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第五部
迷宮都市インブランド
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あらかじめスマホでアポを取れる幹部へは順調に作業が終わった。連絡が取れなかった幹部への配達も、滞りなく終わったと言えるだろう。さすが幹部だけあって、いきなり現れた俺たちに慌てることも、子どもだと侮ることもなかった。
「次はすまほを届け終わった場所ですね」
「ということは街中とかになるのかな」
「はい、そうなります」
なるほど。今までは街道を移動中のやつばっかりだったからそこまで気にしていなかった。スマホを届け終わった場所となると、下手すると盗賊や暗殺者ギルドみたいな巣窟の中枢とかになってしまうんだろうか。
本部の暗殺者ギルドは更生させたつもりではいるけど、末端まで通達は届いていないだろうし。
さっきまでと同じように先にスマホで連絡を試みるも、相手が出る気配がない。
「なんで出ないのかしら……」
「……もしかして大事そうに仕舞ってたりして」
「ありえますね……。国宝級の魔道具ですもの。誰も触れない場所に隠している可能性は否定できません」
俺の言葉にメサリアさんが真剣に予想を口にする。国宝級はちょっと言いすぎな気もするけど、革新的な道具であることは間違いないと思う。
「もう突撃するしかないな」
「そうしましょうか」
「じゃあとりあえず、近くの目立たないところに出るようにするわね」
通話先を探って集中していた莉緒が、次元の穴を開けて四人でくぐっていく。出てきた場所はかなり街道から外れた草原だった。周囲を見渡せば草原ばかりで、確かに隠れるところはない。遠くには街を囲む外壁が見えるし、そこからスマホに付与した空間魔法の位置を感じるので間違いないだろう。
「じゃあ行きましょうか」
莉緒が先頭になって街の入り口へとまっすぐ歩き出し、俺たちもそのあとに続く。時間はそろそろ夕方に差し掛かるころだろうか。街へと帰ってくる冒険者たちや、商人たちが入り口で並んでいる。
「え、そっちは貴族用の入り口ですよ?」
誰も並んでいないほうの小奇麗な街門へと歩いていると、後ろから困惑するメサリアさんの声が聞こえてきた。
「Sランク冒険者は貴族用の入り口から入れるんで大丈夫です」
「そうだったんですね」
戸惑うメサリアさんを伴って空いている門へと向かう。今からあの行列に並ぶと日が暮れそうなので、さっさと街の中に入るに限る。どこの街かは知らないけど、拠点として活動するわけでもないので多少目立っても問題なしだ。
首から掛けた冒険者証を服の中から取り出して門番へ見せながら歩いていくが。
「おい待て」
と、案の定門番に止められた。
「何か? Sランク冒険者は通れますよね?」
「Sランク……だと?」
俺の話を聞いて訝しがり、後ろにいた門番に「おい」と声を掛けると、頷きを返して後ろの門番が街の中へと走っていく。
胸元の冒険者証を強調して見せつけると、門番が怯みつつも近づいてきてまじまじと確認してくる。
「ああ……、間違いないようだな。通ってよし」
「どうも」
何かあると思ったけど肩透かしを食らったみたいだ。何もないならないほうがいいけど。門をくぐって中に入ると、大通りは人で賑わっていた。見たところ冒険者風の格好をした人が多いように見える。客引きだろうか、一般用の門から出てきた人たちに声を掛けに行く街人がいるようだが、貴族用の門から出てきた俺たちに声を掛けてくるやつはいない。
「ここは……、迷宮都市インブランドですね」
キョロキョロとあちこちを見回していたメサリアさんが、確信を持って街の名前を当てる。メサリアさんが電話したスマホの気配のある場所へ飛んだだけで、行き先はさっぱり不明だった。元居た場所からの方向と距離はわかるが、来たことのない街は地図スキルに登録されていないからわからない。
「久しぶりに来たけど、ここはあんまり変わらないわね」
エルはこの街を知ってるらしい。周囲をぐるっと一瞥しただけで興味をなくしたようだ。
「へぇ、迷宮都市なんてあるのね」
「ああ。そういえばダンジョンがあるんだっけ?」
なんとなく聞いたことのある街の名前に、ダンジョンの話を思い出した。
「え? そうなの?」
「はい。ここはダンジョンで栄えた街ですので」
どうも莉緒は知らないみたいだけど、俺が覚えてるって珍しいな。どこで聞いたかは思い出せないけど、ダンジョンという言葉が出てきたから印象に残っている。
メサリアさんの話によると、ここはアークライト王国の東にある迷宮都市とのこと。街の中心にダンジョンがあって、そこから持ち帰られる素材の取引で大きくなった街みたいだ。なので冒険者ギルドや商業ギルドもかなり大きく、だからこそ盗賊ギルドといった裏の組織も大小さまざま存在するとのこと。
「……アークライト王国か。この街の元の姿は知らないけど、割と普通だな」
「ここは基本的にダンジョンで成り立ってますからね。王国中枢がガラッと変わってもそう変化はありません」
眉間に皺を寄せているとメサリアさんが苦笑しながら教えてくれた。ということは他の街は変化があったんだろうか。
「他の街はおいおい情報を仕入れていきましょう」
「……よろしく」
情報収集の依頼を出してからこの街にようやくスマホが届いたことを考えると、本格的な活動はこれからなんだろう。ダンジョンも気になるけどとりあえず目の前のことを片付けよう。
「ではさっそく……、と行きたいところですが、この街の大きい裏組織は三つあるんですよね」
案内してもらおうと思ったら、メサリアさんが困惑の表情でそう零す。この街にスマホを届けた幹部からは、どこの組織に渡したのかそういえば聞いていなかった。
ちなみにその組織はというと、盗賊ギルドと情報ギルドと――
「冒険者ギルド?」
裏組織として出てくるとは思っていなかったギルドに、思わず言葉を繰り返してしまった。
「ええ、知っている者はごくわずかですが、ダンジョンの情報を真っ先に知るには冒険者に聞くのが一番ですから」
「なるほど。……スマホの場所は空間魔法でわかるから、もうそこに直接行くか」
「はい。ではよろしくお願いします」
こうして俺たちを先頭にして雑多な街を歩いて行く先に現れたのは、魔法陣の上に剣と盾を描いた看板を掲げた冒険者ギルドだった。
「次はすまほを届け終わった場所ですね」
「ということは街中とかになるのかな」
「はい、そうなります」
なるほど。今までは街道を移動中のやつばっかりだったからそこまで気にしていなかった。スマホを届け終わった場所となると、下手すると盗賊や暗殺者ギルドみたいな巣窟の中枢とかになってしまうんだろうか。
本部の暗殺者ギルドは更生させたつもりではいるけど、末端まで通達は届いていないだろうし。
さっきまでと同じように先にスマホで連絡を試みるも、相手が出る気配がない。
「なんで出ないのかしら……」
「……もしかして大事そうに仕舞ってたりして」
「ありえますね……。国宝級の魔道具ですもの。誰も触れない場所に隠している可能性は否定できません」
俺の言葉にメサリアさんが真剣に予想を口にする。国宝級はちょっと言いすぎな気もするけど、革新的な道具であることは間違いないと思う。
「もう突撃するしかないな」
「そうしましょうか」
「じゃあとりあえず、近くの目立たないところに出るようにするわね」
通話先を探って集中していた莉緒が、次元の穴を開けて四人でくぐっていく。出てきた場所はかなり街道から外れた草原だった。周囲を見渡せば草原ばかりで、確かに隠れるところはない。遠くには街を囲む外壁が見えるし、そこからスマホに付与した空間魔法の位置を感じるので間違いないだろう。
「じゃあ行きましょうか」
莉緒が先頭になって街の入り口へとまっすぐ歩き出し、俺たちもそのあとに続く。時間はそろそろ夕方に差し掛かるころだろうか。街へと帰ってくる冒険者たちや、商人たちが入り口で並んでいる。
「え、そっちは貴族用の入り口ですよ?」
誰も並んでいないほうの小奇麗な街門へと歩いていると、後ろから困惑するメサリアさんの声が聞こえてきた。
「Sランク冒険者は貴族用の入り口から入れるんで大丈夫です」
「そうだったんですね」
戸惑うメサリアさんを伴って空いている門へと向かう。今からあの行列に並ぶと日が暮れそうなので、さっさと街の中に入るに限る。どこの街かは知らないけど、拠点として活動するわけでもないので多少目立っても問題なしだ。
首から掛けた冒険者証を服の中から取り出して門番へ見せながら歩いていくが。
「おい待て」
と、案の定門番に止められた。
「何か? Sランク冒険者は通れますよね?」
「Sランク……だと?」
俺の話を聞いて訝しがり、後ろにいた門番に「おい」と声を掛けると、頷きを返して後ろの門番が街の中へと走っていく。
胸元の冒険者証を強調して見せつけると、門番が怯みつつも近づいてきてまじまじと確認してくる。
「ああ……、間違いないようだな。通ってよし」
「どうも」
何かあると思ったけど肩透かしを食らったみたいだ。何もないならないほうがいいけど。門をくぐって中に入ると、大通りは人で賑わっていた。見たところ冒険者風の格好をした人が多いように見える。客引きだろうか、一般用の門から出てきた人たちに声を掛けに行く街人がいるようだが、貴族用の門から出てきた俺たちに声を掛けてくるやつはいない。
「ここは……、迷宮都市インブランドですね」
キョロキョロとあちこちを見回していたメサリアさんが、確信を持って街の名前を当てる。メサリアさんが電話したスマホの気配のある場所へ飛んだだけで、行き先はさっぱり不明だった。元居た場所からの方向と距離はわかるが、来たことのない街は地図スキルに登録されていないからわからない。
「久しぶりに来たけど、ここはあんまり変わらないわね」
エルはこの街を知ってるらしい。周囲をぐるっと一瞥しただけで興味をなくしたようだ。
「へぇ、迷宮都市なんてあるのね」
「ああ。そういえばダンジョンがあるんだっけ?」
なんとなく聞いたことのある街の名前に、ダンジョンの話を思い出した。
「え? そうなの?」
「はい。ここはダンジョンで栄えた街ですので」
どうも莉緒は知らないみたいだけど、俺が覚えてるって珍しいな。どこで聞いたかは思い出せないけど、ダンジョンという言葉が出てきたから印象に残っている。
メサリアさんの話によると、ここはアークライト王国の東にある迷宮都市とのこと。街の中心にダンジョンがあって、そこから持ち帰られる素材の取引で大きくなった街みたいだ。なので冒険者ギルドや商業ギルドもかなり大きく、だからこそ盗賊ギルドといった裏の組織も大小さまざま存在するとのこと。
「……アークライト王国か。この街の元の姿は知らないけど、割と普通だな」
「ここは基本的にダンジョンで成り立ってますからね。王国中枢がガラッと変わってもそう変化はありません」
眉間に皺を寄せているとメサリアさんが苦笑しながら教えてくれた。ということは他の街は変化があったんだろうか。
「他の街はおいおい情報を仕入れていきましょう」
「……よろしく」
情報収集の依頼を出してからこの街にようやくスマホが届いたことを考えると、本格的な活動はこれからなんだろう。ダンジョンも気になるけどとりあえず目の前のことを片付けよう。
「ではさっそく……、と行きたいところですが、この街の大きい裏組織は三つあるんですよね」
案内してもらおうと思ったら、メサリアさんが困惑の表情でそう零す。この街にスマホを届けた幹部からは、どこの組織に渡したのかそういえば聞いていなかった。
ちなみにその組織はというと、盗賊ギルドと情報ギルドと――
「冒険者ギルド?」
裏組織として出てくるとは思っていなかったギルドに、思わず言葉を繰り返してしまった。
「ええ、知っている者はごくわずかですが、ダンジョンの情報を真っ先に知るには冒険者に聞くのが一番ですから」
「なるほど。……スマホの場所は空間魔法でわかるから、もうそこに直接行くか」
「はい。ではよろしくお願いします」
こうして俺たちを先頭にして雑多な街を歩いて行く先に現れたのは、魔法陣の上に剣と盾を描いた看板を掲げた冒険者ギルドだった。
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