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第五部
ギルドへ連行
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ギルドへと到着すると、一斉にギャラリーの注目を集めてしまう。ロープで人を引きずっての登場なのでそれも仕方のないことではあるが。道中でも注目は浴びたが、空間遮断結界と遮音結界で身動きが取れないやつらを引きずってくるだけだったので静かだったのだ。
一階のフロアを見回してみると、先行させた男四人が隅の方で所在無さげに佇んでいるのが見えた。
「何やってんだお前ら」
てっきりドロシーに捕まって事情聴取でもされているかと思ったが、そうでもなかったらしい。事情を聞けば、ギルドに着いたはいいがここで何をすればいいのかわからないということだった。
「『先に行け』だけじゃそんなものでしょ」
「いやそこはドロシーが待ち構えててなんとかしてくれてるかと思ったんだけどな」
莉緒に窘められるも、俺だってそこまでは期待していない。
「ドロシーはそんなに有能じゃないわよ?」
手厳しいエルの言葉に、イヴァンが頬を引きつらせている。
「んじゃま、とりあえず二階に行くか」
「シュウさん!」
そのまま引きずって二階へ行こうとしたところで、ギルド職員に声を掛けられた。振り返ってみれば、ダンジョンについていろいろと教えてくれた職員だ。ドロシーが手を回してくれていたんだろうか。
「いきなり目立ってますけど、もしかしてそいつらが……」
ロープの先はギルドの入り口近くに伸びている。職員の言葉に周囲の冒険者たちの視線も捕らえられた犯人へと向かったところで、ちょうどフォニアとニルが元気よくギルドに現れた。
予想外に視線が集まったからか、びくりと立ち止まるフォニア。が、すぐに俺たちを見つけて駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん! ボクもがんばったよ!」
幼女もロープを引っ張っており、その先の人物がギルド入り口の壁で頭を強打している。が、それでも勢いを衰えさせることなく大の大人を引きずってきた幼女に対して、周囲の冒険者たちがざわつき始めた。
「お、がんばったなフォニア」
「偉いわねー」
「えっ……?」
莉緒と二人で褒めていると職員が固まってしまった。
「ドロシーはいないのね」
ギルド内を見回したエルがポツリと呟いている。
「あ! おい、逃げるんじゃねぇぞ」
ふと聞こえたイヴァンの声の方を振り向くと、一緒に連れられ歩いてきた女が群衆に紛れようとしているところだった。
「……わかってるわよ」
しぶしぶと言った感じで出てくると、今度は自分が視線を集めてしまったのか顔を顰めていた。
「今度は犬かよ!?」
「おいおい、どうなってんだこいつらはよ!」
「引きずられるのもまた……」
小型犬サイズのニルもロープを咥えてギルドに現れたところで、周りがさらに騒がしくなってくる。一人おかしな奴が混じってる気がするが、お前は絶対にフォニアに近づくんじゃねぇぞ。
「収拾がつかなくなってきたな」
改めて周囲を見回していると、思わず言葉が漏れてしまった。
「……はっ!? す、すぐにサブマスターを呼んできます!」
呟きを拾ったのかどうかはわからないが、ギルド職員が我に返ったようでそう叫ぶと階段を上がっていった。呼んできてくれるなら待つことにしようかと決めたところで、慌ただしい音をたてながらドロシーが下りてきた。
「もう来たんですか! ……って多い!?」
ロープで引きずってこられた七人を見て目を剥くドロシーだが、さらに四人いることには気づいていない。
「と、とにかく、全員連れてこちらへお願いします!」
サブマスターであるドロシーの登場に一瞬ざわめきがピタリと止まるが、それもすぐに囁き声にかき消され、さらにざわめきとなって大きくなってくる。そして誰かに呼び止められる前に、奥へと逃げるように引っ込んでいった。
「まぁついて行くか。お前らも行くぞー」
このまま置いておくわけにもいかず、首輪をつけた男四人にも声を掛けてドロシーの後を追う。ギルドのロビーから狭い廊下へ入ってしばらくしたところで、ロープの先の犯人どもで詰まって進めなくなった。しょうがないのでロープを切ると、魔法で浮かせてドロシーの向かった部屋へと入った。
広めの会議室にはギルド側の人間が三人いた。ドロシーを呼びに行った職員と、ドロシー本人、そして知らない人間が一人だ。
細身で長身の優男といった風貌をしているが、体の内からにじみ出る威圧感というものが感じられる男だった。
「ほう、この方たちが例の協力者ですか」
「はい、そうです」
「どうも初めまして。ここのギルドマスターをしているガルガント・シルヴィガングという者です」
誰だと思ったらギルマスだったようだ。確かに、こうも大々的に新人狩りをする犯罪組織を丸ごと検挙したなら出てきても不思議じゃない。
「どうも、Sランクの柊です」
「同じく莉緒です」
俺たちの自己紹介に驚きを見せるガルガントだったが、割り込むことなくこちら側の紹介が終わるまでは静観の構えらしい。
「Eランクのイヴァンだ」
「ボクはフォニアだよ」
「わふぅ!」
ニルも自己紹介の声を上げたが、相手に伝わっているかどうかは不明である。
最後はエルの番かと思いきや、奴隷の従者として振る舞うようでただ後ろに立って微笑を浮かべているだけだ。
エル以外が席に着いたところでお互いが改めて向かい合う。
「ほぅ、Sランクですか。……ひとまず、詳しく事情を聞きましょうか」
言葉と共に捕らえられた者たちを見回すと、ガルガントの目が鋭く細められた。
一階のフロアを見回してみると、先行させた男四人が隅の方で所在無さげに佇んでいるのが見えた。
「何やってんだお前ら」
てっきりドロシーに捕まって事情聴取でもされているかと思ったが、そうでもなかったらしい。事情を聞けば、ギルドに着いたはいいがここで何をすればいいのかわからないということだった。
「『先に行け』だけじゃそんなものでしょ」
「いやそこはドロシーが待ち構えててなんとかしてくれてるかと思ったんだけどな」
莉緒に窘められるも、俺だってそこまでは期待していない。
「ドロシーはそんなに有能じゃないわよ?」
手厳しいエルの言葉に、イヴァンが頬を引きつらせている。
「んじゃま、とりあえず二階に行くか」
「シュウさん!」
そのまま引きずって二階へ行こうとしたところで、ギルド職員に声を掛けられた。振り返ってみれば、ダンジョンについていろいろと教えてくれた職員だ。ドロシーが手を回してくれていたんだろうか。
「いきなり目立ってますけど、もしかしてそいつらが……」
ロープの先はギルドの入り口近くに伸びている。職員の言葉に周囲の冒険者たちの視線も捕らえられた犯人へと向かったところで、ちょうどフォニアとニルが元気よくギルドに現れた。
予想外に視線が集まったからか、びくりと立ち止まるフォニア。が、すぐに俺たちを見つけて駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん! ボクもがんばったよ!」
幼女もロープを引っ張っており、その先の人物がギルド入り口の壁で頭を強打している。が、それでも勢いを衰えさせることなく大の大人を引きずってきた幼女に対して、周囲の冒険者たちがざわつき始めた。
「お、がんばったなフォニア」
「偉いわねー」
「えっ……?」
莉緒と二人で褒めていると職員が固まってしまった。
「ドロシーはいないのね」
ギルド内を見回したエルがポツリと呟いている。
「あ! おい、逃げるんじゃねぇぞ」
ふと聞こえたイヴァンの声の方を振り向くと、一緒に連れられ歩いてきた女が群衆に紛れようとしているところだった。
「……わかってるわよ」
しぶしぶと言った感じで出てくると、今度は自分が視線を集めてしまったのか顔を顰めていた。
「今度は犬かよ!?」
「おいおい、どうなってんだこいつらはよ!」
「引きずられるのもまた……」
小型犬サイズのニルもロープを咥えてギルドに現れたところで、周りがさらに騒がしくなってくる。一人おかしな奴が混じってる気がするが、お前は絶対にフォニアに近づくんじゃねぇぞ。
「収拾がつかなくなってきたな」
改めて周囲を見回していると、思わず言葉が漏れてしまった。
「……はっ!? す、すぐにサブマスターを呼んできます!」
呟きを拾ったのかどうかはわからないが、ギルド職員が我に返ったようでそう叫ぶと階段を上がっていった。呼んできてくれるなら待つことにしようかと決めたところで、慌ただしい音をたてながらドロシーが下りてきた。
「もう来たんですか! ……って多い!?」
ロープで引きずってこられた七人を見て目を剥くドロシーだが、さらに四人いることには気づいていない。
「と、とにかく、全員連れてこちらへお願いします!」
サブマスターであるドロシーの登場に一瞬ざわめきがピタリと止まるが、それもすぐに囁き声にかき消され、さらにざわめきとなって大きくなってくる。そして誰かに呼び止められる前に、奥へと逃げるように引っ込んでいった。
「まぁついて行くか。お前らも行くぞー」
このまま置いておくわけにもいかず、首輪をつけた男四人にも声を掛けてドロシーの後を追う。ギルドのロビーから狭い廊下へ入ってしばらくしたところで、ロープの先の犯人どもで詰まって進めなくなった。しょうがないのでロープを切ると、魔法で浮かせてドロシーの向かった部屋へと入った。
広めの会議室にはギルド側の人間が三人いた。ドロシーを呼びに行った職員と、ドロシー本人、そして知らない人間が一人だ。
細身で長身の優男といった風貌をしているが、体の内からにじみ出る威圧感というものが感じられる男だった。
「ほう、この方たちが例の協力者ですか」
「はい、そうです」
「どうも初めまして。ここのギルドマスターをしているガルガント・シルヴィガングという者です」
誰だと思ったらギルマスだったようだ。確かに、こうも大々的に新人狩りをする犯罪組織を丸ごと検挙したなら出てきても不思議じゃない。
「どうも、Sランクの柊です」
「同じく莉緒です」
俺たちの自己紹介に驚きを見せるガルガントだったが、割り込むことなくこちら側の紹介が終わるまでは静観の構えらしい。
「Eランクのイヴァンだ」
「ボクはフォニアだよ」
「わふぅ!」
ニルも自己紹介の声を上げたが、相手に伝わっているかどうかは不明である。
最後はエルの番かと思いきや、奴隷の従者として振る舞うようでただ後ろに立って微笑を浮かべているだけだ。
エル以外が席に着いたところでお互いが改めて向かい合う。
「ほぅ、Sランクですか。……ひとまず、詳しく事情を聞きましょうか」
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