15 / 41
15. 不機嫌
しおりを挟む
「なあ、最近なんかあったのか?」
昼休み。
中庭のベンチであきら、亮介とオレは昼ごはんを食べてる。
オレが弁当をつついてると、不意に亮介が聞いてきた。
今日、オレは弁当、あきらと亮介は購買のパンを食べている。
「へ? 何かって?」
オレは卵焼きをもぐもぐと食べながら聞き返す。
「うーん、なんていうかさあ・・・・・」
亮介もやきそばパンをもぐもぐ食べながら、しばらく悩んだ後、
「彼女、出来たのか?」
不意にそう聞いてきた。
うっ・・・・・
亮介の言葉があまりにも突拍子過ぎて、オレは卵焼きをのどに詰まらせそうになる。
あわてて水を飲んで流し込んだ。
「はああ? 何言ってんだよ」
驚いたせいで、言い返す声が思いのほか大きかった。
「だよなあ。 この間紗希ちゃんに振られたばっかだし。
あれから、新しく好きなコとか出来てないんだよな?」
首を傾げて聞かれて、オレは曖昧にうなずくしかできない。
「あ、ああ・・・・」
確かに。
いつもだったら、新しく好きな子が出来たら、オレは真っ先にあきらと亮介に報告していた。
報告がないってことは、まだ新しい好きなコは見つかってない・・・
亮介はそう思うよな。
オレはちらっとあきらを見た。
我関せずって顔で、明太パンにかぶりついてる。
「その割にはさあ。んー、なんていうか。
女のコってさ、彼氏できたらキラキラしてかわいく見えたりするじゃん? なんか、そんな感じがすんだよなー。
レイキ、今モテオーラが出てる感じ」
か、彼氏って・・・。。。
いやいや、亮介は女のコの例えを言ってるだけだろ。
「でもまあ、新しく好きなコも出来てないのに、すっ飛ばして彼女って事はないよなー、レイキは」
・・・亮介、今さらっとしつれーなこと言ったよな?
「わっ・・かんねーだろっ。 オレだって、誰かにコクられて、つき合うかもしんねーじゃんっ」
『んなわけねーだろっ』って笑い飛ばされるつもりで言うと、
「うーん・・・。 今のレイキなら、あるかもな」
って、亮介は大マジメに言った。
「言ったじゃん。なんか、モテオーラが出てるって」
な、なんか、そんなこと言われても。。。
ちょっと亮介に戸惑ってしまう。
「っつーかさ、何なんだよ? その『モテオーラ』って」
「なんなんだろ。 フェロモン?みたいなのかな。
女のコってよくあるじゃん。 愛されてキレイになるー、みたいなの」
亮介はあきらの方を向いて、
「あきらわかるだろ?」
聞かれたあきらは不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。
「女のコは彼氏が出来たらモテるってのはわかる。 でも、今のレイキにモテオーラがあるかどうかは・・・オレにはわかんねーけど?」
「そーかなあ・・・
今のレイキだったら、女のコにコクられても変じゃないと思うけど・・・」
亮介はあきらの不機嫌っぷりには気づいて無い様で、『うーん』と、オレをみて唸ってる。
「ま、まあさ。 そりゃコクられればうれしいし。 亮介の言うのが、当たってたらいいけどな」
そのとき。
「あ、あのっ!」
オレたちの座るベンチの近くに、女のコが3人やってきた。
・・・・・1年生、かな?
「城井先輩っ! あの、私、1年の中野優香、です!」
真ん中にいる肩までの黒髪ストレートのコが、自己紹介をする。
目がくりっと大きくて、色白で、かわいい。
・・・清楚そうな、純粋な感じ。
「い、いつも、先輩のプレー、見てますっ。 すごく、かっこよくて・・・・」
中野さんは、持っていた小さなかわいい紙袋をあきらに差し出した。
「あ、あの。 クッキー、作ってきたんです! よかったら、食べて下さいっ!!」
うつむいて、あきらに真っ直ぐに伸ばした両手に紙袋を持って差し出す。
その手は、ぷるぷると震えてる。
カオももちろん耳まで真っ赤だし、すごく緊張してるのは伝わってくる。
・・・・・・けど。
オレは、あきらのカオを見た。
・・・・・・・・・・・中野さん、タイミング悪かったよなあ・・・・・
さっき亮介と話してた時から、なぜかあきらは機嫌が悪い。
今も、きゅって眉根を寄せてる。
「オレ、甘いの苦手なんだよね」
うわーーーーーーっ。
機嫌、最悪じゃんっ!!
亮介も、あーあ、ってカオしてるし。
「あ、あのさ」
オレは泣きそうになってる中野さんと、あきらの間に入った。
「もしかして、これ、甘さ控えめだったり、する?」
中野さんに聞いてみる。
あきらが甘いの苦手って、結構女の子の間では知れ渡ってることだと思う。
この子がちゃんとリサーチしてるなら・・・・・
中野さんは、うるうるした瞳でオレを見た。
「は、・・・・はい。 城井先輩は甘いのは苦手で、でも、シナモンが好きって・・・・・
だから、甘さ控えめの、シナモンクッキーにしたんです・・・・・・・」
うん、しっかりリサーチしてんじゃん。
オレはあきらを振り返った。
「じゃあ、あきら、好きなんじゃねえ?」
あきらはちらっとオレを見て、立ち上がった。
中野さんに近づくと、
「ありがと。 オレが好きなもの、調べてくれたんだな」
微笑んでそういうと、紙袋を受け取った。
中野さんは、もう涙がこぼれそうになりながらあきらを見つめてる。
中野さんの友達の女のコも、「よかったね!」と言って、彼女の肩をたたいている。
あきらは袋を開けると、1枚クッキーを取り出して食べた。
「うん、うまいじゃん」
また、微笑んで、
「また今度、作ってくれる?」
中野さんは、もうカオがまっかっかだ。 湯気でも出そうなくらい。
オレも亮介もびっくりした。
「ありがとう」って受け取るだけじゃなくて、「また作って」???
「は、はいっ! また、作ります!!!
先輩っ、ありがとうございました!!」
中野さんは叫ぶように言うと、友達と一緒に去って行った。
「あーきら、どうしたんだよ。あのリップサービス」
亮介があきれたように言った。
「あのコ、ちょっと純粋そうだぜ? お前の遊び相手は荷が重いと思うけど」
あきらはため息をついてベンチに座った。
「別に、そんなつもりじゃねーよ」
紙袋はわきに置いたまま、またパンを食べ始める。
あきら・・・どういうつもりなんだろう。
あのコを遊び相手にするとは考えにくいけど・・・
じっとあきらを見ていると、あきらもオレに視線を向けた。
「なに? レイキの望み通り、ちゃんと受け取ったじゃん」
そう言う、その瞳はすごく冷たくて・・・・・
オレの胸は、ぎゅって、苦しくなった。
オレは・・・あきらの冷たい言い方に、あのコがムダに傷つかなければと思っただけで。
でも、結局あきらがあんなリップサービスしたから、逆効果だったかも・・・
そこまで考えて、ハッて気づいた。
オレ、何であきらが断ることを前提で考えてるんだ・・・?
もちろん今までのあきらの傾向からいって 、中野さんみたいな純粋そうなコはあきらは相手にしないとは思うけど・・・
でも、あきらが気に入らないとは限らないんじゃ・・・・?
もし、あきらが、気に入ってしまったら・・・・・?
また、ぎゅって、胸が苦しくなる。
そんなの・・・・いやだ・・・
オレは、何て軽率な行動をとったんだろうって思った。
あきらが、あのコのこと、好きになってしまうかもしれないのに。
わざわざ、あきらがすっぱり断るのを邪魔して。
「・・・ゴメン、あきら。
オレ、あのコがムダに傷つかなければって、そればっか考えてた・・・。
あきらがあのコを選んだら・・・なんて、考えてなかったよ・・・」
「だいじょーぶだよ、レイキ。あきらはああいうコとは遊ばねーって。
そんくらいの分別はあるでしょ」
亮介はそう言ったけど、あきらにはちゃんと、オレの意図は伝わったみたいだ。
あきらは、うれしそうに微笑んだ。
「ああ。 レイキの考えてることはわかったから。 ・・・お前、優しいもんな」
あきらの笑顔を見てホッとする。
オレ、ホントにあきらの行動に翻弄されてるなって思う。
「それにしても、相変わらずモテますねー、あきらさんは」
亮介が茶化して言う。
「今さ、何人くらいいんの? お前の遊び相手」
「えー?」
あきらは面倒くさそうに返事をするが、これはオレも結構・・・かなり、興味がある。
「何人くらいいんの?」
亮介に便乗して、オレも聞いてみる。
身を乗り出して来たオレに、あきらはちょっとびっくりしたカオをした。
「そんな、いねーよっ。 ・・・っていうか、もう切るから」
えっ?
「はっ!?」
亮介がすげービックリした声を上げた。
「切るって・・・なんで!?
まさかお前が一人に絞るとか・・・・・・!!?? いや、ねーよな、それは・・・・・」
ぶつぶつ言ってる亮介を、あきらは軽く睨む。
「亮介。オレが一人に絞ったらいけねーのかよ」
「え、うそ。あきら、マジなのかよ・・・・!!??」
あきらは立ち上がりながらオレのことを見た。
「オレも、もう本気になろうと思ってさ」
あきら、ホントにもう切るつもりなんだ・・・?
この間の、電話の女のコみたいに・・・・
「オレ、先に戻るな」
あきらはもらった紙袋を持って、行ってしまった。
「レイキ、お前あきらから何か聞いた? あいつ、本気なのかな・・・・」
亮介がやっぱり信じられないってカオしてる。
「もしそうだとしたら、相手って、どんな女なんだろーな・・・」
・・・・女、か。
そうだよな。 そう思うのが普通だよな・・・・・
「すっげー年上とかだったりして」
茶化すように言う亮介に、オレは以前のことを思いだしながら、
「でもあきら、まえ10歳以上上の人と遊んでたことあったぜ?」
「えっ・・・まじかよ・・・・
あきら、まじすげーな・・・・・」
亮介は心底驚いたってカオをした。
・・・オレって、あきらにふさわしいんだろうか。
『相手って、どんな女なんだろーな』
亮介もそう言ったみたいに、男ってだけで、普通は対象から除外されるもんな・・・
そのとき予鈴が鳴って、オレたちも教室へと戻っていった。
昼休み。
中庭のベンチであきら、亮介とオレは昼ごはんを食べてる。
オレが弁当をつついてると、不意に亮介が聞いてきた。
今日、オレは弁当、あきらと亮介は購買のパンを食べている。
「へ? 何かって?」
オレは卵焼きをもぐもぐと食べながら聞き返す。
「うーん、なんていうかさあ・・・・・」
亮介もやきそばパンをもぐもぐ食べながら、しばらく悩んだ後、
「彼女、出来たのか?」
不意にそう聞いてきた。
うっ・・・・・
亮介の言葉があまりにも突拍子過ぎて、オレは卵焼きをのどに詰まらせそうになる。
あわてて水を飲んで流し込んだ。
「はああ? 何言ってんだよ」
驚いたせいで、言い返す声が思いのほか大きかった。
「だよなあ。 この間紗希ちゃんに振られたばっかだし。
あれから、新しく好きなコとか出来てないんだよな?」
首を傾げて聞かれて、オレは曖昧にうなずくしかできない。
「あ、ああ・・・・」
確かに。
いつもだったら、新しく好きな子が出来たら、オレは真っ先にあきらと亮介に報告していた。
報告がないってことは、まだ新しい好きなコは見つかってない・・・
亮介はそう思うよな。
オレはちらっとあきらを見た。
我関せずって顔で、明太パンにかぶりついてる。
「その割にはさあ。んー、なんていうか。
女のコってさ、彼氏できたらキラキラしてかわいく見えたりするじゃん? なんか、そんな感じがすんだよなー。
レイキ、今モテオーラが出てる感じ」
か、彼氏って・・・。。。
いやいや、亮介は女のコの例えを言ってるだけだろ。
「でもまあ、新しく好きなコも出来てないのに、すっ飛ばして彼女って事はないよなー、レイキは」
・・・亮介、今さらっとしつれーなこと言ったよな?
「わっ・・かんねーだろっ。 オレだって、誰かにコクられて、つき合うかもしんねーじゃんっ」
『んなわけねーだろっ』って笑い飛ばされるつもりで言うと、
「うーん・・・。 今のレイキなら、あるかもな」
って、亮介は大マジメに言った。
「言ったじゃん。なんか、モテオーラが出てるって」
な、なんか、そんなこと言われても。。。
ちょっと亮介に戸惑ってしまう。
「っつーかさ、何なんだよ? その『モテオーラ』って」
「なんなんだろ。 フェロモン?みたいなのかな。
女のコってよくあるじゃん。 愛されてキレイになるー、みたいなの」
亮介はあきらの方を向いて、
「あきらわかるだろ?」
聞かれたあきらは不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。
「女のコは彼氏が出来たらモテるってのはわかる。 でも、今のレイキにモテオーラがあるかどうかは・・・オレにはわかんねーけど?」
「そーかなあ・・・
今のレイキだったら、女のコにコクられても変じゃないと思うけど・・・」
亮介はあきらの不機嫌っぷりには気づいて無い様で、『うーん』と、オレをみて唸ってる。
「ま、まあさ。 そりゃコクられればうれしいし。 亮介の言うのが、当たってたらいいけどな」
そのとき。
「あ、あのっ!」
オレたちの座るベンチの近くに、女のコが3人やってきた。
・・・・・1年生、かな?
「城井先輩っ! あの、私、1年の中野優香、です!」
真ん中にいる肩までの黒髪ストレートのコが、自己紹介をする。
目がくりっと大きくて、色白で、かわいい。
・・・清楚そうな、純粋な感じ。
「い、いつも、先輩のプレー、見てますっ。 すごく、かっこよくて・・・・」
中野さんは、持っていた小さなかわいい紙袋をあきらに差し出した。
「あ、あの。 クッキー、作ってきたんです! よかったら、食べて下さいっ!!」
うつむいて、あきらに真っ直ぐに伸ばした両手に紙袋を持って差し出す。
その手は、ぷるぷると震えてる。
カオももちろん耳まで真っ赤だし、すごく緊張してるのは伝わってくる。
・・・・・・けど。
オレは、あきらのカオを見た。
・・・・・・・・・・・中野さん、タイミング悪かったよなあ・・・・・
さっき亮介と話してた時から、なぜかあきらは機嫌が悪い。
今も、きゅって眉根を寄せてる。
「オレ、甘いの苦手なんだよね」
うわーーーーーーっ。
機嫌、最悪じゃんっ!!
亮介も、あーあ、ってカオしてるし。
「あ、あのさ」
オレは泣きそうになってる中野さんと、あきらの間に入った。
「もしかして、これ、甘さ控えめだったり、する?」
中野さんに聞いてみる。
あきらが甘いの苦手って、結構女の子の間では知れ渡ってることだと思う。
この子がちゃんとリサーチしてるなら・・・・・
中野さんは、うるうるした瞳でオレを見た。
「は、・・・・はい。 城井先輩は甘いのは苦手で、でも、シナモンが好きって・・・・・
だから、甘さ控えめの、シナモンクッキーにしたんです・・・・・・・」
うん、しっかりリサーチしてんじゃん。
オレはあきらを振り返った。
「じゃあ、あきら、好きなんじゃねえ?」
あきらはちらっとオレを見て、立ち上がった。
中野さんに近づくと、
「ありがと。 オレが好きなもの、調べてくれたんだな」
微笑んでそういうと、紙袋を受け取った。
中野さんは、もう涙がこぼれそうになりながらあきらを見つめてる。
中野さんの友達の女のコも、「よかったね!」と言って、彼女の肩をたたいている。
あきらは袋を開けると、1枚クッキーを取り出して食べた。
「うん、うまいじゃん」
また、微笑んで、
「また今度、作ってくれる?」
中野さんは、もうカオがまっかっかだ。 湯気でも出そうなくらい。
オレも亮介もびっくりした。
「ありがとう」って受け取るだけじゃなくて、「また作って」???
「は、はいっ! また、作ります!!!
先輩っ、ありがとうございました!!」
中野さんは叫ぶように言うと、友達と一緒に去って行った。
「あーきら、どうしたんだよ。あのリップサービス」
亮介があきれたように言った。
「あのコ、ちょっと純粋そうだぜ? お前の遊び相手は荷が重いと思うけど」
あきらはため息をついてベンチに座った。
「別に、そんなつもりじゃねーよ」
紙袋はわきに置いたまま、またパンを食べ始める。
あきら・・・どういうつもりなんだろう。
あのコを遊び相手にするとは考えにくいけど・・・
じっとあきらを見ていると、あきらもオレに視線を向けた。
「なに? レイキの望み通り、ちゃんと受け取ったじゃん」
そう言う、その瞳はすごく冷たくて・・・・・
オレの胸は、ぎゅって、苦しくなった。
オレは・・・あきらの冷たい言い方に、あのコがムダに傷つかなければと思っただけで。
でも、結局あきらがあんなリップサービスしたから、逆効果だったかも・・・
そこまで考えて、ハッて気づいた。
オレ、何であきらが断ることを前提で考えてるんだ・・・?
もちろん今までのあきらの傾向からいって 、中野さんみたいな純粋そうなコはあきらは相手にしないとは思うけど・・・
でも、あきらが気に入らないとは限らないんじゃ・・・・?
もし、あきらが、気に入ってしまったら・・・・・?
また、ぎゅって、胸が苦しくなる。
そんなの・・・・いやだ・・・
オレは、何て軽率な行動をとったんだろうって思った。
あきらが、あのコのこと、好きになってしまうかもしれないのに。
わざわざ、あきらがすっぱり断るのを邪魔して。
「・・・ゴメン、あきら。
オレ、あのコがムダに傷つかなければって、そればっか考えてた・・・。
あきらがあのコを選んだら・・・なんて、考えてなかったよ・・・」
「だいじょーぶだよ、レイキ。あきらはああいうコとは遊ばねーって。
そんくらいの分別はあるでしょ」
亮介はそう言ったけど、あきらにはちゃんと、オレの意図は伝わったみたいだ。
あきらは、うれしそうに微笑んだ。
「ああ。 レイキの考えてることはわかったから。 ・・・お前、優しいもんな」
あきらの笑顔を見てホッとする。
オレ、ホントにあきらの行動に翻弄されてるなって思う。
「それにしても、相変わらずモテますねー、あきらさんは」
亮介が茶化して言う。
「今さ、何人くらいいんの? お前の遊び相手」
「えー?」
あきらは面倒くさそうに返事をするが、これはオレも結構・・・かなり、興味がある。
「何人くらいいんの?」
亮介に便乗して、オレも聞いてみる。
身を乗り出して来たオレに、あきらはちょっとびっくりしたカオをした。
「そんな、いねーよっ。 ・・・っていうか、もう切るから」
えっ?
「はっ!?」
亮介がすげービックリした声を上げた。
「切るって・・・なんで!?
まさかお前が一人に絞るとか・・・・・・!!?? いや、ねーよな、それは・・・・・」
ぶつぶつ言ってる亮介を、あきらは軽く睨む。
「亮介。オレが一人に絞ったらいけねーのかよ」
「え、うそ。あきら、マジなのかよ・・・・!!??」
あきらは立ち上がりながらオレのことを見た。
「オレも、もう本気になろうと思ってさ」
あきら、ホントにもう切るつもりなんだ・・・?
この間の、電話の女のコみたいに・・・・
「オレ、先に戻るな」
あきらはもらった紙袋を持って、行ってしまった。
「レイキ、お前あきらから何か聞いた? あいつ、本気なのかな・・・・」
亮介がやっぱり信じられないってカオしてる。
「もしそうだとしたら、相手って、どんな女なんだろーな・・・」
・・・・女、か。
そうだよな。 そう思うのが普通だよな・・・・・
「すっげー年上とかだったりして」
茶化すように言う亮介に、オレは以前のことを思いだしながら、
「でもあきら、まえ10歳以上上の人と遊んでたことあったぜ?」
「えっ・・・まじかよ・・・・
あきら、まじすげーな・・・・・」
亮介は心底驚いたってカオをした。
・・・オレって、あきらにふさわしいんだろうか。
『相手って、どんな女なんだろーな』
亮介もそう言ったみたいに、男ってだけで、普通は対象から除外されるもんな・・・
そのとき予鈴が鳴って、オレたちも教室へと戻っていった。
0
お気に入りに追加
192
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる