【R-18】龍の騎士と龍を統べる王

白金犬

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第3章『”剣士”覚醒』編

第136話 生まれてきてはいけなかった生命

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「けほっ……ごほっ……!」

 ベッドの上でヴィジオールが咽る。

 ちょうど、男児を切望していたヴァルガンダル家に女児が生まれたというところまで話したところだった。

「大丈夫ですか、父上。少しお休みになられた方が……」

「うむ、そうだな。久しぶりに長々と喋ってしまったな……すまんが、温かいものでも持ってきてくれるか」

 手の甲で口を拭いながら言ってくる父王ヴィジオールに、カリオスはうなずいてから席を立って、ヴィジオールの部屋を出る。

「カ、カリオス殿下? どうしましたか?」

 完全に気を抜いていたのか、部屋の前に立っていた衛兵は部屋から出てきたカリオスを見て、あからさまに驚く。

「お茶でも入れてこようかと思ってな」

「そ、そのようなこと侍女にでも……い、いえ私が!」

「いや、いいんだ。たまには俺にも親孝行をさせてくれ」

 苦笑しながらカリオスがそう言って、調理室へ歩を進めていく。

 そしてそこにいたメイド達にまた驚かれ、第1王子にそんなことをさせるわけにはいかないとどやされるのを押し切ってカリオスがお茶を淹れようとすると、メイド達から口うるさく色々と指示されて。

 そんな中、カリオスは父から聞いた昔話の内容を思い返していた。

(やっぱり、母上は母上だったな……)

 ルエールの妻の前で頬を引っぱたかれたことなど、覚えているような覚えていないような、おぼろげな記憶の中だ。

 しかし、母プリメータがどんな母親だったのかという記憶はしっかりと残っている。ヴィジオールが語る昔話に出てくるプリメータは、まさしくカリオスが覚えているのと、そのままの母親だった。


『どんな子だって望まれて生まれてくるんです』

『望まれずに生まれてくる命なんて、生まれてはいけない命なんて、この世界にはありません』

『どんな子も幸せになるために生まれてきます』


(母上らしいな……)

 カリオスの脳裏に、在りし日の母の笑顔が浮かぶと、思わず思い出し笑いをしてしまう。

 強い母だった。強くて厳しく、そして優しい母だった。

 カリオスはそんな母が大好きだった。だからリリライトが生まれて、大好きな母親の愛情を妹に独占された時は、それはもう激しく嫉妬したものだ。


『そして願わくは、あなた達が周りの人達を、世界を幸せに出来るような人に育ってくれますように――』


(大丈夫です、母上)

 リリライトは『純白の姫』と呼ばれるようになりました。その太陽のような明るい笑顔は、それだけで周りの人々を幸せにするような、そんな笑顔が出来る人間になりました。間違いなく、母が願う素晴らしい姫に成長しました。

「必ず救ってみせる」

 お茶を乗せたトレイを持つ手に、思わず力が入る。

 妹は、リリライトは、断じてあの悪魔に利用されるために生まれてきたのではない。

 多くの人を愛し、多くの人から愛され、そして世界を幸せにするために。

 ――幸せになりますように――

そんな母からの願いを、祝福を受けて生まれてきたのだ。

 そして、それはリリライトだけではなく。

「リリもアンナも、必ず俺が救って見せる」

 カリオスは決意に満ちた声を漏らしながら、再びヴィジオールの部屋へと戻るのだった。

□■□■

 一方その頃、第2王女派陣営。

 クラベール領から撤退した第2王女派の今の最前線基地は、クラベールに隣接するバーグランド領に構えている。

 第2王女派本拠地はミュリヌス領であるが、第2王女派を従えるリリライト、そしてそのリリライトを裏から操るグスタフは、クラベールにおける敗戦に伴って今はバーグランド領に入っていた。

 そして今バーグランド領には、クラベール領の決戦で戦力を減らしてしまった分を補充するため、ヘルベルト連合国から追加の戦力が集結しつつあった。

 そんな中、とある日の深夜。

 リリライトや幹部の人間達はバーグランド領に駐留している間、元領主の屋敷を生活の拠点としている。

その屋敷の中にある、とある寝室において

「はむっ……ちゅば……ちゅっ……」

「うっ、おお……こ、これが『純白の姫』の……おおっ」

「こ、この手慣れた手つき……ふおおおっ」

 『純白の姫』の象徴である純白のドレスを見事に着こなしながら、リリライトは1人の男の肉棒を咥えて金髪を揺らしており、もう1人の男の肉棒を手で扱いていた。

「あむうっ……ぢゅるるるるっ……ぢゅっ、ぢゅっっ! ぢゅ~~~~っ!」

「うおおおおおおっ! 舌が絡みついて……吸い付きが……っ! で、出る……」

「わ、ワシももう限界じゃ。リリライト王女……出るぞっ! うおおおおっ!」

 リリライトの激しい口奉仕と手奉仕により、男2人は身体をビクビクと痙攣させながら精を発射する。

手で扱かれていた肉棒は、リリライトの可憐な金髪と白い肌へ浴びせかけるように白濁を発射し、口で咥えられている肉棒はそのままリリライトの小さな口の中で白濁を発射する。

「んんんぅ……んぐっ……ごくっ……こくんっ……ぷはぁ……ごちそうさまです♪」

 量も多く濃い雄の精を、リリライトはジュースでも飲み干すかのように、コクコクと喉を鳴らしながら嚥下していくと、ぺろりと舌を出して妖艶な笑みを浮かべる。

「ふ、ふふっ……全く。どうやって兵を集めているかと思えば、この淫乱姫め」

 まだまだあどけなさの残るリリライトの顔が、雄を挑発するように妖艶に微笑むと、射精したばかりの雄2匹の肉棒が、再びムクムクと大きくなっていく。

「お二人ともとってもお元気ですね。では……」

 うっとりとした表情でリリライトはそう言うと、自らのドレスを脱ごうと手をかけ始める。すると

「あ~、待て待てリリライト姫。ドレスはそのままで良い」

「そうじゃのう。せっかくあの『純白の姫』を抱くんじゃ。そのままの格好の方が興奮するじゃて」

「まあ……」

 そんな欲望にギラついた雄2匹の提案に、リリライトは顔を輝かせる。

 それは紛れもなく、『純白の姫』の象徴たる太陽のような明るい笑顔である。

「素敵です。そうやって殿方の欲望の捌け口にされると思うと……あぁぁぁ……オマンコが疼きますぅ。っきゃああ」

 そうして発情した雌のように身悶えるリリライトを、辛抱できなくなった方の雄がベッドに乱暴に押し倒す。

「はぁっ、はぁっ……! いいんだな! 本当に犯すぞ? 今更無しだといっても通用せんぞ!」

「ふふふ……逞しい殿方……とても素敵です。今更無しなんて……そんなのリリの方が嫌です。ただしぃ……」

 リリライトは笑う。

 それは、相変わらず雄を誘う妖艶な笑み。雄の理性を狂わせ、人外の色香を惑わせる悪魔の微笑みだった。

「たくさんの兵隊を、リリに貸して下さいね。いっぱい第1王子派を殺してくれた兵隊さんの国の代表の方は、聖アルマイトを手にした暁にはリリの旦那さんになっていただいて、毎日毎日セックス子作りに励みましょうね……っふあああああっ」

 リリライトが言い終わらないうちに、リリライトを組み伏した雄はドレスのスカートを乱暴にまくり上げて、リリライトの秘穴に自らの剛直を突き入れる。

「うっ……おおおおっ! こ、これが『純白の姫』の……す、すごい! どんな高級娼婦よりも……おっ……おおおっ!」

 リリライトの秘穴に挿入した途端、彼女の雌肉が貪欲にぎゅうぎゅうと雄の棒へ吸い付き、絡み、搾る様にしてくる。

「あああっ……すごぉ……オマンコが勝手に締まっちゃいます。はぁ……はぁ……」

 そしてもう1人の雄が、犯されているリリライトを呆然と見下ろしていると、リリライトは見せつけるように舌を出して、自らの指を舐める。

「おじ様はぁ、リリに兵隊を貸してくれないんですかぁ? おじ様は、さっきは手でしたよねぇ? リリのお口、とっても気持ちいいですよぉ」

 ペロリ、と自らの唇を舌なめずりするリリライト。そうして雄を誘惑する雌の所作に、もう1人の男も辛抱が出来なくなったのが、肉棒をリリライトの口にねじ込む。

「んむううううっ……!」

「いくらでも兵隊なぞ出してやるっ! っうおおお! なんだこの口は……す、吸われ……おおおっ!」

 乱暴にねじ込まれた肉棒だが、リリライトは頬を凹ますようにしながら、貪欲に貪りつく。

「んんんんんっ~~! ぢゅっぼおお! あむっ……あぁぁっ! 突いてっ……はむ、れろっ……ちゅばっ! もっと突いて下さいっ! リリを可愛がってください」

 肉棒を秘穴に突っ込まれながら、肉棒を貪る『純白の姫』。グチュグチュという、愛液や唾液の淫猥な水音が部屋の中に響き渡る。

「くううううっ……だ、出すぞっ! 純白の姫の中にっ……聖アルマイト第2王女の中に子種を出すぞっ!」

「はぁぁぁぁっ! だ、出してっ! 私に中出ししたら、兄様に八つ裂きにされますけど! 万が一に妊娠したら、大変なことになりますけど! 頭空っぽにして、お猿さんみたいに種付けして下さいぃ! れろれろれろっ! はむうっ……んううううっ!」

「うおおおおおっ! ワシも出るっ! 出るぞ、リリっ! 受け取れぇぇっ!」

 リリライトに群がる雄2人は、猛然と腰を振ると、そのままためらうことなく獣欲を、その小柄な体に吐き出す。

「はぁっ……はぁ……」「ふぅ……ひぃ……」

 2人共、2度目の射精をリリライトにぶつけて、汗を垂らしながら息を弾ませている。

「んっ……ぁあ~……お口もオマンコも、ザーメンでいっぱいぃ……幸せ、幸せ、幸せ。幸せです、ダーリン。ダーリンのザーメンも欲しいですぅ……ちゅばちゅば……」

 まるで夢見心地のようにぼうくリリライトは、顔についた白濁を指で掬い取り、まるでアメを舐めるようにしゃぶり始める。

「ねぇ、おじ様方。もう戦争とか兵隊とか何でもいいから、もっとセックスしましょうよぉ。もっとリリを気持ちよくして。幸せにして。愛して下さぁい」

 それでもまだ雄を誘うリリライト。その表情は雌の快楽に蕩け切っている。

 既に子種を吐き尽くしたはずの2匹の雄が、雌の獣欲に溺れている『純白の姫』を見れば

「「うおおおおおおおお」」

 再びギラついた目をして、獣のようにリリライトに襲い掛かる。その肉棒は、再び先ほどのようにーーいや、この情事を開始する前よりも硬く大きく屹立していた。

 その様子は、明らかに尋常ではなく、その性欲は人間のソレを超えていた。

    ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

「なんと、悍ましい。これが『純白の姫』の正体ですか」

 同じくバーグランド邸の別室。

第2王女派の軍師職を任されているフェスティアの執務室とされている部屋は、たまたリリライト達が情事を行っている部屋の隣なのだが、彼女達の獣の声は壁を通して聞こえてくるのだった。

 既に多くの者が眠りについている深夜の時間帯、ヘルベルト連合の戦闘部隊『龍の爪』所属にして、『尖槍』の二つ名を持つクレマリアはフェスティアに呼び出しを受けていたのだった。

「おおおおおおっ! 妊娠しゅるっ! これ、着床間違ありませんっ! ひぎいいいいっ!」

「……これが大陸の覇権を握る最高国家の第2王女、清廉で純粋無垢だと信じられた『純白の姫』の真実よ。どんな権力者も、一皮むけばただの変態ね。あのカリオスも、どんな性癖を持っているのやら」

 椅子に座るフェスティアは、隣の壁を通して聞こえてくるリリライトの声を聞きながら、心底バカにしたような表情で嘆息する。

そしてクレマリアは、不快感を隠そうともせず、聞こえてくる壁の方を睨みつけていた。

「まあ、あの変態姫のおかげで……ドドンガとヘルミニアの両国も、うちの派閥に取り込めるわ。これで連合から、龍の爪の増援が見込めるわね」

 今リリライトを犯しているのは、ヘルベルト連合に加盟している小国の王達である。連合内ではフェスティア派とそれと対立する派閥のどちらにも属さない中立的な立場だったのだが

「政治にはこういう方法も必要なのよ、クレマリア。貴女からしたら面白くないかもしれないけれどもーー」

「……いえ。私もいつまでも世間知らずの乙女ではございません。連合のために閣下が必要だというのなら、私はあえて何も申しません」

「あっひいいいいい! セックス気持ちいいー! 子作り楽しいですうう! リリを孕ませてっ! もっと愛して下さいぃぃぃ!」

 真面目な話に割り込んでくるリリライトの狂った喘ぎ声は、いちいちクレマリアを不快にさせるが、彼女はもう不快さを顔に出すことはなく胸に留めるようにして、フェスティアに頭を下げる。

 聖アルマイト第2王女を操り、第1王子と第2王女の内乱という体を取り、聖アルマイト王国を崩壊させるーーフェスティアがクレマリアに説明したのは、大まかに言うとそれだけだった。

 どうやってフェスティアがリリライトを操るに至ったのか、何故新白薔薇騎士団が龍牙騎士と渡り合える程に強靭なのか、その他細々とした事情をクレマリアは詰問してこない。

 それは、クレマリアのフェスティアに対する絶大な信頼があるからだった。

 正々堂々、破邪顕正を信条とするクレマリアにとって、フェスティアの方法は受け入れられない部分もある。

しかし、フェスティアこそがヘルベルト連合を、クレマリアが生まれ育った故郷をより良い方へ導いてくれるという、これまでの彼女の圧倒的な実績から、クレマリアはフェスティアへ絶対の信頼を寄せているのだった。

「ヘルベルト連合のために……そのためならば、この『尖槍』のクレマリアは、代表閣下の手となり足となりましょう」

 もはや盲目的とまで言っても良いクレマリアの信頼に、フェスティアは

(この女、強いけど馬鹿ね)

 自分の前で誠心誠意の敬礼をするクレマリアを見て、リリライトに向けたのと似たような嘲笑を、今度はクレマリアに向ける。

 そのフェスティアは少し前までグスタフからの懲戒として淫魔の餌となっていた。さすがにその時はやつれて疲弊しきっており、執務どころではないような状態だった。

しかしステラ達淫魔部隊がクラベール領に入ったことにより、フェスティアは解放されてから、今はすっかり元の調子に回復していて、次なる第1王子派との戦いに向けて執務に励んでいた。

 今はクラベール領への再侵攻に向けて、着々と戦力を結集している最中である。

 連合から中立派の国王達を呼び寄せてリリライトを抱かせているのも、クレマリアをこの深夜に呼び出しているのも、その一環である。

「それで、閣下。こんな夜分に呼び出しとは……何か内密な話でしょうか」

「内密という程ではないけれども……まあ、下らない話よ。だけど、現状では貴女にしか頼れないことなの。申し訳ないけれども、受けてもらえるかしら?」

 そんなフェスティアの言葉に、クレマリアは誇らしげに胸を張り、それを肯定する意を見せる。

「どのような話でしょうか?」

「イシス領に入って欲しいのよ」

 フェスティアは再びため息を吐く。

「イシス領へ? ――確か、龍の爪とは別の先行部隊がクラベールには既に入っていると聞いておりますが、その部隊の支援ということでしょうか?」

 クレマリアには淫魔部隊については、その存在から説明していない。話がややこしくなるからだ。それに、今からフェスティアが話す内容はそれとは関係ないため、フェスティアは首を横に振る。

「オーエン部隊が、いつまで経っても戻ってこないのよ」

「オーエン殿が?」

 クレマリアと同じく二つ名を与えられている、彼女にとっては同僚にあたる『殲滅』のオーエンの名を聞いて、クレマリアはフェスティアの言葉を反芻する。

「おそらく、自分達がコウメイの策に嵌められたことに気づいたんでしょうね。そのまま何も手柄を立てずに戻ることも出来ない。だからイシス領に残って、隙あらばクラベール城塞都市を……という算段でしょうね」

 実に下らない……とフェスティアは考える。

 オーエン部隊の足を止められたのは、オーエンの落ち度ではなくフェスティアの落ち度だ。

コウメイ側の才覚を甘く見ていたことと、オーエンの才覚を買い被りすぎていたこと。これらによってクラベール領で敗戦した責任はフェスティアにあるのだ。プライドが高いフェスティアは、それを他人に押し付けるようなことはしない。

「そんなことよりも、さっさと戻ってきてもらわないと困るのよ。再侵攻にはオーエン部隊の戦力が必須だからね。だから、貴女にオーエン部隊を連れ戻してきて欲しいの」

 これまで連絡係に利用していた飛竜使いは、現在行方不明となってしまっている。淫魔部隊が捜索に当たっているはずだが、それを指揮するステラはどうにも信頼がおけない。

 今の状況下でこの任務は、フェスティアが有する手駒の中で最も機動力を有するクレマリア部隊が適任だと判断したのだった。

「なるほど……」

 オーエンの浅はかな考えは下らないと思うが、龍の爪においてオーエン部隊の戦力は要である。それを知っているから、フェスティアはオーエンを大事にするのだった。

「かしこまりました。今夜中に必要な兵をまとめて、明朝には発ちましょう」

「んひいいいっ! イクのおっ! お尻でイク! ケツ穴でイク! 姫なのに、ケツマンコセックスでイッちゃうううう!」

 だんだんとひどくなっていくリリライトの獣声に、クレマリアは思わず「ちっ」と舌打ちをする。

「……」

 対して、フェスティアの方はもう嘲りの表情は浮かべていなかった。

 真顔の無表情。ただ黙ってリリライトの雌になり切った汚い喘ぎ声を聞き入りながら考えていた。

 『異能』なる理不尽で凶悪な力で、悪魔のような男を主人として愛するようにさせられたかと思えば、その主人からは呆気なく『飽きた』と捨てられて。

 前線で不満と性欲を溜めた奴隷兵士達の慰み者にされて。

 政治的な道具として、その未成熟な雌の身体を利用されて。

 それでも、もう絶対に取り戻すことのない主人の寵愛を求め続ける『純白の姫』。

 第2王女という立場だけではなく、その雌の身体すらもいいように利用され尽くされている。

 そしてその被害は、もうリリライト本人だけに留まらない。

 彼女の身体に狂わされた雄達を”こちら側”に引きずり込み、その悪夢と絶望を世界中へ広げていくのだ。


最早存在するだけで、多くの罪無き人間の生命や幸せを脅かすのが、今のリリライト=リ=アルマイトという人間だった。

 完全に世界の敵であり、害悪なのだ。

 本来リリライトと同じように『異能』下にあるフェスティアですら思ってしまう。

「あれは世界に不幸を振りまく、生まれてきてはいけなかった人間ね」

 それは、リリライトの母プリメータが、生まれてくるリリライトに込めた願いを真っ向から否定する言葉。

 しかしこれはフェスティアの感想というよりも。

 ただ単純に、今の世界の真実だった。

□■□■

「おっ……おおぉ……兵士を……聖アルマイトを……カリオスを殺すために、兵士をぉ……!」

 もう何時間が過ぎただろうか。

 隣のフェスティアとクレマリアの会談も終わった後、リリライトを犯していた雄の1人、老齢の王はすっかり搾り尽くされて、床に横たわって、うわごとのようにつぶやいていた。

 もう1人の、まだ若い王は、未だにリリライトと絡み合っていた。

「あぁんっ! まだこんなに大きくて硬いです! 素敵、素敵です! 大好き!」

「ふうっ……ふうっ……リリ姫……うおおっ!」

 ソファに座った雄の膝の上で、リリライトは後ろから抱きかかえられるようにして犯されていた。

「ほら、どこが気持ちいいのか言ってみろ! 私の何が好きなんだ?」

 グチュグチュと下から肉棒を突き上げるようにしながら、雄が叫ぶ。

「ああぁぁんっ! マンコです! マンコが気持ちいい! 貴方の逞しいチンポが大好きなんです! ああっ、好き……!」

 リリライトが顔を後ろに振り向かせると舌を伸ばして雄を求める。雄も求めに応じて舌を伸ばすと、2人は激しく舌を動かして絡み合わせながら、お互いに腰の動きを併せる。

「あむ……れろ……はぁ、はぁ……キス、好き。ベロキスしながらセックスすると、愛されてる感じがして……っああ……はむっ……れろ……の、脳みそ……ヤバくなってきたぁ……!」

「うっ……く……う……」

 リリライトが腕を雄の首に巻き付けるようにしながら、雄の舌を貪る様に味わう。そしてリリライトの腰の動きはやがて雄の動きを上回り、肉棒を搾り取るように、激しく腰を揺さぶり始める。

「んむ……ちゅば……ぐ……う、おおっ……」

「おほおおおお~~っ! やばっ、チョーヤバい! ヤバくないですか、リリのマンコセックス! チンポ搾っちゃいますよおおお! チンポ、クるっ! マジ持ちいいっ!」

 だらしなく舌を伸ばしながら、獣の顔と声で快楽を貪るリリライト。そのまま雄の耳へ顔を寄せていくと。

「リリとのセックス、交尾、子作り気持ちいいですかぁ? ヤバイ? ヤバイですよね? リリもガチでヤバくなってきました! ドスケベになる! ドスケベマンコがエロエロチンポに吸い付いて離れなくなっちゃいます!」

「う、おおっ! き、気持ちいい! おおおっ! エロマンコ、気持ちいいっ!」

 外見は可憐な『純白の姫』でも、中身は完全にあの醜悪なグスタフである。そんな下品で汚い言葉は、本来はそれなりに高貴であるはずの小国の王へも伝染していく。

「イッて! 中でビュービュー、赤ちゃんの素出して下さい! リリ、貴方の赤ちゃん妊娠します! 着床したら、またすぐに気持ちいい交尾したいから、すぐに堕ろしちゃいますけど」

「う、ぐ……こ、この……姫どころか、人間としてクズだな……このクソカスが」

 そんなリリライトの最低な発言を聞いて、雄の方が再び激しく腰を突き上げる。

「んおおおおおおおっ!? おおっ……ヤッバ! これ、マジヤベー、ですうう! そうっ、リリはクズなんですう! クズマンコなんです! 中出しセックス幸せになれるけど、赤ちゃんはセックスの邪魔なんですう! だから、妊娠したらすぐ堕ろしちゃえば、生ハメセックスし放題……っおおおおおお? おっ、おっ、おおおお~~っ! ヤベ、ヤベ、ヤベっ! クズ呼ばわりされながらの、お仕置きセックス……チョーサイコーぉぉぉ」

 プリメータは、生まれてくるリリライトのことを希望と言った。

「あははははははっ! 気持ち良いセックス大好き! 一緒にセックスしたら、一緒に殺しましょ! 邪魔なカリオス兄様も、その仲間も! みんなみんな皆殺しです! 男は全て豚の餌にして、女は奴隷にします! そうしたらこの世界はセックスオンリー、皆幸せのサイコーの世界なんですううう!」

「うおおおおおお! 殺す……殺す……皆殺しだ……!」

 リリライトが生まれてくる世界は夢に、希望に、溢れていると。

 世界は幸せに満ちている。

 そして願わくは、リリライトが世界を幸せに出来るような子に育ってくれれば、と。

「出してっ! チンポミルクをリリの赤ちゃん部屋にビュービュー注いで! そして殺すんです! 一緒にカリオス兄様達を! コウメイを! 中出ししたら、貴方もリリの仲間です! 誰も彼も、ダーリンやリリに歯向かう人間は全て、それ以外に罪など無くても幸せそうに暮らすいけ好かない連中も、全て殺すと! 幸せなのはリリだけでいい! だから全て殺すと誓いながら、中出ししてください!」

「うううう……おおおおっ! 殺す殺す殺す殺す殺す! 殺す殺す殺す! 皆殺しだ! 全て殺す! 皆殺し! うおおおおおおお! 孕めぇぇぇぇぇぇぇ!」

「あっふおおおおおおあああああ! ん゛お゛お゛お゛お゛~! おおおおおおおおん! ぶっひいいいいいいいい!」

 雄が猛々しく叫びを上げて、リリライトの下から最奥を貫くように腰を突き上げると、そのまま精を発射する。

 リリライトは顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、もう女性とは思えないくらいのだらしない顔を曝け出しながら、雄と同時に絶頂に達する。

「はぁっ……はぁ……あああぁ……」

 そのままぐったりと脱力した雄の膝の上から、リリライトも力が抜けて、そのまま床へ崩れ落ちる。秘穴から肉棒が抜かれれば、どろりと濃い白濁が溢れ出てきてしまう。

「あはっ……はははっ……ダーリン、やりましたよぉ。知らないおじ様達と、た~くさん生ハメドスケベセックスしちゃいましたぁ。あとどれくらいすれば、ダーリンとチョーラブラブセックス出来るんですかぁ?」

 緩んだ唇から舌を伸ばしながら、もはやリリライトにとっての神となっているグスタフを思い浮かべて、リリライトはつぶやく。緩んだ唇の端からは、ぽたぽたと唾液も零れている。

「はっ……はっ……はぁ……かあ、さま……」

 そのまま横たわり、喘ぐように息を荒げているリリライト――その可愛らしい口から、ふと零れた言葉は母親であった。

 ありったけの愛を注ぎ、ありったけの優しさ育ててくれて、最後に死にゆくまでリリライトの幸せを願ってくれた、最愛の母プリメータ。

「リリは……リリはぁ……幸せですよぉ、母様。えへへへ……」

 もし今のリリライトをプリメータが見たとしたら。

 全身は汗だく、身体中に雄の匂いがこびりつき、秘穴からは精液が溢れ出ていて、自慢の金髪はぐしゃぐしゃ、伸び切った舌がしまえない程に緩んだ口元のリリライトを見たら。

「母様ぁ……リリは、リリはぁ……」

 ピクピクと痙攣するかのように、見えない何かに向けて手を伸ばすようにするリリライト。

 行為中は狂気を宿していた瞳ーーそこからジワリと涙が溢れ出る。

 そしてリリライトは、心底幸せそうな笑みを浮かべ、そしてポロポロと涙を流し続けながらつぶやいた。

「リリは、生まれてこなかった方が良かったかもしれません……」

 そう言って体力の限界だったリリライトは意識を失う。

 こんな娘の姿をプリメータがもしも見るようなことがあれば、おそらく狂い死にしてしまうだろう。
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テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

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