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第3章『”剣士”覚醒』編
第133話 ヴァルガンダル家の物語Ⅶ――ルエールとミュリアル
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この頃のヴァルガンダル家の事情は、やや複雑な状況にあった。
先祖代々アルマイト家の側近として仕えてきたヴァルガンダル家は、建国当初から「護衛騎士」という、騎士の中でも別格な地位を与えられてきた家系である。
しかし国が大きくなって人・物・金が増えてくれば、余計なことを考える始めるのが人間の性である。
発展を続ける聖アルマイト王国は、やがて外敵との戦いよりも、内集団における様々な政治的駆け引きが活発になっていく。そして、ヴァルガンダル家もそれに巻き込まれていくこととなる。
”剣士”の家系であるヴァルガンダルは、どの代も武芸に優れ、誠実なる精神を持った優秀な剣士である。しかしそのことは、複雑な利害関係を孕んだ味方内の権力争いには、ほとんど役に立つことは無かった。むしろその真っ正直な性根は、政治的な駆け引きにおいてはマイナスですらあった。
真っ直ぐで不器用な性格ーーそんな性格のヴァルガンダル家は、狡猾な他の有力諸侯に足を引っ張られて、権力争いから失脚。一時はその権威を失墜させられ、凋落の一途を辿ることとなった時期があった。
それがルエールの父ウィリアムズの1つ前の代ーーつまりルエールからみた祖父の代。その時がヴァルガンダル家史上最低の代だったと言っていい。ルエールの祖父は、ヴァルガンダルの家系にて、初めて王族の護衛騎士の任から外された人物となってしまったのだ。
そして、そんな最悪だった状況からヴァルガンダル家の地位を再び挽回したのは、ルエールの父ウィリアムだった。しかし、それはウィリアム1人だけの力で成し遂げたものではない。
勿論ウィリアムは優秀な騎士であり、失墜したヴァルガンダル家の地位を挽回するに足る人物だったことは間違いない。しかしウィリアムもまた代々の当主と同様、政治的な手腕に長けていたわけではない。
ウィリアムの実力と併せて、その背景には政治的な後押しをした存在があったのだ。
それが--
「ルエール様、お帰りなさいませ」
ルエールが仕事を終えて屋敷へ帰宅すると、出迎えたのは使用人ではなく妻のミュリアルだった。既に傍から見て分かる程にお腹は出ている。
「おおおおお、おくおくおく……奥様ぁぁぁぁぁ!」
彼女に少し遅れて駆けてきたのは、数か月前に雇ったばかりの新人メイドのミンシィだった。
よっぽどルエール邸の食事が美味しいのか、彼女は雇い始めた頃と比べると幾分かふくよかになっていた。そんなミンシィは、泣きそうになりながらルエールとミュリアル達へバタバタと駆け寄ってくる。
「勘弁してください! 万が一転びでもしたら、私の首がすぽーんと飛んじゃいます! すぽーんですよ!? 分かります?」
「ごめんなさいね、ミンシィさん。でも、少し動いた方が良いのよ」
悪戯っぽく笑いながらミュリアルは言うが、ミンシィは気が気ではないようだ。顔が青ざめている。無理もない。
「体調の方は変わりないか?」
そんなドタバタにも大して表情の動きを見せないのは、相変わらずなルエール。手荷物をミンシィに優しく手渡しながら、妻の様子を気遣う。
「はい。今の所、順調です。元気な”男の子”が生まれてくるのが待ち遠しいです」
「そうか」
ルエールがそれだけ言うと、2人は並んで歩き始める。ミンシィも手渡されたルエールの荷物を抱えるようにして持ちながら、2人の後に続いていく。
すると、廊下の向こう側からやってくるのは
「おお。これはルエール卿。今日もお疲れ様でございますなぁ」
ミュリアルの父、ガンドロフ=オブライトだった。つまりルエールにとっては義父に当たる人物である。
「聞きましたぞ。先日ヴィジオール陛下より、ファヌス大戦の功を認められて、龍騎士叙勲の話があったとか」
ガンドロフのその言葉を聞いて、ミュリアルは思わず口を抑えて、隣の夫を見上げる。龍騎士という称号の価値は、政治や軍事に疎いミュリアルでも、その価値が分かるくらいのものである。
「耳が速いですね、義父上。まだ他の誰も知らないと思っていました」
「ふははは。まあ、私も陛下とはそれなりに懇意にしてもらっていますからな。いや、しかしめでたいですなぁ! 龍騎士が誕生したら何年ぶりのことになるでしょうかなぁ!」
ニヤニヤとしたその笑みの中には、どこか信用のおけない腹黒さが見え隠れしている。こういった笑い方が出来ることが、彼が政治的な権力闘争を勝ち残ってきた証左だろう。
「後は、うちのが元気な男の子を生んで、立派にヴァルガンダル家を継いでくれれば、これからも両家は安泰ですなぁ。ぐわっはっはっはっは!」
豪快に唾を飛ばして笑うガンドロフのその声は、ルエールにとっては不快だった。しかし義父にあたる彼に、あからさまにそれを顔に出すわけにもいかない。ルエールは目を伏せて「ええ」とだけ答えた。
このガンドロフという男こそが、ウィリアムの後押しをした人物だ。
商人として成功を収めて莫大な財を築いた彼は、今度は政治的な立場も手に入れようと、没落しかけていたヴァルガンダル家に接触。多大な投資をして、結果ヴァルガンダル家は復興し、ガンドロフのオブライト家とヴァルガンダル家は切っても切れぬ関係となったのだ。
つまり、ルエールとミュリアルの結婚も両家の関係を深めるための、いわば政略結婚なのである。
しかし――
「元気な子を産むのもそうだが、君の身体も心配だ。身体が強い方ではないからな」
「――ふふ。ルエール様は心配性です。大丈夫ですよ。ミンシィさんがすごくよく気づいて、色々として下さっていますから」
そんなことを言いながらはにかむ妻を、ルエールは愛している。政治的な戦略だとか意味だとか、そんなことは関係ない。出会いがが政略を目的とした、契約だけ出来れば良かった結婚だったとしても、そんなことは関係ない。
こうしてルエールを気遣い、笑い、隣にいてくれるミュリアルのことをルエールは一人の女性として愛していた。
「ルエール様、少し宜しいでしょうか?」
と、ミュリアルと2人で廊下を進もうとしていたルエールに声を掛けてきたのは、執事長に当たる人物だった。
「王城より火急の件があると使者の方がいらしております」
火急という穏やかならざる単語を聞いてミュリアルの表情が不安に染まるが、ルエールはため息を吐くと、妻を安心させるように苦笑する。
「アイリーン卿の者か……あの方は、いつも大袈裟だからな。火急といっても、物騒な話ではないだろう。おそらくはプリメータ様の気まぐれだろうな」
いつも自由奔放な王妃に付き合わされている、真面目な王妃の護衛騎士を思い浮かべながら、ルエールは「やれやれ」と肩をすくめる。
「おそらく、そう時間はかからない。ミュリアル、悪いが先に食堂へ行って待っていてくれないか。食事は一緒に摂りたい」
「かしこまりました。でも、王妃様のことなら大事なお話でしょう? 私のことは気になさらず、しっかりお話してきて下さいな」
そう言いながら、ルエールは執事長と一緒に客室へ向かって行く。
「ではミンシィさん。私達は先に食堂へ行きましょう」
□■□■
「ミュリアル」
残ったミュリアルとミンシィ、そしてガンドロフだったが、先に進もうとしたミュリアルを呼び止めたのはガンドロフだった。
「なんでしょうか、お父様」
「いや……お前も分かっているだろうが、くれぐれも体調には気を付けるんだぞ。元気な男の子を生むんだぞ。いいか、なんとしても男児を生むのだ」
その言葉は、愛するルエールと同じ言葉のはずなのに、重く暗い影をミュリアルの胸に落とす。それは、同じ言葉でも、それに含まれている意図が全く違うことを、ミュリアルは知っているからだ。
(お父様は、ヴァルガンダル家をオブライト家に取り込むことしか考えていない)
娘のミュリアルも、生まれてくる子供も、そのための道具に過ぎないのだ。
今となっては、オブライト家はヴァルガンダル家に対して強大な影響力を有する一大貴族だ。ルエールもガンドロフには強く出られない。そもそもルエールとミュリアルの結婚も、ガンドロフの強引なやり口がきっかけとなっているのだ。
そこに、ガンドロフの血を継ぐ子供が生まれれば、義父であるガンドロフの権威はますます強くなるだろう。だから欲深いガンドロフが、生まれてくる子供を、そしてその子供がヴァルガンダル家の後を継ぐことが出来る男児であることに執着するのは当然のことだった。
しかし父の意図が欲に塗れていようが何だろうが、今ガンドロフがミュリアルの身を本気で案じていることもまた事実。
今までは金と地位と権力を得ることばかりに執心し、娘のことなどないがしろにしていた父が、今は本気で自分のことを心配してくれているのだ。その真実は、ミュリアルにとっては決して悪い気分ではない。
愛する夫との間に授かった新しい命、身ごもった自分を案じてくれている父、そして自分達を取り巻く複雑な政治的背景。
「分かっています。お父様のためにも、元気な男の子を生んでみせますから」
今のミュリアルは、非常に複雑な心境にあった。
□■□■
「それで、ルエール様。火急の用件とはどのようなものでしたのでしょうか?」
カチャカチャと食器の音を静かに響かせながら、2人だけでは広すぎるヴァルガンダル家の食堂で、ルエールとミュリアルは夕食を摂っていた。
ルエールは義父であるガンドロフも誘ったが、ガンドロフはその誘いを辞去し、食堂には夫婦2人と、御用聞きの執事・侍女が数人いるだけだった。
「やはり、アイリーン卿からの使者だったよ。確かに急ぎではあるが、火急という表現は大袈裟過ぎだよ」
「……?」
普段は無表情な夫が、どこか苦笑したような微妙な表情をしているのを見ていると、それがなんだか可愛く思えてしまって、ミュリアルは思わず頬をほころばせながら首をかしげる。
「ミュリアル?」
「あわっ、わ……申し訳ございません、ルエール様!」
そんなミュリアルのはにかんだ笑顔に気づいたルエールが逆に首をかしげると、ミュリアルはあからさまに動揺してしまう。
「ミュリアル……前も話したが、そろそろ様付けはよしてくれないか。私達は夫婦で、対等の立場だ」
「い、いえっ……そのような不遜な態度は戒めるよう、お父様からも厳しく言いつけられております。いくら夫婦とはいえ、ヴァルガンダル家とオブライト家では、あまりに格式が違い過ぎますので。対等だなんて、とんでもありません」
ミュリアルの反応は分かり切っていたのか、ルエールはそれ以上は何も言わずに、嘆息する。
「あの、ルエール様はどうして……」
「……ん?」
政略結婚にも関わらず、ルエールはどうしてこんなにも自分のことを大事にして、愛してくれるのか。
そのことはルエールと出会った当初から、ずっと謎だった。
ミュリアルの存在など、ルエールとの婚約当時などはたかだか成金商人家系の小娘に過ぎなかった。それこそヴァルガンダル家当主のルエールすれば、路傍の石と大して違わないような些少な存在。
それにも関わらず、最初はむしろ政略結婚ということでミュリアルの方こそ乗り気でないくらいだった。
ところがルエールはそんなミュリアルに、最初から嫌な感情など微塵にも見せずに優しく接してくれたのだ。そんなルエールに、ミュリアルが惹かれていくのにそう時間はかからなかった。
何の才能もなく、飛びぬけた美貌があるわけでもない、こんな不健康そうで暗い商人一家の小娘を、どうしてルエールは愛してくれるのだろうか。
「――いいえ、何でもありません」
しかし、ミュリアルはその疑問を胸にしまい込んだ。
ルエールに愛されている今の生活は、とても幸せだ。子供も授かった今、絶対に手放したくない。
ミュリアルは、ルエールが自分に優しくしてくれている理由を知ってしまったら、その幸せが砕け散って無くなってしまう恐怖を抱いていた。
自分はルエールを愛している。そしてルエールも自分を愛してくれていると信じている。
でも、もし違ったら?
拒絶の意思をつきつけられるのが、たまらなく怖い。
いや、優しいルエールのこと、あからさまにミュリアルのことを傷付けることは言わないだろう。
でも、もしもルエールがミュリアルに寄せる思いが愛ではないとしたら?
愛ではなく、ただ同情だとしたら?
いや、同情ならまだいい。
ルエールもまた父と同じように政治的な意図の上でミュリアルと接しているに過ぎないとしたら?
そこの愛など皆無だとしたら?
それが真実だとしたら。そしてその事実を知ってしまったら、ミュリアルはもう生きていける気がしなかった。
「顔が青いぞ、大丈夫か? おい、誰か――」
「あ、あ。だ……大丈夫です、ルエール様。お食事、続けましょう。大丈夫です、から」
ルエールが慌てて席を立とうとすると、ミュリアルは慌てて諫めるようにして言葉を紡ぐ。
そう言って笑うミュリアルは明らかに無理をした作り笑いだったが、ルエールもどうしていいか分からないようで、少し迷うような表情をした後に、再び席に着いた。
(この幸せを、失いたくない)
複雑な事情を孕んでいるにしろ、こうしてルエールと一緒にいて、そして子供を授かったこの現状は、ミュリアルにとっては人生最高の幸せなのだ。
だから、今のミュリアルが恐れるのは、この幸せが無くなることだ。
(だから……私は、産んで見せます。ヴァルガンダル家の跡取りに相応しい男の子を)
ミュリアルがそう思うのは、父ガンドロフとの思惑とは少し違う。そもそも世間知らずのミュリアルに政治的意図があろうはずもない。
(私がルエール様に愛してもらい続けるためには、捨てられないためには――)
ヴァルガンダル家の跡取りを生むしかない。
「やっぱり、ルエール様も生まれてくる子は男の子が良いですよね?」
努めて笑顔を保ったままミュリアルが聞くと、ルエールは食事の手を止めながら、静かに「ああ」と返事をする
「そうだな。代々続くヴァルガンダルの血を私の代で絶やすわけにもいかない。ヴァルガンダルの名に相応しい息子が生まれてくれれば、こんなに嬉しいことはない」
当然のことながら、ルエールの子供は他にはいない。跡取りについては、ヴァルガンダル家やその周囲、そしてルエール本人も切望しているはずだ。
だから、きっとヴァルガンダル家に相応しい男の子を産めば、ルエールはもっとミュリアルを大事にしてくれる。愛してくれる。
そしてルエール以外の人間だって、ミュリアルのことをもっと気にするようになるはずである。
そのためには、女児ではダメなのだ。女は”剣士”の家系ヴァルガンダルを継ぐには相応しくない。だからなんとしても男児を生まなければならない。
(――お願いします。どうか、男の子を。神様っ……!)
そうして自分の腹を撫でるミュリアルだったが、それは宿った命を慈しむというよりは、どこか鬼気迫ったような思いが込められていた。
「おっと、そうだ。話が逸れてしまって、言い忘れてしまうところだったよ」
食事を終えたルエールは、食器を置いて口元を拭いながら続ける。
「さっきのアイリーン卿の使者の件だが……どうも、プリメータ王妃がお呼びのようだ」
「王妃様が、ですか? それはそれは……」
別にわざわざ使者を寄越さなくても、王妃程の人物ならば、ルエールが王城にいるときに直接呼び出せばいいのに、と思うミュリアルは不思議そうな顔をする。
そんな「分かっていない」顔をするミュリアルに、ルエールは更に続ける。
「いや、プリメータ様がお呼びなのは私ではなくて君だよ、ミュリアル」
「それはそれは……――って、ええええっ? けほっ、けほっ!」
あまりに予想外過ぎるルエールの言葉に、ミュリアルはまだ口の中に残っていたものを詰まらせてむせてしまうと、ミンシィが涙目になりながら慌てて寄ってくる。
「す、すまない。そんなに驚くとは思わなかった」
「い、いえ。ごめんなさい……ミンシィさんも、ありがとう。で、でも……どうして王妃様が私などを?」
ミンシィから受け取ったハンカチで口を拭いながらミュリアルが問うと、ルエールは今度は視線を逸らして、困惑したように言葉を返す。
そして言葉を選んでいるーーというよりは、何と言っていいのか分からない……といった顔で、少しの間考えてから
「なんでも、君と『ママ友』になりたいらしい」
その言葉を聞いたミュリアルは、ファヌス攻略後に発覚し、国内を席巻した事件のことを思い出していた。
王妃プリメータも、ミュリアルとほぼ同時期に、ヴィジオールとの子を身ごもっていたことが発覚したのだ。
その子供は、後にリリライトと名付けられるアルマイト家の第3子だった。
先祖代々アルマイト家の側近として仕えてきたヴァルガンダル家は、建国当初から「護衛騎士」という、騎士の中でも別格な地位を与えられてきた家系である。
しかし国が大きくなって人・物・金が増えてくれば、余計なことを考える始めるのが人間の性である。
発展を続ける聖アルマイト王国は、やがて外敵との戦いよりも、内集団における様々な政治的駆け引きが活発になっていく。そして、ヴァルガンダル家もそれに巻き込まれていくこととなる。
”剣士”の家系であるヴァルガンダルは、どの代も武芸に優れ、誠実なる精神を持った優秀な剣士である。しかしそのことは、複雑な利害関係を孕んだ味方内の権力争いには、ほとんど役に立つことは無かった。むしろその真っ正直な性根は、政治的な駆け引きにおいてはマイナスですらあった。
真っ直ぐで不器用な性格ーーそんな性格のヴァルガンダル家は、狡猾な他の有力諸侯に足を引っ張られて、権力争いから失脚。一時はその権威を失墜させられ、凋落の一途を辿ることとなった時期があった。
それがルエールの父ウィリアムズの1つ前の代ーーつまりルエールからみた祖父の代。その時がヴァルガンダル家史上最低の代だったと言っていい。ルエールの祖父は、ヴァルガンダルの家系にて、初めて王族の護衛騎士の任から外された人物となってしまったのだ。
そして、そんな最悪だった状況からヴァルガンダル家の地位を再び挽回したのは、ルエールの父ウィリアムだった。しかし、それはウィリアム1人だけの力で成し遂げたものではない。
勿論ウィリアムは優秀な騎士であり、失墜したヴァルガンダル家の地位を挽回するに足る人物だったことは間違いない。しかしウィリアムもまた代々の当主と同様、政治的な手腕に長けていたわけではない。
ウィリアムの実力と併せて、その背景には政治的な後押しをした存在があったのだ。
それが--
「ルエール様、お帰りなさいませ」
ルエールが仕事を終えて屋敷へ帰宅すると、出迎えたのは使用人ではなく妻のミュリアルだった。既に傍から見て分かる程にお腹は出ている。
「おおおおお、おくおくおく……奥様ぁぁぁぁぁ!」
彼女に少し遅れて駆けてきたのは、数か月前に雇ったばかりの新人メイドのミンシィだった。
よっぽどルエール邸の食事が美味しいのか、彼女は雇い始めた頃と比べると幾分かふくよかになっていた。そんなミンシィは、泣きそうになりながらルエールとミュリアル達へバタバタと駆け寄ってくる。
「勘弁してください! 万が一転びでもしたら、私の首がすぽーんと飛んじゃいます! すぽーんですよ!? 分かります?」
「ごめんなさいね、ミンシィさん。でも、少し動いた方が良いのよ」
悪戯っぽく笑いながらミュリアルは言うが、ミンシィは気が気ではないようだ。顔が青ざめている。無理もない。
「体調の方は変わりないか?」
そんなドタバタにも大して表情の動きを見せないのは、相変わらずなルエール。手荷物をミンシィに優しく手渡しながら、妻の様子を気遣う。
「はい。今の所、順調です。元気な”男の子”が生まれてくるのが待ち遠しいです」
「そうか」
ルエールがそれだけ言うと、2人は並んで歩き始める。ミンシィも手渡されたルエールの荷物を抱えるようにして持ちながら、2人の後に続いていく。
すると、廊下の向こう側からやってくるのは
「おお。これはルエール卿。今日もお疲れ様でございますなぁ」
ミュリアルの父、ガンドロフ=オブライトだった。つまりルエールにとっては義父に当たる人物である。
「聞きましたぞ。先日ヴィジオール陛下より、ファヌス大戦の功を認められて、龍騎士叙勲の話があったとか」
ガンドロフのその言葉を聞いて、ミュリアルは思わず口を抑えて、隣の夫を見上げる。龍騎士という称号の価値は、政治や軍事に疎いミュリアルでも、その価値が分かるくらいのものである。
「耳が速いですね、義父上。まだ他の誰も知らないと思っていました」
「ふははは。まあ、私も陛下とはそれなりに懇意にしてもらっていますからな。いや、しかしめでたいですなぁ! 龍騎士が誕生したら何年ぶりのことになるでしょうかなぁ!」
ニヤニヤとしたその笑みの中には、どこか信用のおけない腹黒さが見え隠れしている。こういった笑い方が出来ることが、彼が政治的な権力闘争を勝ち残ってきた証左だろう。
「後は、うちのが元気な男の子を生んで、立派にヴァルガンダル家を継いでくれれば、これからも両家は安泰ですなぁ。ぐわっはっはっはっは!」
豪快に唾を飛ばして笑うガンドロフのその声は、ルエールにとっては不快だった。しかし義父にあたる彼に、あからさまにそれを顔に出すわけにもいかない。ルエールは目を伏せて「ええ」とだけ答えた。
このガンドロフという男こそが、ウィリアムの後押しをした人物だ。
商人として成功を収めて莫大な財を築いた彼は、今度は政治的な立場も手に入れようと、没落しかけていたヴァルガンダル家に接触。多大な投資をして、結果ヴァルガンダル家は復興し、ガンドロフのオブライト家とヴァルガンダル家は切っても切れぬ関係となったのだ。
つまり、ルエールとミュリアルの結婚も両家の関係を深めるための、いわば政略結婚なのである。
しかし――
「元気な子を産むのもそうだが、君の身体も心配だ。身体が強い方ではないからな」
「――ふふ。ルエール様は心配性です。大丈夫ですよ。ミンシィさんがすごくよく気づいて、色々として下さっていますから」
そんなことを言いながらはにかむ妻を、ルエールは愛している。政治的な戦略だとか意味だとか、そんなことは関係ない。出会いがが政略を目的とした、契約だけ出来れば良かった結婚だったとしても、そんなことは関係ない。
こうしてルエールを気遣い、笑い、隣にいてくれるミュリアルのことをルエールは一人の女性として愛していた。
「ルエール様、少し宜しいでしょうか?」
と、ミュリアルと2人で廊下を進もうとしていたルエールに声を掛けてきたのは、執事長に当たる人物だった。
「王城より火急の件があると使者の方がいらしております」
火急という穏やかならざる単語を聞いてミュリアルの表情が不安に染まるが、ルエールはため息を吐くと、妻を安心させるように苦笑する。
「アイリーン卿の者か……あの方は、いつも大袈裟だからな。火急といっても、物騒な話ではないだろう。おそらくはプリメータ様の気まぐれだろうな」
いつも自由奔放な王妃に付き合わされている、真面目な王妃の護衛騎士を思い浮かべながら、ルエールは「やれやれ」と肩をすくめる。
「おそらく、そう時間はかからない。ミュリアル、悪いが先に食堂へ行って待っていてくれないか。食事は一緒に摂りたい」
「かしこまりました。でも、王妃様のことなら大事なお話でしょう? 私のことは気になさらず、しっかりお話してきて下さいな」
そう言いながら、ルエールは執事長と一緒に客室へ向かって行く。
「ではミンシィさん。私達は先に食堂へ行きましょう」
□■□■
「ミュリアル」
残ったミュリアルとミンシィ、そしてガンドロフだったが、先に進もうとしたミュリアルを呼び止めたのはガンドロフだった。
「なんでしょうか、お父様」
「いや……お前も分かっているだろうが、くれぐれも体調には気を付けるんだぞ。元気な男の子を生むんだぞ。いいか、なんとしても男児を生むのだ」
その言葉は、愛するルエールと同じ言葉のはずなのに、重く暗い影をミュリアルの胸に落とす。それは、同じ言葉でも、それに含まれている意図が全く違うことを、ミュリアルは知っているからだ。
(お父様は、ヴァルガンダル家をオブライト家に取り込むことしか考えていない)
娘のミュリアルも、生まれてくる子供も、そのための道具に過ぎないのだ。
今となっては、オブライト家はヴァルガンダル家に対して強大な影響力を有する一大貴族だ。ルエールもガンドロフには強く出られない。そもそもルエールとミュリアルの結婚も、ガンドロフの強引なやり口がきっかけとなっているのだ。
そこに、ガンドロフの血を継ぐ子供が生まれれば、義父であるガンドロフの権威はますます強くなるだろう。だから欲深いガンドロフが、生まれてくる子供を、そしてその子供がヴァルガンダル家の後を継ぐことが出来る男児であることに執着するのは当然のことだった。
しかし父の意図が欲に塗れていようが何だろうが、今ガンドロフがミュリアルの身を本気で案じていることもまた事実。
今までは金と地位と権力を得ることばかりに執心し、娘のことなどないがしろにしていた父が、今は本気で自分のことを心配してくれているのだ。その真実は、ミュリアルにとっては決して悪い気分ではない。
愛する夫との間に授かった新しい命、身ごもった自分を案じてくれている父、そして自分達を取り巻く複雑な政治的背景。
「分かっています。お父様のためにも、元気な男の子を生んでみせますから」
今のミュリアルは、非常に複雑な心境にあった。
□■□■
「それで、ルエール様。火急の用件とはどのようなものでしたのでしょうか?」
カチャカチャと食器の音を静かに響かせながら、2人だけでは広すぎるヴァルガンダル家の食堂で、ルエールとミュリアルは夕食を摂っていた。
ルエールは義父であるガンドロフも誘ったが、ガンドロフはその誘いを辞去し、食堂には夫婦2人と、御用聞きの執事・侍女が数人いるだけだった。
「やはり、アイリーン卿からの使者だったよ。確かに急ぎではあるが、火急という表現は大袈裟過ぎだよ」
「……?」
普段は無表情な夫が、どこか苦笑したような微妙な表情をしているのを見ていると、それがなんだか可愛く思えてしまって、ミュリアルは思わず頬をほころばせながら首をかしげる。
「ミュリアル?」
「あわっ、わ……申し訳ございません、ルエール様!」
そんなミュリアルのはにかんだ笑顔に気づいたルエールが逆に首をかしげると、ミュリアルはあからさまに動揺してしまう。
「ミュリアル……前も話したが、そろそろ様付けはよしてくれないか。私達は夫婦で、対等の立場だ」
「い、いえっ……そのような不遜な態度は戒めるよう、お父様からも厳しく言いつけられております。いくら夫婦とはいえ、ヴァルガンダル家とオブライト家では、あまりに格式が違い過ぎますので。対等だなんて、とんでもありません」
ミュリアルの反応は分かり切っていたのか、ルエールはそれ以上は何も言わずに、嘆息する。
「あの、ルエール様はどうして……」
「……ん?」
政略結婚にも関わらず、ルエールはどうしてこんなにも自分のことを大事にして、愛してくれるのか。
そのことはルエールと出会った当初から、ずっと謎だった。
ミュリアルの存在など、ルエールとの婚約当時などはたかだか成金商人家系の小娘に過ぎなかった。それこそヴァルガンダル家当主のルエールすれば、路傍の石と大して違わないような些少な存在。
それにも関わらず、最初はむしろ政略結婚ということでミュリアルの方こそ乗り気でないくらいだった。
ところがルエールはそんなミュリアルに、最初から嫌な感情など微塵にも見せずに優しく接してくれたのだ。そんなルエールに、ミュリアルが惹かれていくのにそう時間はかからなかった。
何の才能もなく、飛びぬけた美貌があるわけでもない、こんな不健康そうで暗い商人一家の小娘を、どうしてルエールは愛してくれるのだろうか。
「――いいえ、何でもありません」
しかし、ミュリアルはその疑問を胸にしまい込んだ。
ルエールに愛されている今の生活は、とても幸せだ。子供も授かった今、絶対に手放したくない。
ミュリアルは、ルエールが自分に優しくしてくれている理由を知ってしまったら、その幸せが砕け散って無くなってしまう恐怖を抱いていた。
自分はルエールを愛している。そしてルエールも自分を愛してくれていると信じている。
でも、もし違ったら?
拒絶の意思をつきつけられるのが、たまらなく怖い。
いや、優しいルエールのこと、あからさまにミュリアルのことを傷付けることは言わないだろう。
でも、もしもルエールがミュリアルに寄せる思いが愛ではないとしたら?
愛ではなく、ただ同情だとしたら?
いや、同情ならまだいい。
ルエールもまた父と同じように政治的な意図の上でミュリアルと接しているに過ぎないとしたら?
そこの愛など皆無だとしたら?
それが真実だとしたら。そしてその事実を知ってしまったら、ミュリアルはもう生きていける気がしなかった。
「顔が青いぞ、大丈夫か? おい、誰か――」
「あ、あ。だ……大丈夫です、ルエール様。お食事、続けましょう。大丈夫です、から」
ルエールが慌てて席を立とうとすると、ミュリアルは慌てて諫めるようにして言葉を紡ぐ。
そう言って笑うミュリアルは明らかに無理をした作り笑いだったが、ルエールもどうしていいか分からないようで、少し迷うような表情をした後に、再び席に着いた。
(この幸せを、失いたくない)
複雑な事情を孕んでいるにしろ、こうしてルエールと一緒にいて、そして子供を授かったこの現状は、ミュリアルにとっては人生最高の幸せなのだ。
だから、今のミュリアルが恐れるのは、この幸せが無くなることだ。
(だから……私は、産んで見せます。ヴァルガンダル家の跡取りに相応しい男の子を)
ミュリアルがそう思うのは、父ガンドロフとの思惑とは少し違う。そもそも世間知らずのミュリアルに政治的意図があろうはずもない。
(私がルエール様に愛してもらい続けるためには、捨てられないためには――)
ヴァルガンダル家の跡取りを生むしかない。
「やっぱり、ルエール様も生まれてくる子は男の子が良いですよね?」
努めて笑顔を保ったままミュリアルが聞くと、ルエールは食事の手を止めながら、静かに「ああ」と返事をする
「そうだな。代々続くヴァルガンダルの血を私の代で絶やすわけにもいかない。ヴァルガンダルの名に相応しい息子が生まれてくれれば、こんなに嬉しいことはない」
当然のことながら、ルエールの子供は他にはいない。跡取りについては、ヴァルガンダル家やその周囲、そしてルエール本人も切望しているはずだ。
だから、きっとヴァルガンダル家に相応しい男の子を産めば、ルエールはもっとミュリアルを大事にしてくれる。愛してくれる。
そしてルエール以外の人間だって、ミュリアルのことをもっと気にするようになるはずである。
そのためには、女児ではダメなのだ。女は”剣士”の家系ヴァルガンダルを継ぐには相応しくない。だからなんとしても男児を生まなければならない。
(――お願いします。どうか、男の子を。神様っ……!)
そうして自分の腹を撫でるミュリアルだったが、それは宿った命を慈しむというよりは、どこか鬼気迫ったような思いが込められていた。
「おっと、そうだ。話が逸れてしまって、言い忘れてしまうところだったよ」
食事を終えたルエールは、食器を置いて口元を拭いながら続ける。
「さっきのアイリーン卿の使者の件だが……どうも、プリメータ王妃がお呼びのようだ」
「王妃様が、ですか? それはそれは……」
別にわざわざ使者を寄越さなくても、王妃程の人物ならば、ルエールが王城にいるときに直接呼び出せばいいのに、と思うミュリアルは不思議そうな顔をする。
そんな「分かっていない」顔をするミュリアルに、ルエールは更に続ける。
「いや、プリメータ様がお呼びなのは私ではなくて君だよ、ミュリアル」
「それはそれは……――って、ええええっ? けほっ、けほっ!」
あまりに予想外過ぎるルエールの言葉に、ミュリアルはまだ口の中に残っていたものを詰まらせてむせてしまうと、ミンシィが涙目になりながら慌てて寄ってくる。
「す、すまない。そんなに驚くとは思わなかった」
「い、いえ。ごめんなさい……ミンシィさんも、ありがとう。で、でも……どうして王妃様が私などを?」
ミンシィから受け取ったハンカチで口を拭いながらミュリアルが問うと、ルエールは今度は視線を逸らして、困惑したように言葉を返す。
そして言葉を選んでいるーーというよりは、何と言っていいのか分からない……といった顔で、少しの間考えてから
「なんでも、君と『ママ友』になりたいらしい」
その言葉を聞いたミュリアルは、ファヌス攻略後に発覚し、国内を席巻した事件のことを思い出していた。
王妃プリメータも、ミュリアルとほぼ同時期に、ヴィジオールとの子を身ごもっていたことが発覚したのだ。
その子供は、後にリリライトと名付けられるアルマイト家の第3子だった。
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