君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

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20. オレからの告白

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部屋に戻ると、入口の所にあきらがいた。

もう、戻ってきてたんだな・・・


「あ、レイキ。 どこ行ってたんだ?」

普通に話しかけてくるあきら。

オレはうつむいたまま、あきらには答えず、部屋の中に入る。

希ちゃんの隣には、後輩が座ってた。

楽しそうにしゃべってる。


どうしようかなって思ってると、希ちゃんがオレに気づいて立ち上がった。 

こっちに近づいてくる。


「レイキくん、どうかしたの? 大丈夫?」

オレのカオを覗き込んできた。


・・・・・オレ、普通のカオ出来てるかな。


「ゴメン、ちょっとオナカ痛くなってた」

笑いながら言うと、希ちゃんも笑った。

「大丈夫? 座ろうよ」


また、希ちゃんと隣に座る。


「ね、レイキくん。 LINE、教えてくれる?」

「あ、うん。 いいよ」

希ちゃんとLINEを交換する。


・・・・・希ちゃんは結構積極的だなって、思う。

今までは合コンに行っても、名前で呼んでいいか聞くのも、LINE交換も、オレから言ってた。

女のコからこんな風に言われるのって、普通だったらかなりうれしいはずなんだけど・・・・・



「坂本せんぱーい。 先輩も、一緒に歌いましょうよ!」

後輩が、笑顔でオレにマイクを差し出す。

「おおー」

少し笑って受け取って、オレも一緒に歌うことにした。



あきらとも、修吾とも、話したくない。



後輩と一緒に、いろんな歌をみんなで歌って、盛り上げた。

それから、他の女のコともいろいろ話して、いろんなコとLINEを交換した。




やがて時間が来て、カラオケはお開きになる。



「この後、どっか行く?」

カラオケだと盛り上がるけど、なかなかゆっくりしゃべれないから、ファミレスとかみんなで行って、わいわいしたりする。

いつもだったらもちろん参加するんだけど、今日はどうしても帰りたかった。



なんだか、一人になりたかった。



「わりい、オレ、パス。
・・・なんか、オナカのちょーし、悪くてさ」

「えっ、先輩、大丈夫ですか?」

心配そうにオレを見る後輩。

・・・いい奴だよなあ。

「ん、だいじょーぶだから。 みんなで行って来いよ」

そう言って、後輩に軽く手を振って輪から離れる。


希ちゃんが、オレの方に駆け寄ってきた。

「レイキくん、行かないの?」

「んー、ゴメン。 まじで、オナカのちょーし、やばいみたいで」

「えー、レイキくんいなかったら、つまんないなー・・・」

申し訳ないなって思いながら言うと、希ちゃんは残念そうな表情になった。


希ちゃん、まじでかわいい。

前だったら絶対好きになってたし、もしかして、つき合えたりしてたんじゃないかな。


「じゃあ今度、また遊びに行かない? 今日の代わりに」

にっこり笑って希ちゃんが言う。

「うん、行こっか」

オレも笑って答えた。


今、希ちゃんの事好きになれたら、楽なんだろうな・・・・・


「レイキ」

不意に、あきらに腕をつかまれる。

「調子悪いのか? 大丈夫かよ?」


・・・・話したくなかったのに、腕をつかまれてて、逃げることができない。


オレはあきらと目を合わせずに言った。

「大丈夫だよ。 あきらは行って来いよな」


あきらは、オレの腕を放さない。


「あきら、大丈夫だから、放せって」

放してほしいのに放してくれなくて。

オレは少しイラついて、声が低くなる。


・・・・・みんなの前で、変な様子、見せたくないのに。


あきらはオレの腕を放さずに、そのまま引っ張って後輩たちのとこに行く。

「ちょ・・・っ、放せって!」


「オレ、レイキ連れて帰るな」

「えっ、城井先輩も、帰っちゃうんですかー?」

「こいつ、調子悪そうだか・・・・・」

「大丈夫だって、言ってんだろ!?」


勝手に話を進めるあきらに、オレは思わず、怒鳴ってしまった。


オレは普段あまり声を荒げることがないから、後輩たちはびっくりしている。

もちろん女のコたちも、急にオレが大きな声を出したから驚いていた。


・・・・・くそっ。

こんな風にしたくなかったのに。


大きな声を出してしまったことを、後悔する。


オレはへらって笑って、

「ゴメン、ちょっと、もう限界みたいで。 先、帰るな。 みんな楽しんで来いよ」

そう言って、みんなに背を向けて駅に向かって歩き出す。



・・・・・限界、なのは、オレの心だ。



あきらのことが好きで。

でも、オレなんかが、あきらのこと好きでいていいのかもわからなくて。

女のコにモテてるあきらを見て、悲しくて、つらくて。

修吾の事も、よく、わからないし・・・・・



オレは、大きなため息をついた。



逃げるように帰ってきてしまったことを少し後悔しつつ、今度部活の時、後輩たちに謝んないとなーって考える。


ホームで電車を待っていると、


不意に右手をつかまれた。



「っ!?」



びっくりして手を引っ込めようとするが、がっちりつかまれてて放せない。


オレの手をつかんでいるのは、


「あきら・・・・・」


だった。




「なっ、何やってんだよ!? みんなと行かなかったのか!?」

言いながら手を自分の方に引き寄せるが、やっぱり放してくれない。


「調子悪いんだろ? レイキほっといて、行けるわけねーじゃん」


心配そうな眼差し。

オレを思ってくれてるのに、なんだかそれにイライラしてしまって。


「だから! 大丈夫だって言っただろ!? なんで放っといてくれないんだよっ!!」


オレは一人になりたいのに。

っていうか、手を放せ!!


あきらはつかんだままのオレの手を引いて、オレを抱きしめてきた。

ふわりと香る、あきらの香水。


・・・・・こんなとこで!!


「・・・・やめろって!!」

ぐぐってあきらの胸を押し返すと、さらに強い力で抱きしめられる。



「・・・・・レイキ、どうしたんだよ? 何かあったのか?」


耳元で、優しくささやいてくる。


「オレはさ、レイキが心配なんだよ・・・・・ 何かあるなら、話して欲しい。 ・・・つらいカオ、させたくない」



・・・・あきらに抱きしめられて、抵抗なんて、できるはずなかった。


オレの全身が、喜んでる。

あきらを感じて。



オレは、あきらの背中に手を回した。

ぎゅって、抱き着く。


駅のホームで。

周りに人がいるのに。



「・・・・・レイキ、オレんち、来て?」


あきらの言葉に、オレはうなずいた。





帰りの電車の中で、無言のままオレたちはずっと手をつないだままだった。

恥ずかしかったけど、あきらに触れていたい気持ちの方が勝っていたから。




あきらの家に着くまで、オレたちはお互いに一言もしゃべらなかった。

それでも、つないだ手から感じるぬくもりが、オレを優しく包んでくれていた。




あきらの家について、部屋に通される。

あきらの両親はまだ帰ってきていなかった。



部屋に着いて、オレはあきらに抱き着いた。

「レイキ・・・・・」

あきらも優しくオレを抱きしめてくれる。

香水の香りが、オレを包む。

「どうしたんだ? 何か、あったのか?」



あきらに促されて、オレは、ぽつぽつと言葉をこぼす。



「・・・・あきらって、モテるなあって、改めて思った。 ・・・・かわいい女のコが隣にいると、ホント、似合ってて。
・・・・・・・・オレなんかが、隣にいて、いいのかなって、思った」


オレはあきらの胸にカオをうずめながら、ずっと、疑問に思ってたことを、聞いた。


「あきらはさあ、・・・・・何で、オレなんかが好きなの・・・・?」


あきらはカッコよくて、すげーモテてて。

遊ぶにもつき合うのにも、困らない。

それなのに、なんで・・・?


あきらはオレの耳元で、はっきりと言った。


「・・・レイキだから、好きなんだ」


オレ、だから?


「・・・理由なんて、わからない。 でもオレは男が好きなわけじゃないし、正直言って、レイキ以外の男とつき合いたいなんて思ったことない。
でもレイキは違う。 
触れたくて、近くにいたくて、オレだけを見てほしくて、オレだけのモノにしたいって、そう思う」


言葉から、あきらの熱い思いを感じる。


オレの目から、涙がこぼれた。


・・・・オレも、そう思うよ。同じように、あきらに感じてる。


「オレはさ・・・・・あきらのそばに、いていいの・・・・?」


「・・・・・あたりまえだろ・・・・・! オレは、いて欲しいんだよ・・・・!!」


あきらの、オレを抱きしめる力が強くなる。


「・・・でも、さ、・・・・オレ、女のコじゃないし。 ・・・・オレとの事って、隠さなきゃいけないこと、じゃん・・? 
そいうの、あきらに、背負わせたくない・・・・。 オレ、あきらの重荷になりたくないんだよ・・・・・」


あきらはオレの体を離して、カオを覗き込んできた。


「レイキ。 オレはそんなこと、重荷になんて思わない。 別に、お前のこと好きだって、みんなの前で言ったっていいって思ってる。

・・・・・ただ、お前がオレに感じてくれてるように、オレだって、レイキの重荷になりたくないって、そう思ってるだけなんだ。
レイキがイヤだって思うんなら隠せばいいって、そう思ってる。
・・・・・悪い事をしてるわけじゃない。 ただ、世間に受け入れられにくいってだけだから」


あきらの言葉に、涙が止まらない。


「・・・・レイキ、お前は、オレのこと、どう思ってんの・・・・・?」


不安そうに揺れるあきらの瞳。


オレは涙に濡れたまま、その瞳をしっかりと見つめた。




「オレ・・・・あきらが、好きだ」




あきらは、目を見開いた。



「あきらと、一緒にいたい」



あきらは泣きそうな表情をして、オレを強く抱きしめた。



「レイキ・・・好きだ・・・・!」



・・・・・・うれしかった。

あきらに、気持ちを受け入れてもらえて。

ずっと、不安だったから。 オレなんかが、あきらの相手でいいのかなって。



「あきら・・・・・好きだよ・・・・」



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