30 / 41
30.※ 呼び出し
しおりを挟む
月曜日。
いつもより遅い電車で朝学校に行くと、もうあきらは来ていた。
廊下にあきらの姿を見つけて近づくと、隣に河原がいた。
「あきら、河原、おはよー」
「坂本くん、おはよう」
河原がにっこり笑って挨拶を返してくれる。
・・・・・河原は、美人だ。 あきらの横にいるのは・・・似合う。
「昨日は楽しかったな。 亮介と小山さんもつき合うことになったみたいだし、よかったよな」
「・・・そうだね」
・・・・にっこり笑ってはいるが、河原からは『邪魔しないで』オーラを感じる。
ま、そーだよな。 せっかくあきらと話してるんだもんな。
「じゃーな」
2人に背を向けようとしたら、
「あ、レイキ」
あきらがオレを呼び止めようとした。 のが、分かったけど。
「あ、りょーすけー!」
オレは亮介の姿を見つけ、大きな声で呼んだ。
「おーっ、レイキー!」
あきら達のそばには居づらくて、そのまま亮介に近づいていく。
「亮介、聞いたぜー。 つき合うことになったんだってな」
亮介は嬉しそうに笑った。
「ああ! レイキ、まじでありがとなー。 昨日来てくれたおかげだぜ」
「いやいや。 2人とも、雰囲気良かったもんな。 別にオレら、いなくても良かったと思うし」
「んなことねーよ。 まじで感謝してます」
少しカオを赤らめて照れ笑いする亮介の肩を、オレはぐーで叩いた。
「今度オゴれよー」
そのままHRが始まるまで、オレは亮介としゃべってた。
あきらは廊下で河原としゃべってたみたいだった。
授業中、スマホがメッセージを受信する。
開いて見ると、・・・・修吾からだった。
『部長が話があるって。 オレたち2人、昼休み部室に来いってさ』
・・・・・まじか。
最近のオレたちの不調が原因だよな。 練習試合にも出れなかったし。
何かお叱りを受ける感じかなー・・・・
オレはブルーになりながら午前中を過ごした。
昼休み。
オレたちが屋上で弁当を広げていると・・・・・
「一緒にいい?」
小山さん、河原、紺野がやってきた。
「一緒にいいか?」
亮介もオレとあきらに聞いてくる。
「どうぞどうぞー」
オレは笑顔で3人を迎えた。
河原はあきらの隣に座る。
小山さんは亮介の隣、紺野はオレの隣に座った。
「昨日、LINEありがとな」
「うっ、ううん。 私こそ、ありがとう」
紺野はにこって笑う。
オレは急いで弁当を食い始めた。
「あれ、レイキなんかあんのか?」
「んー、部長に呼び出された」
「え、まじで。 何でだよ?」
亮介に首を振る。
「さー? わかんねーけど。 何か怒られんじゃねーかな」
『やだなー』って呟きながら弁当を食ってると、あきらがオレを心配そうに見る。
「レイキだけか?」
「呼ばれたの? 修吾も。 ・・・・・最近、ちょーし悪いからな」
「そうか・・・」
あきらは少し眉根を寄せた。
オレはさっさと弁当を食い終わって立ち上がった。
「なんかバタバタでゴメンな。 オレ、ちょっと行ってくる」
「じゃーな、頑張れよー」
みんなに見送られて、屋上を後にする。
部室に行くと、まだ誰も来ていなかった。
とりあえず、中に入って、ベンチに腰かけた。
「はーーーーっ・・・・・」
何言われんのかなー。 気が重い。
がちゃっ。
ドアが開いて、修吾が入ってくる。
「よぅ」
「おぅ」
修吾はオレの隣に腰を下ろした。
・・・・・なんか、2人っきりだと、何を話していいのか分からない。
「ぶ、ちょう、遅いな。 何言われんだろ。 やっぱ、怒られんのかなあ」
何とかオレが声を出すと、
「部長はこねーよ」
・・・・は?
オレはびっくりして修吾を見た。
「こねーって・・・・部長がオレたち呼んでるって言ってただろ」
「あれ、うそ」
「うそぉ?」
意味がわかんねーんだけど。
「レイキと話がしたかったんだけど。 オレが呼んだら逃げられるかなーと思ってさ」
修吾は真剣な瞳でオレを見る。
「べ、別に逃げるわけねーだろ」
言いながら、オレは目を逸らしてしまった。
「ほら、逃げんじゃん」
修吾がオレの肩に手を置く。
「だから、別に逃げてねーだろ」
オレは修吾のカオを見ることができない。
修吾はオレの両肩をつかんだ。
「こっち向けって」
「ってか、放せよ」
「レイキ」
修吾は両手でオレのカオを包んで、無理やり修吾の方を向かせた。
至近距離で、視線が合う。
気づきたくなかった。
修吾の瞳に、欲情の光が揺らめいていることに。
「・・・・んっ」
唇が、重ねられる。
オレは修吾の胸や肩をどんどんって叩く。
それでも修吾はオレを放してくれない。
「ふぅ・・・・んっ」
舌で口内を舐められて、腰に甘いしびれが走る。
力が、入らなくなってく。
ゆっくりと修吾の舌がオレの舌を絡め取っていく。
くちゅ、くちゅって、唇の隙間から水音が漏れ、こぼれた唾液がオレの顎に伝った。
修吾はキスをしたままオレをベンチの上に押し倒した。
唇をはなして、オレの首筋に口づける。
「んんっ・・・・・」
それだけで、オレのカラダは反応してしまう。
「やっぱ、レイキ・・・エロい・・・・」
修吾は舌を出して、オレの首筋を舐めた。
「やぁあ・・・っ・・・・・も、しゅうご、やめ、ろ・・・・・・!」
オレが快感に腰を震わせてる間に、修吾はオレのネクタイを外して、シャツのボタンを外していく。
「しゅ、ご・・・・やめろって・・・・・!」
オレは修吾の手を押さえつける。
でも、力の入ってない手は、逆に簡単に修吾に捉えられて。
「レイキ・・・・・」
修吾はオレの指を舌を出して舐めた。
「・・・・・・・好きだよ・・・・・」
一瞬、修吾が何を言ったのか、分からなかった。
「え・・・・・?」
修吾は、オレの目を見て、もう一度言った。
「レイキ、好きだよ」
修吾が、オレを・・・・・?
「・・・・最近、レイキがすげー色っぽく見えて。 でもレイキは男だし。 男相手に何でそんなに気になるのか自分でもわかんなかったけど」
修吾はオレの首筋にカオをうずめる。
「あきらとつき合って、そんな色っぽく見えるんだなって思ったら、何か悔しくて。 あきらにやきもち焼いてる自分に気づいた」
修吾・・・・・・
「キスしたら、やっぱ慣れてるみたいだったし。 でも、それがすっげえ気持ち良くて。 忘れられなくて」
修吾はオレの首筋にキスをしてから、体を少し離して、オレを見つめた。
「・・・・・・保健室でキスしたの、覚えてるか・・・・?」
保健室・・・・・・?
「・・・・・あ」
あきらが迎えに来てくれる前に見た夢・・・・・
あれは、夢じゃなくて・・・・・・
「あれ、修吾、だったのか・・・・・・?」
修吾はふって微笑んだ。
「・・・・・そ。オレ。 ・・・・・・レイキの寝顔がかわいすぎて、キスした。 そしたらお前・・・・『あきら』って・・・言うんだもんな」
瞳には悲しげな色をたたえて。
「あきらとつき合ってるって確信したし、すげー悲しかった。 今まで通り、友達として、ダブルスのペアとして、やってかなきゃって思ったけど。
・・・・・・やっぱ、ムリみてー・・・・・・・ オレ、レイキが欲しい」
そう言って、また、オレの首筋にキスをする。
「あっ・・・・や、しゅうご、・・・・・やめろって・・・・・・!」
いきなり言われた修吾の言葉に混乱していた。
でも、この状況は何とかしなくちゃいけない。
「だめ・・・・・! しゅうご、オレ、こんなのはいやだ・・・・・!」
涙が、出てきた。
修吾とこんなこと、したくない・・・・・!
ガチャッ!!
その時、部室のドアノブが回された。
オレは息をのんで、ドアを見つめる。
今のオレは修吾に組み敷かれて、制服もはだけた状態。
とてもじゃないけど、誰かに見せられる姿じゃない・・・!
外の誰かは、ドアノブをガチャガチャと回そうとしていたが、開かない。
・・・どうやら、修吾が入ってくるときに、内側から鍵をかけていたようだ。
とりあえず、今すぐ開けられることはない事実に、オレはホッとした。
でも
「レイキ。 いねーの?」
・・・・あ、きら・・・・・!
ドアの外にいるのは、あきら、だ。
部長に呼び出されたオレを心配して、見に来てくれたんだろう。
でも、今のオレの状態、あきらには見せられない・・・・・!!
オレが息を潜めていると、
「あきら、呼ばなくていいのか・・・?」
修吾はオレの耳元でささやいた。
「・・・・オレ、もう止まる自信、ねーよ」
そういって、オレの首筋に舌を這わせる。
修吾の指が、オレの胸に触れてきた。
「・・・・っ!」
「レイキ・・・・好きだ・・・・・」
指でオレの胸の突起を刺激しながら、耳を舐めてくる。
ぞくぞくと、腰に快感が突き抜ける。
オレは口を手で押さえつけて、声が漏れそうになるのを耐える。
・・・・足音が、遠ざかる。
あきらが立ち去ったのが分かった。
「はっ・・・・」
ほっとして、止めていた息を吐いた。
でも修吾の手は止まらなくて、オレの首筋を舐めながら、手を下におろしていく。
「やっ、・・しゅう、ご・・・・!」
オレはぽろぽろと涙を流した。
「オレ、・・・・しゅうごと、こんなのは、いやだ・・・・・・」
「レイキ・・・・」
オレの気持ちを、ちゃんと伝えないと、ダメだ。
「ゴメン・・・・、修吾。 ・・・・オレ、あきらが、好きなんだ・・・・・」
「・・・・・知ってる」
言って、修吾はオレにキスをしようとする。
「修吾、ダメ。 ・・・・・オレ、修吾とは、友達でいたいんだ。 ・・・・・一緒に、テニスしたい」
オレの言葉に、修吾はカオを歪めた。
「・・・・・わかってんだよ。 それは。 ・・・・・・オレだって、レイキとテニス、出来なくなんの、やだし」
修吾は手を伸ばして、指でオレの涙を拭う。
「それに・・・レイキにこんなカオ、させたいわけじゃ、ないんだ」
うつむいて、ぐって、拳を握りしめて。
「・・・・・・レイキ。 ゴメン。 ・・・・・もう、こんなこと、しねーから」
修吾・・・・・
オレは修吾の手に、自分の手を重ねた。
「オレも・・・・逃げてばっかで、ゴメンな」
修吾はカオを上げると、オレの首に手を回して、首の後ろを掴んだ。
「・・・・・最後に、一回だけ。 キス、していいか・・・・?」
「え」
オレの返事を待たずに、唇を重ねてきた。
舌を差し込まれて、口内を舐められる。
「んんっ・・・・!」
修吾の気持ちが流れ込んでくるような、激しいキスだった。
うまく息が出来ずに苦しくなってきて、ようやく修吾は唇を離した。
「・・・・レイキ。 そーいうカオ、やばいぜ? そんなん見せられたら、誰でも堕ちると思う」
口角を上げて、ニヤって笑う。
「っ・・・・・、誰のせいだよ!!」
「あー、オレだな」
軽く修吾は言って、修吾はオレのはだけたシャツを直してくれる。
「・・・レイキ、ゴメンな」
その表情は少し苦しげで。 それを見て、オレは何も言えなかった。
修吾は少し笑って立ち上がった。
「また、練習でな」
オレも少しだけ笑った。
「・・・おう」
オレたちはお互いに腕を出してぶつけ合った。
修吾はオレを振り返らずに、部室を出て行った。
いつもより遅い電車で朝学校に行くと、もうあきらは来ていた。
廊下にあきらの姿を見つけて近づくと、隣に河原がいた。
「あきら、河原、おはよー」
「坂本くん、おはよう」
河原がにっこり笑って挨拶を返してくれる。
・・・・・河原は、美人だ。 あきらの横にいるのは・・・似合う。
「昨日は楽しかったな。 亮介と小山さんもつき合うことになったみたいだし、よかったよな」
「・・・そうだね」
・・・・にっこり笑ってはいるが、河原からは『邪魔しないで』オーラを感じる。
ま、そーだよな。 せっかくあきらと話してるんだもんな。
「じゃーな」
2人に背を向けようとしたら、
「あ、レイキ」
あきらがオレを呼び止めようとした。 のが、分かったけど。
「あ、りょーすけー!」
オレは亮介の姿を見つけ、大きな声で呼んだ。
「おーっ、レイキー!」
あきら達のそばには居づらくて、そのまま亮介に近づいていく。
「亮介、聞いたぜー。 つき合うことになったんだってな」
亮介は嬉しそうに笑った。
「ああ! レイキ、まじでありがとなー。 昨日来てくれたおかげだぜ」
「いやいや。 2人とも、雰囲気良かったもんな。 別にオレら、いなくても良かったと思うし」
「んなことねーよ。 まじで感謝してます」
少しカオを赤らめて照れ笑いする亮介の肩を、オレはぐーで叩いた。
「今度オゴれよー」
そのままHRが始まるまで、オレは亮介としゃべってた。
あきらは廊下で河原としゃべってたみたいだった。
授業中、スマホがメッセージを受信する。
開いて見ると、・・・・修吾からだった。
『部長が話があるって。 オレたち2人、昼休み部室に来いってさ』
・・・・・まじか。
最近のオレたちの不調が原因だよな。 練習試合にも出れなかったし。
何かお叱りを受ける感じかなー・・・・
オレはブルーになりながら午前中を過ごした。
昼休み。
オレたちが屋上で弁当を広げていると・・・・・
「一緒にいい?」
小山さん、河原、紺野がやってきた。
「一緒にいいか?」
亮介もオレとあきらに聞いてくる。
「どうぞどうぞー」
オレは笑顔で3人を迎えた。
河原はあきらの隣に座る。
小山さんは亮介の隣、紺野はオレの隣に座った。
「昨日、LINEありがとな」
「うっ、ううん。 私こそ、ありがとう」
紺野はにこって笑う。
オレは急いで弁当を食い始めた。
「あれ、レイキなんかあんのか?」
「んー、部長に呼び出された」
「え、まじで。 何でだよ?」
亮介に首を振る。
「さー? わかんねーけど。 何か怒られんじゃねーかな」
『やだなー』って呟きながら弁当を食ってると、あきらがオレを心配そうに見る。
「レイキだけか?」
「呼ばれたの? 修吾も。 ・・・・・最近、ちょーし悪いからな」
「そうか・・・」
あきらは少し眉根を寄せた。
オレはさっさと弁当を食い終わって立ち上がった。
「なんかバタバタでゴメンな。 オレ、ちょっと行ってくる」
「じゃーな、頑張れよー」
みんなに見送られて、屋上を後にする。
部室に行くと、まだ誰も来ていなかった。
とりあえず、中に入って、ベンチに腰かけた。
「はーーーーっ・・・・・」
何言われんのかなー。 気が重い。
がちゃっ。
ドアが開いて、修吾が入ってくる。
「よぅ」
「おぅ」
修吾はオレの隣に腰を下ろした。
・・・・・なんか、2人っきりだと、何を話していいのか分からない。
「ぶ、ちょう、遅いな。 何言われんだろ。 やっぱ、怒られんのかなあ」
何とかオレが声を出すと、
「部長はこねーよ」
・・・・は?
オレはびっくりして修吾を見た。
「こねーって・・・・部長がオレたち呼んでるって言ってただろ」
「あれ、うそ」
「うそぉ?」
意味がわかんねーんだけど。
「レイキと話がしたかったんだけど。 オレが呼んだら逃げられるかなーと思ってさ」
修吾は真剣な瞳でオレを見る。
「べ、別に逃げるわけねーだろ」
言いながら、オレは目を逸らしてしまった。
「ほら、逃げんじゃん」
修吾がオレの肩に手を置く。
「だから、別に逃げてねーだろ」
オレは修吾のカオを見ることができない。
修吾はオレの両肩をつかんだ。
「こっち向けって」
「ってか、放せよ」
「レイキ」
修吾は両手でオレのカオを包んで、無理やり修吾の方を向かせた。
至近距離で、視線が合う。
気づきたくなかった。
修吾の瞳に、欲情の光が揺らめいていることに。
「・・・・んっ」
唇が、重ねられる。
オレは修吾の胸や肩をどんどんって叩く。
それでも修吾はオレを放してくれない。
「ふぅ・・・・んっ」
舌で口内を舐められて、腰に甘いしびれが走る。
力が、入らなくなってく。
ゆっくりと修吾の舌がオレの舌を絡め取っていく。
くちゅ、くちゅって、唇の隙間から水音が漏れ、こぼれた唾液がオレの顎に伝った。
修吾はキスをしたままオレをベンチの上に押し倒した。
唇をはなして、オレの首筋に口づける。
「んんっ・・・・・」
それだけで、オレのカラダは反応してしまう。
「やっぱ、レイキ・・・エロい・・・・」
修吾は舌を出して、オレの首筋を舐めた。
「やぁあ・・・っ・・・・・も、しゅうご、やめ、ろ・・・・・・!」
オレが快感に腰を震わせてる間に、修吾はオレのネクタイを外して、シャツのボタンを外していく。
「しゅ、ご・・・・やめろって・・・・・!」
オレは修吾の手を押さえつける。
でも、力の入ってない手は、逆に簡単に修吾に捉えられて。
「レイキ・・・・・」
修吾はオレの指を舌を出して舐めた。
「・・・・・・・好きだよ・・・・・」
一瞬、修吾が何を言ったのか、分からなかった。
「え・・・・・?」
修吾は、オレの目を見て、もう一度言った。
「レイキ、好きだよ」
修吾が、オレを・・・・・?
「・・・・最近、レイキがすげー色っぽく見えて。 でもレイキは男だし。 男相手に何でそんなに気になるのか自分でもわかんなかったけど」
修吾はオレの首筋にカオをうずめる。
「あきらとつき合って、そんな色っぽく見えるんだなって思ったら、何か悔しくて。 あきらにやきもち焼いてる自分に気づいた」
修吾・・・・・・
「キスしたら、やっぱ慣れてるみたいだったし。 でも、それがすっげえ気持ち良くて。 忘れられなくて」
修吾はオレの首筋にキスをしてから、体を少し離して、オレを見つめた。
「・・・・・・保健室でキスしたの、覚えてるか・・・・?」
保健室・・・・・・?
「・・・・・あ」
あきらが迎えに来てくれる前に見た夢・・・・・
あれは、夢じゃなくて・・・・・・
「あれ、修吾、だったのか・・・・・・?」
修吾はふって微笑んだ。
「・・・・・そ。オレ。 ・・・・・・レイキの寝顔がかわいすぎて、キスした。 そしたらお前・・・・『あきら』って・・・言うんだもんな」
瞳には悲しげな色をたたえて。
「あきらとつき合ってるって確信したし、すげー悲しかった。 今まで通り、友達として、ダブルスのペアとして、やってかなきゃって思ったけど。
・・・・・・やっぱ、ムリみてー・・・・・・・ オレ、レイキが欲しい」
そう言って、また、オレの首筋にキスをする。
「あっ・・・・や、しゅうご、・・・・・やめろって・・・・・・!」
いきなり言われた修吾の言葉に混乱していた。
でも、この状況は何とかしなくちゃいけない。
「だめ・・・・・! しゅうご、オレ、こんなのはいやだ・・・・・!」
涙が、出てきた。
修吾とこんなこと、したくない・・・・・!
ガチャッ!!
その時、部室のドアノブが回された。
オレは息をのんで、ドアを見つめる。
今のオレは修吾に組み敷かれて、制服もはだけた状態。
とてもじゃないけど、誰かに見せられる姿じゃない・・・!
外の誰かは、ドアノブをガチャガチャと回そうとしていたが、開かない。
・・・どうやら、修吾が入ってくるときに、内側から鍵をかけていたようだ。
とりあえず、今すぐ開けられることはない事実に、オレはホッとした。
でも
「レイキ。 いねーの?」
・・・・あ、きら・・・・・!
ドアの外にいるのは、あきら、だ。
部長に呼び出されたオレを心配して、見に来てくれたんだろう。
でも、今のオレの状態、あきらには見せられない・・・・・!!
オレが息を潜めていると、
「あきら、呼ばなくていいのか・・・?」
修吾はオレの耳元でささやいた。
「・・・・オレ、もう止まる自信、ねーよ」
そういって、オレの首筋に舌を這わせる。
修吾の指が、オレの胸に触れてきた。
「・・・・っ!」
「レイキ・・・・好きだ・・・・・」
指でオレの胸の突起を刺激しながら、耳を舐めてくる。
ぞくぞくと、腰に快感が突き抜ける。
オレは口を手で押さえつけて、声が漏れそうになるのを耐える。
・・・・足音が、遠ざかる。
あきらが立ち去ったのが分かった。
「はっ・・・・」
ほっとして、止めていた息を吐いた。
でも修吾の手は止まらなくて、オレの首筋を舐めながら、手を下におろしていく。
「やっ、・・しゅう、ご・・・・!」
オレはぽろぽろと涙を流した。
「オレ、・・・・しゅうごと、こんなのは、いやだ・・・・・・」
「レイキ・・・・」
オレの気持ちを、ちゃんと伝えないと、ダメだ。
「ゴメン・・・・、修吾。 ・・・・オレ、あきらが、好きなんだ・・・・・」
「・・・・・知ってる」
言って、修吾はオレにキスをしようとする。
「修吾、ダメ。 ・・・・・オレ、修吾とは、友達でいたいんだ。 ・・・・・一緒に、テニスしたい」
オレの言葉に、修吾はカオを歪めた。
「・・・・・わかってんだよ。 それは。 ・・・・・・オレだって、レイキとテニス、出来なくなんの、やだし」
修吾は手を伸ばして、指でオレの涙を拭う。
「それに・・・レイキにこんなカオ、させたいわけじゃ、ないんだ」
うつむいて、ぐって、拳を握りしめて。
「・・・・・・レイキ。 ゴメン。 ・・・・・もう、こんなこと、しねーから」
修吾・・・・・
オレは修吾の手に、自分の手を重ねた。
「オレも・・・・逃げてばっかで、ゴメンな」
修吾はカオを上げると、オレの首に手を回して、首の後ろを掴んだ。
「・・・・・最後に、一回だけ。 キス、していいか・・・・?」
「え」
オレの返事を待たずに、唇を重ねてきた。
舌を差し込まれて、口内を舐められる。
「んんっ・・・・!」
修吾の気持ちが流れ込んでくるような、激しいキスだった。
うまく息が出来ずに苦しくなってきて、ようやく修吾は唇を離した。
「・・・・レイキ。 そーいうカオ、やばいぜ? そんなん見せられたら、誰でも堕ちると思う」
口角を上げて、ニヤって笑う。
「っ・・・・・、誰のせいだよ!!」
「あー、オレだな」
軽く修吾は言って、修吾はオレのはだけたシャツを直してくれる。
「・・・レイキ、ゴメンな」
その表情は少し苦しげで。 それを見て、オレは何も言えなかった。
修吾は少し笑って立ち上がった。
「また、練習でな」
オレも少しだけ笑った。
「・・・おう」
オレたちはお互いに腕を出してぶつけ合った。
修吾はオレを振り返らずに、部室を出て行った。
0
お気に入りに追加
192
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる