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第3章『”剣士”覚醒』編

第119話 集結する猛者、始動する悪意(後編)

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 バーグランド領、元領主の寝室。

 今そこでは、肉がこすれ合う卑猥な音や、水っぽい下品な淫音が部屋内に響き渡っていた。

「ちゅうう~……ちゅっ、ちゅっ……」

「っああああ! 出るっ……また出るわっ! 私の精気が……っああああああ~! 出るううううううっ!」

 2つあるうちのベッドの内1つーーそちらではフェスティアに群がる淫魔が3人。

 その内2人の淫魔から乳房を吸われているフェスティアは、大きく身体をのけぞらせると、ビクビクと全身を痙攣させる。そして、その淫魔達がフェスティアの乳房を搾るように揉むと、その尖端からピュッピュッと乳白色の液体が飛び出る。

「あ゛っ♡ あ゛あ゛っ……んあぁぁ~……♡」

 だらしなく舌を伸ばして、恍惚に満ちた表情を浮かべるフェスティア。淫魔達は噴き出たその精気を舌の上に乗せてぺろりと味わうと、そのまま先端に吸い付いて、赤ん坊にようにチューチュー吸い立てる。

「す、吸われてっ……んはああぁぁぁっ! 吸われるの気持ちいい゛っ♡ もっと、もっと吸って♡ 舌で乳首をぺろぺろしてぇ♡」

「あはっ、ママのオッパイあまぁ~い♪」

「えへっ、こうやって歯もあててぇ~……どう? ほら、もっと一杯出してっ♪ 枯れるまで出し切って♪」

「んっはああああああああああ~~~♡ ああぁぁぁぁぁ~~♡」

 淫魔2人から容赦なく乳房を責め立てられて、フェスティアは絶叫のような声を上げながら、再びビクビクと大きく身体を痙攣させると、そのまま脱力して仰向けに横たわる。

「はぁ……はぁ……」

「ママぁ♪ ママも私の精気吸っていいよぉ♪ エッチになれる淫魔の淫液、たくさん飲んでね♪」

 横たわったフェスティアの顔を跨ぐようにして、残り1人の淫魔が淫蕩な笑顔を浮かべてながら、腰を下ろしていく。そして、その秘部をフェスティアの顔へ近づけていくと、フェスティアは舌を伸ばして、それを待ち構える。

「ちゅるっ……ちゅううっ……ちゅば……」

「ぁあんっ! ママったら、そんなにがっついちゃって♪ 淫魔の淫液が癖になっちゃったねぇ♪ いいよ、たくさん出してあげるから、たくさん飲んでね♪」

「はむっ……ちゅば……ちゅうう」

 言われるがままフェスティアは、あふれ出る淫魔の愛液を音を立てながら啜っていく。普通の人間のものとは違う愛液を体内に取り入れていけば、フェスティアは身体の内側から灼熱の性熱が燃え上がっていくのを感じる。

 加速した性の興奮は、フェスティアを更なる欲望に駆り立てていく。

「じゃあ、こっちは私がもらっちゃお♪」

 先ほどフェスティアの乳房を責めていた淫魔の1人の方は、フェスティアの股を開かせると、そこに自らの秘部を押し付けるようにして、お互いの敏感な部分を擦り合わせる。

「ふむ゛う゛う゛う゛~~♡ んむうううううう!」

「あんっ、気持ちいいっ! やっぱりママとのセックス最高っ♡ あはっ、あはははは♪」

 笑いながら腰を振り、秘部の擦り合わせを加速していく淫魔。

 そして最後にあぶれた1人は、再びフェスティアの乳房に吸い付き、その口の中にフェスティアの精気を溜めこむと

「お姉ちゃん達ぃ、ママのおっぱいだよぉ」

「あ、飲みたい飲みたい♪」「私も私もぉ♪」

 そう言い合いながら、淫魔3姉妹は顔を寄せ合い、舌を出して精気を口移ししていく。

 その3姉妹の下で、秘部を擦り立てられながら、乳房を搾るように揉みしだかれて、口も秘部を押し付けられて塞がれたフェスティア。

「んううううううっ! ん~~~っ♡ んんんんんんんっ~♡ んっぐううううううううううううう♡」

 満足に声も出せないまま、3姉妹の下でビクビクと大きく身体を揺らしながら、何度も何度も絶頂に達せられて、秘部からは潮を、乳房からは精気を勢いよく噴き出し続ける。

 しかし、ここまでされてもフェスティアは、精神が壊れることも無ければ淫魔に堕ちることは無かった。グスタフの意図に従うステラの命令通り、3姉妹達はその一線を絶対に超えることはない。

 しかし、それは逆に言うと、そのぎりぎりまで徹底的にフェスティアを追い詰め続ける。

 結果、フェスティアは人の身を保ちながら、人の身ではあり得ぬ快楽地獄を味あわされる目に合っていた。

□■□■

 一方、もう1つのベッドでは

「ふんっ! ふんっ!」

「あがああああああっ? ふおおおおお~~っ、お゛、お゛、お゛お゛~~っ♡」

 ベッドのスプリングをギシギシと軋ませながら、うつ伏せに寝そべったリアラの後ろから、グスタフが杭を打ち込むように肉棒を突き入れていた。

「どうじゃ、どうじゃ? ふほほっ」

 汗まみれになりながら、その肥満体を必死に動かしながらリアラの最奥に何度も何度も肉棒を打ち込むグスタフ。タプンタプンと腹のぜい肉が揺れるその姿は醜悪そのもの。

 まさに野獣が美少女を犯しているという、その文字のままである。そうやってグスタフが激しく責め立てている2人の結合部からは、卑猥な淫音を響き、お互いの体液がシーツの上へと飛び散っていた。

「しゅ、しゅごおおおおお~~っ♡ 角度キツくて、エグイ程奥に当たるにょおおおおお♡ んおおお~~♡ も、だめっ♡ マンコも脳みそも、全部チンポになりゅううう♡ あがあああああっ~~! いっぐうううううう! いぐいぐぅっ! いきゅうううううう♡」

 枕の上に顎を乗せながら、鼻水と涙でくしゃくしゃな表情になるリアラ。白目を剥きながら、大口を開けてだらしなく舌を伸ばし、正気の色をすっかり失っていた。

「うおっ、おおおっ! い、イク……出すぞ、リアラっ! いつも通り中で受け止めるんじゃああああっ!」

「ひぐうううううっ♡ 来てっ、来てっ♡ グスタフの特濃赤ちゃん汁、赤ちゃん部屋に思い切り種付けしてぇぇぇぇぇ! んほおおおおおおおおおおお♡」

 グスタフが深く腰を突き入れたところで、ビクビクと身体を震わせると、容赦なく大量の白濁をリラの最奥へ吐き出す。同時にリアラも全身を大きく震わせて、挿入されたグスタフの肉棒から一滴も残さずに精を吸い取ろうと、全力で肉棒を締めつけて搾り取るように絡みつく。

「んおっ♡ おおっ♡ おっ、おっ♡ おおおおおぉぉぉ~~♡」

 中でドクドクと射精されながら、リアラは背を反らしてオットセイのような姿勢と声で、中に精を注がれる快感と多幸感に打ち震え続ける。

 そうしてしばらくリアラの中で精を吐き続けた後、グスタフは顎に滴り落ちてくる汗を手の甲でぬぐい取りながら、ゆっくりとリアラの中から肉棒を引き抜いた。

「ふひー、ふひー♪ 全く、リアラは何度ハメても飽きんわい。勇者特性?だったか。2人の快感が混ざり合って、最高じゃわい」

「ふーっ、ふーっ♡ えへへ、2人で一緒に気持ちよくなって……私達って、チョーラブラブだね♪ グスタフが大好きなお掃除フェラ、してあげる♡ ん……ちゅうう……れろぉぉ」

「ふおおおっ……!」

 射精したばかりのグスタフの腰に顔をうずめて、リアラは精液と自分の愛液にまみれたグスタフの肉棒にねっとりと舌を這わせる。そしてグスタフの両手に指を絡ませるようにしながら握り合うと、愛おしそうな表情で、卑猥に肉棒に舌を絡ませる。

 そのリアラの舌の感触に、再びグスタフの肉棒は滾っていく。その興奮は勇者特性でリアラにも伝わってくると、肉棒を奉仕する舌の動きが、より卑猥に下品になっていく。

「んっ……んっ……♡ ど、どうしてグスタフって、そんなにエロいのぉ♪ ちゅば……ちゅっ……あぁ、素敵ぃ♪ リューイの租チンなんかと全然違うよぉ♡ 私、どんどんエロくなって、グスタフとラブラブになっちゃう♡ ああ、幸せっ! 好き、好き! グスタフのことが世界で一番大好きっ♡ グスタフのためなら、全人類皆殺しだってしちゃうよ♪ だから、もう一発……ちゅううう♡」

 そのままリアラはグスタフの腰の上に乗るようにしながら、唇を奪う。そして舌を絡み合わせながら、グスタフの肉棒を固定して、そこに腰を沈めていく。

 そうして、もう何度目かの性交が始まる。

 グスタフとリアラがそうして快楽を貪っている傍ら、もう片方のベッドでも勿論――

「あっ、あっ、あああぁ~~っ! 吸って! 吸ってぇぇぇ! 気持ちいいいいい!」

「ちゅー、ちゅー……ママ、大好きぃ♪」「おっぱい、もっと出してぇ」「オマンコ、もっと舐め合いっこしようよぉ♪」

 フェスティアと淫魔3姉妹が快楽を貪り合っている。

 その部屋は、現実世界にありながら、まるで人の世とは思えない異空間のような、異常な光景となっていた。

 フェスティアの身体を貪るようにしている淫魔3姉妹も元人間だということを考えると、人の身である存在達が、その理性をかなぐり捨てて、全員が獣の本能のままに性の快楽を延々と貪り続ける空間。

 人でありながら人としての尊厳を捨て、性の快楽を貪ること以外は皆無の世界。

 その世界こそが――

「皆さん、お楽しみで何よりですわ」

 伝説の淫魔、今はステラ=ストールという人間の仮面をかぶった存在の、望んだものであった。

□■□■

 ステラが寝室へ姿を現した頃は、いい加減グスタフとリアラも、フェスティアと淫魔3姉妹も、満足して一息ついたタイミングだった。

「ふひひひっ! すこ~し遅かったのぅ、ステラ。ワシもすっかりリアラに搾り取られてしもうた。お前の相手は、また今夜じゃのう。ひゃっはっはっは」

 ベッドの上で醜悪な笑みを浮かべるグスタフと、恋人のように――いや、「ように」ではなく、もはや本当の恋人なのだろう――リアラは、グスタフの腕に抱き着くようにして体を密着させていた。

「それは、とても魅力的なお話ですわね」

 ひとしきり性欲を解消した後だというのに、それでもギラついた瞳でステラの魅惑的な身体を見つめてくるグスタフ。そんな欲望の視線にさらされたステラは、ペロリと唇を舐めて挑発的な態度を取る。

「ですが、今回はグスタフ様に提案があって参りましたの」

「提案ぅ?」

 そのステラの言葉に、グスタフは怪訝そうに眉をひそめる。

「今日までたくさんの女性を食べさせていただいたおかげで、多くの妹達を生み出せましたわ。フェスティア代表程までの高貴な精気の苗床も与えていただき、そこの姉妹のような強力な個体も生まれるようになりましたの」

 いつものように、口元に手を当てて優雅な笑みを浮かべるステラは、フェスティアらのベッドへ視線を向ける。3姉妹はそれぞれフェスティアの身体に絡みつくように身体を密着させており、その中央のフェスティアは、意識はあるようだが焦点の合わない瞳でステラをボーっと見返していた。

 フェスティアの身体は汗だらけで、明らかに憔悴している。天才軍師だと持て囃されて、自信もプライドの高い才女の堕落ぶりに、ステラは満足そうな笑みを浮かべる。

「次は極めて大規模な侵攻戦になると伺っておりますわ。その前に、私の淫魔部隊の実戦テストをさせていただきたいんですの。多くの妹達といっても、数はせいぜい100そこそこ……軍隊と比較すればささやか過ぎる数ですが、淫魔の特性でもって敵を苦しめてご覧に入れますわ」

「……ふむ」

 ステラの言う通り、グスタフが全権を預けているフェスティアは、次はヘルベルト連合国の戦力も合わせて、第2王女派の全戦力を結集させるという。そして前回攻略に失敗したクラベール領を占領し、その勢いのまま第1王子派の急所ともいえるダリア領まで一気に侵攻する作戦を立てていた。

 そうしてグリムガルドやクレマリアなどを初めとした龍の爪の主戦力を招集するのと併せて大陸北部の小国家群、旧ネルグリア帝国領の反聖アルマイト勢力、そして大陸南部のファヌス魔法大国への外交戦略を同時に水面下で進めているのだった。

 そのため今はその準備が整うのを待っており、他に特別にやるべきこともないような状態だった。

「どうじゃ、フェスティア?」

「あ゛~……あ゛あ゛ぁ~……」

 グスタフに話を振られたフェスティアだったが、すっかり3姉妹達に精気を搾り取られており、まだ正気を取り戻すに至っていなかった。というか、密着している3姉妹らは、未だにゆるゆると精気を吸い続けているようだった。

「おやめなさい」

 グスタフの機嫌が悪くなる前にステラが3姉妹を諫める。さすがに主人の命令には逆らわらず、3姉妹は精気を吸うのをやめるが、フェスティアからは離れずに身体を寄せ合ったままだった。

 ステラはそんなフェスティアに近づき、彼女の額に指を当てると、そこから淡い紫色の光が生まれる。すると徐々にフェスティアの目に焦点が戻っていく。

「……ぁ……ぁあ……」

「聞いておったじゃろう。さっさと答えい」

 正気を取り戻したや否や、グスタフの横暴な口調に、フェスティアはハッとする。

 前回のクラベール領の敗戦以来、フェスティアはグスタフの機嫌を損ねており、ずっと淫魔達の餌のような扱いを受けている。これ以上グスタフを不快にさせれば、最下層の扱いを受けているリリライトと同様の立場に堕とされかねない。

 フェスティアは慌てて気を張って、答える。

「ま、まだ準備はしばらく……1ヶ月以上はかかる見込みです。仕方ないとはいえ、それだけ多くの時間を敵方――特にあのコウメイに与えてしまうのは、最大の懸念であるのは変わりません。その間、少しでも敵部隊を攪乱出来るのであれば、その意義は大きいと思います……」

 明らかに疲労が滲んだ弱弱しい声のフェスティアの意見を聞くグスタフ。「うぅむ…」と唸りながら、珍しく性行為以外のことに、真剣に思考を巡らせているようだった。

「淫魔部隊で、あのクソガキーーコウメイの部隊を皆殺しに出来るのか?」

 グスタフにとって、この世で最大の憎悪の対象であるコウメイの名を、あらんばかりの不快と怒りを込めて口に出す。決して大きな声ではないが、腹の底を揺さぶってくるような重苦しいその声に、そこにいた全員が思わず背筋にゾクリとしたものを感じる程だった。

 しかしステラはすぐに余裕の態度を取り戻し、ふっと軽く笑う。

「先ほども言った通り淫魔部隊は数が少ない上、コウメイの部隊にはクリスティアを屠った呪具持ちの龍牙騎士団副団長や、それ以外にも強力な魔具を使用する弓術士の存在も聞いていますわ。敵部隊の殲滅といわれると、それは簡単にはいきませんわ」

「では、何をしに行くんじゃ?」

「敵に、欲望と混乱を」

 相手に圧をかけるようなグスタフの問いに、ステラは笑いながら即答した。

「グスタフ様も、淫魔の特性はもう充分ご存知でしょう? それをもって、敵部隊の秩序を破壊し、混乱させ、あわよくば戦力を吸収してきますわ。こちらが準備を進めている大規模侵攻ーーその前に、全滅とは言えなくとも、致命的なダメージを与えて見せますわ」

 自信たっぷりにそう言ってくるステラを、グスタフはしばらく無表情でただじっと見つめていた。

 その無表情は何を意味しているのか分からないまま――そして数秒後に、グスタフは口元を歪ませた。

「面白い。淫魔部隊とやらの力を見せてもらおうかのう」

「――ふふ、ありがとうございます。必ずや、ご満足いただける結果を持ち帰りますわ」

 そのグスタフの返答に、ステラは満足そうな笑みを浮かべて返事をする。

「それにしても、お姉様って伝説の淫魔なんですよね? 魔王の側近だったんでしょう? それなのに、普通の人間に過ぎないジュリアス副長なんかも倒せないんですかぁ?」

 そうして、会話に突然割り込んできたのはリアラだった。それは決して馬鹿にしているのではなく、純粋な疑問だったのだろう。

 リアラ本人であれば、ジュリアス程度など瞬殺出来る自信がある。伝説の淫魔であるステラは、かつてはそのリアラの強さの源流ともいえる勇者リンデブルグ一行を苦しめた程の存在だと聞く。だからこその質問だった。

 ステラも、リアラのその胸の内を察しているのか、特に不快な様子も見せずに、優雅な口調のまま答える。

「そうですわね。今のこの姿では、暗黒時代の頃の力は発揮出来ませんの」

 そのステラの答えに、リアラは自分で質問しておきながら「ふ~ん」とつぶやきながら、グスタフに甘えるようにして、それ以上はステラに興味を示さなかった。

 ステラの方も、特にそんなリアラに取り合う様子もなく、「では」と一礼して寝室を去ろうと背を向けた時――

「待って」

 呼び止めたのはフェスティアだった。

 ステラは背中にその声を受けて、くるりと身体を回すと、首を傾げながらフェスティアへと視線を送る。

「クラベール領に行くならば、飛竜使いを見つけてきて欲しいの。おそらく逃げそびれて、今もクラベール領に潜んでいるはず。次のクラベール~ダリア領攻略では飛竜使いが必要よ。必ず回収してきて」

 ――かくして。

 第1王子派がまだその存在すら認識していない危険な部隊――ステラ率いる淫魔部隊が、動き始めるのだった。
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