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第三部
ぶちかませ!
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莉緒と二人で船から空中へと浮かび上がると、魔法を放つべく魔力を練り上げる。まずは愚直に魔力を込めまくった土魔法だ。莉緒も同じように頭上に岩の塊を魔法で作りあげる。
「はぁっ!?」
「なんだあの大きさは!?」
「すごく……、大きいです」
レックスたちから視線が刺さるが全部スルーだ。
ついでに何か叫び声も聞こえるけど聞こえないふりを続ける。
直径十メートルほどになったところで発射する。発射の際にも魔力を上乗せしてスピードを上げることも忘れない。追従するように俺よりでかい岩の塊が莉緒からも飛んでいく。
巨大な物体が進む背後の海面がさざ波だっているが、ぽろぽろと岩の破片を海面へ落としながら進んでいるようだ。
「うーん……、発射時のエネルギーに弾が耐えられてない感じがするわね」
亀に着弾するも、元々入っていたヒビが心持ち大きくなったような気がしないでもない。
「弾も圧縮して硬度を上げないとダメか」
「そうね。試してみましょう」
こそこそする必要もないので堂々と実験を繰り返すことにする。
同じくらいの質量の岩の塊を、バランスボールくらいのサイズにまで圧縮する。どうせなら銃弾みたいな形にしてみようか。
「よし、発射」
さっきよりは甲高い音を響かせながら銃弾が亀へと迫る。
「着弾」
「あ、弾が甲羅にめり込んでるわね」
「おお、そりゃいいな。ちょっといろんな形を試してみようか」
「そうね。先端は尖ってた方がいいのかしら?」
「先端だけじゃなくて太さとか、あとはライフリングだっけ? こう、弾に回転を加えるとか」
「へぇ、そういうのがあるのね」
なんとなく知ってるだけの銃関連の知識を加えて実験を重ねていく。太い弾、細い弾、平たい弾などいろいろ試してみたが、表面の甲羅を破壊するのであれば平たい弾頭がよさそうだ。
「弾頭が突き刺さってから爆発すればもっと威力上がりそうだな」
火魔法も込めて爆発する弾を試すも、思ったような効果が出ない。
「うーん。爆発よりもこう、衝撃を伝えられればいいんだけど……」
爆風というよりは、振動が伝わればいいんだろうか。あとは発射速度だよなぁ。
「リンフォードさんみたいな銃身が用意できればいいんだろうけど」
「ちょっとこの場で簡単に真似られるようなものじゃないわね」
ある程度練習しないとモノにならない予感はする。亀が上陸するまでには習得しておきたいものだが、今はできることをやろう。発射台よりも弾の改良だ。
「……ん?」
ふと気が付くと、爆発音が自分たちが魔法を発射した時にしか聞こえなくなっていた。二つの船へと視線を飛ばせば、ぐったりしているレックスが一人、あとは杖を仕舞って休憩をする人ばかりだ。
「あれ、そろそろ作戦終了ですか?」
リンフォードの傍へと近づいて尋ねてみるが、苦笑いが返ってきた。
「あー、そうだな。港へ帰ってこれる程度に魔力を残して攻撃を撃ち込んだら、それでこの作戦は終了だ。アンタらは……、まだまだ余裕そうだな」
もうそんなに時間経ってたのか。確かにまだ余裕はあるけどどうしようかな。あんまり見られながら実験を続けるのもなぁ。
「次で終わりにしますよ」
「そうね。そろそろ疲れちゃったし」
最後は魔力を多めにつぎ込んで終わりにするか。
「そうか。わかった。派手にやってくるといい」
自分を鑑定すると、MPはまだ15000は残っているようだ。莉緒に至っては80000ほど残している。この数字がどれだけ当てになるかわからないが、ほどほどに残して使い切ることにしよう。
少しだけ船から距離を取り、同じように魔力を込めていく。今まで以上に魔力を込めると何やら空気がビリビリと震えてきたような気がした。いや、気のせいじゃないな。莉緒からの圧力がすごい。海面もいつもと違う波が起こっている。
頭上に超圧縮した岩の塊を生成すると、徐々に回転を加えていく。
莉緒も同じように回転を加えているが、俺よりも回転数は多い気がする。同時に着弾するようにタイミングを合わせて発射する。若干だが俺が先に発射だ。弾速や回転数は魔力の多い莉緒には敵わない。
海面を切り裂きながら土魔法の弾丸が飛翔すると、海皇亀の甲羅へと着弾する。今までにない激しい衝撃が空間を伝わってくる。
「やったか!?」
どこからか声が聞こえてくるが、どうせ倒せたなんて思ってないのでお好きにどうぞ。海皇亀を鑑定してもHPはさっぱり減ってないしね。
だがしかし、その瞬間だった。
頭の奥に激しくチリチリとした感触が不安と共に駆けあがってくる。今までに感じたことのない感覚だけど、ヤバい何かが起きるということだけはわかる。
「莉緒! 気を付けろ!」
いったいどこから来る!? 脅威は目の前にいる海皇亀しか思いつかないが、特に背中の甲羅で何かが起こる前兆は見られない。
「――ッ!?」
方向は足元か!
視線を向けると海中が泡立っているのが見える。
「足元だ! 避けろ!」
声を掛けると同時に急加速をするとその場を離れる。
海中から迫ってくる何かが、今までいた場所を通過したのは同時だった。時間差で放たれたもう一つの閃光が、莉緒がいた空間を飲み込む様子が視界の隅に見えた気がした。
「はぁっ!?」
「なんだあの大きさは!?」
「すごく……、大きいです」
レックスたちから視線が刺さるが全部スルーだ。
ついでに何か叫び声も聞こえるけど聞こえないふりを続ける。
直径十メートルほどになったところで発射する。発射の際にも魔力を上乗せしてスピードを上げることも忘れない。追従するように俺よりでかい岩の塊が莉緒からも飛んでいく。
巨大な物体が進む背後の海面がさざ波だっているが、ぽろぽろと岩の破片を海面へ落としながら進んでいるようだ。
「うーん……、発射時のエネルギーに弾が耐えられてない感じがするわね」
亀に着弾するも、元々入っていたヒビが心持ち大きくなったような気がしないでもない。
「弾も圧縮して硬度を上げないとダメか」
「そうね。試してみましょう」
こそこそする必要もないので堂々と実験を繰り返すことにする。
同じくらいの質量の岩の塊を、バランスボールくらいのサイズにまで圧縮する。どうせなら銃弾みたいな形にしてみようか。
「よし、発射」
さっきよりは甲高い音を響かせながら銃弾が亀へと迫る。
「着弾」
「あ、弾が甲羅にめり込んでるわね」
「おお、そりゃいいな。ちょっといろんな形を試してみようか」
「そうね。先端は尖ってた方がいいのかしら?」
「先端だけじゃなくて太さとか、あとはライフリングだっけ? こう、弾に回転を加えるとか」
「へぇ、そういうのがあるのね」
なんとなく知ってるだけの銃関連の知識を加えて実験を重ねていく。太い弾、細い弾、平たい弾などいろいろ試してみたが、表面の甲羅を破壊するのであれば平たい弾頭がよさそうだ。
「弾頭が突き刺さってから爆発すればもっと威力上がりそうだな」
火魔法も込めて爆発する弾を試すも、思ったような効果が出ない。
「うーん。爆発よりもこう、衝撃を伝えられればいいんだけど……」
爆風というよりは、振動が伝わればいいんだろうか。あとは発射速度だよなぁ。
「リンフォードさんみたいな銃身が用意できればいいんだろうけど」
「ちょっとこの場で簡単に真似られるようなものじゃないわね」
ある程度練習しないとモノにならない予感はする。亀が上陸するまでには習得しておきたいものだが、今はできることをやろう。発射台よりも弾の改良だ。
「……ん?」
ふと気が付くと、爆発音が自分たちが魔法を発射した時にしか聞こえなくなっていた。二つの船へと視線を飛ばせば、ぐったりしているレックスが一人、あとは杖を仕舞って休憩をする人ばかりだ。
「あれ、そろそろ作戦終了ですか?」
リンフォードの傍へと近づいて尋ねてみるが、苦笑いが返ってきた。
「あー、そうだな。港へ帰ってこれる程度に魔力を残して攻撃を撃ち込んだら、それでこの作戦は終了だ。アンタらは……、まだまだ余裕そうだな」
もうそんなに時間経ってたのか。確かにまだ余裕はあるけどどうしようかな。あんまり見られながら実験を続けるのもなぁ。
「次で終わりにしますよ」
「そうね。そろそろ疲れちゃったし」
最後は魔力を多めにつぎ込んで終わりにするか。
「そうか。わかった。派手にやってくるといい」
自分を鑑定すると、MPはまだ15000は残っているようだ。莉緒に至っては80000ほど残している。この数字がどれだけ当てになるかわからないが、ほどほどに残して使い切ることにしよう。
少しだけ船から距離を取り、同じように魔力を込めていく。今まで以上に魔力を込めると何やら空気がビリビリと震えてきたような気がした。いや、気のせいじゃないな。莉緒からの圧力がすごい。海面もいつもと違う波が起こっている。
頭上に超圧縮した岩の塊を生成すると、徐々に回転を加えていく。
莉緒も同じように回転を加えているが、俺よりも回転数は多い気がする。同時に着弾するようにタイミングを合わせて発射する。若干だが俺が先に発射だ。弾速や回転数は魔力の多い莉緒には敵わない。
海面を切り裂きながら土魔法の弾丸が飛翔すると、海皇亀の甲羅へと着弾する。今までにない激しい衝撃が空間を伝わってくる。
「やったか!?」
どこからか声が聞こえてくるが、どうせ倒せたなんて思ってないのでお好きにどうぞ。海皇亀を鑑定してもHPはさっぱり減ってないしね。
だがしかし、その瞬間だった。
頭の奥に激しくチリチリとした感触が不安と共に駆けあがってくる。今までに感じたことのない感覚だけど、ヤバい何かが起きるということだけはわかる。
「莉緒! 気を付けろ!」
いったいどこから来る!? 脅威は目の前にいる海皇亀しか思いつかないが、特に背中の甲羅で何かが起こる前兆は見られない。
「――ッ!?」
方向は足元か!
視線を向けると海中が泡立っているのが見える。
「足元だ! 避けろ!」
声を掛けると同時に急加速をするとその場を離れる。
海中から迫ってくる何かが、今までいた場所を通過したのは同時だった。時間差で放たれたもう一つの閃光が、莉緒がいた空間を飲み込む様子が視界の隅に見えた気がした。
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