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第3章『”剣士”覚醒』編
第129話 ヴァルガンダル家の物語Ⅲ--フルダイン山脈を越えて
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聖アルマイト王国とファヌス魔法大国、両国の首都の間を横断するようにフルダイン山脈は連なっている。
両国の首都は、地図上の直線距離で言えば、そう離れた距離ではない。しかしその間にあるフルダイン山脈により、陸路における交通は完全に遮断されている。
或いは無理やりフルダイン山脈を越えて、首都から首都へと直接攻め入る――その選択肢も無いということは無かった。しかしフルダイン山脈は、行く道が険しいだけではなく、獰猛な魔獣も蔓延っており『魔の山』と称されており、大陸でも最も危険な場所と言われている。まともな人間であれば、そこに足を踏み入れようとすらしないだろう。
したがって両国が戦争状態に陥った時、聖アルマイト側からすれば、西方のダリア領まで迂回した後、そこから南下してファヌスとの国境線へ向かうルート一択となる。
そしてその国境線は、南北を山で囲われている渓谷地帯となっている。ダリア領からファヌス領地へ攻め入る道に分岐路はなく、それが唯一の侵攻ルートになっている。
したがって聖アルマイトがファヌス魔法大国へ攻め入るにはそこを正面突破するしかない。
これは奴隷部隊を壁にながら、後方から魔術攻撃を駆使するというファヌスにとって、防衛戦としてはこれ以上ない好条件である。
ルエールは、この如何ともしがたい状況を打破するため、まともな人間であればやろうとしない奇策を実行に移していた。
それは、つまり--
□■□■
「はぁっ、はぁっ! ぎゃあああっ!」
人が入らざるべきフルダイン山脈の中、とある騎士が死の断末魔をあげていた。
龍牙騎士の鎧の上からマントを羽織った、まだ20代の若い騎士だ。その騎士を後ろから追いかけていた熊型の中型魔獣は、その鋭い爪を振って、騎士の身体をいとも容易く上下に裂いたのだった。
「バリっ、ボリっ、ガツ……!」
そしてその熊型魔獣は、爪で裂いた獲物の身体に貪りつくと、骨を砕きながら肉を咀嚼する、生々しい音を立てて、騎士の死肉を味わっている。
「っく……囲め! 正面に立つな」
犠牲になったのとは別の龍牙騎士達が、熊型魔獣を取り囲むようにしていた。どの騎士の顔にも、緊張と恐怖が入り混じっている。
「グオオオオオ……! オオオオオオ……!」
熊型魔獣は、自らを取り囲む外敵の敵意を感じると、口の中からどす黒い血を垂れ流しながら、その獰猛な獣の瞳を紅く光らせる。
「う、く……っ!」
その凄まじい殺気だけで、大陸最高峰の騎士達はたじろぐ。理性ではない、本能的な恐怖。それから植え付けられるのは、回避できない死ーー
「すまない。待たせたな」
と、血の匂いと緊張感で張り詰めた場に、不自然なくらいに冷静な言葉で割り込んできたのは、ルエールだった。
彼の右手には黒剣が握られており、その剣からは血がボタボタと滴り落ちていた。
「……っ。ディアス……すまない」
ルエールは熊型魔獣に捕食された騎士の亡骸を確認すると、心痛の表情を浮かべる。
しかし、それも一瞬のこと。
「残りはこいつだけだ。私が片付けよう」
すぐに無感情ーーいや、表情は無表情だが、その視線は鋭い怒りと殺気を込められている。
距離を取りながら熊型魔獣を囲っている騎士達をそのままに、ルエールは堂々と真正面から歩み寄っていく。
「だ、団長! 危険です! リドリスもコイツに……っ!」
ルエールを制止しようとする騎士の声。しかしルエールにその声は届いていないのか、ルエールはそのまま構えらしい構えも取らず、ユラリユラリと揺れるように、熊型魔獣へと近寄っていく。
無警戒に歩み寄る脆弱な人間に、熊型魔獣は雄たけびを上げながら、猛然と襲い掛かる。
「グオアアアアアアアアア――…………」
その聞くだけで人間を振る上がらせる獰猛な雄たけびが、その熊型魔獣の死の断末魔となった。
ずっと見ていたはずの周りの騎士達も、何が起こったのか、訳が分からなかった。
何が起こったのか経過は分からずとも、その結果は今目の前にある。
気付いた時には、ルエールが剣を振り抜く動きをしていて、熊型魔獣の首が刎ね飛ばされていた。
熊型魔獣の雄たけびが全て終わらないうちに、おそらく熊型魔獣ですら斬られたという認識が追い付かない速度で、ルエールの剣の刃が熊型魔獣の首を刈ったのだ。
龍牙騎士団長というに相応しい、堂々と洗練された所作で、ルエールが黒剣を鞘へしまうのと同時、上空に跳ね飛ばされていた熊型魔獣の首が、ごろんと落ちてくる。
「う、お……お……っ!」
そのルエールの凄まじい剣の腕に、周囲の騎士一同は声も出せなかった。
逃げることすら叶わない素早さを持ち、刃を通さない重厚な毛皮に包まれた魔獣の首を、瞬き一つくらいの刹那の間に、音もなく刈り取ったのだ。
「これが、英雄の……“剣士”の力……っ!」
騎士の中の一人、入団してからずっとルエールの副官として配置されていたクルーズが、ぽつりとそう零した。
□■□■
「何人やられた?」
熊型魔獣を仕留めた後、生き残った部下達を集めて、ルエールは冷静且つ迅速に生存者の確認を行っていた。
「今のでディアスとリドリスがやられました。この2人で、被害は計5人です」
「残り7名か……上出来だな」
魔獣の血で汚れた黒剣を布でふき取りながら、ルエールは冷血とも思える口調でそう零した。
「あ、あれが“剣士”が扱う神器……龍殺しの剣“アスカロン”?」
自分も命からがら生き残ったクルーズがボツリとこぼすと、同じくぎりぎりの所で生き残った先輩騎士が答える。
「違うな。アスカロンは2本1対の双剣だ。あれは、普通の剣ーーとはいっても、ヴァルガンダル家に伝わる相当な業物だけどな。団長にとっては、ここいらの魔獣程度なら、神器を抜く必要もないんだろ」
畏怖を通り越して、呆れたような笑いが込められたその先輩騎士の言葉に、クルーズも思わず息を飲むのだった。
□■□■
ルエールがヴィジオールに提案した作戦――それは、フルダイン山脈を越えることで、ファヌス魔術部隊の壁となる奴隷部隊を迂回し、敵の拠点へ忍び込むこと。そして忍び込んだ部隊で魔術部隊を強襲すると共に、ヴィジオール率いる本隊が攻撃を仕掛けるという内容のものだった。
フルダイン山脈を越えるといっても、本格的な山越えをするわけではない。渓谷に陣取る奴隷部隊を迂回する程度だ。フルダイン山脈全体からすれば、そのほんの一部分に足を踏み入れるに過ぎない。
しかし、その”少しだけ”ですら、フルダイン山脈へ入るなど、おおよそまともな人間の思考ではない。だからこそ敵の想定外の奇策ではあるものの、当時のフルダイン山脈とはそれ程に危険な場所だった。
現に、ルエールが選抜した精鋭部隊も、既に5人もの騎士が魔獣によって命を奪われているのだ。
「最低でも5人が山を降りられれば充分だ。後衛に引き籠ってばかりの魔術師など、それだけあれば混乱に陥れるだろう」
しかし、これくらいの被害はルエールの想定内である。
ルエールに付き従うクルーズらも、フルダイン山脈への挑戦というハイリスクな作戦に、自ら納得して臨んでいる。皆、命など捨てる覚悟は住んでおり、そのルエールの非情な発言に反抗心を抱く者はいない。
それでも、こうして魔獣の脅威を目の当たりにすれば、どうしたって身が竦んでしまうのは耐えられなかった。
魔獣と遭遇する度に仲間がまた1人減っていく恐怖ーーそれでも彼らが生き残れているのは、間違いなくルエールの圧倒的な力のおかげだった。
他の騎士が全員で1匹の動きを止めるのがやっとの中、ルエールは1人で魔獣を次々と狩っていくのだ。
正に英雄“剣士”の直系の本領発揮。大陸最強と謳われる「戦神」ヴィジオールに及ぶであろう程の無双ぶりを、この若き騎士団長は体現していた。
「ファヌスの領地まであと少しか……一人でも多く生き残ってくれよ」
そのルエールの言葉に、生き残った面々は、心も身体も引き締める。今はすんでの所で命が助かったものの、まだまだ死とは隣り合わせの状態だ。この状況では、数秒後に魔獣の群れと遭遇してもおかしくない。
「団長、ディアス達の遺体ですが……その……」
騎士の一人が歯切れ悪く申し出ると、ルエールはその言葉を遮るように、口早に断じた。
「彼らには申し訳ないが、そのままにしておこう。人間の死肉は魔獣共の餌になる。魔獣が、それに食らいついている間は、我らの生存確率が少しでも上がる」
「……」
冷酷非情であると同時に、それは極めて冷静且つまともな思考だった。物言わぬ死体となった者よりも生き残った人間を優先するという判断は、その命に責任を負っているルエールが、当然になさねばならない判断である。
ーーしかし、感情のある人間として、それはあまりにも……
続けて、ルエールは言う。
「身に付けている物か身体の一部分だけでも、急ぎ回収してきてくれ。彼らの勇気と死は、広く知られて称えられなければならない。そのために、彼らの魂は聖アルマイトに連れて帰らねばならない」
その言葉に、騎士達は僅かに顔を輝かせるようにして軽く頭を下げると、足早に2人の遺体がそのままになっている箇所へと向かって行く。
「団長、ありがとうございます」
犠牲になった者の中には、クルーズが親しくしていた者もいた。そんなクルーズが感謝の念を伝えると、ルエールは相変わらず感情の動きが見えない顔のまま答えた。
「急ごう。あまり時間をかけては、ファヌス側に怪しまれる」
国を守るため、そして自分の帰りを待つ妻とまだ見ぬ子供と生きて帰るため、ルエールは決死の作戦行動に臨む。
□■□■
そうしてから、ルエール一行は更に1人の犠牲者を出したところで、遂にファヌス領地へとその足を踏み入れた。
「おっ……おおおっ……!」
目標にしていたファヌス領地の街が視界に見えてくると、誰もが思わず感嘆の声を漏らしたのだった。
それは無理もないことだ。
残っている記録に限れば、まともにフルダイン山脈内を行き、生き残って降り立ったことが出来たのは彼らが史上初なのだから。地味に人類初の偉業を成し遂げたのである。
「6人が生き残ったか。皆、よく頑張ってくれた」
冷淡な団長の労いの声でも、この時の彼らにとっては、とても誇らしく感じられるものだった。
しかし、ルエール達の目的はフルダイン山脈を越えることではない。
このまま敵の中核に忍び込み、内外で呼応してファヌスの国境防衛隊を叩く。そこまでして、初めての成功だ。
今、ようやくスタート地点に立ったに過ぎない。
「あれだけ死ぬ目にあったばかりだが、今度は敵陣の中枢へ潜り込む。敵には、ヴィジオール陛下の部隊を撃退する程の魔術師もいる」
そうして改めて客観的な状況を口にしたところで、ルエールが僅かに息を飲む。そして一瞬の間を空けながら、部下達に声をかける。
「緊張を切らすな。覚悟を決めろ。聖アルマイトを、そこに住まう人々を守るために。本作戦に、その全てが掛かっていると知れ」
□■□■
ファヌスが防衛拠点としている街の名はアデアラスという。
聖アルマイトとの国境線に位置する街ではあるが、軍事拠点というわけではない。フルダイン山脈に囲まれた峡谷地帯に位置する、ごく普通の街である。
ファヌス側からすれば、国防戦の場合、本来ならばこのアデアラスの街よりも前線にある関所で防衛するべきではあるのだが、先遣部隊としてやってきたルエール部隊の電撃作戦により、まともに防衛する間もなく関所は突破されてしまっていた。
そこでファヌス国境防衛部隊は、ここアデアラスの街を拠点にしながら、この一本道の峡谷路を塞いで防衛に徹しているのである。
「当然ですが、軍人ばかりですね」
本来であれば、この天気の良い昼下がりの時間、住民達で活気づいているであろう街中は、今は軍服を着こなした軍人達が闊歩している。浮かれた雰囲気などはないが、どことなく活気づいている空気が見え隠れする。
大陸最強の聖アルマイト部隊、しかもその頂点であるヴィジオール部隊の攻撃を退けたのだ。士気が高まるのも当然のことだろう。
ルエール一行は、建物の陰に隠れ、人目につかないようにして街の内情を探っていた。
「団長、食料と水です」
そこで1人別行動をしていた騎士が合流してくる。その言葉通り、両手いっぱいに物資を抱えていた。
それからルエール達は、人目のない場所へ移動すると、彼が持ってきた物資を広げる。
「まずは栄養と休息だ。時が来るまでには、しっかり体調を整えておけ」
そのルエールの指示の下、各自は食料品に手をつけていく。それらは質素で、量も決して多くは無かった。しかし食料が尽きてしまい、草や虫などを食みながらなんとかフルダイン山脈を越えてきた彼らにとっては、人生最高のご馳走のようにすら感じられた。
「上手く街に入れましたね。これからどうしますか?」
6人で軽く食料を平らげながら、今後の方策を話し合う。問われたルエールは、水を喉に流し込みながら答える。
「とにかく、私たちが潜入に成功したのを陛下に伝えなければな。実行日を決めなければならない」
ルエール達の役目は、本隊が攻撃を仕掛けて前線の奴隷部隊を突破するまでの間、後衛の魔術部隊を混乱させて、戦闘に参加させないことだ。つまり、あらかじめヴィジオールと、そのタイミングを示し合わせる必要がある。
そのルエールの言葉に、騎士の1人がうなずくと
「誰かが奴隷に扮し、ファヌスの前線部隊に紛れ込むというのはどうでしょうか。そうすれば、戦闘が起こった時に、ドサクサで本隊に戻れるでしょう」
その部下の提案に、ルエールはうなずき返す。悪くはない案だが、その役目を負う人間は危険だろう。いつバレるとも分からないし、スパイとバレたら即刻殺されるのは間違いない。
フルダイン山脈を命からがらで乗り越えた後、今度は敵部隊に紛れながら自陣に帰還しなければならないという、聞いただけでもうんざりするような話だ。
しかしそれ以上に命懸けなのは、ルエールを始めとした、ここに残る5人だ。何せ、強力な魔術部隊を相手に、たった5人で混乱させないといけないのだ。
「--よし、それで行こう。奴隷に紛れるのは、立候補はいるか?」
フルダイン山脈を越えて間もないうちに、ルエールはテキパキと次の行動へ移っていく。今こうして休憩している時も含めて、一瞬たりとも危険から離れられない。僅かな油断が死へと繋がる。この作戦はそういうものだった。
そうして、部下達と打ち合わせを進めながら、ルエールの記憶に呼び起こされるのは
『どんなに情けなくて見苦しくても、生きて戻ることを最優先して下さい』
それは、プリメータと交わした約束。
(勿論、死ぬ気など微塵にもありません)
聖アルマイトを守るため、死ぬ覚悟は出来ている。しかし、それは決して死が前提というわけではない。
愛する妻と、近い将来生まれてくる子供の顔を見るために、決して死ぬわけにはいかないのだ。
「私も“剣士”としての全力を奮い、どんな強大な敵を斬り伏せてみせよう」
腰にさした神器『アスカロン』の柄を指でなぞりながら、ルエールはつぶやいた。
自分の信念、愛する者――迫りくる脅威から大切なものを守るためには、それ以上の力でもって対抗するしかない。そしてルエールは、幸いにもその力を有している。だから、力でもって脅威を排除するのは、ルエールの役目なのだ。
しかし、ここでファヌスの内情を目にすることで、ルエールは自らの人生の大きな転機を迎えることになるのだった。
両国の首都は、地図上の直線距離で言えば、そう離れた距離ではない。しかしその間にあるフルダイン山脈により、陸路における交通は完全に遮断されている。
或いは無理やりフルダイン山脈を越えて、首都から首都へと直接攻め入る――その選択肢も無いということは無かった。しかしフルダイン山脈は、行く道が険しいだけではなく、獰猛な魔獣も蔓延っており『魔の山』と称されており、大陸でも最も危険な場所と言われている。まともな人間であれば、そこに足を踏み入れようとすらしないだろう。
したがって両国が戦争状態に陥った時、聖アルマイト側からすれば、西方のダリア領まで迂回した後、そこから南下してファヌスとの国境線へ向かうルート一択となる。
そしてその国境線は、南北を山で囲われている渓谷地帯となっている。ダリア領からファヌス領地へ攻め入る道に分岐路はなく、それが唯一の侵攻ルートになっている。
したがって聖アルマイトがファヌス魔法大国へ攻め入るにはそこを正面突破するしかない。
これは奴隷部隊を壁にながら、後方から魔術攻撃を駆使するというファヌスにとって、防衛戦としてはこれ以上ない好条件である。
ルエールは、この如何ともしがたい状況を打破するため、まともな人間であればやろうとしない奇策を実行に移していた。
それは、つまり--
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「はぁっ、はぁっ! ぎゃあああっ!」
人が入らざるべきフルダイン山脈の中、とある騎士が死の断末魔をあげていた。
龍牙騎士の鎧の上からマントを羽織った、まだ20代の若い騎士だ。その騎士を後ろから追いかけていた熊型の中型魔獣は、その鋭い爪を振って、騎士の身体をいとも容易く上下に裂いたのだった。
「バリっ、ボリっ、ガツ……!」
そしてその熊型魔獣は、爪で裂いた獲物の身体に貪りつくと、骨を砕きながら肉を咀嚼する、生々しい音を立てて、騎士の死肉を味わっている。
「っく……囲め! 正面に立つな」
犠牲になったのとは別の龍牙騎士達が、熊型魔獣を取り囲むようにしていた。どの騎士の顔にも、緊張と恐怖が入り混じっている。
「グオオオオオ……! オオオオオオ……!」
熊型魔獣は、自らを取り囲む外敵の敵意を感じると、口の中からどす黒い血を垂れ流しながら、その獰猛な獣の瞳を紅く光らせる。
「う、く……っ!」
その凄まじい殺気だけで、大陸最高峰の騎士達はたじろぐ。理性ではない、本能的な恐怖。それから植え付けられるのは、回避できない死ーー
「すまない。待たせたな」
と、血の匂いと緊張感で張り詰めた場に、不自然なくらいに冷静な言葉で割り込んできたのは、ルエールだった。
彼の右手には黒剣が握られており、その剣からは血がボタボタと滴り落ちていた。
「……っ。ディアス……すまない」
ルエールは熊型魔獣に捕食された騎士の亡骸を確認すると、心痛の表情を浮かべる。
しかし、それも一瞬のこと。
「残りはこいつだけだ。私が片付けよう」
すぐに無感情ーーいや、表情は無表情だが、その視線は鋭い怒りと殺気を込められている。
距離を取りながら熊型魔獣を囲っている騎士達をそのままに、ルエールは堂々と真正面から歩み寄っていく。
「だ、団長! 危険です! リドリスもコイツに……っ!」
ルエールを制止しようとする騎士の声。しかしルエールにその声は届いていないのか、ルエールはそのまま構えらしい構えも取らず、ユラリユラリと揺れるように、熊型魔獣へと近寄っていく。
無警戒に歩み寄る脆弱な人間に、熊型魔獣は雄たけびを上げながら、猛然と襲い掛かる。
「グオアアアアアアアアア――…………」
その聞くだけで人間を振る上がらせる獰猛な雄たけびが、その熊型魔獣の死の断末魔となった。
ずっと見ていたはずの周りの騎士達も、何が起こったのか、訳が分からなかった。
何が起こったのか経過は分からずとも、その結果は今目の前にある。
気付いた時には、ルエールが剣を振り抜く動きをしていて、熊型魔獣の首が刎ね飛ばされていた。
熊型魔獣の雄たけびが全て終わらないうちに、おそらく熊型魔獣ですら斬られたという認識が追い付かない速度で、ルエールの剣の刃が熊型魔獣の首を刈ったのだ。
龍牙騎士団長というに相応しい、堂々と洗練された所作で、ルエールが黒剣を鞘へしまうのと同時、上空に跳ね飛ばされていた熊型魔獣の首が、ごろんと落ちてくる。
「う、お……お……っ!」
そのルエールの凄まじい剣の腕に、周囲の騎士一同は声も出せなかった。
逃げることすら叶わない素早さを持ち、刃を通さない重厚な毛皮に包まれた魔獣の首を、瞬き一つくらいの刹那の間に、音もなく刈り取ったのだ。
「これが、英雄の……“剣士”の力……っ!」
騎士の中の一人、入団してからずっとルエールの副官として配置されていたクルーズが、ぽつりとそう零した。
□■□■
「何人やられた?」
熊型魔獣を仕留めた後、生き残った部下達を集めて、ルエールは冷静且つ迅速に生存者の確認を行っていた。
「今のでディアスとリドリスがやられました。この2人で、被害は計5人です」
「残り7名か……上出来だな」
魔獣の血で汚れた黒剣を布でふき取りながら、ルエールは冷血とも思える口調でそう零した。
「あ、あれが“剣士”が扱う神器……龍殺しの剣“アスカロン”?」
自分も命からがら生き残ったクルーズがボツリとこぼすと、同じくぎりぎりの所で生き残った先輩騎士が答える。
「違うな。アスカロンは2本1対の双剣だ。あれは、普通の剣ーーとはいっても、ヴァルガンダル家に伝わる相当な業物だけどな。団長にとっては、ここいらの魔獣程度なら、神器を抜く必要もないんだろ」
畏怖を通り越して、呆れたような笑いが込められたその先輩騎士の言葉に、クルーズも思わず息を飲むのだった。
□■□■
ルエールがヴィジオールに提案した作戦――それは、フルダイン山脈を越えることで、ファヌス魔術部隊の壁となる奴隷部隊を迂回し、敵の拠点へ忍び込むこと。そして忍び込んだ部隊で魔術部隊を強襲すると共に、ヴィジオール率いる本隊が攻撃を仕掛けるという内容のものだった。
フルダイン山脈を越えるといっても、本格的な山越えをするわけではない。渓谷に陣取る奴隷部隊を迂回する程度だ。フルダイン山脈全体からすれば、そのほんの一部分に足を踏み入れるに過ぎない。
しかし、その”少しだけ”ですら、フルダイン山脈へ入るなど、おおよそまともな人間の思考ではない。だからこそ敵の想定外の奇策ではあるものの、当時のフルダイン山脈とはそれ程に危険な場所だった。
現に、ルエールが選抜した精鋭部隊も、既に5人もの騎士が魔獣によって命を奪われているのだ。
「最低でも5人が山を降りられれば充分だ。後衛に引き籠ってばかりの魔術師など、それだけあれば混乱に陥れるだろう」
しかし、これくらいの被害はルエールの想定内である。
ルエールに付き従うクルーズらも、フルダイン山脈への挑戦というハイリスクな作戦に、自ら納得して臨んでいる。皆、命など捨てる覚悟は住んでおり、そのルエールの非情な発言に反抗心を抱く者はいない。
それでも、こうして魔獣の脅威を目の当たりにすれば、どうしたって身が竦んでしまうのは耐えられなかった。
魔獣と遭遇する度に仲間がまた1人減っていく恐怖ーーそれでも彼らが生き残れているのは、間違いなくルエールの圧倒的な力のおかげだった。
他の騎士が全員で1匹の動きを止めるのがやっとの中、ルエールは1人で魔獣を次々と狩っていくのだ。
正に英雄“剣士”の直系の本領発揮。大陸最強と謳われる「戦神」ヴィジオールに及ぶであろう程の無双ぶりを、この若き騎士団長は体現していた。
「ファヌスの領地まであと少しか……一人でも多く生き残ってくれよ」
そのルエールの言葉に、生き残った面々は、心も身体も引き締める。今はすんでの所で命が助かったものの、まだまだ死とは隣り合わせの状態だ。この状況では、数秒後に魔獣の群れと遭遇してもおかしくない。
「団長、ディアス達の遺体ですが……その……」
騎士の一人が歯切れ悪く申し出ると、ルエールはその言葉を遮るように、口早に断じた。
「彼らには申し訳ないが、そのままにしておこう。人間の死肉は魔獣共の餌になる。魔獣が、それに食らいついている間は、我らの生存確率が少しでも上がる」
「……」
冷酷非情であると同時に、それは極めて冷静且つまともな思考だった。物言わぬ死体となった者よりも生き残った人間を優先するという判断は、その命に責任を負っているルエールが、当然になさねばならない判断である。
ーーしかし、感情のある人間として、それはあまりにも……
続けて、ルエールは言う。
「身に付けている物か身体の一部分だけでも、急ぎ回収してきてくれ。彼らの勇気と死は、広く知られて称えられなければならない。そのために、彼らの魂は聖アルマイトに連れて帰らねばならない」
その言葉に、騎士達は僅かに顔を輝かせるようにして軽く頭を下げると、足早に2人の遺体がそのままになっている箇所へと向かって行く。
「団長、ありがとうございます」
犠牲になった者の中には、クルーズが親しくしていた者もいた。そんなクルーズが感謝の念を伝えると、ルエールは相変わらず感情の動きが見えない顔のまま答えた。
「急ごう。あまり時間をかけては、ファヌス側に怪しまれる」
国を守るため、そして自分の帰りを待つ妻とまだ見ぬ子供と生きて帰るため、ルエールは決死の作戦行動に臨む。
□■□■
そうしてから、ルエール一行は更に1人の犠牲者を出したところで、遂にファヌス領地へとその足を踏み入れた。
「おっ……おおおっ……!」
目標にしていたファヌス領地の街が視界に見えてくると、誰もが思わず感嘆の声を漏らしたのだった。
それは無理もないことだ。
残っている記録に限れば、まともにフルダイン山脈内を行き、生き残って降り立ったことが出来たのは彼らが史上初なのだから。地味に人類初の偉業を成し遂げたのである。
「6人が生き残ったか。皆、よく頑張ってくれた」
冷淡な団長の労いの声でも、この時の彼らにとっては、とても誇らしく感じられるものだった。
しかし、ルエール達の目的はフルダイン山脈を越えることではない。
このまま敵の中核に忍び込み、内外で呼応してファヌスの国境防衛隊を叩く。そこまでして、初めての成功だ。
今、ようやくスタート地点に立ったに過ぎない。
「あれだけ死ぬ目にあったばかりだが、今度は敵陣の中枢へ潜り込む。敵には、ヴィジオール陛下の部隊を撃退する程の魔術師もいる」
そうして改めて客観的な状況を口にしたところで、ルエールが僅かに息を飲む。そして一瞬の間を空けながら、部下達に声をかける。
「緊張を切らすな。覚悟を決めろ。聖アルマイトを、そこに住まう人々を守るために。本作戦に、その全てが掛かっていると知れ」
□■□■
ファヌスが防衛拠点としている街の名はアデアラスという。
聖アルマイトとの国境線に位置する街ではあるが、軍事拠点というわけではない。フルダイン山脈に囲まれた峡谷地帯に位置する、ごく普通の街である。
ファヌス側からすれば、国防戦の場合、本来ならばこのアデアラスの街よりも前線にある関所で防衛するべきではあるのだが、先遣部隊としてやってきたルエール部隊の電撃作戦により、まともに防衛する間もなく関所は突破されてしまっていた。
そこでファヌス国境防衛部隊は、ここアデアラスの街を拠点にしながら、この一本道の峡谷路を塞いで防衛に徹しているのである。
「当然ですが、軍人ばかりですね」
本来であれば、この天気の良い昼下がりの時間、住民達で活気づいているであろう街中は、今は軍服を着こなした軍人達が闊歩している。浮かれた雰囲気などはないが、どことなく活気づいている空気が見え隠れする。
大陸最強の聖アルマイト部隊、しかもその頂点であるヴィジオール部隊の攻撃を退けたのだ。士気が高まるのも当然のことだろう。
ルエール一行は、建物の陰に隠れ、人目につかないようにして街の内情を探っていた。
「団長、食料と水です」
そこで1人別行動をしていた騎士が合流してくる。その言葉通り、両手いっぱいに物資を抱えていた。
それからルエール達は、人目のない場所へ移動すると、彼が持ってきた物資を広げる。
「まずは栄養と休息だ。時が来るまでには、しっかり体調を整えておけ」
そのルエールの指示の下、各自は食料品に手をつけていく。それらは質素で、量も決して多くは無かった。しかし食料が尽きてしまい、草や虫などを食みながらなんとかフルダイン山脈を越えてきた彼らにとっては、人生最高のご馳走のようにすら感じられた。
「上手く街に入れましたね。これからどうしますか?」
6人で軽く食料を平らげながら、今後の方策を話し合う。問われたルエールは、水を喉に流し込みながら答える。
「とにかく、私たちが潜入に成功したのを陛下に伝えなければな。実行日を決めなければならない」
ルエール達の役目は、本隊が攻撃を仕掛けて前線の奴隷部隊を突破するまでの間、後衛の魔術部隊を混乱させて、戦闘に参加させないことだ。つまり、あらかじめヴィジオールと、そのタイミングを示し合わせる必要がある。
そのルエールの言葉に、騎士の1人がうなずくと
「誰かが奴隷に扮し、ファヌスの前線部隊に紛れ込むというのはどうでしょうか。そうすれば、戦闘が起こった時に、ドサクサで本隊に戻れるでしょう」
その部下の提案に、ルエールはうなずき返す。悪くはない案だが、その役目を負う人間は危険だろう。いつバレるとも分からないし、スパイとバレたら即刻殺されるのは間違いない。
フルダイン山脈を命からがらで乗り越えた後、今度は敵部隊に紛れながら自陣に帰還しなければならないという、聞いただけでもうんざりするような話だ。
しかしそれ以上に命懸けなのは、ルエールを始めとした、ここに残る5人だ。何せ、強力な魔術部隊を相手に、たった5人で混乱させないといけないのだ。
「--よし、それで行こう。奴隷に紛れるのは、立候補はいるか?」
フルダイン山脈を越えて間もないうちに、ルエールはテキパキと次の行動へ移っていく。今こうして休憩している時も含めて、一瞬たりとも危険から離れられない。僅かな油断が死へと繋がる。この作戦はそういうものだった。
そうして、部下達と打ち合わせを進めながら、ルエールの記憶に呼び起こされるのは
『どんなに情けなくて見苦しくても、生きて戻ることを最優先して下さい』
それは、プリメータと交わした約束。
(勿論、死ぬ気など微塵にもありません)
聖アルマイトを守るため、死ぬ覚悟は出来ている。しかし、それは決して死が前提というわけではない。
愛する妻と、近い将来生まれてくる子供の顔を見るために、決して死ぬわけにはいかないのだ。
「私も“剣士”としての全力を奮い、どんな強大な敵を斬り伏せてみせよう」
腰にさした神器『アスカロン』の柄を指でなぞりながら、ルエールはつぶやいた。
自分の信念、愛する者――迫りくる脅威から大切なものを守るためには、それ以上の力でもって対抗するしかない。そしてルエールは、幸いにもその力を有している。だから、力でもって脅威を排除するのは、ルエールの役目なのだ。
しかし、ここでファヌスの内情を目にすることで、ルエールは自らの人生の大きな転機を迎えることになるのだった。
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