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第2章『クラベール城塞都市決戦』編
第94話 クラベール城塞都市決戦(Ⅻ)――コウメイ作戦その2発動
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クラベール城塞都市防衛戦における最前線。
城塞都市から数km離れたそこは、此度の戦いにおける最激戦区であった。
激突する第1王子派と第2王女派、共に総力戦の大半を占める本隊同士がぶつかり合っている戦場である。
両軍の総戦力はほぼ互角。
第2王女派を率いるフェスティアは、①本隊 ②後方の兵糧防衛部隊 ③城塞都市突撃部隊の3隊に分けていたが、そのほとんどを本隊に戦力を集中させている。
一方の第1王子派を率いるコウメイも、①本隊 ③敵兵糧強襲部隊 ③城塞都市防衛部隊の3隊に分けていた。その配分については、③城塞都市防衛部隊には少数配置、①本隊と②敵兵糧強襲部隊――強襲部隊は更に左右両翼に2分している――がほぼ半々。
両軍の本隊同士であればフェスティア本隊の方が数の上では有利。さらに配置されている兵士には新白薔薇騎士も多いため、結局は量・質共に第2王女派が圧倒していた。
つまり、一言で言えばコウメイ部隊は劣勢にあり、窮地に立たされていた。
それでも、コウメイ本隊が戦線をジリジリト後退させながらも、何とか戦線を維持出来ているのは
「――っし!」
馬上に跨ったプリシティアが紅蓮弓から矢を放つと、その矢は業火を纏いながら敵部隊を薙ぎ払うように襲い掛かる。
「今だっ! 押し込め! いけ、いけ、いけっ!」
プリシティアの炎で怯んだ一帯に、龍牙騎士達が怒涛の突撃を仕掛けていく。
こうして、押しつ押されつの攻防を断続的に続けながら、フェスティア本隊の攻撃を何とか食い止めているのがやっとの状態だった。
しかし、それもやがて限界が訪れる。
「はぁっ……はぁっ……ひぃ……!」
紅蓮弓を放ったプリシティアは、馬上で喘ぐようにしながらフラついていた。いくら酸素を取り込んでも足りない。肺が圧迫されるようで、呼吸器からヒューヒューという変な音が聞こえる。全身が汗まみれで、頬を伝って顎から愛馬の背に垂れ落ちていく。
もう自分で身体を支えるのも危うくなり、フラつく身体が馬上から落ちそうになると、慌てて馬の背にしがみつくようにするプリシティアは、誰がどう見ても限界を迎えていた。
そんな主人の疲労困憊とした姿に、黒鹿毛の愛馬は不安そうに鼻を鳴らす。
「だ、大丈夫っちよ……ブラックサンダー。まだまだ頑張らなきゃやがー……」
「何、そのめちゃくちゃ格好いい名前!」
こんな緊張の最中にあっても日常的なノリの会話をするコウメイ――しかしその呑気さが残る口調とは裏腹に、彼の表情はさすがに緊張に引きつっていた。
「もういい、プリティ。少し下がって休憩だ」
「で、でも……わーがここを離れたら……」
強力な新白薔薇騎士の猛攻を何とか押しとどめていられているのは、プリシティアの魔具『紅蓮弓』に他ならない。
さすがにカリオスが使用する神器には遠く及ばないものの、それでも1人の力で広範囲へ強烈な攻撃が出来る魔具の力は、それ1つで劣勢な戦況を支える程になっている。
――が、神器と同じく燃費は著しく悪い。
かつてミュリヌスで神器『トールハンマー』を連発していたカリオス以上に、今のプリシティアは疲弊しきっている。顔は青白くなっており、満足に呼吸すら出来ていないようだった。
「ぜえ……ぜえ……。元帥さ、わーが……わーが守ってみせるっち、安心して見てるがよ」
紅蓮弓の強烈な攻撃があるからこそ、敵は攻め切れていないようだった。逆に言えば、それ無いと分かれば躊躇なく猛攻を仕掛けてくるだろう。確かにプリシティアの攻撃が無いと敵に察知されれば、瞬く間に戦線は崩されるだろう。
ここが正に正念場。どんなに苦しくとも、辛くとも、プリシティアが前線を離れるわけにはいかない。何とか支え続けなければいけない。
「もういい、プリティ。よくやってくれた。もう大丈夫だ」
そんなプリシティアの言葉を、コウメイは労うよう言うと、彼女の愛馬ーーブラックサンダーへ自分の馬を寄せる。
「城塞都市から早馬が来た。ラディカル将軍とジュリアス副長がやってくれたよ」
「っ!」
先ほどこの本隊を突破していった敵突撃部隊の撃退及び新白薔薇騎士クリスティア=レイオールを捕らえたとの報が、今さっきコウメイに届けられたのだ。
「ジュリアス副長達が、防衛部隊をまとめて合流に向かってきてくれている。これでここの戦いも何とかなりそうだ」
この苦しい戦況においける初めての朗報に、疲労に喘いでいたプリシティアの顔に僅かな光が差す。
「はぁ、はぁ……そ、それじゃ……副長さの部隊が来るまで、あともう少しわーが……」
痛んで苦しい肺を抑えるように、プリシティアは片手を胸当ての上から充てる。そうして再び敵の攻撃が押し寄せる前線へ戻ろうとすると
「ちょい待ち」
「ぷぎゃ?」
そんなプリシティアを止めるように、手を伸ばして後ろから彼女の肩を抑えるコウメイ。疲労の極みにあったプリシティアは、意表を突かれて変な声を出してしまう。
「な、なにするっちか! びっくりしたー。もー、元帥さの馬鹿ー!」
「さすがに、元帥に馬鹿はなくない!?」
この期に及んでもいつも通りのこの会話が、逆に2人の信頼関係の強固さを示しているようだった。
それはともかく、恨みがましくこちらを睨んでくるプリシティアに、コウメイはようやく頬を緩んで答える。
「リューイ達が動き始めた。これでようやく攻勢に移れる。だからプリティは少し休んで、最後の仕上げに備えておいてくれ」
□■□■
この世界には飛竜という生物がいる。
似た存在に「龍」という生物があるが、こちらは半ば伝説上の存在とされているものである。
その存在は世界が魔王アゼルゲスに支配されていた暗黒時代、その頃に人類の敵となった「魔龍」と、逆に味方となった「聖龍」という存在がいたと記録に残されているのみで、現在ではその存在は確認されていない。
対する「竜」は、現在でもとある地方に住む少数民族と共生しており、その存在が確認されている希少な動物である。
正確には「飛竜」という呼称で呼ばれており、その名の通り飛行能力を有している生物。体長は人間よりも何倍も大きく8~10m程で、全身は堅い鱗で覆われている。
厳つい外見とは裏腹に、性格は極めて穏やかであり、身体も決して丈夫ではない。むしろ他の動物と比べても虚弱体質で、身体は弱く体力も少ない。
そのため飛行能力を有していても長時間飛行は出来ない。同じ理由で、積載能力は大人1人くらいを乗せる程度で、重かったり多かったりするような荷物の運搬も出来ない。
飛竜の穏やかな性格は、実は繊細で臆病な気性に起因している。特定の相手――共生している民族の中でも極限られた人間ーーには愛玩動物の様に懐くが、それ以外の人間には決して近づかないし、言うことも聞かない。
この世界では貴重な飛行能力を持つ割には、その飛行継続時間が極短で運搬能力も脆弱。更に身体が弱いため体調不良で死んでしまうことも珍しくない。おまけに扱える人間が限定されるという、扱い辛いことこの上ない生物なのである。
そんな飛竜は、聖アルマイト王国では、せいぜい手紙や軽い小包程度の運搬に使われているくらいだった。
但し他のどんな生物にも負けない最大の特徴であるのが、飛行能力とその速度ーー飛竜は地上最速の移動が出来る生物だった。
グスタフとフェスティアは、そこに飛竜の戦略的価値を見出していたのだった。
「――よっと」
フェスティア本隊後方に、飛竜に乗った少女が空から舞い降りてくると、地上で馬に乗って待機していたフェスティアの元に着陸してくる。
「お待たせしました、フェスティア代表」
地上に降りた飛竜の背から降りてきたのは、活発そうな少女フェア。
グスタフがミュリヌスへ派遣される際に手中に「異能」で堕とした飛竜使いの少女である。先のカリオスらミュリヌス攻略部隊の動きをいち早く察知し、その作戦妨害の立役者となった少女である。
「それで、城塞都市の方の状況は?」
フェスティアはこの飛竜の特性を生かし、偵察や敵情把握のために利用していた。
3領地同時攻略戦やそれまでの戦いにおいて、フェスティアが完全にジュリアスの戦術を掌握していた方法は、これだったのだ。
「どうも失敗しちゃったみたいですよ」
気楽な口調とは裏腹に、フェスティアの予想を裏切る報告を口にするフェア。しかしフェスティアは、眼を見張って僅かに驚いたような表情をするが、大きな動揺は見せない。
「――そう。クリスティアが失敗ということ、ね。呪具を持たせたルルマンドも無駄だったか。やはり、コウメイは城塞都市に何か備えをしていたのね」
敵本隊を突破して城塞都市への突撃部隊を編成したのは、城塞都市を占領するための手間と時間を効率化したかっただけだ。
「――まあ、いいわ。こんな所で失敗する程度の人材だったということね」
失敗したとはいえルルマンドを失ったことなど痛くも痒くもない。クリスティアに関しては痛手だと認めざるを得ないが、それでも大勢に影響はないと、フェスティアは見ていた。
(どんな備えでもってルルマンドとクリスティアを撃退したのかは気になる所だけど--)
飛竜による偵察は、あくまで上空から大まかな状況の把握に過ぎないため、ここでフェアに聞いても分からないだろう。それは城塞都市を占領した後に確かめればいい話だ。
失敗したことよりも、これからのことへフェスティアは思考を向ける。
(クリスティア達は失敗したとはいえ、南門へのオーエン部隊の攻撃は続いているはず。そうとなれば、城塞都市はかなり疲弊している。とてもここに合流出来る状態とは思えないわ。なら、やはりこのまま本隊で押し切って--)
「あ、そうそう」
頭の中で作戦修正をするフェスティアに、フェアが相変わらずの能天気な声で話しかけてくる。考え事している際に話しかけられて、鬱陶しかったがフェスティアは顔を向けて、フェアに続きを促すと
「オーエン部隊は動いていませんでしたよ? 南門は至って平和で静かなものでした」
「――何ですって?」
突撃部隊の失敗よりも、明らかに動揺した声を出してフェスティアは反応する。
「どういうこと?」
静かな口調だが、そこには明らかな苛立ちの色が込められていた。
普段は知的で冷静なこの最高司令官の激昂に触れた時の恐ろしさは、フェアも熟知するところであり。その怒りを感じた途端、フェアもあからさまに怯えの色を顔に出す。
「あ、え……と……そ、そのままですよ? 南門には攻撃が仕掛けられていません。オーエン部隊は待機したままになっていますよ。何か、フェスティア代表の作戦なのかなぁって思ったんですけど……」
「……」
求める答えを返してこないフェアにますます苛立ちを募らせるが、フェスティアは深呼吸をして冷静さを取り戻す。フェアの役目はあくまで状況把握――その詳細まで彼女へ押し付けるのは違う。
勿論、フェスティアはオーエン部隊に対してそんな命令など出していない。本隊の動きと連動する形で城塞都市へ攻め入るように伝令を飛ばしている。敵の防衛部隊が全てこちらに向かってきているのなら、てっきりオーエンは城塞都市南門へ攻城戦を仕掛けていると思い込んでいた。
しかしフェアの報告が事実なら、ノースポール・クラベール・イシスの3領地へ同時展開し、先にイシス領を占領したメリットが全く活かされていないこととなっている。
堅牢な城塞都市を2方面から同時攻撃して敵の防御の手を分散させることとなっていたのに、これでは結局攻撃を仕掛けているのはフェスティア部隊からの一方向だけだ。
(まさか、コウメイが何か仕掛けてきている?)
そう思った途端、フェスティアの背筋にゾクリとしたものが走る。
クリスティアの敗北に加えてオーエン部隊の静観――最早完全に敵を押しているこの戦況下においては、フェスティアはそのどちらも大勢には影響無いとは思っている。
しかしフェスティアが懸念するのは、彼女が予期せぬことが立て続けに発生したことだ。
ここまで策略家としてほぼ完璧に近い結果を出してきたフェスティアは、この違和感にとてつもない不吉を覚える。
「……フェア。貴女はもう1回空に飛んで、なるべく広く状況を俯瞰しなさい。何か違和感があれば、すぐに報告するのよ」
「え? でも、もうこの子は……」
フェアと愛竜は既に何度も偵察任務をこなしており、愛竜は体力の限界を迎えていた。これ以上無理をさせれば命に関わるだろう。それが分かるフェアは気乗りしない様子を見せるが
「何をふざけたことを言っているの? ここで役に立たないなら、私からあの御方に言って、一生チンポをもらえないようにするわよ」
冷静で静かに見える口調の中に、狂気と怒りを込めてフェスティアがそう言うと、フェアはビクと身体を震わせて、眼に涙を滲ませる。
「っひ! や、やだ……あの人とセックス出来ないなんて、やだよぅ!」
脅されたフェアは慌てて愛竜へと駆け寄り、再び空へ上がろうとする。しかし地上で待機していた愛竜は、なかなか動こうとしない。単純に疲れ果てているのだ。
「何情けないこと言ってるの! 飛びなさい! 飛べ! あの人のチンポがかかってるの! 私が気持ちよくなるために、死ぬまで頑張りなさいよ!」
愛竜に容赦の無い言葉を掛けながら、フェアは飛竜の強制具である棘鞭(しべん)――飛竜の硬い鱗をも貫く、先端が鋭く尖った槍のようなもの――を突き刺す。すると飛竜は痛々しく悲しそうな声を漏らしながら、ゆっくりと空へ飛び立っていく。
地上からそれを見送りながら、フェスティアはすぐ側にいた部下に指示をする。
「昨夜、兵糧庫に忍び込んできた斥候を見た見張りがいたわね。今すぐ、ここに連れてきなさい」
□■□■
決戦前夜、フェスティア部隊の兵糧庫に忍び込んできた2人の騎士――レーディルとデイ――を見た、龍の爪の正規兵はこの戦いでは後方に配置しており、フェスティアの呼び出しに応じてすぐに馳せ参じた。
馬上で静かな怒気を秘めたフェスティアの迫力に気圧されながら、正規兵はビクビクと怯えた様子で、恐るべき最高指揮官の前に立っていた。
「見たのは間違いないのね?」
あくまで静かな口調である。感情の感じられないその声が、逆にそれを聞く者の恐怖心を煽ってくる。フェスティアは明らかに不快な様子だった。
概ね優勢なこの状況で、彼女がそうなる理由も分からず、呼び出された正規兵は困惑するしかなかった。
「え、ええ。間違いなく龍牙騎士の鎧を着た奴が2人忍び込んでましたぜ。命令通り、気づかないふりをして見過ごしましたし、連中も自分達は気づかれているとは思っていない様子でした」
しどろもどろになりながら報告してくる正規兵を、フェスティアは疑わしげに観察していた。
万が一にもその報告が嘘――例えば見張りをサボっていて、それを隠すための虚偽報告――だとしたら、敵はこちらが兵糧を置いている場所を把握できていない。すなわちコウメイの狙いが兵糧の強襲だという大前提がひっくり返る。
不自然な事象が連続して起こったことに、フェスティアは完全に読み切っていたと思い込んでいた自分の考えにも改めて疑義を向けたのだったが。
(実際に両翼に別部隊を伏せさせているし、敵が兵糧狙いだというのは間違いないか)
報告する正規兵の様子に嘘を吐いている気配はないし、何よりも現実の敵の動きが兵糧強襲の気配を濃厚に漂わせている。
コウメイが兵糧狙いだというのは、状況から見てみても妥当な読みだ。
(考え過ぎかしら……?)
確かにフェスティアは、ここにくるまで“ほぼ”完璧に事を進めていた。
しかし実際の戦場では、事前の計画では予期していなかったことが起こる方が当たり前。完全に思い通りになることの方が稀有だ。クリスティアの敗北も、オーエンの不可解な静観も、その範疇だと思っていいのだろうか。
「……貴方、ちゃんと魔封石は持っていたんでしょうね? 敵の斥候は、間違いなく認識阻害魔術の使い手だったはずよ」
フェスティアは、重箱の隅をつつくような細かい質問をする。それほどまでにコウメイを警戒している証拠だった。
「も、勿論ですよっ! ちゃんと持ってたから、見つけられたんじゃないですか!」
フェスティアに問われた正規兵は、自らの身体中をまさぐるようにすると、慌てて1つの石を取り出して見せる。
その石は、傷1つついておらず加工されたままの美しい造形を保ったまま。確かにフェスティアが与えた時と同じ形をしている魔封石に違いなかった。
「ほ、ほらっ! 昨日の夜からずっと、肌身離さず……って、代表?」
「――」
その石を見て、フェスティアは表情を凍り付かせて言葉を失っていた。
そして、みるみる内に顔色が青くなっていき、カタカタと震え始める。
「どうして……今もそれを持っているの?」
「……は?」
フェスティアの質問の意図が分からず、正規兵は眉をひそめる。
それは無理もないことだった。魔封石は極めて希少な存在で、こんなことでも無ければ一介の兵士である彼が手にすることなどないだろう。だからその正規兵は、魔封石の力が発動した時のことなど見たことが無ければ、知るはずもなかった。
魔封石は1度しか使えない、使い捨ての消耗品だ。
すなわち、1度効果が発動して何かしらの魔力を封じたようなことがあれば、砕け散っているはずである。このような美しい形を保っていられるはずがない。
つまり、今彼が持つ魔封石は、未だ何の魔力も封じていない。
つまり、昨夜彼が見たという斥候は、認識阻害魔術など使っていない。
つまり、つまり。
それは、どういうことなのだろうか?
混乱する思考を、必死に整理するフェスティア。
認識阻害魔術の使い手がいながら、それを使用しなかったということはーー
もしかすると、斥候の存在をこちらに把握させたかったのではないか。
その意図は、コウメイからすると「自分達の狙いは兵糧であると、相手(第2王女派)に思わせたい」ということだったのではないか。
そうだとすると、フェスティアが読み切っていたと思い込んでいたのは、コウメイによってそう思い込まされていたことになる。
その可能性に気づくと、フェスティアの自信と自負が端から少しずつボロボロと音を立てて崩れていくようだった。
そして、そんなフェスティアに追い打ちをかけるように、先ほど上空へ上がったフェアが、飛竜と共に慌てて降りてくる。
「た、大変ですっ! 敵両翼の伏兵部隊が、後方の兵糧ではなく、こちらの本隊に向かってきています」
これで、フェスティアの思惑を超える事態が3つに増えた。
城塞都市から数km離れたそこは、此度の戦いにおける最激戦区であった。
激突する第1王子派と第2王女派、共に総力戦の大半を占める本隊同士がぶつかり合っている戦場である。
両軍の総戦力はほぼ互角。
第2王女派を率いるフェスティアは、①本隊 ②後方の兵糧防衛部隊 ③城塞都市突撃部隊の3隊に分けていたが、そのほとんどを本隊に戦力を集中させている。
一方の第1王子派を率いるコウメイも、①本隊 ③敵兵糧強襲部隊 ③城塞都市防衛部隊の3隊に分けていた。その配分については、③城塞都市防衛部隊には少数配置、①本隊と②敵兵糧強襲部隊――強襲部隊は更に左右両翼に2分している――がほぼ半々。
両軍の本隊同士であればフェスティア本隊の方が数の上では有利。さらに配置されている兵士には新白薔薇騎士も多いため、結局は量・質共に第2王女派が圧倒していた。
つまり、一言で言えばコウメイ部隊は劣勢にあり、窮地に立たされていた。
それでも、コウメイ本隊が戦線をジリジリト後退させながらも、何とか戦線を維持出来ているのは
「――っし!」
馬上に跨ったプリシティアが紅蓮弓から矢を放つと、その矢は業火を纏いながら敵部隊を薙ぎ払うように襲い掛かる。
「今だっ! 押し込め! いけ、いけ、いけっ!」
プリシティアの炎で怯んだ一帯に、龍牙騎士達が怒涛の突撃を仕掛けていく。
こうして、押しつ押されつの攻防を断続的に続けながら、フェスティア本隊の攻撃を何とか食い止めているのがやっとの状態だった。
しかし、それもやがて限界が訪れる。
「はぁっ……はぁっ……ひぃ……!」
紅蓮弓を放ったプリシティアは、馬上で喘ぐようにしながらフラついていた。いくら酸素を取り込んでも足りない。肺が圧迫されるようで、呼吸器からヒューヒューという変な音が聞こえる。全身が汗まみれで、頬を伝って顎から愛馬の背に垂れ落ちていく。
もう自分で身体を支えるのも危うくなり、フラつく身体が馬上から落ちそうになると、慌てて馬の背にしがみつくようにするプリシティアは、誰がどう見ても限界を迎えていた。
そんな主人の疲労困憊とした姿に、黒鹿毛の愛馬は不安そうに鼻を鳴らす。
「だ、大丈夫っちよ……ブラックサンダー。まだまだ頑張らなきゃやがー……」
「何、そのめちゃくちゃ格好いい名前!」
こんな緊張の最中にあっても日常的なノリの会話をするコウメイ――しかしその呑気さが残る口調とは裏腹に、彼の表情はさすがに緊張に引きつっていた。
「もういい、プリティ。少し下がって休憩だ」
「で、でも……わーがここを離れたら……」
強力な新白薔薇騎士の猛攻を何とか押しとどめていられているのは、プリシティアの魔具『紅蓮弓』に他ならない。
さすがにカリオスが使用する神器には遠く及ばないものの、それでも1人の力で広範囲へ強烈な攻撃が出来る魔具の力は、それ1つで劣勢な戦況を支える程になっている。
――が、神器と同じく燃費は著しく悪い。
かつてミュリヌスで神器『トールハンマー』を連発していたカリオス以上に、今のプリシティアは疲弊しきっている。顔は青白くなっており、満足に呼吸すら出来ていないようだった。
「ぜえ……ぜえ……。元帥さ、わーが……わーが守ってみせるっち、安心して見てるがよ」
紅蓮弓の強烈な攻撃があるからこそ、敵は攻め切れていないようだった。逆に言えば、それ無いと分かれば躊躇なく猛攻を仕掛けてくるだろう。確かにプリシティアの攻撃が無いと敵に察知されれば、瞬く間に戦線は崩されるだろう。
ここが正に正念場。どんなに苦しくとも、辛くとも、プリシティアが前線を離れるわけにはいかない。何とか支え続けなければいけない。
「もういい、プリティ。よくやってくれた。もう大丈夫だ」
そんなプリシティアの言葉を、コウメイは労うよう言うと、彼女の愛馬ーーブラックサンダーへ自分の馬を寄せる。
「城塞都市から早馬が来た。ラディカル将軍とジュリアス副長がやってくれたよ」
「っ!」
先ほどこの本隊を突破していった敵突撃部隊の撃退及び新白薔薇騎士クリスティア=レイオールを捕らえたとの報が、今さっきコウメイに届けられたのだ。
「ジュリアス副長達が、防衛部隊をまとめて合流に向かってきてくれている。これでここの戦いも何とかなりそうだ」
この苦しい戦況においける初めての朗報に、疲労に喘いでいたプリシティアの顔に僅かな光が差す。
「はぁ、はぁ……そ、それじゃ……副長さの部隊が来るまで、あともう少しわーが……」
痛んで苦しい肺を抑えるように、プリシティアは片手を胸当ての上から充てる。そうして再び敵の攻撃が押し寄せる前線へ戻ろうとすると
「ちょい待ち」
「ぷぎゃ?」
そんなプリシティアを止めるように、手を伸ばして後ろから彼女の肩を抑えるコウメイ。疲労の極みにあったプリシティアは、意表を突かれて変な声を出してしまう。
「な、なにするっちか! びっくりしたー。もー、元帥さの馬鹿ー!」
「さすがに、元帥に馬鹿はなくない!?」
この期に及んでもいつも通りのこの会話が、逆に2人の信頼関係の強固さを示しているようだった。
それはともかく、恨みがましくこちらを睨んでくるプリシティアに、コウメイはようやく頬を緩んで答える。
「リューイ達が動き始めた。これでようやく攻勢に移れる。だからプリティは少し休んで、最後の仕上げに備えておいてくれ」
□■□■
この世界には飛竜という生物がいる。
似た存在に「龍」という生物があるが、こちらは半ば伝説上の存在とされているものである。
その存在は世界が魔王アゼルゲスに支配されていた暗黒時代、その頃に人類の敵となった「魔龍」と、逆に味方となった「聖龍」という存在がいたと記録に残されているのみで、現在ではその存在は確認されていない。
対する「竜」は、現在でもとある地方に住む少数民族と共生しており、その存在が確認されている希少な動物である。
正確には「飛竜」という呼称で呼ばれており、その名の通り飛行能力を有している生物。体長は人間よりも何倍も大きく8~10m程で、全身は堅い鱗で覆われている。
厳つい外見とは裏腹に、性格は極めて穏やかであり、身体も決して丈夫ではない。むしろ他の動物と比べても虚弱体質で、身体は弱く体力も少ない。
そのため飛行能力を有していても長時間飛行は出来ない。同じ理由で、積載能力は大人1人くらいを乗せる程度で、重かったり多かったりするような荷物の運搬も出来ない。
飛竜の穏やかな性格は、実は繊細で臆病な気性に起因している。特定の相手――共生している民族の中でも極限られた人間ーーには愛玩動物の様に懐くが、それ以外の人間には決して近づかないし、言うことも聞かない。
この世界では貴重な飛行能力を持つ割には、その飛行継続時間が極短で運搬能力も脆弱。更に身体が弱いため体調不良で死んでしまうことも珍しくない。おまけに扱える人間が限定されるという、扱い辛いことこの上ない生物なのである。
そんな飛竜は、聖アルマイト王国では、せいぜい手紙や軽い小包程度の運搬に使われているくらいだった。
但し他のどんな生物にも負けない最大の特徴であるのが、飛行能力とその速度ーー飛竜は地上最速の移動が出来る生物だった。
グスタフとフェスティアは、そこに飛竜の戦略的価値を見出していたのだった。
「――よっと」
フェスティア本隊後方に、飛竜に乗った少女が空から舞い降りてくると、地上で馬に乗って待機していたフェスティアの元に着陸してくる。
「お待たせしました、フェスティア代表」
地上に降りた飛竜の背から降りてきたのは、活発そうな少女フェア。
グスタフがミュリヌスへ派遣される際に手中に「異能」で堕とした飛竜使いの少女である。先のカリオスらミュリヌス攻略部隊の動きをいち早く察知し、その作戦妨害の立役者となった少女である。
「それで、城塞都市の方の状況は?」
フェスティアはこの飛竜の特性を生かし、偵察や敵情把握のために利用していた。
3領地同時攻略戦やそれまでの戦いにおいて、フェスティアが完全にジュリアスの戦術を掌握していた方法は、これだったのだ。
「どうも失敗しちゃったみたいですよ」
気楽な口調とは裏腹に、フェスティアの予想を裏切る報告を口にするフェア。しかしフェスティアは、眼を見張って僅かに驚いたような表情をするが、大きな動揺は見せない。
「――そう。クリスティアが失敗ということ、ね。呪具を持たせたルルマンドも無駄だったか。やはり、コウメイは城塞都市に何か備えをしていたのね」
敵本隊を突破して城塞都市への突撃部隊を編成したのは、城塞都市を占領するための手間と時間を効率化したかっただけだ。
「――まあ、いいわ。こんな所で失敗する程度の人材だったということね」
失敗したとはいえルルマンドを失ったことなど痛くも痒くもない。クリスティアに関しては痛手だと認めざるを得ないが、それでも大勢に影響はないと、フェスティアは見ていた。
(どんな備えでもってルルマンドとクリスティアを撃退したのかは気になる所だけど--)
飛竜による偵察は、あくまで上空から大まかな状況の把握に過ぎないため、ここでフェアに聞いても分からないだろう。それは城塞都市を占領した後に確かめればいい話だ。
失敗したことよりも、これからのことへフェスティアは思考を向ける。
(クリスティア達は失敗したとはいえ、南門へのオーエン部隊の攻撃は続いているはず。そうとなれば、城塞都市はかなり疲弊している。とてもここに合流出来る状態とは思えないわ。なら、やはりこのまま本隊で押し切って--)
「あ、そうそう」
頭の中で作戦修正をするフェスティアに、フェアが相変わらずの能天気な声で話しかけてくる。考え事している際に話しかけられて、鬱陶しかったがフェスティアは顔を向けて、フェアに続きを促すと
「オーエン部隊は動いていませんでしたよ? 南門は至って平和で静かなものでした」
「――何ですって?」
突撃部隊の失敗よりも、明らかに動揺した声を出してフェスティアは反応する。
「どういうこと?」
静かな口調だが、そこには明らかな苛立ちの色が込められていた。
普段は知的で冷静なこの最高司令官の激昂に触れた時の恐ろしさは、フェアも熟知するところであり。その怒りを感じた途端、フェアもあからさまに怯えの色を顔に出す。
「あ、え……と……そ、そのままですよ? 南門には攻撃が仕掛けられていません。オーエン部隊は待機したままになっていますよ。何か、フェスティア代表の作戦なのかなぁって思ったんですけど……」
「……」
求める答えを返してこないフェアにますます苛立ちを募らせるが、フェスティアは深呼吸をして冷静さを取り戻す。フェアの役目はあくまで状況把握――その詳細まで彼女へ押し付けるのは違う。
勿論、フェスティアはオーエン部隊に対してそんな命令など出していない。本隊の動きと連動する形で城塞都市へ攻め入るように伝令を飛ばしている。敵の防衛部隊が全てこちらに向かってきているのなら、てっきりオーエンは城塞都市南門へ攻城戦を仕掛けていると思い込んでいた。
しかしフェアの報告が事実なら、ノースポール・クラベール・イシスの3領地へ同時展開し、先にイシス領を占領したメリットが全く活かされていないこととなっている。
堅牢な城塞都市を2方面から同時攻撃して敵の防御の手を分散させることとなっていたのに、これでは結局攻撃を仕掛けているのはフェスティア部隊からの一方向だけだ。
(まさか、コウメイが何か仕掛けてきている?)
そう思った途端、フェスティアの背筋にゾクリとしたものが走る。
クリスティアの敗北に加えてオーエン部隊の静観――最早完全に敵を押しているこの戦況下においては、フェスティアはそのどちらも大勢には影響無いとは思っている。
しかしフェスティアが懸念するのは、彼女が予期せぬことが立て続けに発生したことだ。
ここまで策略家としてほぼ完璧に近い結果を出してきたフェスティアは、この違和感にとてつもない不吉を覚える。
「……フェア。貴女はもう1回空に飛んで、なるべく広く状況を俯瞰しなさい。何か違和感があれば、すぐに報告するのよ」
「え? でも、もうこの子は……」
フェアと愛竜は既に何度も偵察任務をこなしており、愛竜は体力の限界を迎えていた。これ以上無理をさせれば命に関わるだろう。それが分かるフェアは気乗りしない様子を見せるが
「何をふざけたことを言っているの? ここで役に立たないなら、私からあの御方に言って、一生チンポをもらえないようにするわよ」
冷静で静かに見える口調の中に、狂気と怒りを込めてフェスティアがそう言うと、フェアはビクと身体を震わせて、眼に涙を滲ませる。
「っひ! や、やだ……あの人とセックス出来ないなんて、やだよぅ!」
脅されたフェアは慌てて愛竜へと駆け寄り、再び空へ上がろうとする。しかし地上で待機していた愛竜は、なかなか動こうとしない。単純に疲れ果てているのだ。
「何情けないこと言ってるの! 飛びなさい! 飛べ! あの人のチンポがかかってるの! 私が気持ちよくなるために、死ぬまで頑張りなさいよ!」
愛竜に容赦の無い言葉を掛けながら、フェアは飛竜の強制具である棘鞭(しべん)――飛竜の硬い鱗をも貫く、先端が鋭く尖った槍のようなもの――を突き刺す。すると飛竜は痛々しく悲しそうな声を漏らしながら、ゆっくりと空へ飛び立っていく。
地上からそれを見送りながら、フェスティアはすぐ側にいた部下に指示をする。
「昨夜、兵糧庫に忍び込んできた斥候を見た見張りがいたわね。今すぐ、ここに連れてきなさい」
□■□■
決戦前夜、フェスティア部隊の兵糧庫に忍び込んできた2人の騎士――レーディルとデイ――を見た、龍の爪の正規兵はこの戦いでは後方に配置しており、フェスティアの呼び出しに応じてすぐに馳せ参じた。
馬上で静かな怒気を秘めたフェスティアの迫力に気圧されながら、正規兵はビクビクと怯えた様子で、恐るべき最高指揮官の前に立っていた。
「見たのは間違いないのね?」
あくまで静かな口調である。感情の感じられないその声が、逆にそれを聞く者の恐怖心を煽ってくる。フェスティアは明らかに不快な様子だった。
概ね優勢なこの状況で、彼女がそうなる理由も分からず、呼び出された正規兵は困惑するしかなかった。
「え、ええ。間違いなく龍牙騎士の鎧を着た奴が2人忍び込んでましたぜ。命令通り、気づかないふりをして見過ごしましたし、連中も自分達は気づかれているとは思っていない様子でした」
しどろもどろになりながら報告してくる正規兵を、フェスティアは疑わしげに観察していた。
万が一にもその報告が嘘――例えば見張りをサボっていて、それを隠すための虚偽報告――だとしたら、敵はこちらが兵糧を置いている場所を把握できていない。すなわちコウメイの狙いが兵糧の強襲だという大前提がひっくり返る。
不自然な事象が連続して起こったことに、フェスティアは完全に読み切っていたと思い込んでいた自分の考えにも改めて疑義を向けたのだったが。
(実際に両翼に別部隊を伏せさせているし、敵が兵糧狙いだというのは間違いないか)
報告する正規兵の様子に嘘を吐いている気配はないし、何よりも現実の敵の動きが兵糧強襲の気配を濃厚に漂わせている。
コウメイが兵糧狙いだというのは、状況から見てみても妥当な読みだ。
(考え過ぎかしら……?)
確かにフェスティアは、ここにくるまで“ほぼ”完璧に事を進めていた。
しかし実際の戦場では、事前の計画では予期していなかったことが起こる方が当たり前。完全に思い通りになることの方が稀有だ。クリスティアの敗北も、オーエンの不可解な静観も、その範疇だと思っていいのだろうか。
「……貴方、ちゃんと魔封石は持っていたんでしょうね? 敵の斥候は、間違いなく認識阻害魔術の使い手だったはずよ」
フェスティアは、重箱の隅をつつくような細かい質問をする。それほどまでにコウメイを警戒している証拠だった。
「も、勿論ですよっ! ちゃんと持ってたから、見つけられたんじゃないですか!」
フェスティアに問われた正規兵は、自らの身体中をまさぐるようにすると、慌てて1つの石を取り出して見せる。
その石は、傷1つついておらず加工されたままの美しい造形を保ったまま。確かにフェスティアが与えた時と同じ形をしている魔封石に違いなかった。
「ほ、ほらっ! 昨日の夜からずっと、肌身離さず……って、代表?」
「――」
その石を見て、フェスティアは表情を凍り付かせて言葉を失っていた。
そして、みるみる内に顔色が青くなっていき、カタカタと震え始める。
「どうして……今もそれを持っているの?」
「……は?」
フェスティアの質問の意図が分からず、正規兵は眉をひそめる。
それは無理もないことだった。魔封石は極めて希少な存在で、こんなことでも無ければ一介の兵士である彼が手にすることなどないだろう。だからその正規兵は、魔封石の力が発動した時のことなど見たことが無ければ、知るはずもなかった。
魔封石は1度しか使えない、使い捨ての消耗品だ。
すなわち、1度効果が発動して何かしらの魔力を封じたようなことがあれば、砕け散っているはずである。このような美しい形を保っていられるはずがない。
つまり、今彼が持つ魔封石は、未だ何の魔力も封じていない。
つまり、昨夜彼が見たという斥候は、認識阻害魔術など使っていない。
つまり、つまり。
それは、どういうことなのだろうか?
混乱する思考を、必死に整理するフェスティア。
認識阻害魔術の使い手がいながら、それを使用しなかったということはーー
もしかすると、斥候の存在をこちらに把握させたかったのではないか。
その意図は、コウメイからすると「自分達の狙いは兵糧であると、相手(第2王女派)に思わせたい」ということだったのではないか。
そうだとすると、フェスティアが読み切っていたと思い込んでいたのは、コウメイによってそう思い込まされていたことになる。
その可能性に気づくと、フェスティアの自信と自負が端から少しずつボロボロと音を立てて崩れていくようだった。
そして、そんなフェスティアに追い打ちをかけるように、先ほど上空へ上がったフェアが、飛竜と共に慌てて降りてくる。
「た、大変ですっ! 敵両翼の伏兵部隊が、後方の兵糧ではなく、こちらの本隊に向かってきています」
これで、フェスティアの思惑を超える事態が3つに増えた。
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