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第四部
フォニアとイヴァン
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「ほほぅ、そういうことな……」
「油断は禁物だが、危険はなさそうだな」
「さすがSランクだね……」
話し終えると三者三様の反応が返ってくる。そこまで大した話でもないのに、あのギルドマスターはどんだけ時間を掛けようとするのか。
「それにしてもまさかSランクパーティに小さい嬢ちゃんがいるとは思わなかったな」
「Sランク……パーティ?」
ハーゲンの言葉に思わず首をひねる。向こう側にいるテイマーの女――ミーティアも同じように首を傾げている。
「ん? パーティじゃねぇのか? ギルドで聞いたら『月の雫』ってパーティ名だと聞いたが」
「月の雫?」
「おいおい、自分のパーティ名だろ?」
「あははははは!」
首を傾げる俺に莉緒が大爆笑だ。そんな莉緒をフォニアが膝の上から見上げて首を傾げている。イヴァンが額を手で覆っているが、何か言いたいことがあるなら聞くぞ?
そういえばそんな名前で登録した覚えはあるな。莉緒の柚月から月を取ったけど、今となっては……。というかパーティ作ってから、その名前を出したことも聞いたこともなさすぎて忘れてたくらいだ。
「いや、その名前聞くの、パーティ作って以来なもんで」
「なによそれ」
「「ぎゃははは!」」
ミーティアには不評のようだったが、ハーゲンダーツにはウケたようだ。
「冒険者なんだから、パーティ名は売ってなんぼでしょ」
「そういうものですか」
正直あんまり興味はないなぁ。
「あと、『月の雫』って二人組のパーティでしょ?」
「え? そうなのか?」
俺たち四人が所属するパーティと思っていたんだろうか。ハーゲンダーツがそろって驚いている。
「お嬢ちゃんはともかく、熊の兄ちゃんは入ってると思ってたんだがな」
「いや俺もパーティ組んでるって今知ったところなんで」
「「ぶはははは!!」」
テーブルをバンバンと叩きながら大爆笑を始める二人。「マジか」と言いながら腹を抱えてヒーヒー言い出した。ちょっとウケすぎじゃねぇかな。
「お姉ちゃん、つきのしずくってなに?」
大爆笑する二人を見ていたフォニアが首を傾げている。笑いながらも莉緒は丁寧に答えている姿は微笑ましい。
「ははっ、しっかし、Sランクの二人についていくのは大変だろう」
「ホント、すげーキツイですよ! 聞いてくれます!?」
「いやお前は兄貴なんだからがんばれよ」
愚痴ろうとしたとたんにダーツに封殺されてしまう。やっぱりイヴァンはイヴァンのようだ。
「ボクもがんばってるよ!」
「おうおう、嬢ちゃんは偉いなぁ」
「そうだな。兄貴に負けないようにがんばれよ」
男二人が孫をかわいがる爺さんみたいになっている。さすが可愛いフォニアだ。
しかしそんな可愛いフォニアにまったく緩みを見せないのがテイマーのミーティアだ。
「ふん、その娘は大丈夫なんじゃないの? 一応Sランクなんだし」
「「は?」」
ミーティアの言葉に目が点になる二人。一瞬にして孫かわいがり爺さんが姿を消している。
「Sランクのパーティは二人組って言ったのはお前だろ?」
「そうだぜ。そもそも子どもは冒険者になれねぇだろ」
二人の言葉に盛大にため息をつくミーティア。冒険者になるだけなら年齢制限はないが、十二歳にならないとFランク以上になれない。
「あんたらが見た目に騙されるなんて珍しいじゃないの。ああ見えてあの娘、Sランクの従魔よ」
「「……はぁ!?」」
「ほら、首にミスリルのタグがついてるでしょ」
「ん? ……えへへ」
二人に注目されて照れたのか、へにゃりと笑うフォニアにつられて気持ち悪い笑みを浮かべる二人。が、急にキリっとした表情になってイヴァンへと鋭い視線を向けた。
「こんなかわいい娘を従魔扱いするとか何考えてんだ」
「従魔として扱えばカムフラージュになるといっても、Sランクはちょっとやりすぎじゃねーの?」
「なんで俺!?」
理不尽に攻められることに反射で立ち上がるとツッコみが発動する。もはや立派なパッシブスキルになってる気がするな。師匠みたいに早くスキルまで鑑定できるようになりたい。
振り落とされたニルは不満げにイヴァンの頭の上へと乗っている。
「むぅ、イヴァン兄をいじめないで! イヴァン兄は、優しいんだから!」
変な感想を抱いていると、フォニアが思わずと言った感じで兄を庇いたてる。
「ふぉ、フォニア……」
感動したイヴァンが思わず涙ぐんでいるが、そこまで感動するほどのものだろうか。ハーゲンダーツの二人もドン引きである。
「いや、まぁ、すまんかった」
「そうだな。嬢ちゃんの兄貴をいじめるつもりはなかったんだ」
「アホか。ギルドがそんな理由でミスリルのタグを発行するわけないでしょ。その娘が従魔なのは本当だと思うわよ」
何だこの茶番はといった様子を見せるミーティアだけど、概ね同感である。
「うんうん。そうだよね。イヴァンお兄ちゃんは優しいもんね」
なぜか莉緒も感動したのか、優しくフォニアの頭を撫でている。いやホントになんなの。
……ってもしかしてあれか、お風呂でイヴァンが優しくないって言われたのまだ引きずってたのか?
「がはは、じゃあますます兄貴はがんばらないといかんじゃないか」
「すでに妹にも置いてかれてそうだしな」
「「がははははは!」」
機嫌よく笑う男二人に、イヴァンはがっくりと肩を落とすのだった。
「油断は禁物だが、危険はなさそうだな」
「さすがSランクだね……」
話し終えると三者三様の反応が返ってくる。そこまで大した話でもないのに、あのギルドマスターはどんだけ時間を掛けようとするのか。
「それにしてもまさかSランクパーティに小さい嬢ちゃんがいるとは思わなかったな」
「Sランク……パーティ?」
ハーゲンの言葉に思わず首をひねる。向こう側にいるテイマーの女――ミーティアも同じように首を傾げている。
「ん? パーティじゃねぇのか? ギルドで聞いたら『月の雫』ってパーティ名だと聞いたが」
「月の雫?」
「おいおい、自分のパーティ名だろ?」
「あははははは!」
首を傾げる俺に莉緒が大爆笑だ。そんな莉緒をフォニアが膝の上から見上げて首を傾げている。イヴァンが額を手で覆っているが、何か言いたいことがあるなら聞くぞ?
そういえばそんな名前で登録した覚えはあるな。莉緒の柚月から月を取ったけど、今となっては……。というかパーティ作ってから、その名前を出したことも聞いたこともなさすぎて忘れてたくらいだ。
「いや、その名前聞くの、パーティ作って以来なもんで」
「なによそれ」
「「ぎゃははは!」」
ミーティアには不評のようだったが、ハーゲンダーツにはウケたようだ。
「冒険者なんだから、パーティ名は売ってなんぼでしょ」
「そういうものですか」
正直あんまり興味はないなぁ。
「あと、『月の雫』って二人組のパーティでしょ?」
「え? そうなのか?」
俺たち四人が所属するパーティと思っていたんだろうか。ハーゲンダーツがそろって驚いている。
「お嬢ちゃんはともかく、熊の兄ちゃんは入ってると思ってたんだがな」
「いや俺もパーティ組んでるって今知ったところなんで」
「「ぶはははは!!」」
テーブルをバンバンと叩きながら大爆笑を始める二人。「マジか」と言いながら腹を抱えてヒーヒー言い出した。ちょっとウケすぎじゃねぇかな。
「お姉ちゃん、つきのしずくってなに?」
大爆笑する二人を見ていたフォニアが首を傾げている。笑いながらも莉緒は丁寧に答えている姿は微笑ましい。
「ははっ、しっかし、Sランクの二人についていくのは大変だろう」
「ホント、すげーキツイですよ! 聞いてくれます!?」
「いやお前は兄貴なんだからがんばれよ」
愚痴ろうとしたとたんにダーツに封殺されてしまう。やっぱりイヴァンはイヴァンのようだ。
「ボクもがんばってるよ!」
「おうおう、嬢ちゃんは偉いなぁ」
「そうだな。兄貴に負けないようにがんばれよ」
男二人が孫をかわいがる爺さんみたいになっている。さすが可愛いフォニアだ。
しかしそんな可愛いフォニアにまったく緩みを見せないのがテイマーのミーティアだ。
「ふん、その娘は大丈夫なんじゃないの? 一応Sランクなんだし」
「「は?」」
ミーティアの言葉に目が点になる二人。一瞬にして孫かわいがり爺さんが姿を消している。
「Sランクのパーティは二人組って言ったのはお前だろ?」
「そうだぜ。そもそも子どもは冒険者になれねぇだろ」
二人の言葉に盛大にため息をつくミーティア。冒険者になるだけなら年齢制限はないが、十二歳にならないとFランク以上になれない。
「あんたらが見た目に騙されるなんて珍しいじゃないの。ああ見えてあの娘、Sランクの従魔よ」
「「……はぁ!?」」
「ほら、首にミスリルのタグがついてるでしょ」
「ん? ……えへへ」
二人に注目されて照れたのか、へにゃりと笑うフォニアにつられて気持ち悪い笑みを浮かべる二人。が、急にキリっとした表情になってイヴァンへと鋭い視線を向けた。
「こんなかわいい娘を従魔扱いするとか何考えてんだ」
「従魔として扱えばカムフラージュになるといっても、Sランクはちょっとやりすぎじゃねーの?」
「なんで俺!?」
理不尽に攻められることに反射で立ち上がるとツッコみが発動する。もはや立派なパッシブスキルになってる気がするな。師匠みたいに早くスキルまで鑑定できるようになりたい。
振り落とされたニルは不満げにイヴァンの頭の上へと乗っている。
「むぅ、イヴァン兄をいじめないで! イヴァン兄は、優しいんだから!」
変な感想を抱いていると、フォニアが思わずと言った感じで兄を庇いたてる。
「ふぉ、フォニア……」
感動したイヴァンが思わず涙ぐんでいるが、そこまで感動するほどのものだろうか。ハーゲンダーツの二人もドン引きである。
「いや、まぁ、すまんかった」
「そうだな。嬢ちゃんの兄貴をいじめるつもりはなかったんだ」
「アホか。ギルドがそんな理由でミスリルのタグを発行するわけないでしょ。その娘が従魔なのは本当だと思うわよ」
何だこの茶番はといった様子を見せるミーティアだけど、概ね同感である。
「うんうん。そうだよね。イヴァンお兄ちゃんは優しいもんね」
なぜか莉緒も感動したのか、優しくフォニアの頭を撫でている。いやホントになんなの。
……ってもしかしてあれか、お風呂でイヴァンが優しくないって言われたのまだ引きずってたのか?
「がはは、じゃあますます兄貴はがんばらないといかんじゃないか」
「すでに妹にも置いてかれてそうだしな」
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機嫌よく笑う男二人に、イヴァンはがっくりと肩を落とすのだった。
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