成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa

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第四部

からの金属抽出

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「このあたりかな?」

 ギルドの職員から聞いた、Eランク冒険者の鉱石発掘ポイントへと到着した。そこそこ広い空間になっていて、ちらほらと発掘に勤しむ他の冒険者の姿も見える。基本は鉄鉱石だけど、ごくまれにミスリル鉱石も発掘できるとか。Eランクが一攫千金を狙うことも可能な人気スポットらしい。

「そういえば柊はさっき何やってたの?」

 空いている場所にイヴァンがツルハシを振り下ろしたところで、莉緒が不思議そうに尋ねてきた。

「ああ、ちょっとフォニアからヒントももらったから練習してたんだ」

「ヒント?」

 そう言って、さっきまでやってたことをここでも実践することにする。

「こっちのほうが鉱石多いな」

 さすがスポットと言われるだけあって、金属はこちらの方が埋蔵量が多そうだ。

「んでこうやって直接抽出すれば、わざわざ掘る手間が省けるってわけ」

「おおー、これは便利かも……」

 莉緒も地面に手をついて魔力を送り込み、周囲の鉱石を探し始める。

「……近くにはいっぱいあるわね」

「ほとんど鉄だけどな」

「うん。ミスリルと……、これは何かしら?」

 どうやらミスリルやタウル鋼とは違う反応を莉緒も見つけたらしい。俺がさっき見つけた奴と同じかどうかはわからないけど、とりあえず抽出して持ってきている。

「もしかしてこれかな?」

「……あ」

『アダマンタイトね』

 注目されるのを避けたのか、俺が抽出した金属の鑑定結果が念話で告げられた。

「同じ反応かどうかはわからないけど、莉緒も抽出してみればわかるさ」

 俺は俺で莉緒とやりとりをしていたが、フォニアはどうにもやることがないようでニルと遊んでいる。走り回ってるわけじゃないので大丈夫かな。他にも冒険者はいるし、いきなり魔物に襲われることもないだろう。Eランク冒険者の採集ポイントだし、それなりに安全なはずだ。まぁ警戒は怠らないけどな。

「うん。……っと、こうかな? ……あ、できたかも」

 気が付けば地面に金属の光沢を放っている場所ができている。鑑定してみると確かにアダマンタイトと出てきた。

「成功だな」

「こんなに簡単にできるなんてね……」

「これ、普通に鉱脈探しに使えるよなぁ」

「だよね。誰も見つけてない鉱脈とか、鉱石取り放題じゃない?」

 心なしか莉緒の表情がワクワクしているように見える。魔法が得意な莉緒だけど、案外刀が好きなんだよな。異空間ボックスにも何本か作った刀が入ってるし。……あとで鍛冶職人とか巡ってみるのもいいかもしれないな。

「はは、そうだな。とりあえずこれで一本作ってみるか」

「そうよね! じゃあ張り切って集めないと!」

 かなり奥まで魔力を広げてるけど、これって龍脈に近いところのほうがいい鉱石あったりしないかな。

「あんまり取りすぎないようにな。……案外河原とか穴場かもしれないな」

 龍脈が流れるという谷底に一番近いし、試してみる価値はありそうだ。

「そうかも。あとは魔力が噴き出してるっていう山頂とかもあとで行ってみましょう」

 二人で金属集めに没頭するが、さすがに莉緒のほうが早い。みるみるうちに金属類が集まっていく。注目される前に異空間ボックスに収納しているので、どれくらい集まったかはあとで確認してみないとわからない。

「チッ……、お前ら何しに来たんだよ……」

 しばらく集中しているとふいに声を掛けられた。
 顔を上げるとツルハシを肩にかけた冒険者が、不機嫌そうな表情で仁王立ちしている。

「ここはガキ連れて遊びに来るとこじゃねえんだ……よ!」

 最後の一文字を言い切ると同時に、振り上げた足で俺に向かって蹴りを放ってくる。接触する瞬間に土魔法で地面を盛り上げると、相手の足と自分の間に小さいでっぱりに見える壁を作り上げる。

「ぐあっ!?」

 周りから見れば、間抜けにも躓いたように見えるかもしれない。魔法の灯りは灯ってるとはいえ、基本的には薄暗い坑道だ。

「大丈夫ですか? 暗いので気を付けてくださいね」

 うずくまって足を抱えている冒険者へと声を掛けると、何事かと思ったフォニアもニルと一緒に近づいてきた。

「おじちゃん、だいじょうぶ?」

「……あぁ?」

 首をコテンと傾げるフォニアを睨みつける冒険者ではあるが、足を抑えて蹲っているからか少し迫力に欠ける。そうでなくてもEランク冒険者くらいじゃフォニアを怖がらせることもできていないけど。

「子ども連れですんませんね」

 今度はツルハシと集めた鉱石を詰めたカバンを背負ったイヴァンが現れる。俺と比べて筋肉質なイヴァンはガタイもよく、蹲っている冒険者よりはデカくて迫力はある。

「ふ、ふん……。こんな危ねぇところに連れてくるんじゃねぇよ」

 怖気付おじけづいたのか、足を庇いながらそそくさと去っていく。

「……なんだありゃ」

 あっさりと引き上げた相手に拍子抜けしたのか、イヴァンの口がポカンと開いたままになっている。

「まぁ厄介なことにならなくてよかったじゃない」

「それだけイヴァンにも貫禄が出てきたってことだろ」

「いやいや……」

 なぜか謙遜するイヴァンだが、実際にステータスの通りに強くなってるとは思うぞ。

「かんろく……? イヴァン兄もかっこいいよ?」

「そ、そうか?」

 よくわかっていないフォニアもイヴァンを褒めているが、そっちは素直に受け取るんだな。解せぬ。
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