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第2章『クラベール城塞都市決戦』編
第87話 クリスティア=レイオール(中編)
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18歳になったクリスティアは、騎士養成高等教育機関へと進学した。
本来高等教育機関へは一般教育機関を経て進学する形となるのだが、クリスティアの場合は一般教育機関への入学対象年齢であった15歳の頃まは騎士を志すつもりなどなかった。つまり一般教育機関には通っていない。
それでもクリスティアが高等教育機関へ飛び級的な感じで入ることが出来たのは、レイオール家の名に因るものが多いだろう。
正式な騎士養成の教育を受けていない彼女が、それでも入学直後から平均以上にやっていけたのは、それまでに異母姉であり白薔薇騎士団長であるシンパによる指導のおかげだった。
「ミリアムとランディ……?」
高等教育が開始した直後から、「天才」と持て囃されている同学年の存在を聞かされるクリスティア。
入学前から――正確には母の死から、とにかく強さを貪欲に求めるようになっていたクリスティアは、その噂を聞きつければ、一も二もなくその2人を見に行った。
クリスティアが初めてその2人を見た時は、おそらくは自習というような形でミリアムとランディの2人で剣を打ち合っていたところだ。
その時、クリスティアは世界の広さを知った。
「外の世界には、こんなにも強い人間が……」
とても自分と同じ世代の人間とは思えなかった。クリスティアが見た限りでは、この時点でも充分に異母姉にすら通用するのではないかと思わされる程だった。2人共それほどまでの使い手だった。
「ティンカーズ家にレイコープ家……どっちも名家じゃない。特にティンカーズ家なんて、凄いのね」
高等教育へ進むまでは、当主サイドラスによって屋敷内に閉じ込められていたクリスティアは、はっきり言って世間知らずだった。
自分の生まれであるレイオール家には及ばないものの、ティンカーズ家は国内では有数の上流層に位置する貴族であり、レイコープ家は割と下流層ではあるがそれでも貴族であることには違いない。
(やっぱり貴族に生まれた人間は『強さ』を持っているのね)
そう思うクリスティアだって貴族には違いないのだが、クリスティアは己や母の境遇から自らを貴族だとは思っていない。正当な血筋の元に生まれた者のみが貴族ーーそして彼女はそんな貴族に対して強い劣等感を持つようになっていた。
母はレイオール家に殺された、というのがクリスティアの強さを求める動機の全てだ。
貴族という恣意的で強大な力に母は殺されたのだ。だから自分はそれよりも強くならないといけない、ということである。
だからといって、クリスティアは貴族とみれば誰も彼も敵とみなして食って掛かる程に、幼いわけでも分別が無いわけでもなかった。
貴族そのものにはどうしても嫌悪感を抱かずにいられなかったのも事実で、高等教育に通う貴族の学生らを好きになることは出来なかったが、あえて自分から噛み付くということもしなかった。
しかしクリスティアの想いは想いとして、他人は別だ。
ティアリスの死をきっかけにレイオール邸から出て高等教育機関に進んだクリスティアだったが、その出生については暗黙の了解という雰囲気となっていた。シンパという存在がある上で自らがレイオール家を名乗れば誰もがそのことに察しがつくし、本人も無理に隠そうとはせずに堂々としていたくらいだ。
ただ、愛人の胎から生まれた子供――不道徳な行為によって生まれたクリスティアへの世間の当たりは辛かった。
「……」
「あははははははっ! 逃げろー!」
トイレに入っていたところ、外から水をかけられるクリスティア。
高等教育間には貴族層だけではなく平民層の生徒もいる。その中でも特に低劣な生徒が、面白半分に嫌がらせをしてくるのだった。
びしょ濡れになったクリスティアが個室を出れば、当然犯人の姿はいない。
「下らない……」
これに限ったことではなく、物を隠される・持ち物に汚物や虫を入れられる・公衆の目に止まる所に悪口を書かれる……などといった、実に子供じみた下らない苛めを日々受けていた。
いくら妾の娘とは言え、レイオール家の人間であるクリスティアに表立って嫌がらせをする者はいなかった。裏でこそこそとバレないように――それでもクリスティアは、それが誰なのかは察していたが――続く苛め。それも1人や2人ではなかった。
さすがに上流層に当たる生徒達は直接関わってくることは無かった。しかし、不道徳な存在をかばったり守ったりような生徒は皆無だった。そう意味では、直接的にしろ間接的にしろ、誰もがクリスティアへの苛めに関与していたといえる。
「こんなこと関係ない……っ!」
元来のクリスティアは、本好きな穏やかで心優しい少女だ。誰からも忌み嫌われて、嫌がらせをされて、心が傷つかないはずがない。
しかしこんな過酷な状況で彼女を支えていたのは、良くも悪くも異母姉の存在だった。
当主サイドラスの不道徳な行為が白日の下にさらされて、案の定レイオール家は貴族社会から激しいバッシングにあった。アルマイト王家やヴァルガンダル家からも、相応の制裁があったようだ。
しかし異母姉シンパは、そんな中でもレイオール家の名を持つ者として白薔薇騎士団長にまで成り上がったのだ。この僅か2~3年の間に、レイオール家の名は地に堕ちてから天に上がるという、激動の時期を迎えていたのだ。
(姉上は強い。それは間違いない)
シンパは、クリスティアにとっては憎むべきレイオール家そのもの――つまり、貴族という理不尽な強さの象徴だった。
その強さは認めざるを得ないが、だからといって自分の負けを認めることは決して出来ない。
彼女がその強さを証明すればするほど、クリスティアの怒りと嫉妬は燃え上がるのだった。
(見ててね、母さん。私は絶対にレイオール家に……貴族に勝って見せるから)
シンパが出来ることが、自分に出来ないわけがない。
異母姉は逆境の中で騎士団長にまで上り詰めたのだ。母の名誉を背負ってレイオール家を、いや貴族を打倒せんとする自分が、こんな一教育機関の中の苛めごときで心を折るわけにはいかない。
それほどまでに、クリスティアの執念はすさまじかった。
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
「はぁ、はぁ……っ!」
その日は学年毎で実力を競い合うトーナメント大会の日だった。
この頃のクリスティアの実力と言えば、学年でも平均より少し上であり、平凡の域を出なかった。この日も3回戦目で敗退し、午前中には自分の試合を終えていた。
しかし午後から始まる頂点を決める決勝戦――それが、入学当初より噂となっていたあのミリアムとランディの手合わせであると聞き、クリスティアは会場に急いでいた。
不幸なことに、クリスティアは決勝戦の開始時間について、同級生から虚偽を教えられており――これも嫌がらせの1つだった――時間に大幅に遅れていたのだ。
(くそ……くそ……本当に下らないっ!)
会場まで駆けながら、クリスティアは1人で情けなくなって泣きたくなった。
私はただ強くなりたいだけ。そのために努力しているだけなのに。
どうして誰も彼も自分のことを邪魔するのだろうか。自分が何か悪いことをしたのだろうか。嫌いなら放っておいてくれればいいのに、どうしてわざわざこんな意味のないことをするのか。こんなことをして、一体何の得があるというのか。
――妾の娘として生まれたことは、それだけで罪だというのか。
そう思うと、自分の存在も、そして大好きだった母親の存在までもが否定された気分になる。
自分は存在するだけで、周りを嫌な気分にさせて、不幸にもさせるのではないか。
自分は生まれてこない方が良かったのでは。その方が母も幸せな人生を送れたのではないだろうか。
『貴女は幸せになるために生まれてきたのよ、クリス』
(お母さんっ……!)
今、この世界でクリスティアのことを『クリス』と呼んでくれる人はいない。
愛を込めて、幸せになって欲しいという祈りを込めた暖かい愛称を、もう長い間聞いた覚えがない。
もしもこの高等教育機関で親友と言える存在がいたのなら、もしかしたら――
「……った!」「いつっ!」
そんな考え事をしていたものだから、クリスティアは誰かとぶつかってしまう。
「いつつ……」
鼻を強く打ったようで、鈍い痛みが走る。目に滲んできた涙は鼻柱を打った痛みか、それまでに抱いていた悲しみのせいか分からないが、誤魔化せるのは都合がよかった。
「す、すみません。考え事をしていて……」
「い、いえ……ごめんなさい。私も急いでいたから……」
謝ってくる相手に、クリスティアも頭を下げて謝罪をする。
衝突したその相手――自分と同じ金髪は、聖アルマイト王国では貴族の特徴と言っても良いだろう。スラリとした引き締まった体型に甘いマスクは、学内でも最も美男子であるとの評判。その眉目秀麗な顔は、今は申し訳なさそうな苦笑となっていた。
彼のことはクリスティアもよく知っている。
「――ぁ。ジャスティン家の……」
「ジュリアス=ジャスティンです。自己紹介はいらないみたいですが」
ジャスティン家。ティンカーズ家をも超える、国内でも最上層に位置する高名な家名である。それこそアルマイト王家や、王家に所縁あるヴァルガンダル家に次ぐ程の。
クリスティアが憎むべき「貴族」の象徴の1つと言っても良い家名だ。
「そ、その……クリスティア=レイオール、です」
とはいっても、ジュリアスへ対して敵意や怒りを剥き出しにするようなことはない。その点については、クリスティアも分別は付いている。
何の努力もなしに運よくジャスティン家という恵まれた環境に生まれたという点が気に喰わない――その程度の、どうしようもない嫉妬を抱くくらいだ。
「ええと、同級生ですよね? でしたら敬語は不要ですよ……ん? レイオール……?」
クリスティアの家名を耳にして、ジュリアスは少し考えるような仕草をした後に
「シンパ騎士団長の……?」
すぐに、クリスティアが不名誉な子供だと気づいたようだった。まあ余程鈍感でなければ、すぐに事情を察するだろう。
面白く無い方向へ話が進みそうだったし、何よりもクリスティアはいち早く天才同士の手合わせを見に行きたかった。自分が少しでも強くなるために。
「すみません、急いでいるので。決勝戦が終わってしま――」
しかし、そのクリスティアの言葉が終わる前に、会場から一際大きな歓声が聞こえてくる。どうやら勝負が決したらしい。
「あ、あぁぁ……」
思わず脱力して、地面に膝をついてしまうクリスティア。
別に、今回見逃してしまったというのは、そこまで大したことではない。
しかしこうして努力をしようとしても、周りに邪魔をされて出来ない。自分には努力することすら許されないのだろうか。そんなにも、妾の娘として生まれtことが罪なのだろうか。
だとしたら、この国は、この世界はあまりにも残酷過ぎる。
そう思うと、全身から力が抜けて号泣したい気持ちになってきた。
「えーと……お茶でも、どうですか?」
そんなクリスティアの心境など全く察する様子もなく、ジュリアスはクリスティアを誘ってきたのだった。
□■□■
「本当に家名なんて関係ありませんね。私はジャスティン家の生まれでありながら、ミリアムやランディの足元にも及びませんから」
ジュリアスに誘われた茶の席で、クリスティアがその言葉を聞いた時、一瞬彼が何を言っているのかがよく分からなかった。
しかしすぐにその意味を理解した時、クリスティアの身体は沸騰したようにカッと熱くなったのだった。
(何を言っている……?)
ジャスティン家ともあろう人間が何を言っているのだろうか。レイコープ家にもティンカーズ家よりも格上の家名にありながら、どうしてそんな平気な顔で負けを認められるのか、その神経が信じられなかった。
生まれた時から人より恵まれた環境で育てられながらあっさりと認めることは、不遇な環境で育ちながらも歯を食いしばって耐えているクリスティアに対して何よりの侮辱ではないのか。
「ふざけるな……! そんなだから勝てないんじゃないか!」
だから、クリスティアは我慢出来なかった。
自分だって、母がレイオール家の正妻として迎えられていたならば。自分がレイオール家の正式な嫡女として生まれたならば、こんなに悲しい思いをしなくて済んだはずなのに。
そんなナヨナヨとした誤魔化し笑いで自らの無力を認めるジュリアス弱さを、クリスティアは容赦なく責め立てる。
「誰よりも家名にこだわっているのは貴方だ。ジャスティン家長男、ジュリアス=ジャスティン」
そして最後に彼に言い放ったその言葉は、他の誰でもないーー実は自分自身に向けての言葉だったことを、クリスティアは無意識ながらもしっかりと理解していた。
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
このことをきっかけに、クリスティアはジュリアスと仲を深めることとなった。
最初の出会いこそ最悪に近い形だったが、それでも元々のジュリアスの他人想いの優しい性格もあり、クリスティアの彼に対するネガティブな感情も徐々に解れていった。
ジュリアスが懇意にしていたミリアムやランディを紹介してもらい、個人的に鍛錬に付き合ってもらえるようになったこと。そしてジュリアスも、クリスティアのことを何かと気にして話しかけてくれるようになったこと。
学年でトップ3とも言っていい人物達がクリスティアと関わるようになって、嫌がらせも自然消滅していった。
ジュリアスとの出会いによって、クリスティアの学生生活は好転し始めていた。
「――ありがとう。貴方がランディやミリアムを紹介してくれたから、こうして鍛錬に付き合ってもらえるようになったわ」
とある日、いつものようにランディに叩き伏せられた後、ジュリアスに声を掛けてもらった時に、クリスティアは彼に向かって頭を下げた。
本当に言いたいことは、そんな小さなことではないはずだった。ジュリアスと知り合ってから、以前ほどに怒りも憎しみも焦燥感も悲しみも、そういったネガティブな感情を抱く機会が減った。
随分と心が楽になったことは間違いなくジュリアスのおかげだと分かっていた。しかしそれをどのように感謝を述べればいいか分からないクリスティアは、そんなお礼の言い方になってしまった。
ジュリアスは、とにかく優しい男だった。ある意味では厳格さを求められる龍牙騎士には相応しくない程に優しい男だ。
「この間も言ったでしょう? 私は余裕が無いから……絶対にあの2人よりも強くなりたいの。そして白薔薇騎士になって、龍牙騎士よりも上にならないといけないの」
そもそも白薔薇騎士になれるかどうかも、まだ定かではないこの状況で。しかも妾の娘である自分が言うには、あまりにも過ぎた言葉だ。普通の人間ならば、まともに取り合わずに嘲笑するだろう。それ程にバカバカしくて滑稽で恥知らずな言葉だ。
でも、そんな言葉でもジュリアスは優しくうなずいて、静かにクリスティアを応援してくれるのだ。
その優しさは、クリスティアは久しく感じたことのないものだった。でも初めてではない。どこかで確かに感じたことのあるものだ。とても暖かくて、幸せになれるこの感情は。
『貴女は幸せになるために生まれてきたのよ、クリス』
母がくれたものと、とてもよく似ていた。
まさかのジャスティン家――自分が嫌う『貴族』を象徴する家系の人間から、そんなことを感じることがあるとは、夢にも思わなかった。
「私の方こそ、この間はごめんなさい。いくら何でも言い過ぎだったと思うわ」
自分が他人に謝罪を口にするなど、本当に何年ぶりだろうか。これまでは全て貴族が、自分ではどうしようもない理不尽な力が悪いと断じていたクリスティアからは決して出なかった言葉だ。
ジュリアスとの出会いで、クリスティアの中で何かが確実に変わりつつあった。
「でも、間違ったことを言ったとは思わない。私が貴方に対して苛立つのは、今の失言よりも何よりも、そういう所よ。良いことも悪いことも、全て家名のせいにしているところ」
こうまで他人に踏み入ることだって、今までに無かった。母親が死んでから周囲との関係を自ら断つようにしていたクリスティアを知る人間にとっては驚くべき程の変化だ。
でもクリスティアは言わずにいられなかった。
ジュリアスは、見ようによってはいつもヘラヘラしていて、平気で自分の負けを認めて、頼りない男に見える。
しかし世間から疎まれている妾の娘である自分に、きちんと誠実に真面目に向き合ってくれている。とんでもない大言壮語を吐く自分を、優しく支えて応援してくれていることが分かる。
だから、それだけ真摯に向き合ってくれている友人をクリスティアも大切にしたかった。そのためには、ジュリアスのために自分が思ったことを伝えたかった。それがジュリアスへの真摯な付き合い方だと思ったからだ。
「――貴女は凄いですね」
真摯で真面目なジュリアスの優しさは、苦痛ばかりだったクリスティアの心を救った。そんな他人を救える優しさを持ったジュリアスは、間違いなく素晴らしい人間だ。
自分でもそう認める相手から、忌憚ない純粋な賞賛の言葉をもらって嬉しくないはずがない。
思わずクリスティアは頬を緩める。それは長いこと忘れていた、心の底からの笑み。あまりにも久しぶり過ぎるせいか、顔の筋肉が上手く動かなくて引きつった笑みになってしまったかもしれない。
「今度は、貴方も鍛錬に付き合ってよね。ジュリアス」
母のためだけじゃない。
こうして優しく支えてくれる彼のためにも、共に高め合って強くなりたい。
ジュリアスはクリスティアとの出会いにより強くなるのだが、クリスティアもまたジュリアスと出会ったことに大きく変わり、成長することとなる。
本来高等教育機関へは一般教育機関を経て進学する形となるのだが、クリスティアの場合は一般教育機関への入学対象年齢であった15歳の頃まは騎士を志すつもりなどなかった。つまり一般教育機関には通っていない。
それでもクリスティアが高等教育機関へ飛び級的な感じで入ることが出来たのは、レイオール家の名に因るものが多いだろう。
正式な騎士養成の教育を受けていない彼女が、それでも入学直後から平均以上にやっていけたのは、それまでに異母姉であり白薔薇騎士団長であるシンパによる指導のおかげだった。
「ミリアムとランディ……?」
高等教育が開始した直後から、「天才」と持て囃されている同学年の存在を聞かされるクリスティア。
入学前から――正確には母の死から、とにかく強さを貪欲に求めるようになっていたクリスティアは、その噂を聞きつければ、一も二もなくその2人を見に行った。
クリスティアが初めてその2人を見た時は、おそらくは自習というような形でミリアムとランディの2人で剣を打ち合っていたところだ。
その時、クリスティアは世界の広さを知った。
「外の世界には、こんなにも強い人間が……」
とても自分と同じ世代の人間とは思えなかった。クリスティアが見た限りでは、この時点でも充分に異母姉にすら通用するのではないかと思わされる程だった。2人共それほどまでの使い手だった。
「ティンカーズ家にレイコープ家……どっちも名家じゃない。特にティンカーズ家なんて、凄いのね」
高等教育へ進むまでは、当主サイドラスによって屋敷内に閉じ込められていたクリスティアは、はっきり言って世間知らずだった。
自分の生まれであるレイオール家には及ばないものの、ティンカーズ家は国内では有数の上流層に位置する貴族であり、レイコープ家は割と下流層ではあるがそれでも貴族であることには違いない。
(やっぱり貴族に生まれた人間は『強さ』を持っているのね)
そう思うクリスティアだって貴族には違いないのだが、クリスティアは己や母の境遇から自らを貴族だとは思っていない。正当な血筋の元に生まれた者のみが貴族ーーそして彼女はそんな貴族に対して強い劣等感を持つようになっていた。
母はレイオール家に殺された、というのがクリスティアの強さを求める動機の全てだ。
貴族という恣意的で強大な力に母は殺されたのだ。だから自分はそれよりも強くならないといけない、ということである。
だからといって、クリスティアは貴族とみれば誰も彼も敵とみなして食って掛かる程に、幼いわけでも分別が無いわけでもなかった。
貴族そのものにはどうしても嫌悪感を抱かずにいられなかったのも事実で、高等教育に通う貴族の学生らを好きになることは出来なかったが、あえて自分から噛み付くということもしなかった。
しかしクリスティアの想いは想いとして、他人は別だ。
ティアリスの死をきっかけにレイオール邸から出て高等教育機関に進んだクリスティアだったが、その出生については暗黙の了解という雰囲気となっていた。シンパという存在がある上で自らがレイオール家を名乗れば誰もがそのことに察しがつくし、本人も無理に隠そうとはせずに堂々としていたくらいだ。
ただ、愛人の胎から生まれた子供――不道徳な行為によって生まれたクリスティアへの世間の当たりは辛かった。
「……」
「あははははははっ! 逃げろー!」
トイレに入っていたところ、外から水をかけられるクリスティア。
高等教育間には貴族層だけではなく平民層の生徒もいる。その中でも特に低劣な生徒が、面白半分に嫌がらせをしてくるのだった。
びしょ濡れになったクリスティアが個室を出れば、当然犯人の姿はいない。
「下らない……」
これに限ったことではなく、物を隠される・持ち物に汚物や虫を入れられる・公衆の目に止まる所に悪口を書かれる……などといった、実に子供じみた下らない苛めを日々受けていた。
いくら妾の娘とは言え、レイオール家の人間であるクリスティアに表立って嫌がらせをする者はいなかった。裏でこそこそとバレないように――それでもクリスティアは、それが誰なのかは察していたが――続く苛め。それも1人や2人ではなかった。
さすがに上流層に当たる生徒達は直接関わってくることは無かった。しかし、不道徳な存在をかばったり守ったりような生徒は皆無だった。そう意味では、直接的にしろ間接的にしろ、誰もがクリスティアへの苛めに関与していたといえる。
「こんなこと関係ない……っ!」
元来のクリスティアは、本好きな穏やかで心優しい少女だ。誰からも忌み嫌われて、嫌がらせをされて、心が傷つかないはずがない。
しかしこんな過酷な状況で彼女を支えていたのは、良くも悪くも異母姉の存在だった。
当主サイドラスの不道徳な行為が白日の下にさらされて、案の定レイオール家は貴族社会から激しいバッシングにあった。アルマイト王家やヴァルガンダル家からも、相応の制裁があったようだ。
しかし異母姉シンパは、そんな中でもレイオール家の名を持つ者として白薔薇騎士団長にまで成り上がったのだ。この僅か2~3年の間に、レイオール家の名は地に堕ちてから天に上がるという、激動の時期を迎えていたのだ。
(姉上は強い。それは間違いない)
シンパは、クリスティアにとっては憎むべきレイオール家そのもの――つまり、貴族という理不尽な強さの象徴だった。
その強さは認めざるを得ないが、だからといって自分の負けを認めることは決して出来ない。
彼女がその強さを証明すればするほど、クリスティアの怒りと嫉妬は燃え上がるのだった。
(見ててね、母さん。私は絶対にレイオール家に……貴族に勝って見せるから)
シンパが出来ることが、自分に出来ないわけがない。
異母姉は逆境の中で騎士団長にまで上り詰めたのだ。母の名誉を背負ってレイオール家を、いや貴族を打倒せんとする自分が、こんな一教育機関の中の苛めごときで心を折るわけにはいかない。
それほどまでに、クリスティアの執念はすさまじかった。
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「はぁ、はぁ……っ!」
その日は学年毎で実力を競い合うトーナメント大会の日だった。
この頃のクリスティアの実力と言えば、学年でも平均より少し上であり、平凡の域を出なかった。この日も3回戦目で敗退し、午前中には自分の試合を終えていた。
しかし午後から始まる頂点を決める決勝戦――それが、入学当初より噂となっていたあのミリアムとランディの手合わせであると聞き、クリスティアは会場に急いでいた。
不幸なことに、クリスティアは決勝戦の開始時間について、同級生から虚偽を教えられており――これも嫌がらせの1つだった――時間に大幅に遅れていたのだ。
(くそ……くそ……本当に下らないっ!)
会場まで駆けながら、クリスティアは1人で情けなくなって泣きたくなった。
私はただ強くなりたいだけ。そのために努力しているだけなのに。
どうして誰も彼も自分のことを邪魔するのだろうか。自分が何か悪いことをしたのだろうか。嫌いなら放っておいてくれればいいのに、どうしてわざわざこんな意味のないことをするのか。こんなことをして、一体何の得があるというのか。
――妾の娘として生まれたことは、それだけで罪だというのか。
そう思うと、自分の存在も、そして大好きだった母親の存在までもが否定された気分になる。
自分は存在するだけで、周りを嫌な気分にさせて、不幸にもさせるのではないか。
自分は生まれてこない方が良かったのでは。その方が母も幸せな人生を送れたのではないだろうか。
『貴女は幸せになるために生まれてきたのよ、クリス』
(お母さんっ……!)
今、この世界でクリスティアのことを『クリス』と呼んでくれる人はいない。
愛を込めて、幸せになって欲しいという祈りを込めた暖かい愛称を、もう長い間聞いた覚えがない。
もしもこの高等教育機関で親友と言える存在がいたのなら、もしかしたら――
「……った!」「いつっ!」
そんな考え事をしていたものだから、クリスティアは誰かとぶつかってしまう。
「いつつ……」
鼻を強く打ったようで、鈍い痛みが走る。目に滲んできた涙は鼻柱を打った痛みか、それまでに抱いていた悲しみのせいか分からないが、誤魔化せるのは都合がよかった。
「す、すみません。考え事をしていて……」
「い、いえ……ごめんなさい。私も急いでいたから……」
謝ってくる相手に、クリスティアも頭を下げて謝罪をする。
衝突したその相手――自分と同じ金髪は、聖アルマイト王国では貴族の特徴と言っても良いだろう。スラリとした引き締まった体型に甘いマスクは、学内でも最も美男子であるとの評判。その眉目秀麗な顔は、今は申し訳なさそうな苦笑となっていた。
彼のことはクリスティアもよく知っている。
「――ぁ。ジャスティン家の……」
「ジュリアス=ジャスティンです。自己紹介はいらないみたいですが」
ジャスティン家。ティンカーズ家をも超える、国内でも最上層に位置する高名な家名である。それこそアルマイト王家や、王家に所縁あるヴァルガンダル家に次ぐ程の。
クリスティアが憎むべき「貴族」の象徴の1つと言っても良い家名だ。
「そ、その……クリスティア=レイオール、です」
とはいっても、ジュリアスへ対して敵意や怒りを剥き出しにするようなことはない。その点については、クリスティアも分別は付いている。
何の努力もなしに運よくジャスティン家という恵まれた環境に生まれたという点が気に喰わない――その程度の、どうしようもない嫉妬を抱くくらいだ。
「ええと、同級生ですよね? でしたら敬語は不要ですよ……ん? レイオール……?」
クリスティアの家名を耳にして、ジュリアスは少し考えるような仕草をした後に
「シンパ騎士団長の……?」
すぐに、クリスティアが不名誉な子供だと気づいたようだった。まあ余程鈍感でなければ、すぐに事情を察するだろう。
面白く無い方向へ話が進みそうだったし、何よりもクリスティアはいち早く天才同士の手合わせを見に行きたかった。自分が少しでも強くなるために。
「すみません、急いでいるので。決勝戦が終わってしま――」
しかし、そのクリスティアの言葉が終わる前に、会場から一際大きな歓声が聞こえてくる。どうやら勝負が決したらしい。
「あ、あぁぁ……」
思わず脱力して、地面に膝をついてしまうクリスティア。
別に、今回見逃してしまったというのは、そこまで大したことではない。
しかしこうして努力をしようとしても、周りに邪魔をされて出来ない。自分には努力することすら許されないのだろうか。そんなにも、妾の娘として生まれtことが罪なのだろうか。
だとしたら、この国は、この世界はあまりにも残酷過ぎる。
そう思うと、全身から力が抜けて号泣したい気持ちになってきた。
「えーと……お茶でも、どうですか?」
そんなクリスティアの心境など全く察する様子もなく、ジュリアスはクリスティアを誘ってきたのだった。
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「本当に家名なんて関係ありませんね。私はジャスティン家の生まれでありながら、ミリアムやランディの足元にも及びませんから」
ジュリアスに誘われた茶の席で、クリスティアがその言葉を聞いた時、一瞬彼が何を言っているのかがよく分からなかった。
しかしすぐにその意味を理解した時、クリスティアの身体は沸騰したようにカッと熱くなったのだった。
(何を言っている……?)
ジャスティン家ともあろう人間が何を言っているのだろうか。レイコープ家にもティンカーズ家よりも格上の家名にありながら、どうしてそんな平気な顔で負けを認められるのか、その神経が信じられなかった。
生まれた時から人より恵まれた環境で育てられながらあっさりと認めることは、不遇な環境で育ちながらも歯を食いしばって耐えているクリスティアに対して何よりの侮辱ではないのか。
「ふざけるな……! そんなだから勝てないんじゃないか!」
だから、クリスティアは我慢出来なかった。
自分だって、母がレイオール家の正妻として迎えられていたならば。自分がレイオール家の正式な嫡女として生まれたならば、こんなに悲しい思いをしなくて済んだはずなのに。
そんなナヨナヨとした誤魔化し笑いで自らの無力を認めるジュリアス弱さを、クリスティアは容赦なく責め立てる。
「誰よりも家名にこだわっているのは貴方だ。ジャスティン家長男、ジュリアス=ジャスティン」
そして最後に彼に言い放ったその言葉は、他の誰でもないーー実は自分自身に向けての言葉だったことを、クリスティアは無意識ながらもしっかりと理解していた。
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このことをきっかけに、クリスティアはジュリアスと仲を深めることとなった。
最初の出会いこそ最悪に近い形だったが、それでも元々のジュリアスの他人想いの優しい性格もあり、クリスティアの彼に対するネガティブな感情も徐々に解れていった。
ジュリアスが懇意にしていたミリアムやランディを紹介してもらい、個人的に鍛錬に付き合ってもらえるようになったこと。そしてジュリアスも、クリスティアのことを何かと気にして話しかけてくれるようになったこと。
学年でトップ3とも言っていい人物達がクリスティアと関わるようになって、嫌がらせも自然消滅していった。
ジュリアスとの出会いによって、クリスティアの学生生活は好転し始めていた。
「――ありがとう。貴方がランディやミリアムを紹介してくれたから、こうして鍛錬に付き合ってもらえるようになったわ」
とある日、いつものようにランディに叩き伏せられた後、ジュリアスに声を掛けてもらった時に、クリスティアは彼に向かって頭を下げた。
本当に言いたいことは、そんな小さなことではないはずだった。ジュリアスと知り合ってから、以前ほどに怒りも憎しみも焦燥感も悲しみも、そういったネガティブな感情を抱く機会が減った。
随分と心が楽になったことは間違いなくジュリアスのおかげだと分かっていた。しかしそれをどのように感謝を述べればいいか分からないクリスティアは、そんなお礼の言い方になってしまった。
ジュリアスは、とにかく優しい男だった。ある意味では厳格さを求められる龍牙騎士には相応しくない程に優しい男だ。
「この間も言ったでしょう? 私は余裕が無いから……絶対にあの2人よりも強くなりたいの。そして白薔薇騎士になって、龍牙騎士よりも上にならないといけないの」
そもそも白薔薇騎士になれるかどうかも、まだ定かではないこの状況で。しかも妾の娘である自分が言うには、あまりにも過ぎた言葉だ。普通の人間ならば、まともに取り合わずに嘲笑するだろう。それ程にバカバカしくて滑稽で恥知らずな言葉だ。
でも、そんな言葉でもジュリアスは優しくうなずいて、静かにクリスティアを応援してくれるのだ。
その優しさは、クリスティアは久しく感じたことのないものだった。でも初めてではない。どこかで確かに感じたことのあるものだ。とても暖かくて、幸せになれるこの感情は。
『貴女は幸せになるために生まれてきたのよ、クリス』
母がくれたものと、とてもよく似ていた。
まさかのジャスティン家――自分が嫌う『貴族』を象徴する家系の人間から、そんなことを感じることがあるとは、夢にも思わなかった。
「私の方こそ、この間はごめんなさい。いくら何でも言い過ぎだったと思うわ」
自分が他人に謝罪を口にするなど、本当に何年ぶりだろうか。これまでは全て貴族が、自分ではどうしようもない理不尽な力が悪いと断じていたクリスティアからは決して出なかった言葉だ。
ジュリアスとの出会いで、クリスティアの中で何かが確実に変わりつつあった。
「でも、間違ったことを言ったとは思わない。私が貴方に対して苛立つのは、今の失言よりも何よりも、そういう所よ。良いことも悪いことも、全て家名のせいにしているところ」
こうまで他人に踏み入ることだって、今までに無かった。母親が死んでから周囲との関係を自ら断つようにしていたクリスティアを知る人間にとっては驚くべき程の変化だ。
でもクリスティアは言わずにいられなかった。
ジュリアスは、見ようによってはいつもヘラヘラしていて、平気で自分の負けを認めて、頼りない男に見える。
しかし世間から疎まれている妾の娘である自分に、きちんと誠実に真面目に向き合ってくれている。とんでもない大言壮語を吐く自分を、優しく支えて応援してくれていることが分かる。
だから、それだけ真摯に向き合ってくれている友人をクリスティアも大切にしたかった。そのためには、ジュリアスのために自分が思ったことを伝えたかった。それがジュリアスへの真摯な付き合い方だと思ったからだ。
「――貴女は凄いですね」
真摯で真面目なジュリアスの優しさは、苦痛ばかりだったクリスティアの心を救った。そんな他人を救える優しさを持ったジュリアスは、間違いなく素晴らしい人間だ。
自分でもそう認める相手から、忌憚ない純粋な賞賛の言葉をもらって嬉しくないはずがない。
思わずクリスティアは頬を緩める。それは長いこと忘れていた、心の底からの笑み。あまりにも久しぶり過ぎるせいか、顔の筋肉が上手く動かなくて引きつった笑みになってしまったかもしれない。
「今度は、貴方も鍛錬に付き合ってよね。ジュリアス」
母のためだけじゃない。
こうして優しく支えてくれる彼のためにも、共に高め合って強くなりたい。
ジュリアスはクリスティアとの出会いにより強くなるのだが、クリスティアもまたジュリアスと出会ったことに大きく変わり、成長することとなる。
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