君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

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28.※ 女のコってやわらかい・・・

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オレと紺野はみんなと合流した。

「みんな、ゴメンなー」

「レイキ、大丈夫なのか?」

亮介が心配そうに聞いてくる。

「ああ、もうだいじょーぶ。  ホント、ゴメンな」

心配そうなあきらにも、へらって笑った。


「次、どーすんの?」

「ホラーハウス、行こうぜっ!」


おお。 これも定番だよな。

しかも揺れないし、オレにとっては助かる。



「じゃ、行こーぜ」

そう言って歩き出す。

亮介と小山さんは手を繋いでた。

・・・もう、さっさとつき合っちゃえよ・・・・


「あきらくん、行こ?」

『あきらくん』?

あきらと河原の方を見ると・・・


「っ!?」

2人は腕を組んで歩いてた。



「・・・・綾乃、すごーい」

紺野がオレの隣で呟いた。


・・・・・確かに、すごいな。

オレたちがいなかった間に何があったのかわかんねーけど、河原が積極的だってのは分かる。


あきら・・・は、いつもと変わらない表情で、何を考えてるか分からない。

オレが見てるのに・・・・・何とも思わないのかな・・・・・


いやいや!


オレはぶんぶんと頭を振った。


変に断ったりしたら、亮介と小山さんの雰囲気も悪くなるし・・・・・だよ、な。



オレと紺野は並んで歩きだした。

「なんか、オレたち以外はつきあってるみたいに見えるよな」

ちょっともやもやしながら言うと、

「じ、じゃあ、私たちも、どう、かな?」


そう言って、紺野はオレの腕に自分の腕を絡めてきた。


「え、紺野?」

びっくりして聞くと、紺野は慌てたように腕を放す。

「ごっ、ごめんねっ」

真っ赤なカオをして、うつむいてしまった。


「あ、いや・・・・ゴメン。 ちょっとびっくりしただけ」

あきらたちもしてるし・・・・・やっぱ、雰囲気壊すわけにいかねーもんな・・・・


オレはへらって笑って、自分の腕を差し出した。

「行こ?」


紺野は真っ赤なカオのままオレを見上げ、そのカオはゆるゆると笑顔になった。

「・・・・うんっ!」

もう一度、オレの腕に自分の腕を絡める。


「河原の相手はあきらなのに、紺野はオレなんかでゴメンなー」

「えっ、そ、そんなこと、ないよっ」

きゅってオレの腕に抱き着くようにしている紺野は、なんだかかわいかった。



「じゃ、2人ずつ入るか?」

「そうだな」

最初に亮介と小山さんが入ってった。

「りょーすけ、びびってちびんなよー」

オレが声をかけると、亮介は振り返って、

「ばーか。お前がなー」

って笑って言った。



次に入るのを待っている時、あきらは少しオレを振り返って、ちらって、オレたちが組んでいる腕に視線を走らせた。

・・・・やっぱ、気になるよな。

オレも、あきらと河原が組んでいる腕を見る。


・・・・・あきらの腕は、オレの、なのに。

あきらがぎゅって抱きしめてくれる腕を思い出す。

『レイキ・・・・』

耳元でささやく声も思い出してしまう。


あきらを見ると、あきらもオレを見ていて、視線が絡まった。


衝動的に、あきらに抱き着きたくなってしまう。

キス・・・してほしくなる。


あきらの瞳に、欲情の光が灯るのが分かった。



「次の方、どうぞー」

スタッフの人の声が響いて、ハッて現実に引き戻される。


「じゃあな」

あきらと河原が腕を組んだまま入っていった。



ふと気づくと、オレと腕を組んでいる紺野の腕に力が入ってるのが分かった。

「・・・・紺野、苦手なの?」

声をかけると、紺野はびくって体を震わせた。

その過剰な反応に、オレまでびっくりしてしまう。


「あ・・・ご、ゴメンね。 ちょっと、緊張しちゃって・・・・」

カオは心なしか青ざめてるみたいだ・・・



「次の方、どうぞー」

スタッフに声をかけられて、オレたちも中に入る。


「うわ・・・・」

設定は、廃墟と化した病院。

出てくるゾンビから逃れながら、出口を探すというもの。

・・・・・設定が病院ってだけあって、結構・・・・いや、かなり怖いかも。。。。


「・・・・行くか」

オレも少し緊張しながら進んでいく。


薄暗く、あたりには血とおぼしきものが飛び散っていて、人の体の一部のようなものが転がってたりする。

・・・・グロすぎじゃね?? 

気合い入れて、作り込み過ぎだろ・・・・

遠くから、ゾンビの雄たけびみたいなのも聞こえるし。


病院の、廊下の曲がり角に差し掛かる。

これって、曲がったらゾンビがいました的な感じか・・・?


小さく息を吐いて、心の準備をする。

紺野を背中にかばいながら角を曲がると・・・・・・

はい、いましたよー。 ゾンビが。


「きゃあああああっ!!!」

紺野が叫んでオレの腕にぎゅうううって抱き着く。


ゾンビがオレたちに襲い掛かってくるので、オレは紺野の頭を抱えながら、横をすり抜けて通り過ぎた。

もちろん、本気でオレたちを捕まえる気はないだろうから、簡単に逃げることが出来た。


少し離れてから、紺野を放す。

「・・・・大丈夫か?」

カオを覗き込むと、涙目になっている。


「さ、かもとくん、ゴメンね。 私・・・かなり苦手で」

うん、そーだろうなあ。

体も少し震えている。

「オレに捕まってて。 目、つぶってていいからさ。 引っ張ってくよ」

「い、いいの・・・?」

「いーのいーの。 怖いんだろ?」

オレはへらって笑って、紺野の頭をぽんぽんって軽くたたいた。


「行こーぜ?」

紺野がオレの腕につかまったのを見て歩き出す。


『ぐわあぁぁぁぁっ!』


事あるごとにゾンビが出てきて襲ってくる。

「紺野、こっち」

目を閉じたままの紺野を、背中にかばいながら誘導する。

ときどき、足元に何か転がってたり、ぶにょぶにょしてて歩きにくかったりするところもあった。

「足元、気を付けて」

「う、うん・・・・」


ゾンビから逃げ隠れしながら、なんとか脱出のためのカギを見つけることが出来た。

「よっし。 これで出られるな!」


廊下の向こうに、明るい光が見える。

何とか、出口にたどり着いた。

「紺野、着いたぜ」

紺野も目を開けてその光を見て、ホッとした表情。



あ、でもこのパターンって・・・・・



「紺野、目え閉じて・・・・」

言いかけた時、



最後にゾンビが飛び出してきた。



「きゃあああああああっ!!!」



あ、やっぱな・・・・・・・


紺野は叫び声を上げながら、オレの胸に飛び込んでくる。

そして、ぎゅううって抱きついてきた。



オレは少しためらいながら、紺野の背中に手を回す。

「だ、大丈夫だよ。 もういなくなったから」




・・・・・正直、戸惑っている自分がいた。


初めて女の子を抱きしめた。


あまりに細くて、それでいてやわらかくて、儚い感じがした。



「・・・・紺野、大丈夫か?」

抱きしめたまま声をかけると、紺野はオレの胸の中でうなずいた。

「あ、あの、ありがとう」

腕をほどいてカオを覗き込むと、今まで見た中で一番真っ赤っかになっていた。


オレのしたことでこんなに照れてる。

なんだか、すごくかわいく感じてしまった。



外に出ると、先に出てきていた4人が待っていた。



「美月、大丈夫だった? こういうの、弱いもんね」

心配そうに小山さんが紺野に声をかける。

「う、うん。 大丈夫だったよ」

紺野は恥ずかしそうに笑う。

まだ、そのカオはほんのりと染まったままだった。



「オレ、ちょっとトイレ行って来る」

あきらが言って、その場を離れる・・・・と、がしっとオレの腕をつかんで引っ張った。

「あ、オ、オレもトイレ行ってくんな」

あきらに引っ張られながら、2人で連れ立ってトイレに向かった。


あきらは無言のままオレを引っ張っていく。



映画館でのことが思い出されて、オレの腰がぞくってした。



今回も、あきらはオレを個室の中に押し込んで、自分も入ってきた。


「あきら・・・・んっ」


すぐに唇が塞がれた。


あきらの舌が入ってきて、オレの口内をなぞってく。


「んぅっ・・・・ん」


しばらく舌を絡めあった後、あきらは唇を離した。



「レイキ・・・・紺野と何やってんだよ」

あきらが鋭い瞳でオレを見る。

「あ、あきらこそ・・・ 河原と何やってんだよ」

オレも、あきらを少し睨んでやった。


あきらはもう一度軽く唇を重ねて、

「レイキは・・・オレとつき合ってんだろ・・? 他の奴に、色気ふりまくなよ・・・!」

吐息まじりに呟いた。


「オ、レ、色気なんかふりまいてねーし・・・・!」

「ふりまいてんの」

言って、あきらはオレの首筋にキスをする。


「んぁっ・・・・ あ、きらだって、また、モテてんじゃんか・・・・!」

あきらはフッて笑って言った。

「レイキ・・・もしかして、やきもち焼いてくれた・・・? すっげ、うれしー・・・」


オレたちはお互いを求めて、舌を絡め合った。


「んん・・・・ふっ・・・・」


くちゅ・・・・ぴちゃ・・・・


お互いの息遣いと、水音が響く。


指で耳の後ろをなぞられて、その動きにも反応してしまう。


「んっ・・・・ん、は、ぁっ・・・・」



頭の芯までしびれてきて・・・・・

でも、ここが遊園地のトイレだってことと、みんなが待ってることを思い出した。



「あ、きら。 これ以上したら、オレ、やばい・・・・」

下半身に熱が集まってきてる。


それでも、あきらのキスが止まらない。


「レイキが、足りない。 もっと、したい・・・・」



耳元でささやかれて、足の力が抜けてしまう。

オレはあきらの肩に腕を回して抱き着いた。


「あきらっ、も、ムリっ・・・ 帰ってから、続き、して?」


あきらを見つめて訴えると、あきらはきゅって眉根を寄せた。


「レイキっ・・・・そのカオ、やばい・・・・!!」


そう言って、もう一回深いキスを交わしてから、あきらはオレを放してくれた。



「・・・・すっげえそそるカオしてる・・・・ そのまんま戻ったら、やばいぜ」

そう言われて、オレは思わず自分の手でカオを押さえた。

「ま、まじで? オレ、どんなカオしてんだよーーー」


あきらはオレの額にキスをした。

「こんなカオのレイキ、外に出せない」


自分がどんなカオをしてるかはわからないけど、あきらがこんなに至近距離に居たら、普通に戻れる気がしねー・・・


「・・・・帰ったら、続き、しような?」

甘いあきらのささやきにまたどきどきさせられて、オレはなかなかみんなのところに帰れなかった。




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