君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

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23.※ 保健室でみた夢

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「この間は、ゴメンなー、先に帰って」

「いえ。 先輩、体調大丈夫ですか?」

「ああ。もう大丈夫」


月曜日。

部活の時に、カラオケの後まっすぐ帰ったのを後輩たちに謝った。


「みんな、あの後楽しかったか?」

「はい! あ・・・でも、先輩も城井先輩も帰っちゃったから、女のコたちはちょっとがっかりしてましたけど」

あー、やっぱなあ。

「あきらが帰ったから、がっかりさせたよなあ。 ほんと、ゴメンな。 大丈夫って言ったんだけど」

「城井先輩もですけど・・・・・、坂本先輩が帰っちゃったことでも、がっかりしてましたよ?
倉田さんとか、望月先輩が先輩とダブルスで組んでるって知ったら、すごい食いついてました。
望月先輩、坂本先輩の事で質問攻めにあってましたもん」

後輩が、その時のことを思い出しながら笑う。

「そ・・・、そーなんだ・・・・」

「他の女のコも、結構坂本先輩の事、気にしてましたよ?
・・・・・せんぱーい。 モテないとか、ウソじゃないですかー」

後輩はニヤニヤしてオレをつつく。

「彼女いたことないなんて、ウソでしょー?」

「いやいやいや。ホントだって。 あきらとか亮介に聞いてみろよ、オレの悲しき武勇伝を」

慌ててオレは、後輩の言葉を否定する。





「・・・・・レイキ」

少し低い声。

呼ばれて振り返ると、

「修吾・・・・・」

修吾は、きゅって眉根を寄せて、すまなさそうなカオをしていた。


「レイキ、ホントに、ゴメン」

修吾がオレに頭を下げる。


オレは一瞬、ぐって奥歯をかみしめた。

「・・・・・・もー、いーよ」

「レイキ・・・・?」

「練習、しよーぜ」

へらって、オレは修吾に笑って見せる。

でも、修吾はつらそうなカオをしたままだった。



オレたちは黙々と練習メニューをこなしていく。




ただ、ダブルスの練習となると・・・・・


「望月! 坂本!! お前ら、何やってんだ!!」


部長の声が飛ぶ。


「すみませんっ!!!」


オレと修吾は、信じられない位、息が合わなくなっていた。



もうすぐある練習試合に向けて、試合形式で練習していたのに、相手チームに全く歯が立たない。


それどころか・・・・・



ガンッッ!!!!



ちょうどコート中央に飛んできたボールに、オレと修吾は同時に反応し、激突した。




「レイキっ!」

「修吾っ! 大丈夫か!?」


みんなが駆け寄ってくる。

ってえぇ・・・・・


オレは額を抑えてうずくまった。


「ゴメンっ、レイキ!」

修吾が心配そうにオレを覗き込む。

「見せろよ」

額を抑えていたオレの手をはぎ取った。


「・・・・!」

オレの手に、血がついてる。

ラケットが当たったのか?


「望月、お前大丈夫か?」

「・・・はい、オレは大丈夫です・・・」

「じゃあ、坂本を保健室に連れて行って来い。 
・・・・坂本、歩けるか?」

部長の言葉に、オレは立ち上がった。

「・・・はい、大丈夫です」

「よし。望月、頼むな。
・・・・みんなは練習再開だ! 戻れー!」

部長の声に、みんなまた練習に戻っていく。


「レイキ・・・・」

あきらが、心配そうにオレに近づく。

「大丈夫か?」

「ああ、大丈夫」

心配かけたくなくて、オレは笑って見せた。


「城井! 始めるぞー!」

3年生に呼ばれて、あきらは心配そうなカオをしながら戻っていった。



「レイキ、行こう」

修吾に声をかけられて、オレたちは保健室に足を向けた。




「・・・・・はい、こんなもんかなー。 深い傷じゃなくて良かったね」

保健の先生に処置をしてもらった。

「かわいいカオに傷が残ったら、かわいそうだもんねぇ」

先生はにっこり笑って言う。

「・・・・先生、オレ、女のコじゃないんだけど」

「あら。 もちろんわかってるわよー。  でも、坂本くんって、結構かわいいカオしてるから。 言われない?」

「・・・・・言われない」

ぶすっとして答えるオレに、先生はぽんぽんって頭を撫でてきた。


保健の先生は、年齢不詳だけど美人の先生だ。 気さくに話もできるし、生徒にも人気がある。

・・・・・まあまあ若そうに見えるけど、実は結構いってるって、ウワサだ。。。。。


「じゃあ、君もね。 えーっと、望月くん」

「あ、オレは大丈夫・・・・」

「じゃないでしょ? 痛いでしょーこれは」

先生が修吾の右腕をつかむ。

「・・・・っ!」

修吾はカオをしかめた。


修吾の右の前腕に、大きなアザが出来ていて、はれ上がっていた。

「修吾、それ・・・・!」


全然、大丈夫じゃないじゃん!


「指、動かしてみてー。 手首は?」

先生に言われて、修吾は指を握ったり開いたり、手首を曲げたり伸ばしたりした。

「動かすのに、痛みはない?」

「・・・はい」

先生はにっこり笑って立ち上がると、冷蔵庫に近づく。

「テニスでダブルスやってるんでしょ? こんなに派手にぶつかって・・・ 息が合ってなかったのね」

冷凍庫から氷を2袋取り出すと、先生は修吾の腕に当てて冷やす。

もう1つはオレに渡してきた。

「しばらく冷やそうね。 ・・・・・っと、会議の時間だ」

先生は時計を見て立ち上がった。

「今日は、2人とももう部活は上がんなさい。 そんなにひどいケガじゃないし、今日は安静にして、明日の部活はまた様子見てから、だね」

「はい」

「ただ、坂本くんは頭だし、一応注意しておいて。  望月くんは、あとで湿布、貼っといてね」

そう言って、修吾に湿布を渡すと、

「落ち着いたら帰んなさいよー」

と言って、会議に行ってしまった。


オレたちはイスに向かい合って座ったまま、氷でケガを冷やしていた。

「修吾・・・・それ、オレのラケットが当たったんだろ・・・? ゴメン」

「大丈夫だよ。 オレの方こそ・・・ゴメンな」

「ん・・・。 オレも、大丈夫だから」



・・・・・沈黙が、降りる。

耐えられなくて何か言おうと口を開きかけるが、なんだが頭が痛くなって来た。


・・・なんだろう。

額を打ったせいか?


オレがもらった氷を額に押し付けながらうつむいていると、修吾が心配そうに声をかけてきた。

「レイキ、大丈夫か?」

「ああ・・・なんか、アタマ痛くて」

「ちょっと休んでろよ。  オレ、ケガの様子と今日はもう上がらせてもらうこと、部長に言ってくるから。
・・・荷物はどうする?  持ってきてやろうか」

「うん・・・頼む」

頭が痛くて、動くことが億劫に感じてしまって。

オレは修吾の申し出を、ありがたく受けることにした。


何でだろう。  そこまで強く打ったわけじゃないと思うけど。


「レイキ、そこでちょっと寝てろよ」

「ああ・・・」

オレは修吾に促されて、ベッドに上がり横になった。

仰向けになり、額に氷を乗せて、目を閉じる。


ガラガラ・・・

修吾が保健室から出ていく音がして、オレはほっと息をついた。








・・・唇に、あたたかいものが触れている。

「・・・ん・・・・」

ほんの少し、意識が浮上する。

けど、まだ、頭いてえ・・・


目を開けたくなくて、そのまま頭痛と格闘してたら、

するっと、唇の間から、あたたかいものが入ってきた。


あきら・・・


「んぅっ・・・」


舌がゆっくりとオレの口内をなぞっていく。

腰に甘いしびれが走る。


気持ちよくなってきて、舌を絡めて応えた。


「んぅ・・・ふ」


ぴちゃ、くちゅっ


唇から濡れた音と、お互いの唾液がこぼれ落ちる。

何度も角度を変えて唇が重ねられ、意識にどんどん靄がかかってきた。


ちゅっ・・・


音を立てて唇が離れていく。


「あきら・・・」


オレは名残惜しくて、かすれた声であきらを呼んだ。

重い瞼を、持ち上げようとする。


すっと、オレの両目を覆うように、手が当てられた。


その手の温もりに、また意識が沈んでいくのを感じた。










「ん・・・んんっ・・・」

鼻を抜けるような自分の声に、意識が覚醒してくる。

オレの口はキスで塞がれ、口内をあたたかい舌がなぞっていた。


「んんっ・・・ふ、ぅんっ・・・」


気持ち良くて、自分からも舌を絡めた。


キスをしながらゆっくりと目を開ける。


至近距離に、長いまつ毛が見えた。


唇を離して、お互いを見つめ合う。



「・・・あきら」

「・・・レイキ、起きたか?」


あきらは微笑みながら、でも少し心配そうなカオ。

「・・・大丈夫か?」

頭が痛いのは、随分治まっていた。

「ん・・・・だいぶいいみたい。
部活、終わったのか?」

あきらが制服を着てるのに気付いて聞く。


オレ、ずいぶん寝ちゃってたんだな・・・

先生は会議が長引いているのか、まだ戻ってきてないようだった。


「ああ、終わったぜ。  荷物もないし、帰ったのかと思ったけど、電話しても出ねーし。  どうしたのかと思って、一応保健室に寄ってみたんだ」

「そっか・・・ありがと」

ベッドの上に体を起こすと、ベッドの横には、オレの荷物と制服が置いてあるのが見えた。


「あれ・・・?  あきらが持ってきてくれたんじゃないんだ?」

「レイキの荷物? ここに置いてあったけど」


そういえば、修吾が持ってきてやるって言ってたな・・・

持ってきたとき、声かけてくれれば良かったのに。 気付かないくらい、熟睡しちゃってたのかな。


「・・・あきら、今初めて来たんだよな?」

「ん?  ああ、そうだけど?」

「オレに・・・キスしたのも、今が初めて・・・だよ、な?」

さっき・・・ キス、した気がしたけど・・・・・


「・・・レイキ、何言ってんだ?」

オレの言葉に、あきらが怪訝そうな表情になる。

「いや・・・さっきもあきらにキスされた気がして・・・
やっぱ、夢、だったのかな」

言いながら恥ずかしくなってきて、オレはへらって笑った。

あきらのキスを夢にまで見るなんて、恥ずかしすぎだろ。



あきらは少し眉根を寄せて考えたあと、オレを見て口角を持ち上げた。

オレを引き寄せて抱きしめる。 

オレはあきらの香水の香りに包まれた。



「オレとのキス、夢に見るほどオレのこと好きなんだ・・・?」

耳元でささやかれて、腰に走る甘いしびれ。



「どんなキスだった?」

欲情を孕んだ瞳で見つめられる。



「オ・・・レの、口の中、ずっとなぞられて・・・・」

言うと、あきらは唇を重ねて、オレの口内に舌を入れてくる。

そのまま、オレが言ったように、口の中をずっとなぞっていった。


「んんっ・・・・・・」


ほんの少し、唇を離して、

「・・・・・それから?」


「・・・・っ、オレも、舌っ、絡めて・・・何度も、キス、されて」

「じゃあ、レイキも、舌絡めて・・・・?」


また唇を重ねて入ってきたあきらの舌に、オレは自分の舌を絡める。


ぴちゃ、くちゅ・・・・


夢で見たのと同じように、唇から水音がこぼれる。


何度も角度を変えて唇を重ねられ、


「ん、んぅ・・・・は・・・ん」


頭の中が蕩けそうになってきた。



「レイキ・・・・・そのカオ、エロすぎ」

あきらは口角を持ち上げて呟くと、またオレにキスをしてくる。


「んんっ・・・・・ふぅっ、ん」

もう、気持ちよすぎて、ここがどこかも忘れてあきらにすがりついてしまう。


オレのモノはゆるく勃ち上がってきていて、下半身にたまる熱をなんとかしたくて、あきらに腰を押し付ける。


「レイキ・・・・・あんま、煽んなよ・・・・! キスして、そんなカオされたら、絶対我慢できなくなんだろ・・・・・!!」




ガラガラッ!


勢いよく保健室のドアが開く音。


「あれー、まだいたの?」


オレは慌ててあきらから離れる。


ベッドの周りのカーテンが、シャッって勢いよく開けられた。


「坂本くん! 大丈夫?」

カーテンを開けてカオを覗かせたのは、保健の先生だった。

「は、はい・・・・。すみません。 頭痛かったんで、休んでました・・・・」


オレ、普通のカオしてるかな。 カオが赤い気がする・・・・!


「痛みは、どう?」

「あ、ずいぶん良くなりました。 ・・・・もう、着替えて帰ります・・・・」

「ん、ならよかった。 あ、望月くんは?」

「もう、帰ったと思います。 オレの荷物持って来てくれたみたいで・・・・オレ寝てたから分からないですけど。
・・・・・部活にも、もう出なかったんだろ?」

あきらに聞くと、うなずいた。

「ああ。 部長と少し話して、帰ったみたいだったから」


「そう、2人とも大丈夫ならよかった。 坂本くん、帰れそう?」

「あ、はい」

「オレが送ってくんで、大丈夫です」

あきらが言うと、先生はにっこり笑った。

「仲良いんだね」


・・・・先生は、他意はなく、普通に仲がいいって言ってくれたんだと思う。

でも、オレはさっきまでのキスを思い出して、カオが赤くなるのが分かった。


「望月くんと、ちゃんと仲直りしなさいよ」

「え?」

「ダブルスやってるにしては、2人の空気、ぎくしゃくしてたし。 今日のケガの原因もそれでしょ?」


・・・・先生、鋭すぎです。

「望月くん、かなり坂本くんの事心配してたし。 もともと、仲良いんでしょ?」

「・・・・はい」

「ま、がんばってね」


そう言って、またカーテンを閉めて出て行った。


「着替えるだろ?オレ、外で待ってるな」

そう言って、あきらもカーテンの外に出て行った。



・・・・・はたから見ても、オレと修吾がうまく行ってないのはわかるだろう。

もうすぐ練習試合なのに、今日こんなことになって、このままだとダブルス解消って話にもなるかもな・・・・・


今までは楽しくやれてたし、それが出来なくなるのはつらいな・・・・・


オレはため息をついて、制服に着替えた。





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