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第四章
ニュース
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「お、おお……、パソコンだ……」
三人まとめて紹介してもらった宿の一室から俺の自室へと帰り、初めて発した瑞樹のセリフがそれだった。
二日ぶりに文明の利器と接するとそんな感想も出るだろうか。って、たった二日か。
といっても瑞樹自身の体感時間はどれほどかはわからないが。
俺の部屋をキョロキョロと見回す瑞樹。まぁ好きなようにするといいさ。――秘蔵品の隠し場所にさえたどり着かなければな。
フィアはいつもの通り、風呂の用意をしに部屋を出て行った。
「今日はもう遅いし、とりあえず泊まってくといい」
「え? あ、はい。……そうですね。……お世話になります」
時間を確認すると、まだ十九時のようだった。
キサラギ高校周辺であれば、今からでも十分に帰れる距離ではあるが、余裕をもって行動したほうがいいだろう。
実家に帰るかどうかはニュースなんかを見て現状を知ってからでもいい。
そういえばニュースの記事をスマホに入れてたけど見せる機会はなかったな。……今となっては不要だけど。
「ほれ、パソコン使いたけりゃ使っていいぞ」
マウスを動かしてやると真っ黒だった画面が映し出されてウェブブラウザが表示される。
そのまま俺はベッドへと腰かけて、パソコンの前の椅子の場所を空けてやった。
恐る恐る椅子へと腰かけてマウスを手にするが、そのまま動き出す気配がない。
ふむ。パソコンを日常的に使う生活をしていたわけではないのだろうか。
などと思っていると瑞樹の手が動き出した。検索窓に何かを打ち込んでいるようである。
俺も何か変わったことがないかと思い、スマホでニュースを検索してみる。
――が、昨日と特に変わった記事はないようだ。
「あ……、おれってやっぱり……、死んだことに……。
……父さん、……母さん
……って、うわぁ、ナニコレ。ちょっと信じられ……ああ、……そっか、……ハハハ」
嗚咽が聞こえてくるかと思ったが、予想に反して聞こえてきたのは乾いた笑いだった。
ちょうどそのときにフィアが部屋へと帰ってきた。
「おかえり……?」
しかもなぜか動きやすかったズボンからスカートへと着替えている。一体何がしたいのか。思わず疑問形になったじゃないか。
「ただいま」
「えっ? あ、おかえり? ……どこ行ってたの? ……あれ?」
我に返ったかのようにフィアを振り返ると、思わずそんな疑問を漏らしている瑞樹。
「お風呂の用意だよ」
我が家では風呂の用意はフィアの役目となっている。むしろ自分が入りたいがために自ら率先して用意をしているのだ。
しかし着替える必要はないだろう。というか着替えるのなら風呂の後じゃ。
「え? お風呂? あ、そうか。そういえば婚約者だったな。……一緒に住んでても、……って、そういえばフィアさんって日本人じゃないよね……?」
フィアをまじまじと見つめながらそんなことをブツブツと呟いている。
日本の住宅である我が家に、金髪碧眼美少女がいることにようやく違和感が仕事をしたのだろうか。
もう慣れてしまったが、確かに日本風景には黒髪の日本人が合うというものだ。
「ええ、私は日本人じゃないよ。……どっちかというと、今のミズキちゃんに近いかも……?」
いたずらっぽく笑うフィアだったが、瑞樹には全く理解できるはずもなく首をかしげるだけだ。
そんな瑞樹に近づくと、フィアはパソコンを操作して検索窓に「モンスターズワールド」と人差し指だけを使ってゆっくりと打ち込んでいく。
異世界とは言え母国語が日本語なだけはある世界の出身なだけはある。さすがにタイピングまでは身についていないが、パソコンの使い方もある程度できるのだった。
「え? ええぇぇ? モンスターズワールドって、オンラインゲームだよね……?」
ゲームのトップサイトが表示されるが、そこに見せたいものはない。そのままフィアはマウスを操作してキャラクターのボタンをクリックすると、フィア自身の紹介文のところまでスクロールさせる。
「え? なに? これがどうかした……?」
画面の中のフィアを見てから、隣にいる現実のフィアを見ようとしてすぐにまた画面へと視線を戻す。見事な二度見である。
そして次に現実のフィアを見る顔には困惑の表情が張り付いていた。
「……なんかそっくりなんですけど」
「はい。わたくし、本名はフィアリーシス・フォン・ブレイブリスと申します。以後お見知りおきを」
瑞樹の疑問の言葉に、フィアは口調を変えて本名を名乗ると綺麗にカーテシーを決めるのだった。
三人まとめて紹介してもらった宿の一室から俺の自室へと帰り、初めて発した瑞樹のセリフがそれだった。
二日ぶりに文明の利器と接するとそんな感想も出るだろうか。って、たった二日か。
といっても瑞樹自身の体感時間はどれほどかはわからないが。
俺の部屋をキョロキョロと見回す瑞樹。まぁ好きなようにするといいさ。――秘蔵品の隠し場所にさえたどり着かなければな。
フィアはいつもの通り、風呂の用意をしに部屋を出て行った。
「今日はもう遅いし、とりあえず泊まってくといい」
「え? あ、はい。……そうですね。……お世話になります」
時間を確認すると、まだ十九時のようだった。
キサラギ高校周辺であれば、今からでも十分に帰れる距離ではあるが、余裕をもって行動したほうがいいだろう。
実家に帰るかどうかはニュースなんかを見て現状を知ってからでもいい。
そういえばニュースの記事をスマホに入れてたけど見せる機会はなかったな。……今となっては不要だけど。
「ほれ、パソコン使いたけりゃ使っていいぞ」
マウスを動かしてやると真っ黒だった画面が映し出されてウェブブラウザが表示される。
そのまま俺はベッドへと腰かけて、パソコンの前の椅子の場所を空けてやった。
恐る恐る椅子へと腰かけてマウスを手にするが、そのまま動き出す気配がない。
ふむ。パソコンを日常的に使う生活をしていたわけではないのだろうか。
などと思っていると瑞樹の手が動き出した。検索窓に何かを打ち込んでいるようである。
俺も何か変わったことがないかと思い、スマホでニュースを検索してみる。
――が、昨日と特に変わった記事はないようだ。
「あ……、おれってやっぱり……、死んだことに……。
……父さん、……母さん
……って、うわぁ、ナニコレ。ちょっと信じられ……ああ、……そっか、……ハハハ」
嗚咽が聞こえてくるかと思ったが、予想に反して聞こえてきたのは乾いた笑いだった。
ちょうどそのときにフィアが部屋へと帰ってきた。
「おかえり……?」
しかもなぜか動きやすかったズボンからスカートへと着替えている。一体何がしたいのか。思わず疑問形になったじゃないか。
「ただいま」
「えっ? あ、おかえり? ……どこ行ってたの? ……あれ?」
我に返ったかのようにフィアを振り返ると、思わずそんな疑問を漏らしている瑞樹。
「お風呂の用意だよ」
我が家では風呂の用意はフィアの役目となっている。むしろ自分が入りたいがために自ら率先して用意をしているのだ。
しかし着替える必要はないだろう。というか着替えるのなら風呂の後じゃ。
「え? お風呂? あ、そうか。そういえば婚約者だったな。……一緒に住んでても、……って、そういえばフィアさんって日本人じゃないよね……?」
フィアをまじまじと見つめながらそんなことをブツブツと呟いている。
日本の住宅である我が家に、金髪碧眼美少女がいることにようやく違和感が仕事をしたのだろうか。
もう慣れてしまったが、確かに日本風景には黒髪の日本人が合うというものだ。
「ええ、私は日本人じゃないよ。……どっちかというと、今のミズキちゃんに近いかも……?」
いたずらっぽく笑うフィアだったが、瑞樹には全く理解できるはずもなく首をかしげるだけだ。
そんな瑞樹に近づくと、フィアはパソコンを操作して検索窓に「モンスターズワールド」と人差し指だけを使ってゆっくりと打ち込んでいく。
異世界とは言え母国語が日本語なだけはある世界の出身なだけはある。さすがにタイピングまでは身についていないが、パソコンの使い方もある程度できるのだった。
「え? ええぇぇ? モンスターズワールドって、オンラインゲームだよね……?」
ゲームのトップサイトが表示されるが、そこに見せたいものはない。そのままフィアはマウスを操作してキャラクターのボタンをクリックすると、フィア自身の紹介文のところまでスクロールさせる。
「え? なに? これがどうかした……?」
画面の中のフィアを見てから、隣にいる現実のフィアを見ようとしてすぐにまた画面へと視線を戻す。見事な二度見である。
そして次に現実のフィアを見る顔には困惑の表情が張り付いていた。
「……なんかそっくりなんですけど」
「はい。わたくし、本名はフィアリーシス・フォン・ブレイブリスと申します。以後お見知りおきを」
瑞樹の疑問の言葉に、フィアは口調を変えて本名を名乗ると綺麗にカーテシーを決めるのだった。
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