、オレはこのままじっとしてることにした。

オレは奥の方にいるし、直接見える位置にもいないから、2人に見つかることもないだろう。



「そうね。 あきらくんと坂本くん、亮介くんになにかおごってもらうって言ってたもんね。
でも、みんなで遊ぶのもいいけど・・・・・あきらくんと2人でも、どこか行きたいな」

甘えた感じの、河原の声。

きっと、かわいいカオで、あきらのことを見てるんだろう。


「2人で? オレと2人で出かけても、別に楽しくねーと思うけど」

「そんなことないよ。 あきらくんとだったら、どこに行っても楽しいよ」


河原は、やっぱ積極的だ。

あきらの遊び相手だったコたちは、大体押しの強い子だったけど。


「ねえ・・・・・あきらくん、最近全然女のコと遊んだりしてないよね?」

「・・・・ああ。 もー、やめたんだ」

「・・・・・何で? ・・・つき合ってる人・・いるの・・・・・?」



オレはあきらの反応が気になって、体を起こす。

立ち上がって、少し身を乗り出して、そっと2人を覗いてみた。


「・・・・いるよ」


河原は、少なからずショックを受けたカオをした。


「そっ・・・か・・・・」



・・・・・・あきらのその答えだけで、オレは嬉しくなってしまう。

胸が、少しあたたかくなった気がした。



河原は悲しそうに微笑んで、

「あきらくんが好きになる人・・・・だもんね。 きっとステキな女のコなんだろうなあ」



ほんの少しあたたかくなった胸は、『女のコ』という言葉に、一気に冷やされる。



あきらは河原の言葉を、否定も肯定もしなかった。



「でも、あきらくん、最近元気ないよね」

河原はあきらに近づいて、あきらの腕に触れた。


「彼女と、うまくいってないの・・・・?」

近い距離で、河原はあきらを見上げる。



「・・・・オレ、元気なかったかな」

「・・・・うん。 ときどき、すごくつらそうなカオ、してるし」


あきらはフッて笑った。 でも、その笑顔は、苦しげに歪んでいて。


「・・・・・カオに出してるつもりじゃ、なかったんだけどな」



「彼女と・・・・何かあったの・・・・?」


あきらは一つため息をついて、ぽつぽつと話し出した。


「いや・・・・・ただ、あいつが何を考えてるかが分からなくて。 何か悩んでるみたいなのに、あまり、話もしてくれないし。
・・・・・オレのこと、ホントに好きなのかなって・・・・・不安になる・・・・・・」


あきらは、手を額に当ててうつむいた。


オレのこと・・・・そんな風に思ってたのか・・・・・?

オレ、あきらのこと好きなのに・・・・・不安にさせてた・・・・・・?


「オレなんかが、あいつの相手でいいのかなって・・・・・ あいつには、もっと、ふさわしい相手が、いるんじゃないかって・・・・・思うんだ・・・・」


そんなこと、ない・・・・

それは、オレの方があきらに感じていたことで。 オレの方こそ、あきらにふさわしくないんじゃないかって。


「・・・・オレがあいつを縛ってんのかな・・・・。 あいつを、放してあげないと、いけないんだろうな・・・・・」


ちがう・・・・・

あきら、そう思ってるのは、オレの方だよ・・・・




河原は、あきらの首に腕を回してあきらに抱き着いた。


「・・・・そんな悲しそうなカオ、しないで・・・」


2人は至近距離で見つめ合った。


「でも・・・・・・私は、あきらくんをそんなに不安がらせる彼女が、ひどいって思うな・・・・・・。 私は、あきらくんのこと、泣かせたりしないよ・・・・・?」



そう言って、河原は背伸びをして、あきらの唇に自分の唇を寄せた。 


「河原のこと好きになれたら、いいんだろうな・・・・・・」


あきらも、河原を引き寄せて抱きしめ、





2人の唇が、重なった。






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