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第三部
フォニアの決意
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「「「えっ?」」」
フォニアの言葉に、イヴァンを含めた俺たち三人から思わず声が漏れた。
「フォニアちゃん。私たちが行くのは冒険者ギルドよ」
莉緒が宥めに掛かるが、そんなことはわかってると言いたげにコクリと頷くフォニア。
「怖い人がいっぱいいるから、フォニアちゃんはお留守番してようか」
フォニアの両肩に手を乗せて、莉緒が諭すように語り掛ける。
「そうだぞフォニア。シュウやリオにこれ以上迷惑をかけるんじゃないぞ。……ただでさえ世話になりっぱなしだってのに」
後半は聞こえないくらいに小さい声だったが、俺にははっきりと聞こえた。世話をしている自覚はあるけど、気にしなくてもいいんだけどな。
「何をしに行くかわからないが……、確か冒険者になるのは十二歳以上からだっただろ? フォニアが行ってもなれないぞ」
「そうよフォニアちゃん。だからイヴァンとお留守番しておいてくれる?」
Gランク冒険者であれば確か十二歳未満でもなれたはずだ。でもさすがに下限年齢もあるだろうな。見た目小学生低学年くらいに見えるフォニアには、どちらにしろなれない可能性の方が高い。
そういえば莉緒にはまだ言ってなかったけど、フォニアのステータスは高いんだよな。単純な数字だけなら、Sランク冒険者のリンフォードに匹敵するほどだ。なれるかどうかはともかく、戦闘能力はあるんじゃないかと思う。
「やだ! ボクも、お兄ちゃんとお姉ちゃんとぼうけんする! それに、イヴァン兄にこれ以上、けがして欲しくないから……!」
二人の説得に応じないフォニアだったが、その理由がイヴァンの怪我とはね。
「俺かよ!?」
「まぁ確かにイヴァンは死にかけてたけどさ……。それはフォニアのせいじゃないだろ?」
「そうよ。イヴァンが弱いからであって、フォニアちゃんのせいじゃないわ」
「いやいやいや! 確かに弱いけど……! いやフォニアのせいじゃないのも確かだけど、なんか納得できねぇ!」
こぶしを握り締めて叫ぶが、誰もフォローはしてくれない。
「イヴァン兄も、ボクが守ってあげるから!」
「いやそこは俺が守る側だろう!?」
「ふふっ、フォニアちゃん」
莉緒は微笑ましいものを見るかのような笑顔を浮かべているが、あながち冗談でもないんだよなぁ。
「だって、しっぽの数がふえたんだもん!」
「尻尾?」
いまいち要領を得ないフォニアの言葉に、莉緒とイヴァンが首を傾げる。
「しっぽがふえたら強くなるって、お母さんが言ってたもん!」
「フォニアちゃん……」
お母さんと言う言葉が出たところで、莉緒が力なく呟く。奴隷から解放されて自由となった今、親元へ帰りたいと言い出してもおかしくないはずだ。だけどフォニアの望みは俺たちと冒険することみたいだ。
ふとイヴァンへと視線を向けるが、首を左右に振るジェスチャーが返ってきた。フォニアから奴隷になった経緯は聞いていないけど、すでに親はもういないのか、所在や行方を知らないのか、どっちかはわからない。
きりっとした顔でイヴァンを見上げると、フォニアが突然服を脱ぎだした。
「な、何やってんだフォニア!」
つるぺたすとーんな上半身を晒したかと思うと、穿いていたズボンと下着も脱ぎ去る。そしてイヴァンが驚いている間もなく、狐の獣の姿へと変化した。
「えっ?」
目をこれでもかと見開いて一時停止するイヴァン。次いで俺と莉緒へと首を巡らせた後、ギギギと音が鳴りそうなぎこちない動きでフォニアを二度見する。
「ええぇぇっ!?」
帝都の高級宿に、イヴァンの叫び声が響き渡った。やっぱり知らなかったらしい。
「フォニアは妖狐っていう魔物らしいよ」
「ええええぇぇぇぇっ!?」
「なんでも尻尾が増えれば指数関数的に強いらしいけど……。でもここで獣になったってことは、もしかして俺の従魔として一緒に冒険したいってことなのか?」
俺の問いかけに、フォニアはこくりと深く頷きを返してくる。確かに幼女で冒険者登録はできそうにないから、それしか方法はないのかもしれないけど。
「うーん……」
世界を旅するだけの俺たちとしては、特に危険なことをするつもりはないし子どもを連れていても問題はなさそうではある。
「いや……、ちょっ……、フォニア!?」
落ち着かないイヴァンは名前を叫ぶことくらいしかできていない。
「イヴァンはどうするんだ?」
「えっ……」
「フォニアは俺たちと旅をしたいって言ってるけど、イヴァンはどうしたいんだ?」
俺たちに迷惑をかけたくないと思ってそうな雰囲気のあるイヴァンだ。帝国を出ればフォニアを連れて二人で生きていくんじゃないかと思ってた。でもフォニアが実は魔物で、まさか俺の従魔になりたいと言い出すとは思ってなかった。
「……というか、イヴァンの従魔にはなれないのかな」
ふと思いついたことが言葉に出る。
ちょうど聞こえたのか、フォニアがイヴァンの近くまで歩いていき、鼻先をこすりつけだした。
「なんだよ、フォニア……」
しばらくくすぐったそうにしていたけどそれもわずかな時間だった。フォニアはこちらを振り返ると耳と尻尾を垂れた悲しそうな表情で、首を左右に振る。
「俺じゃダメなのかよ……!」
何とも悔しそうにするイヴァンを見ていると、ふとフォニアとつながりができるのを感じた。この感覚はなんか知ってるやつだ。ニルが従魔になったときを思い出す。
『イヴァン兄はダメだったよ……』
と同時に頭にフォニアの声が響いてきた。
フォニアの言葉に、イヴァンを含めた俺たち三人から思わず声が漏れた。
「フォニアちゃん。私たちが行くのは冒険者ギルドよ」
莉緒が宥めに掛かるが、そんなことはわかってると言いたげにコクリと頷くフォニア。
「怖い人がいっぱいいるから、フォニアちゃんはお留守番してようか」
フォニアの両肩に手を乗せて、莉緒が諭すように語り掛ける。
「そうだぞフォニア。シュウやリオにこれ以上迷惑をかけるんじゃないぞ。……ただでさえ世話になりっぱなしだってのに」
後半は聞こえないくらいに小さい声だったが、俺にははっきりと聞こえた。世話をしている自覚はあるけど、気にしなくてもいいんだけどな。
「何をしに行くかわからないが……、確か冒険者になるのは十二歳以上からだっただろ? フォニアが行ってもなれないぞ」
「そうよフォニアちゃん。だからイヴァンとお留守番しておいてくれる?」
Gランク冒険者であれば確か十二歳未満でもなれたはずだ。でもさすがに下限年齢もあるだろうな。見た目小学生低学年くらいに見えるフォニアには、どちらにしろなれない可能性の方が高い。
そういえば莉緒にはまだ言ってなかったけど、フォニアのステータスは高いんだよな。単純な数字だけなら、Sランク冒険者のリンフォードに匹敵するほどだ。なれるかどうかはともかく、戦闘能力はあるんじゃないかと思う。
「やだ! ボクも、お兄ちゃんとお姉ちゃんとぼうけんする! それに、イヴァン兄にこれ以上、けがして欲しくないから……!」
二人の説得に応じないフォニアだったが、その理由がイヴァンの怪我とはね。
「俺かよ!?」
「まぁ確かにイヴァンは死にかけてたけどさ……。それはフォニアのせいじゃないだろ?」
「そうよ。イヴァンが弱いからであって、フォニアちゃんのせいじゃないわ」
「いやいやいや! 確かに弱いけど……! いやフォニアのせいじゃないのも確かだけど、なんか納得できねぇ!」
こぶしを握り締めて叫ぶが、誰もフォローはしてくれない。
「イヴァン兄も、ボクが守ってあげるから!」
「いやそこは俺が守る側だろう!?」
「ふふっ、フォニアちゃん」
莉緒は微笑ましいものを見るかのような笑顔を浮かべているが、あながち冗談でもないんだよなぁ。
「だって、しっぽの数がふえたんだもん!」
「尻尾?」
いまいち要領を得ないフォニアの言葉に、莉緒とイヴァンが首を傾げる。
「しっぽがふえたら強くなるって、お母さんが言ってたもん!」
「フォニアちゃん……」
お母さんと言う言葉が出たところで、莉緒が力なく呟く。奴隷から解放されて自由となった今、親元へ帰りたいと言い出してもおかしくないはずだ。だけどフォニアの望みは俺たちと冒険することみたいだ。
ふとイヴァンへと視線を向けるが、首を左右に振るジェスチャーが返ってきた。フォニアから奴隷になった経緯は聞いていないけど、すでに親はもういないのか、所在や行方を知らないのか、どっちかはわからない。
きりっとした顔でイヴァンを見上げると、フォニアが突然服を脱ぎだした。
「な、何やってんだフォニア!」
つるぺたすとーんな上半身を晒したかと思うと、穿いていたズボンと下着も脱ぎ去る。そしてイヴァンが驚いている間もなく、狐の獣の姿へと変化した。
「えっ?」
目をこれでもかと見開いて一時停止するイヴァン。次いで俺と莉緒へと首を巡らせた後、ギギギと音が鳴りそうなぎこちない動きでフォニアを二度見する。
「ええぇぇっ!?」
帝都の高級宿に、イヴァンの叫び声が響き渡った。やっぱり知らなかったらしい。
「フォニアは妖狐っていう魔物らしいよ」
「ええええぇぇぇぇっ!?」
「なんでも尻尾が増えれば指数関数的に強いらしいけど……。でもここで獣になったってことは、もしかして俺の従魔として一緒に冒険したいってことなのか?」
俺の問いかけに、フォニアはこくりと深く頷きを返してくる。確かに幼女で冒険者登録はできそうにないから、それしか方法はないのかもしれないけど。
「うーん……」
世界を旅するだけの俺たちとしては、特に危険なことをするつもりはないし子どもを連れていても問題はなさそうではある。
「いや……、ちょっ……、フォニア!?」
落ち着かないイヴァンは名前を叫ぶことくらいしかできていない。
「イヴァンはどうするんだ?」
「えっ……」
「フォニアは俺たちと旅をしたいって言ってるけど、イヴァンはどうしたいんだ?」
俺たちに迷惑をかけたくないと思ってそうな雰囲気のあるイヴァンだ。帝国を出ればフォニアを連れて二人で生きていくんじゃないかと思ってた。でもフォニアが実は魔物で、まさか俺の従魔になりたいと言い出すとは思ってなかった。
「……というか、イヴァンの従魔にはなれないのかな」
ふと思いついたことが言葉に出る。
ちょうど聞こえたのか、フォニアがイヴァンの近くまで歩いていき、鼻先をこすりつけだした。
「なんだよ、フォニア……」
しばらくくすぐったそうにしていたけどそれもわずかな時間だった。フォニアはこちらを振り返ると耳と尻尾を垂れた悲しそうな表情で、首を左右に振る。
「俺じゃダメなのかよ……!」
何とも悔しそうにするイヴァンを見ていると、ふとフォニアとつながりができるのを感じた。この感覚はなんか知ってるやつだ。ニルが従魔になったときを思い出す。
『イヴァン兄はダメだったよ……』
と同時に頭にフォニアの声が響いてきた。
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