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第2章『クラベール城塞都市決戦』編
第71話 クラベール城塞都市決戦(Ⅲ)--中央突破
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両軍の指揮官の声に従い、コウメイ部隊とフェスティア部隊が正面から激突する。
それまで部隊の先端で熾烈な一騎打ちを演じていたプリシティアとゾーディアスは、その波に飲まれ、大軍の中に埋もれていった。
「大丈夫か、プリティ!」
突撃の合図を出したコウメイは、怒涛のごとく第2王女派へ突撃をしていく部隊の波の中、護衛騎士代理の姿を見つけると慌てて馬を駆け寄らせる。
「全く、肝が冷えたよ。とにかく無事でよかった。怪我はないか?」
一騎打ちを中断させられたプリシティアは、馬に跨ってその場にいて茫然としていた……と思うと、顔をうつむかせて、その表情を隠すようにする。
そして、プリシティアは駆け寄ってきたコウメイにぼそりと返答する。
「私は、致命的な傷を負っていません。頬にかすり傷を付けられただけで、その他には何もありません」
「良かった……」
プリシティアが、頬の傷からにじみ出た血を指で軽く拭いながら答えると、コウメイは胸を撫でおろして安堵した。
「いや、でもびっくりしたよ。ラミア王女からも聞いていたけど、プリティがあんなに強いなんて。フェスティアの護衛相手に、よくあそこまでーー」
「……てなかった」
安堵の息を吐くコウメイの言葉を遮って、プリシティアはぼそぼそとした口調で言葉を続ける。
「ん?」
よく見ると、プリシティアの小柄な体がブルブルと震えている。
「私は、勝てませんでした。負けました。昨夜、私はコウメイ元帥と約束をしました。だけれども私は……わーは……勝てなかったが! 負けたっち!」
うつむいていた顔が上がると、その瞳からはポロポロと涙がこぼれ出ている。
「負けた……ラミア王女とディード将軍以外の人に初めて負けたがー! コウメイさ守るって、必ず守るって約束したけん……わーは負けたっち! 悔しいよぉ! うわあああああん!」
「お、おおう……」
子供のようにわーわーと泣き喚き始めるプリシティアに、若干引き気味に構えるコウメイ。
「ってか、その2人以外に負けたことがないって……凄すぎない?」
と、あえて細かく突っ込んでから、コウメイはため息をつくように息を吐く。そうしてから、プリシティアの馬に自らの馬を寄せると、彼女の赤髪を優しく撫でた。
「ふええ……?」
涙と鼻水で、子供のように泣きはらした顔をコウメイに向けるプリシティア。そんな彼女に、コウメイは頬を緩ませると。
「最後、殺されそうにはなったけど、相手に大怪我を負わせたのはプリティの方だ。どう見ても負けてなんかいないだろ。フェスティアが自分の護衛に選んだ程の強敵に、本当によくやってくれたよ。予想以上だ。ありがとう、プリティ」
「コ、コウメイさぁ……」
優しい言葉を掛けてくる上司を、プリシティアは泣きはらした目で縋るように見る。
「今の一騎打ちの勝敗なんて、あくまで前座に過ぎない。プリティの本当の仕事はこれからだ――約束通り、しっかり俺を守ってくれよ。護衛騎士代理」
白い歯を見せて笑うコウメイの顔を見たプリシティアは、腕でごしごしと涙と鼻水を拭きとると
「はいっ!」
元気な声でそう答えた。
□■□■
「無様ね」
プリシティアと同じく味方の部隊に飲まれて一騎打ちを中断させられたゾーディアス。左手の甲は短剣に貫かれたまま、同じ左腕にも矢が刺さったままで、全身には火傷が見て取れる。
致命傷ではないものの、軽傷などでは決してない。
そんな満身創痍な彼の姿を見て、そう声を掛けたのはフェスティアだった。
「こんな茶番が勝敗を決するわけがない……だけど、これからの士気には大きく関わるわ。第2王女派の代表として一騎打ちに臨んだのならば、貴方は苦戦することなく勝利しなければいけなかった」
フェスティアの表情と言葉には感情がこもっていなかった。ただ淡々とした説明口調のまま続ける。
「あんな小娘程度に、苦戦は愚かこんな重傷を負わされるなんて……どう見ても貴方の負けよ。これでは何のために奴隷から引き立てたのか分からないわ。それで私の護衛が務まるとでも思っているのかしら? 一騎打ちの前に名乗ったのが、「代表の護衛」ではなく「元奴隷剣士」で本当に良かったわ」
淡々とはしているが、極めて刺々しい辛辣な言葉。それらにゾーディアスは言い返すことも出来ず、ただ黙って頭を下げる。
「相手は相当の手練れでした。外見はああでも、おそらく聖アルマイト王国3騎士にも迫る猛者だと思います」
それでも、最後の攻防でプリシティアの不意を完全に突くことが出来た。その必殺の一撃で確実に仕留められたと確信した。ーーしかし、まさか矢筒の矢を引き抜いて腕に突き刺してくるなど想像だに出来なかったのだ。
それはゾーディアスにとっては言い訳ではなく--
「最後の一撃で仕留められなかったのは……私の実力が及ばなかった以外の理由はございません。誠に申し訳ございませんでした」
ボロボロになりながら謝罪するゾーディアスに、フェスティアはあくまでも冷たい表情のままだった。そして、彼女がおもむろに腰の剣を引き抜くを見てゾーディアスは
「この場で、どのような処分も甘んじて受け入れます」
それは「必ず勝て」という命令を全う出来なかった彼にとって、フェスティアに対する心の底からの誠意でもあった。彼女によって最悪の人生から脱することが出来たゾーディアスからすれば、その命令を果たせない以上の大罪はない。
そんな殊勝な態度のゾーディアスを表情を変えないまま見つめるフェスティアは、やがて抜いた剣をの切っ先を彼に向ける。
「せめて、この戦い……代表閣下が勝利されんことを願っております」
瞳を閉じてそう言うゾーディアスに、フェスティアは馬を歩ませて近づいていく。
そしてゾーディアスとすれ違う程の距離にまで近づいた時――フェスティアは「ふっ」と笑って、剣を腰の鞘におさめた。
「冗談よ。こんなところで貴方を殺すはずがない。貴方以外に誰が私の護衛を務めるというの?」
「……」
場の空気が弛緩するのを感じるゾーディアス。
存外にも、フェスティアから感情を緩ませた言葉を掛けられると、ゾーディアスは閉じた瞳を開いた。
瞳を見開いたゾーディアスの表情には、フェスティアの言葉が意外だということも、命が助かったという安堵も、何もない無表情だった。
ただただこの現実をあるがままに受け入れている顔だった。
「後方に治癒術師を待機させているわ。さっさと治してもらって、前線に戻ってきなさい。さっきの醜態は、この戦いの中で返上なさい。必ず」
それだけ言い残して、フェスティアはそのままゆっくり前線へと馬の歩みを進めていく。残されたゾーディアスは、しばらくその場に佇んだままでいた。
第2王女派の兵士達が次々と雪崩れ込むように前線へと突撃していく中、ただ1人その場で動かないゾーディアスは、左腕に突き刺さったままの矢へと視線を滑らせる。
それを見ると、フェスティアに激しく罵倒されながらも感情の動き1つも見せなかった彼は、胸中で激しい感情を抱いていた。
(プリシティア=ハートリング、だったか。次こそは、必ず……!)
その時のゾーディアスの視線は、刃のように細く鋭く尖っていた。
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コウメイ部隊とフェスティア部隊の正面衝突。
コウメイ部隊の主戦力である龍牙騎士の面々は1人1人の練度が高いだけではなく、陣形を保ちながら周囲と連携して、高度な部隊行動でもって攻撃を仕掛けている。
対するフェスティア部隊は、奴隷や傭兵を主とした龍の爪の兵士が主戦力である。
普通に考えれば、まともな勝負では龍の爪が龍牙騎士と互角に渡り合えるはずがない。
――にも関わらず、コウメイ部隊は押されていた。その理由は、龍の爪に混じっている新白薔薇騎士達の存在だった。
元は龍牙騎士と同じ聖アルマイトの騎士である新白薔薇騎士達。彼女らもそれなりに高度な戦闘能力や部隊行動の術を持っている。
しかしそれは龍牙騎士程のものでは無かったはず。にも関わらず、新白薔薇騎士達の個々の実力は龍牙騎士達を圧倒していた。
それは、これまでの歴史の中で積み重ねてきた龍牙騎士達の知識・経験・技術といったものを、力のままに蹂躙する程の、正に暴力と呼ぶに相応しい力。荒々しく残酷なまでの力で、龍牙騎士達を屠っていく。
龍の爪の兵士を盾にするようにしながら、その圧倒的な力を奮ってくる新白薔薇騎士達。それに対して龍牙騎士達は、周囲との連携を凝らして工夫することで何とか対応していた。
しかし、時間が経てば経つほど、地力の差が徐々に表面化してくる。
1人、また1人と新白薔薇騎士によって倒れていく龍牙騎士。彼女らの勢いに乗る龍の爪の兵士達もまた猛攻を仕掛けてくる。
やがてコウメイ部隊は、その前線をジリジリと後退せざるを得なくなっていた。
「――ち。まずいな」
自ら前線で指揮を執るコウメイは、劣勢の状況に歯噛みしていた。
新白薔薇騎士を有する敵に劣勢を強いられるのは予想の範疇内ではあったが、想定以上に苦しい。前線を押されるのが速過ぎる。
「危ない!」
「っ!」
次の判断に迷っていたコウメイに、1本の流れ矢が飛んでくる。すかさずそれを察知したプリシティアがコウメイの前に出ると、難なく小盾でそれを防ぐ。
「私はコウメイ元帥が前に出過ぎだと言わずにはいられません。もう少し後方に下がることを提案します」
「お、おう。そうだな」
ついさっきまでびーびーと泣いてた護衛騎士代理は、すっかり元の調子に戻ったようだ。
早速彼女に命を救われたコウメイは、厳しい口調を受けながら素直に後方へと下がる。
「仕方ない……予定よりも少し速いが……」
安全帯に入ったところで、少し落ち着きを取り戻したコウメイは決断する。
「全軍後退だ! 敵に気づかれないよう、敵本隊を引き付けるぞ!」
□■□■
一方、順調に戦線を押し込んでいるフェスティア部隊。
コウメイと同じく前線で指揮を執るフェスティアは、この優勢にほくそ笑むどころか、どこか面白くなさそうな表情を浮かべていた。
「どうかされましたか、代表閣下」
ゾーディアスが怪我の治療のため後方に下がっている間、フェスティアの側で護衛を務めるよう命じられたのは、新白薔薇騎士のクリスティアだった。戦場での馬術を身に付けていない彼女は、馬に乗るフェスティアを見上げるようにして声を掛けた。
「――コウメイもつまらない男ね。あまりにも予定調和過ぎて、むしろ苛立ちすら覚えるくらいだわ」
静かな口調で、フェスティアは答えた。
するとそのタイミングで、慌てた様子で1つの騎馬がフェスティアの側まで駆け寄ってくる。
「代表閣下、事前情報に間違いありませんでした。左右の森林地帯に、それぞれ中隊規模の部隊を確認しました」
実は決戦が始まる前に、フェスティアは敵の伏兵を見越していて「ある手段」を用いて、そのことを察知していた。それはこれまでのジュリアスとの戦いで、あからじめ敵の戦力配置を得ていたのと同じ手段である。
万が一、こちらの目を誤魔化すためのフェイクだった可能性もあったため、開戦後に斥候を出したが、この期に及んでも伏せさせているとなるとそうではないのだろう。やはりコウメイ側は相変わらず、フェスティアが有している「ある手段」に気づいていないようだ。
もはや完全にフェスティアの読み通りであり、その通りに事が進んでいた。
「私達本隊をここに引き付けておいて、両翼に伏せさせている部隊で後方の兵糧庫を強襲するつもりでしょうね。その後方で待っているのが、勇者リアラ=リンデブルグとも知らずに」
口元に手を当てながら、全てが思い通りに運んでいる戦況に、やはり面白く無さそうな表情を浮かべるフェスティア。あそこまで警戒していた相手が、こうも呆気なかったことに拍子抜けしているのだろうか。
「では、我々はどうしますか? 左右どちらかの部隊へ攻撃を仕掛けますか?」
クリスティアの問いにフェスティアは首を横に振ると、変わらない静かな口調で答える。
「予定通り、突撃部隊を組んで敵部隊を突破――突撃部隊に都市を占領させなさい」
フェスティアが、コウメイの意図を読んでリアラを兵糧防衛に配置した時点で、第2王女派の勝利は間違いない--誰もがそう思っていたが、それでも人類最強レベルの勇者といえど、100回のうち1回は何かの間違いで敗北するかもしれない。
万が一そんな事態に陥ったとしても、城塞都市さえ陥としてしまえば、最早兵糧など関係ない。仮にフェスティア部隊が兵糧を全て失ったとしても、帰る拠点を失ったコウメイ部隊は撤退することすら許されずに全滅必至だ。この場合も第2王女派の勝利が確定する。
本丸である城塞都市そのものを囮に、こちらの急所でもある兵糧を狙う--この作戦を採用したコウメイも、賭けだったろう。
しかしフェスティアは、リアラを防衛部隊に配置することで、コウメイの作戦に対して完璧な対応を見せていた。
更にフェスティアは油断も容赦もしない。リアラに戦況の全てを委ねるのではなく、相手が囮にしている城塞都市すらもこのまま完璧に陥落せしめて、正に完璧な勝利絵図を描くのだった。
コウメイが何とか付け入ろうとする油断や隙を、フェスティアは決して見せない。それは敵対するコウメイ側にとっては絶望以外の何物でもなかった。
「総兵力では互角だったけども、相手は部隊を分割するという愚を犯して、自ら数的不利の状況を作っているわ。突破するのは、そう難しくない」
第1王子派の陣形は、おそらくは少ない兵数を誤魔化すためか、横に広く布陣するような形をとっている。少ない兵数でそんな陣形を取っているのだから、横に広くすれば縦が薄くなるのが道理である。
「左右の伏兵は無視して、全て後方部隊のリアラに任せるわ。こちらは戦力を中央に一極集中させた突撃部隊でもって、一気に敵部隊を突破するわよ。――運が良ければ、中央突破の勢いでコウメイを仕留められるとも限らない」
上から俯瞰すると、縦に薄い第1王子派の部隊に対して、と槍の刃先のような先が尖った陣形になるフェスティア突撃部隊。正面中央に兵力を集中させる一点突破陣形だ。
「敵は、本隊と右翼と左翼と、部隊を3分割している。おそらく都市周辺に残っている兵はそう多くない。目の前の敵本隊は無視して、とにかく城塞都市へ突撃しなさい。都市内へ入ってしまえば、こちらの勝利よ」
今頃は、南方のオーエン部隊も攻撃を仕掛けているはずだ。そんな状況で、これだけ部隊を分割しているコウメイ部隊が、都市内部にまで潜入されれば対応出来るはずがない。
「戦略だけではなく、戦術でも私の方が上だということを教えてあげるわ、コウメイ」
フェスティアは独り言のようにそう言うと、腰の剣を引き抜いて、高く空に掲げる。
「突破陣形にて、突撃!」
戦況が、大きく動き始める。
□■□■
「ダメです! 中央はもう保ちません!」
フェスティア部隊の突撃部隊による猛攻が開始されて間もなく、コウメイから鬼気迫る様子の兵士から戦況報告を受け取った。
あわよくば中央突破の流れのままコウメイを仕留める、というフェスティアの思惑は外れており、この時コウメイは自軍から見て右翼側に回っていた。そのため、コウメイ自身がその猛攻に身を晒すことは無かったが……
薄くなった壁の一点突破――部隊を分割したが故の弱点を見事に突かれてしまった。
「コウメイさ、危ない!」
「っ!」
戦場にそぐわない、プリシティアの幼い声――冷静な護衛騎士モードではなく、素の方言――が聞こえると、いつの間にかコウメイへと接近してきた龍の爪の兵士が、プリシティアが放った矢によって喉元を射抜かれていた。その奴隷兵士は断末魔を上げることすら出来ず、そのまま絶命する。
「んもー! コウメイさはでいに弱かけ、しゅんに後ろさ下がっとくっちゃ!」
「容赦ないな、君は!」
平常時のノリで突っ込みを入れるコウメイだが、今の苦境は全然笑えない。
充分に後退していたはずなのに、いつの間にか敵の戦線にここまで追いやられている。プリシティアも、いつもの妙な言葉使いを取り繕う余裕も無く、必死になってコウメイの護衛に当たっている。
「まずい……まずいな。想定よりも随分と早い」
今までに流したことがない、とても嫌な冷や汗がタラリと垂れてくるコウメイ。
「突破していった敵部隊を追撃しますか?」
どうやらフェスティア部隊も2つに隊を分けたようである。
自軍を突破して城塞都市へ向かっていった突撃部隊と、今もここに残ってコウメイ部隊と戦闘を続けている敵本隊だ。普通に考えれば、指揮官であるフェスティアはここの本体に残っているはずだ。
コウメイは、その兵士の問いかけに悩むことすらせずに、即決して即答する。
「――いや。それを追撃するとなると、今度はこちらが今正面に残っている本隊に背後を突かれる形になる。俺達はこのまま、ここで踏ん張ろう」
そうして深い息を吐くコウメイは、側にいるプリシティアに視線を送る。声なき言葉に、プリシティアは了解を得たように力強くうなずく。本番はここから、と言わんばかりに。
「城塞都市のことは、ジュリアス副長達を信じて任せよう。俺達はここで、俺達の仕事をやり切るぞ」
それまで部隊の先端で熾烈な一騎打ちを演じていたプリシティアとゾーディアスは、その波に飲まれ、大軍の中に埋もれていった。
「大丈夫か、プリティ!」
突撃の合図を出したコウメイは、怒涛のごとく第2王女派へ突撃をしていく部隊の波の中、護衛騎士代理の姿を見つけると慌てて馬を駆け寄らせる。
「全く、肝が冷えたよ。とにかく無事でよかった。怪我はないか?」
一騎打ちを中断させられたプリシティアは、馬に跨ってその場にいて茫然としていた……と思うと、顔をうつむかせて、その表情を隠すようにする。
そして、プリシティアは駆け寄ってきたコウメイにぼそりと返答する。
「私は、致命的な傷を負っていません。頬にかすり傷を付けられただけで、その他には何もありません」
「良かった……」
プリシティアが、頬の傷からにじみ出た血を指で軽く拭いながら答えると、コウメイは胸を撫でおろして安堵した。
「いや、でもびっくりしたよ。ラミア王女からも聞いていたけど、プリティがあんなに強いなんて。フェスティアの護衛相手に、よくあそこまでーー」
「……てなかった」
安堵の息を吐くコウメイの言葉を遮って、プリシティアはぼそぼそとした口調で言葉を続ける。
「ん?」
よく見ると、プリシティアの小柄な体がブルブルと震えている。
「私は、勝てませんでした。負けました。昨夜、私はコウメイ元帥と約束をしました。だけれども私は……わーは……勝てなかったが! 負けたっち!」
うつむいていた顔が上がると、その瞳からはポロポロと涙がこぼれ出ている。
「負けた……ラミア王女とディード将軍以外の人に初めて負けたがー! コウメイさ守るって、必ず守るって約束したけん……わーは負けたっち! 悔しいよぉ! うわあああああん!」
「お、おおう……」
子供のようにわーわーと泣き喚き始めるプリシティアに、若干引き気味に構えるコウメイ。
「ってか、その2人以外に負けたことがないって……凄すぎない?」
と、あえて細かく突っ込んでから、コウメイはため息をつくように息を吐く。そうしてから、プリシティアの馬に自らの馬を寄せると、彼女の赤髪を優しく撫でた。
「ふええ……?」
涙と鼻水で、子供のように泣きはらした顔をコウメイに向けるプリシティア。そんな彼女に、コウメイは頬を緩ませると。
「最後、殺されそうにはなったけど、相手に大怪我を負わせたのはプリティの方だ。どう見ても負けてなんかいないだろ。フェスティアが自分の護衛に選んだ程の強敵に、本当によくやってくれたよ。予想以上だ。ありがとう、プリティ」
「コ、コウメイさぁ……」
優しい言葉を掛けてくる上司を、プリシティアは泣きはらした目で縋るように見る。
「今の一騎打ちの勝敗なんて、あくまで前座に過ぎない。プリティの本当の仕事はこれからだ――約束通り、しっかり俺を守ってくれよ。護衛騎士代理」
白い歯を見せて笑うコウメイの顔を見たプリシティアは、腕でごしごしと涙と鼻水を拭きとると
「はいっ!」
元気な声でそう答えた。
□■□■
「無様ね」
プリシティアと同じく味方の部隊に飲まれて一騎打ちを中断させられたゾーディアス。左手の甲は短剣に貫かれたまま、同じ左腕にも矢が刺さったままで、全身には火傷が見て取れる。
致命傷ではないものの、軽傷などでは決してない。
そんな満身創痍な彼の姿を見て、そう声を掛けたのはフェスティアだった。
「こんな茶番が勝敗を決するわけがない……だけど、これからの士気には大きく関わるわ。第2王女派の代表として一騎打ちに臨んだのならば、貴方は苦戦することなく勝利しなければいけなかった」
フェスティアの表情と言葉には感情がこもっていなかった。ただ淡々とした説明口調のまま続ける。
「あんな小娘程度に、苦戦は愚かこんな重傷を負わされるなんて……どう見ても貴方の負けよ。これでは何のために奴隷から引き立てたのか分からないわ。それで私の護衛が務まるとでも思っているのかしら? 一騎打ちの前に名乗ったのが、「代表の護衛」ではなく「元奴隷剣士」で本当に良かったわ」
淡々とはしているが、極めて刺々しい辛辣な言葉。それらにゾーディアスは言い返すことも出来ず、ただ黙って頭を下げる。
「相手は相当の手練れでした。外見はああでも、おそらく聖アルマイト王国3騎士にも迫る猛者だと思います」
それでも、最後の攻防でプリシティアの不意を完全に突くことが出来た。その必殺の一撃で確実に仕留められたと確信した。ーーしかし、まさか矢筒の矢を引き抜いて腕に突き刺してくるなど想像だに出来なかったのだ。
それはゾーディアスにとっては言い訳ではなく--
「最後の一撃で仕留められなかったのは……私の実力が及ばなかった以外の理由はございません。誠に申し訳ございませんでした」
ボロボロになりながら謝罪するゾーディアスに、フェスティアはあくまでも冷たい表情のままだった。そして、彼女がおもむろに腰の剣を引き抜くを見てゾーディアスは
「この場で、どのような処分も甘んじて受け入れます」
それは「必ず勝て」という命令を全う出来なかった彼にとって、フェスティアに対する心の底からの誠意でもあった。彼女によって最悪の人生から脱することが出来たゾーディアスからすれば、その命令を果たせない以上の大罪はない。
そんな殊勝な態度のゾーディアスを表情を変えないまま見つめるフェスティアは、やがて抜いた剣をの切っ先を彼に向ける。
「せめて、この戦い……代表閣下が勝利されんことを願っております」
瞳を閉じてそう言うゾーディアスに、フェスティアは馬を歩ませて近づいていく。
そしてゾーディアスとすれ違う程の距離にまで近づいた時――フェスティアは「ふっ」と笑って、剣を腰の鞘におさめた。
「冗談よ。こんなところで貴方を殺すはずがない。貴方以外に誰が私の護衛を務めるというの?」
「……」
場の空気が弛緩するのを感じるゾーディアス。
存外にも、フェスティアから感情を緩ませた言葉を掛けられると、ゾーディアスは閉じた瞳を開いた。
瞳を見開いたゾーディアスの表情には、フェスティアの言葉が意外だということも、命が助かったという安堵も、何もない無表情だった。
ただただこの現実をあるがままに受け入れている顔だった。
「後方に治癒術師を待機させているわ。さっさと治してもらって、前線に戻ってきなさい。さっきの醜態は、この戦いの中で返上なさい。必ず」
それだけ言い残して、フェスティアはそのままゆっくり前線へと馬の歩みを進めていく。残されたゾーディアスは、しばらくその場に佇んだままでいた。
第2王女派の兵士達が次々と雪崩れ込むように前線へと突撃していく中、ただ1人その場で動かないゾーディアスは、左腕に突き刺さったままの矢へと視線を滑らせる。
それを見ると、フェスティアに激しく罵倒されながらも感情の動き1つも見せなかった彼は、胸中で激しい感情を抱いていた。
(プリシティア=ハートリング、だったか。次こそは、必ず……!)
その時のゾーディアスの視線は、刃のように細く鋭く尖っていた。
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コウメイ部隊とフェスティア部隊の正面衝突。
コウメイ部隊の主戦力である龍牙騎士の面々は1人1人の練度が高いだけではなく、陣形を保ちながら周囲と連携して、高度な部隊行動でもって攻撃を仕掛けている。
対するフェスティア部隊は、奴隷や傭兵を主とした龍の爪の兵士が主戦力である。
普通に考えれば、まともな勝負では龍の爪が龍牙騎士と互角に渡り合えるはずがない。
――にも関わらず、コウメイ部隊は押されていた。その理由は、龍の爪に混じっている新白薔薇騎士達の存在だった。
元は龍牙騎士と同じ聖アルマイトの騎士である新白薔薇騎士達。彼女らもそれなりに高度な戦闘能力や部隊行動の術を持っている。
しかしそれは龍牙騎士程のものでは無かったはず。にも関わらず、新白薔薇騎士達の個々の実力は龍牙騎士達を圧倒していた。
それは、これまでの歴史の中で積み重ねてきた龍牙騎士達の知識・経験・技術といったものを、力のままに蹂躙する程の、正に暴力と呼ぶに相応しい力。荒々しく残酷なまでの力で、龍牙騎士達を屠っていく。
龍の爪の兵士を盾にするようにしながら、その圧倒的な力を奮ってくる新白薔薇騎士達。それに対して龍牙騎士達は、周囲との連携を凝らして工夫することで何とか対応していた。
しかし、時間が経てば経つほど、地力の差が徐々に表面化してくる。
1人、また1人と新白薔薇騎士によって倒れていく龍牙騎士。彼女らの勢いに乗る龍の爪の兵士達もまた猛攻を仕掛けてくる。
やがてコウメイ部隊は、その前線をジリジリと後退せざるを得なくなっていた。
「――ち。まずいな」
自ら前線で指揮を執るコウメイは、劣勢の状況に歯噛みしていた。
新白薔薇騎士を有する敵に劣勢を強いられるのは予想の範疇内ではあったが、想定以上に苦しい。前線を押されるのが速過ぎる。
「危ない!」
「っ!」
次の判断に迷っていたコウメイに、1本の流れ矢が飛んでくる。すかさずそれを察知したプリシティアがコウメイの前に出ると、難なく小盾でそれを防ぐ。
「私はコウメイ元帥が前に出過ぎだと言わずにはいられません。もう少し後方に下がることを提案します」
「お、おう。そうだな」
ついさっきまでびーびーと泣いてた護衛騎士代理は、すっかり元の調子に戻ったようだ。
早速彼女に命を救われたコウメイは、厳しい口調を受けながら素直に後方へと下がる。
「仕方ない……予定よりも少し速いが……」
安全帯に入ったところで、少し落ち着きを取り戻したコウメイは決断する。
「全軍後退だ! 敵に気づかれないよう、敵本隊を引き付けるぞ!」
□■□■
一方、順調に戦線を押し込んでいるフェスティア部隊。
コウメイと同じく前線で指揮を執るフェスティアは、この優勢にほくそ笑むどころか、どこか面白くなさそうな表情を浮かべていた。
「どうかされましたか、代表閣下」
ゾーディアスが怪我の治療のため後方に下がっている間、フェスティアの側で護衛を務めるよう命じられたのは、新白薔薇騎士のクリスティアだった。戦場での馬術を身に付けていない彼女は、馬に乗るフェスティアを見上げるようにして声を掛けた。
「――コウメイもつまらない男ね。あまりにも予定調和過ぎて、むしろ苛立ちすら覚えるくらいだわ」
静かな口調で、フェスティアは答えた。
するとそのタイミングで、慌てた様子で1つの騎馬がフェスティアの側まで駆け寄ってくる。
「代表閣下、事前情報に間違いありませんでした。左右の森林地帯に、それぞれ中隊規模の部隊を確認しました」
実は決戦が始まる前に、フェスティアは敵の伏兵を見越していて「ある手段」を用いて、そのことを察知していた。それはこれまでのジュリアスとの戦いで、あからじめ敵の戦力配置を得ていたのと同じ手段である。
万が一、こちらの目を誤魔化すためのフェイクだった可能性もあったため、開戦後に斥候を出したが、この期に及んでも伏せさせているとなるとそうではないのだろう。やはりコウメイ側は相変わらず、フェスティアが有している「ある手段」に気づいていないようだ。
もはや完全にフェスティアの読み通りであり、その通りに事が進んでいた。
「私達本隊をここに引き付けておいて、両翼に伏せさせている部隊で後方の兵糧庫を強襲するつもりでしょうね。その後方で待っているのが、勇者リアラ=リンデブルグとも知らずに」
口元に手を当てながら、全てが思い通りに運んでいる戦況に、やはり面白く無さそうな表情を浮かべるフェスティア。あそこまで警戒していた相手が、こうも呆気なかったことに拍子抜けしているのだろうか。
「では、我々はどうしますか? 左右どちらかの部隊へ攻撃を仕掛けますか?」
クリスティアの問いにフェスティアは首を横に振ると、変わらない静かな口調で答える。
「予定通り、突撃部隊を組んで敵部隊を突破――突撃部隊に都市を占領させなさい」
フェスティアが、コウメイの意図を読んでリアラを兵糧防衛に配置した時点で、第2王女派の勝利は間違いない--誰もがそう思っていたが、それでも人類最強レベルの勇者といえど、100回のうち1回は何かの間違いで敗北するかもしれない。
万が一そんな事態に陥ったとしても、城塞都市さえ陥としてしまえば、最早兵糧など関係ない。仮にフェスティア部隊が兵糧を全て失ったとしても、帰る拠点を失ったコウメイ部隊は撤退することすら許されずに全滅必至だ。この場合も第2王女派の勝利が確定する。
本丸である城塞都市そのものを囮に、こちらの急所でもある兵糧を狙う--この作戦を採用したコウメイも、賭けだったろう。
しかしフェスティアは、リアラを防衛部隊に配置することで、コウメイの作戦に対して完璧な対応を見せていた。
更にフェスティアは油断も容赦もしない。リアラに戦況の全てを委ねるのではなく、相手が囮にしている城塞都市すらもこのまま完璧に陥落せしめて、正に完璧な勝利絵図を描くのだった。
コウメイが何とか付け入ろうとする油断や隙を、フェスティアは決して見せない。それは敵対するコウメイ側にとっては絶望以外の何物でもなかった。
「総兵力では互角だったけども、相手は部隊を分割するという愚を犯して、自ら数的不利の状況を作っているわ。突破するのは、そう難しくない」
第1王子派の陣形は、おそらくは少ない兵数を誤魔化すためか、横に広く布陣するような形をとっている。少ない兵数でそんな陣形を取っているのだから、横に広くすれば縦が薄くなるのが道理である。
「左右の伏兵は無視して、全て後方部隊のリアラに任せるわ。こちらは戦力を中央に一極集中させた突撃部隊でもって、一気に敵部隊を突破するわよ。――運が良ければ、中央突破の勢いでコウメイを仕留められるとも限らない」
上から俯瞰すると、縦に薄い第1王子派の部隊に対して、と槍の刃先のような先が尖った陣形になるフェスティア突撃部隊。正面中央に兵力を集中させる一点突破陣形だ。
「敵は、本隊と右翼と左翼と、部隊を3分割している。おそらく都市周辺に残っている兵はそう多くない。目の前の敵本隊は無視して、とにかく城塞都市へ突撃しなさい。都市内へ入ってしまえば、こちらの勝利よ」
今頃は、南方のオーエン部隊も攻撃を仕掛けているはずだ。そんな状況で、これだけ部隊を分割しているコウメイ部隊が、都市内部にまで潜入されれば対応出来るはずがない。
「戦略だけではなく、戦術でも私の方が上だということを教えてあげるわ、コウメイ」
フェスティアは独り言のようにそう言うと、腰の剣を引き抜いて、高く空に掲げる。
「突破陣形にて、突撃!」
戦況が、大きく動き始める。
□■□■
「ダメです! 中央はもう保ちません!」
フェスティア部隊の突撃部隊による猛攻が開始されて間もなく、コウメイから鬼気迫る様子の兵士から戦況報告を受け取った。
あわよくば中央突破の流れのままコウメイを仕留める、というフェスティアの思惑は外れており、この時コウメイは自軍から見て右翼側に回っていた。そのため、コウメイ自身がその猛攻に身を晒すことは無かったが……
薄くなった壁の一点突破――部隊を分割したが故の弱点を見事に突かれてしまった。
「コウメイさ、危ない!」
「っ!」
戦場にそぐわない、プリシティアの幼い声――冷静な護衛騎士モードではなく、素の方言――が聞こえると、いつの間にかコウメイへと接近してきた龍の爪の兵士が、プリシティアが放った矢によって喉元を射抜かれていた。その奴隷兵士は断末魔を上げることすら出来ず、そのまま絶命する。
「んもー! コウメイさはでいに弱かけ、しゅんに後ろさ下がっとくっちゃ!」
「容赦ないな、君は!」
平常時のノリで突っ込みを入れるコウメイだが、今の苦境は全然笑えない。
充分に後退していたはずなのに、いつの間にか敵の戦線にここまで追いやられている。プリシティアも、いつもの妙な言葉使いを取り繕う余裕も無く、必死になってコウメイの護衛に当たっている。
「まずい……まずいな。想定よりも随分と早い」
今までに流したことがない、とても嫌な冷や汗がタラリと垂れてくるコウメイ。
「突破していった敵部隊を追撃しますか?」
どうやらフェスティア部隊も2つに隊を分けたようである。
自軍を突破して城塞都市へ向かっていった突撃部隊と、今もここに残ってコウメイ部隊と戦闘を続けている敵本隊だ。普通に考えれば、指揮官であるフェスティアはここの本体に残っているはずだ。
コウメイは、その兵士の問いかけに悩むことすらせずに、即決して即答する。
「――いや。それを追撃するとなると、今度はこちらが今正面に残っている本隊に背後を突かれる形になる。俺達はこのまま、ここで踏ん張ろう」
そうして深い息を吐くコウメイは、側にいるプリシティアに視線を送る。声なき言葉に、プリシティアは了解を得たように力強くうなずく。本番はここから、と言わんばかりに。
「城塞都市のことは、ジュリアス副長達を信じて任せよう。俺達はここで、俺達の仕事をやり切るぞ」
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