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第2章『クラベール城塞都市決戦』編
第67話 決戦前Ⅷ--@王都ユールディア
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【第1王子執務室】
第2王女派の猛攻が続いている中、カリオスが王都に滞在し続ける理由はいくつかある。
それは「第2王女リリライトの突然の叛乱」という王都内及び各領地からの避難民の混乱と動揺を最小限に抑えることだ。カリスマ性もあるカリオスその人が、王都に留まるだけでその安心感の程は段違いだった。
そしてもう1つの理由は、諸国への牽制。
英雄である“戦士”の血を引く聖アルマイト王族が王都に残っていることが、他国への牽制となっている。
カリオスの存在自体が聖アルマイトの強大な戦力であることは大陸中が知る事実。北の小国家群然り、北東のネルグリア旧帝国領の反アルマイト勢力然り、南のファヌス魔法大国然り……各勢力が決定的な一歩を踏みとどまっているのは、カリオスが王都にいることが大きな理由となっている。
「ふう……」
執務室で一息つくカリオス。
内乱勃発直後は王都内の安定のために忙殺される日々だったが、ある程度落ち着いた今となっては、正直手持無沙汰の時間が増えた。
今のカリオスの役目は、先に挙げた内の後者ーーつまり、そこにいることだけで大きな意味があるのだ。
しかしカリオスが暇を持て余している中でも、各地からの宜しくない報告は次々と届けられる。
「クラベールは、城塞都市はまで追い詰められたか……」
手にしていた報告書を見て、その内容を見てぽつりとつぶやくカリオス。
クラベールの情勢を筆頭に、全てにおいて状況は宜しくない。
それらの原因は、たった1つだ。その1つさえ、何とかなれば事態は一気に好転する可能性もある。
--それは言わずもがな、第2王女派である。
諸国らが聖アルマイトの内乱に乗じようとする動機は「第1王子派が第2王女派よりも弱い」と思い込んでいることだ。だからクラベールの劣勢を跳ね返すことが出来れば、彼らの動機を粉砕することに繋がるはずだ。
「頼むぜ、コウメイ。ここが踏ん張りどころだ」
未だ王都を離れられない国王代理にして第1王子カリオス=ド=アルマイト。
彼もまた、前線のコウメイへ希望を託していた。
【王宮内特別治療室】
「んっ……くっ……はぁ、はぁ……」
夜も更け、静寂に包まれた深夜の時間帯。
王宮内に特別に用意された治療室の中で、淫猥な水音が響いていた。
ベッドの上で、衣服の裾をまくり上げながら股を開き秘部と胸を弄っているのは、グスタフによる「異能」の被害者であるアンナ=ヴァルガンダルだった。
「っああ! 気持ちいいっ……オナニー、気持ちいいよぉっ!」
未だに少なくはない頻度で発作――抗えない程の獣欲が湧き上がってくるのだ。
アンナの初期治療を担当したファヌス魔法大国王子のイルギルスに言わせると、無理に淫欲を抑え込もうとすれば余計に反発するとの見解だった。ある程度は定期的に発散した方が良いとのことで、王宮内の治癒術師達も、概ね同意見だった。
だからアンナはどうしても耐え切れなくない時は、こういった人の目がない場所・タイミングを選んで自慰に耽って、その衝動を処理するようにしていた。
まだ思春期であるアンナにとって、いくら悪辣な「異能」が原因だとはいえ、そんなことが周知の事実となっていることは、どれだけの恥辱の極みだろうか。
「で、でもそんなことどうでもいいくらい、気持ちいいっ! み、みてぇっ! ドスケベな私のオナニーを、皆に見てもらいたいっ! オマンコ、じゅぼじゅぼ気持ちいいよぉぉっ!」
部屋の外にも漏れ聞こえそうな声と音を立てながら、アンナは激しく自分を責め立てる。
いくらか快方に向かっているとはいえ、グスタフによって歪まされた性癖は今もなお根強くアンナに刷り込まれていた。
「イグっ、イグぅぅぅぅっ! オマンコ、イグぅぅぅ! 久しぶりのオナニーさいっっっっこうぅぅ!」
アンナはベッドの上で激しく痙攣し、潮を吹きながら絶頂する。
その表情は、グスタフに犯されていた時と同じように、理性を失い恍惚とした表情。白目を剥きながら舌を突き出す、本能を剥き出しにした雌の顔だった。
(はぁ、はぁ……こんなんじゃ足りない。なんでもいいから、チンポ……チンポぉぉぉ……!)
激しい絶頂ので脱力しながら、それでも鎮火しない欲望の炎に、アンナの目がギラつく。
(……っ! いけない……だめ……!)
しかし、微かに残った理性の光が、アンナを正気に引き戻す。
(チンポ……もっとオナニー……だめ、これ以上は……ぁぐ……)
発散しても次から次へと湧き上がる衝動に、アンナは必死に歯を食いしばって耐える。そして震える手を懸命に伸ばして、ベッドサイドの棚に置いてある薬瓶へ手を伸ばす。
「……んぐ……ぐ……」
乱雑な手つきで瓶のふたを取り払うと、がっつくようにそれを口の中に放り込む。
錠剤を嚥下すると、身体が即座にその成分を吸収する。そして潮が引くように獣欲が鎮まり、気持ちが落ち着いていくのが分かる。
「すぅ……はぁ……」
身体と気持ちが落ち着いてきたところで、アンナは深呼吸をする。
この薬こそが、イルギルスが帰国した後にコウメイへ送った「手土産」だった。
アンナの快方を見て取ったイルギルス。それでも強烈に湧き上がる淫欲については、無理に抑え込もうとしない方が良いと判断したのは前述の通り。
しかし、だからといって欲望のままに快楽を貪るようなことを続ければ、まだ逆戻りになるであろうことは明らかだった。だからイルギルスは、「大事なのはバランス」と手紙に記していた。
適度に性欲を解消することは、むしろ健康な身体ならば当然のこと。但し、理性も思考も全て吹き飛ぶ程の異常な衝動の際は、それを和らげるのに効果がある……ということでこの薬をコウメイへ寄越したのだった。
コウメイから薬を渡されたカリオスは、それらを全てアンナへ説明してから薬を渡していた。
結果アンナは異能の発作とそれなりに上手く付き合えるようになった、と言っても良い。
薬だけで無理やり抑えようとしていたら、それ以上に湧き上がってくる強力な衝動に負けていただろう。自慰で解消しつつ、薬も併用していくことで、アンナは自我も理性も失うことなく、日々を安定して送れるくらいにはなっていた。
「うう……くぅ……ぐす……」
しかし、精神的な負担は、また別の話だ。
欲望に負け快楽を貪ったことに――いくら仕方ないとはいえ――後悔と罪悪感を禁じ得ない。しかも、誰に見られているというわけでもないが、アンナがこうして淫猥なことをしていることは公然の秘密のようなものだ。
年頃のアンナが、正気に戻ってしまえば、死にたくなるくらい恥ずかしくなるのは当然すぎることだった。
冷静に戻ったアンナは、眼に涙を流しながら恥辱に顔を染めて――
しかし、それでももう彼女は心を折らなかった。
「待ってて……リューイ……! ボク、頑張るからっ……こんなのに負けないっ! ボクも絶対リアラを助けるからっ! もう少し待ってて……ボクは、絶対に追いついて見せるからっ!」
悪辣なるグスタフの「異能」による被害者。その内で今のところ唯一救出に成功したアンナ=ヴァルガンダルだったが、今も消えることのない異能の影響に心と身体を苛まれている。
それでも、それに屈することなく、逃げることなく、真っ向から立ち向かっていた。
アンナの身は戦場にはない。しかしここ王宮内で、アンナはアンナの戦いを必死に続けていた。
「お父様、ボクは負けないから……絶対にヴァルガンダルの名前を守るから……だから、見ていてね」
未だ回復しない聖アルマイトの英傑――幼い頃からずっと敬愛している父へ誓うアンナ。その瞳は悪辣なる「異能」に惑わされることのない強い決意の色に満ちていた。
【王宮内 一般執務室】
元帥不在の王都で、スタインはコウメイが担っていたものーー特にファヌス魔法大国との外交面について、その実務と責任を負っていた。
聖アルマイトを含めた諸外国との交流を断絶しているこの国の動向は未だ知れないが、何かあった際は迅速に対応できるよう、彼の国には常に気を張っている。
そんな中、唐突に事態が動き出したのは、コウメイが王都を出立してから4日程のことだった。
「密入国者、ですか?」
ファヌスに関する情報は、リューゲルとスタインの2人に集約するようにしていた。先にその情報を受け取ったリューゲルは、コウメイが自分の代わりにと残していったスタインにそのことを告げた。
「何でも傷だらけのボロボロの状態で裏路地をフラついていたところを、衛兵が見つけたそうだ。尋問した結果、ファヌスから国境を越えてきた人間だと白状して『コウメイ元帥に会わせろ』とのことでな」
しかし、当人は王都を不在にしている。ならば、会うのは彼が代役として指名したスタインが適任だろう。
「確か、コウメイ元帥が懇意にしていたのはイルギルス王子という話でしたよね?」
「ああ、そうだな。私も会ったが、王族とは思えないくらい気安い御方だったよ。カリオス殿下とは、また違った意味でな」
リューゲルの言葉に、スタインは口元に手をあてて考え込むようにした後に、再び口を開く。
「その男、ファヌスからの密入国者ということですが、正確にはイルギルス王子の息がかかっている人物ですよね。わざわざ、コウメイ元帥を名指しするくらいですから」
「うむ、そうだな……」
スタインの洞察に、リューゲルも同意する。
イルギルス帰国後も、コウメイは彼とコンタクトを取るべく色々と手段を講じていたが、結局イルギルスからの反応はほとんど無かったはずだ。にも関わらず、このように非公式な形で人を寄越すということは、やはりファヌス国内でも何かが起こっているのだろう。
「……コウメイ元帥が不在ですが、これは非常に重要な案件だと思います。リューゲル閣下もご同席をお願い致します」
□■□■
そうして応接室に通したファヌス人は、リューゲルから聞いたとおり全身傷だらけの男だった。処置を施されているようで、傷跡には包帯などが当てられているが、それでもその姿は痛々しい。
年齢にして30代半ばくらいだろうか。まるで風景に溶け込むことを目的としたような、麻で編まれた淡色の衣類を着たその男は、スタインとリューゲルが入室してくると、座ったままペコリと頭を下げる。
「あなたが、コウメイ元帥か?」
言葉は丁寧だったが、あまり上品とはいえないぶっきらぼうで乱暴な口調だった。男は濃い茶色の瞳で睨むようにしながら、スタイン達に聞いてくる。
「私はスタイン=リュズガルドと申します。元帥閣下の補佐官を務めておりますが……生憎とコウメイ元帥は、王都を不在にしております」
「私はリューゲル=イマリティ。最高執政官で、元帥不在の間の代理を務めております」
「ふん」
丁寧な物腰で自己紹介をする2人に、男はふてぶてしい態度を取る。密入国者という自覚があるのか、疑問には思わずにはいられない程だ。
しかし、聖アルマイト国内の中でも穏健派の代表格ともいっていいリューゲルとスタインは、その程度のことで動揺することもない。冷静に、男を観察するように見つめていた。
「取り巻きなんぞじゃ話にならねぇな。元帥様本人はどこにいるんだ?」
「今、我が国の状況はご存知でしょう? 勿論、第2王女派との戦場の最前線――クラベール領ですよ」
男の言葉に即答するスタインに、リューゲルは目を見張って若き元帥補佐官を見返す。
まだこの男の目的も分からないまま、コウメイの所在を明らかにすること。そして元帥自らが前線に赴くことは、そのまま聖アルマイトの苦境をファヌスに自ら伝えることとなる……いまいちスタインの意図が掴めなかった。
しかし、立場上元帥の代理は最高執政官のリューゲルが担っているが、ことファヌスとの外交関係については、スタインを主として進めて欲しいとコウメイから言われている。
そのためリューゲルは何も言わずに、スタインにこの場を任せることとした。
「……へっ、噂にたがわず苦戦しているようだな。相手は世間知らずのお姫様なんじゃないのか? カリオス王子も、存外大したことない人物なんだな」
さすがに温厚なリューゲルと言えど、ここまでの物言いをされれば不快の感情を隠し切れるものではない。それでも表情に出しただけに留まることが出来たのは年の功か。
一方、スタインはあくまで冷静に、感情を顔に出すことなく淡々と答える。
「用件をお伺いいたしましょう。そんな姿になってまで、王都にまで入り込んだのはそれなりの目的があるのでしょう?」
「……」
今度は、男の方がスタインを観察するように見返すと
「――ま、大した用事じゃないさ。あんたらの国がゴタゴタしているように、うちの国もちょっとばかしバタバタしていてね。ちょーっと、自分の国から抜け出すのに苦労したってだけさ。イルギルス殿下のお使いを果たしにきただけだよ」
そう言って、男は懐に手を忍ばせると、そこからスタインに向かって手を伸ばす。その手には、1封の手紙が握られていた。
「イルギルス殿下からコウメイ元帥宛の手紙だ。本人がいないなら、兄さんか……それともそこの爺さんか、読んでやってくれや。あえて言っておくが、これは殿下からのご厚意だぜ」
手紙を突き付けられたスタインはリューゲルの方を見返す。お互いを伺うようにしていると、やがてリューゲルがスタインを促すようにうなずく。
それを見たスタインもうなずくと、男から手紙を受け取って、その内容を確認する。
『コウメイ元帥へ。っていうか、元帥になったんだねー。すごいね、びっくりしたよ。さて……というわけで早速本題なんだけど、今までなかなか返事が返せなくてごめんねー。うちの国も、そっちと同じく骨肉の争いを繰り広げていて、何かと大変なのさー。
詳しく説明する余裕も無いんだけど、実はこうして聖アルマイトと連絡を取っているだけでも、かな~りヤバい橋を渡っているんだよねー、これが。それでも、こうやって僕が手紙を送ったのは、状況はどうあれ感情的には君に味方してあげたいと思っているからさ。
これは良い意味で言うと注意喚起、悪い意味で言うと警告だね。
そちらで起こっている内乱――ぜひ、頑張って反乱軍を鎮圧して欲しい。じゃないと、最悪は僕が魔法大隊を率いて聖アルマイト王国を攻め込まざるを得なくなる。でも、逆に言えば君らが頑張れば、僕は味方になることが出来る』
そこまで読んだところで……後半の過激な内容に、スタインはさすがに目を細めると、手紙から視線を外して男の方を見る。
「これは……」
「まあ、最後まで読めって」
後頭部に頭を組みながら気安く言う男の言葉のまま、スタインは残りの部分を読み進める。
『君たちの状況が良くなればよくなるほど、僕も君たちと連絡が取りやすくなる。でも、現状はダメだ。君らは「純白の姫」程度の相手に苦戦しすぎている。勿論、裏には例の男の暗躍があるんだろうけど……このままじゃ、本当にヤバいよ? はっきり言っちゃうけど、聖アルマイトはファヌスに虎視眈々と狙われていると思っておいた方が良いよ。
僕は、本当に感情的にはコウメイ君の味方をしたいと思っているんだ。だから、心の底から健闘を祈っているんだよ。だから頑張ってね。
最後に、アンナちゃんの薬は役に立ったかな? 僕も1度は関わった以上、大陸最高峰の治癒術師として、彼女の回復を願って止まない』
――そう締めくくられて、ファヌス魔法大国王子イルギルスからの手紙は終えていた。
スタインは、もう1度最初から流し読むようにして内容を確認すると、そのまま手紙を折りたたんで、天井を仰いだ。
「これは――」
イルギルスの想いや複雑な状況などはどうあれ
「ファヌス魔法大国からの宣戦布告のようなものですね。ある意味では」
そのスタインの言葉を聞いて、リューゲルがギョッとする。
次の大きな戦い――クラベール領の戦いにおいて、第1王子派が敗北するようなことがあれば、強力なファヌスの魔法部隊が攻め込んでくる可能性を示唆している。
クラベール領で敗北した上に、南からファヌスに攻め込まれてしまえば、耐えきれるはずがない。北の小国家群も、旧帝国領の反アルマイト勢力も、それに乗じないはずがない。
その時王都ユールディアは、史上最大の陥落の危機を迎えるだろう。
「コウメイ元帥……」
この苦境を任されたスタインは苦渋の表情を隠せなかった。
交渉と駆け引きで、ファヌスとの関係を調整するのがスタインに任された任務だ。しかし、そもそもそのスタートラインに立つために必要なことは、現地のコウメイにかかっている。
今のスタインは、前線のコウメイに希望を託すしかなかった。
第2王女派の猛攻が続いている中、カリオスが王都に滞在し続ける理由はいくつかある。
それは「第2王女リリライトの突然の叛乱」という王都内及び各領地からの避難民の混乱と動揺を最小限に抑えることだ。カリスマ性もあるカリオスその人が、王都に留まるだけでその安心感の程は段違いだった。
そしてもう1つの理由は、諸国への牽制。
英雄である“戦士”の血を引く聖アルマイト王族が王都に残っていることが、他国への牽制となっている。
カリオスの存在自体が聖アルマイトの強大な戦力であることは大陸中が知る事実。北の小国家群然り、北東のネルグリア旧帝国領の反アルマイト勢力然り、南のファヌス魔法大国然り……各勢力が決定的な一歩を踏みとどまっているのは、カリオスが王都にいることが大きな理由となっている。
「ふう……」
執務室で一息つくカリオス。
内乱勃発直後は王都内の安定のために忙殺される日々だったが、ある程度落ち着いた今となっては、正直手持無沙汰の時間が増えた。
今のカリオスの役目は、先に挙げた内の後者ーーつまり、そこにいることだけで大きな意味があるのだ。
しかしカリオスが暇を持て余している中でも、各地からの宜しくない報告は次々と届けられる。
「クラベールは、城塞都市はまで追い詰められたか……」
手にしていた報告書を見て、その内容を見てぽつりとつぶやくカリオス。
クラベールの情勢を筆頭に、全てにおいて状況は宜しくない。
それらの原因は、たった1つだ。その1つさえ、何とかなれば事態は一気に好転する可能性もある。
--それは言わずもがな、第2王女派である。
諸国らが聖アルマイトの内乱に乗じようとする動機は「第1王子派が第2王女派よりも弱い」と思い込んでいることだ。だからクラベールの劣勢を跳ね返すことが出来れば、彼らの動機を粉砕することに繋がるはずだ。
「頼むぜ、コウメイ。ここが踏ん張りどころだ」
未だ王都を離れられない国王代理にして第1王子カリオス=ド=アルマイト。
彼もまた、前線のコウメイへ希望を託していた。
【王宮内特別治療室】
「んっ……くっ……はぁ、はぁ……」
夜も更け、静寂に包まれた深夜の時間帯。
王宮内に特別に用意された治療室の中で、淫猥な水音が響いていた。
ベッドの上で、衣服の裾をまくり上げながら股を開き秘部と胸を弄っているのは、グスタフによる「異能」の被害者であるアンナ=ヴァルガンダルだった。
「っああ! 気持ちいいっ……オナニー、気持ちいいよぉっ!」
未だに少なくはない頻度で発作――抗えない程の獣欲が湧き上がってくるのだ。
アンナの初期治療を担当したファヌス魔法大国王子のイルギルスに言わせると、無理に淫欲を抑え込もうとすれば余計に反発するとの見解だった。ある程度は定期的に発散した方が良いとのことで、王宮内の治癒術師達も、概ね同意見だった。
だからアンナはどうしても耐え切れなくない時は、こういった人の目がない場所・タイミングを選んで自慰に耽って、その衝動を処理するようにしていた。
まだ思春期であるアンナにとって、いくら悪辣な「異能」が原因だとはいえ、そんなことが周知の事実となっていることは、どれだけの恥辱の極みだろうか。
「で、でもそんなことどうでもいいくらい、気持ちいいっ! み、みてぇっ! ドスケベな私のオナニーを、皆に見てもらいたいっ! オマンコ、じゅぼじゅぼ気持ちいいよぉぉっ!」
部屋の外にも漏れ聞こえそうな声と音を立てながら、アンナは激しく自分を責め立てる。
いくらか快方に向かっているとはいえ、グスタフによって歪まされた性癖は今もなお根強くアンナに刷り込まれていた。
「イグっ、イグぅぅぅぅっ! オマンコ、イグぅぅぅ! 久しぶりのオナニーさいっっっっこうぅぅ!」
アンナはベッドの上で激しく痙攣し、潮を吹きながら絶頂する。
その表情は、グスタフに犯されていた時と同じように、理性を失い恍惚とした表情。白目を剥きながら舌を突き出す、本能を剥き出しにした雌の顔だった。
(はぁ、はぁ……こんなんじゃ足りない。なんでもいいから、チンポ……チンポぉぉぉ……!)
激しい絶頂ので脱力しながら、それでも鎮火しない欲望の炎に、アンナの目がギラつく。
(……っ! いけない……だめ……!)
しかし、微かに残った理性の光が、アンナを正気に引き戻す。
(チンポ……もっとオナニー……だめ、これ以上は……ぁぐ……)
発散しても次から次へと湧き上がる衝動に、アンナは必死に歯を食いしばって耐える。そして震える手を懸命に伸ばして、ベッドサイドの棚に置いてある薬瓶へ手を伸ばす。
「……んぐ……ぐ……」
乱雑な手つきで瓶のふたを取り払うと、がっつくようにそれを口の中に放り込む。
錠剤を嚥下すると、身体が即座にその成分を吸収する。そして潮が引くように獣欲が鎮まり、気持ちが落ち着いていくのが分かる。
「すぅ……はぁ……」
身体と気持ちが落ち着いてきたところで、アンナは深呼吸をする。
この薬こそが、イルギルスが帰国した後にコウメイへ送った「手土産」だった。
アンナの快方を見て取ったイルギルス。それでも強烈に湧き上がる淫欲については、無理に抑え込もうとしない方が良いと判断したのは前述の通り。
しかし、だからといって欲望のままに快楽を貪るようなことを続ければ、まだ逆戻りになるであろうことは明らかだった。だからイルギルスは、「大事なのはバランス」と手紙に記していた。
適度に性欲を解消することは、むしろ健康な身体ならば当然のこと。但し、理性も思考も全て吹き飛ぶ程の異常な衝動の際は、それを和らげるのに効果がある……ということでこの薬をコウメイへ寄越したのだった。
コウメイから薬を渡されたカリオスは、それらを全てアンナへ説明してから薬を渡していた。
結果アンナは異能の発作とそれなりに上手く付き合えるようになった、と言っても良い。
薬だけで無理やり抑えようとしていたら、それ以上に湧き上がってくる強力な衝動に負けていただろう。自慰で解消しつつ、薬も併用していくことで、アンナは自我も理性も失うことなく、日々を安定して送れるくらいにはなっていた。
「うう……くぅ……ぐす……」
しかし、精神的な負担は、また別の話だ。
欲望に負け快楽を貪ったことに――いくら仕方ないとはいえ――後悔と罪悪感を禁じ得ない。しかも、誰に見られているというわけでもないが、アンナがこうして淫猥なことをしていることは公然の秘密のようなものだ。
年頃のアンナが、正気に戻ってしまえば、死にたくなるくらい恥ずかしくなるのは当然すぎることだった。
冷静に戻ったアンナは、眼に涙を流しながら恥辱に顔を染めて――
しかし、それでももう彼女は心を折らなかった。
「待ってて……リューイ……! ボク、頑張るからっ……こんなのに負けないっ! ボクも絶対リアラを助けるからっ! もう少し待ってて……ボクは、絶対に追いついて見せるからっ!」
悪辣なるグスタフの「異能」による被害者。その内で今のところ唯一救出に成功したアンナ=ヴァルガンダルだったが、今も消えることのない異能の影響に心と身体を苛まれている。
それでも、それに屈することなく、逃げることなく、真っ向から立ち向かっていた。
アンナの身は戦場にはない。しかしここ王宮内で、アンナはアンナの戦いを必死に続けていた。
「お父様、ボクは負けないから……絶対にヴァルガンダルの名前を守るから……だから、見ていてね」
未だ回復しない聖アルマイトの英傑――幼い頃からずっと敬愛している父へ誓うアンナ。その瞳は悪辣なる「異能」に惑わされることのない強い決意の色に満ちていた。
【王宮内 一般執務室】
元帥不在の王都で、スタインはコウメイが担っていたものーー特にファヌス魔法大国との外交面について、その実務と責任を負っていた。
聖アルマイトを含めた諸外国との交流を断絶しているこの国の動向は未だ知れないが、何かあった際は迅速に対応できるよう、彼の国には常に気を張っている。
そんな中、唐突に事態が動き出したのは、コウメイが王都を出立してから4日程のことだった。
「密入国者、ですか?」
ファヌスに関する情報は、リューゲルとスタインの2人に集約するようにしていた。先にその情報を受け取ったリューゲルは、コウメイが自分の代わりにと残していったスタインにそのことを告げた。
「何でも傷だらけのボロボロの状態で裏路地をフラついていたところを、衛兵が見つけたそうだ。尋問した結果、ファヌスから国境を越えてきた人間だと白状して『コウメイ元帥に会わせろ』とのことでな」
しかし、当人は王都を不在にしている。ならば、会うのは彼が代役として指名したスタインが適任だろう。
「確か、コウメイ元帥が懇意にしていたのはイルギルス王子という話でしたよね?」
「ああ、そうだな。私も会ったが、王族とは思えないくらい気安い御方だったよ。カリオス殿下とは、また違った意味でな」
リューゲルの言葉に、スタインは口元に手をあてて考え込むようにした後に、再び口を開く。
「その男、ファヌスからの密入国者ということですが、正確にはイルギルス王子の息がかかっている人物ですよね。わざわざ、コウメイ元帥を名指しするくらいですから」
「うむ、そうだな……」
スタインの洞察に、リューゲルも同意する。
イルギルス帰国後も、コウメイは彼とコンタクトを取るべく色々と手段を講じていたが、結局イルギルスからの反応はほとんど無かったはずだ。にも関わらず、このように非公式な形で人を寄越すということは、やはりファヌス国内でも何かが起こっているのだろう。
「……コウメイ元帥が不在ですが、これは非常に重要な案件だと思います。リューゲル閣下もご同席をお願い致します」
□■□■
そうして応接室に通したファヌス人は、リューゲルから聞いたとおり全身傷だらけの男だった。処置を施されているようで、傷跡には包帯などが当てられているが、それでもその姿は痛々しい。
年齢にして30代半ばくらいだろうか。まるで風景に溶け込むことを目的としたような、麻で編まれた淡色の衣類を着たその男は、スタインとリューゲルが入室してくると、座ったままペコリと頭を下げる。
「あなたが、コウメイ元帥か?」
言葉は丁寧だったが、あまり上品とはいえないぶっきらぼうで乱暴な口調だった。男は濃い茶色の瞳で睨むようにしながら、スタイン達に聞いてくる。
「私はスタイン=リュズガルドと申します。元帥閣下の補佐官を務めておりますが……生憎とコウメイ元帥は、王都を不在にしております」
「私はリューゲル=イマリティ。最高執政官で、元帥不在の間の代理を務めております」
「ふん」
丁寧な物腰で自己紹介をする2人に、男はふてぶてしい態度を取る。密入国者という自覚があるのか、疑問には思わずにはいられない程だ。
しかし、聖アルマイト国内の中でも穏健派の代表格ともいっていいリューゲルとスタインは、その程度のことで動揺することもない。冷静に、男を観察するように見つめていた。
「取り巻きなんぞじゃ話にならねぇな。元帥様本人はどこにいるんだ?」
「今、我が国の状況はご存知でしょう? 勿論、第2王女派との戦場の最前線――クラベール領ですよ」
男の言葉に即答するスタインに、リューゲルは目を見張って若き元帥補佐官を見返す。
まだこの男の目的も分からないまま、コウメイの所在を明らかにすること。そして元帥自らが前線に赴くことは、そのまま聖アルマイトの苦境をファヌスに自ら伝えることとなる……いまいちスタインの意図が掴めなかった。
しかし、立場上元帥の代理は最高執政官のリューゲルが担っているが、ことファヌスとの外交関係については、スタインを主として進めて欲しいとコウメイから言われている。
そのためリューゲルは何も言わずに、スタインにこの場を任せることとした。
「……へっ、噂にたがわず苦戦しているようだな。相手は世間知らずのお姫様なんじゃないのか? カリオス王子も、存外大したことない人物なんだな」
さすがに温厚なリューゲルと言えど、ここまでの物言いをされれば不快の感情を隠し切れるものではない。それでも表情に出しただけに留まることが出来たのは年の功か。
一方、スタインはあくまで冷静に、感情を顔に出すことなく淡々と答える。
「用件をお伺いいたしましょう。そんな姿になってまで、王都にまで入り込んだのはそれなりの目的があるのでしょう?」
「……」
今度は、男の方がスタインを観察するように見返すと
「――ま、大した用事じゃないさ。あんたらの国がゴタゴタしているように、うちの国もちょっとばかしバタバタしていてね。ちょーっと、自分の国から抜け出すのに苦労したってだけさ。イルギルス殿下のお使いを果たしにきただけだよ」
そう言って、男は懐に手を忍ばせると、そこからスタインに向かって手を伸ばす。その手には、1封の手紙が握られていた。
「イルギルス殿下からコウメイ元帥宛の手紙だ。本人がいないなら、兄さんか……それともそこの爺さんか、読んでやってくれや。あえて言っておくが、これは殿下からのご厚意だぜ」
手紙を突き付けられたスタインはリューゲルの方を見返す。お互いを伺うようにしていると、やがてリューゲルがスタインを促すようにうなずく。
それを見たスタインもうなずくと、男から手紙を受け取って、その内容を確認する。
『コウメイ元帥へ。っていうか、元帥になったんだねー。すごいね、びっくりしたよ。さて……というわけで早速本題なんだけど、今までなかなか返事が返せなくてごめんねー。うちの国も、そっちと同じく骨肉の争いを繰り広げていて、何かと大変なのさー。
詳しく説明する余裕も無いんだけど、実はこうして聖アルマイトと連絡を取っているだけでも、かな~りヤバい橋を渡っているんだよねー、これが。それでも、こうやって僕が手紙を送ったのは、状況はどうあれ感情的には君に味方してあげたいと思っているからさ。
これは良い意味で言うと注意喚起、悪い意味で言うと警告だね。
そちらで起こっている内乱――ぜひ、頑張って反乱軍を鎮圧して欲しい。じゃないと、最悪は僕が魔法大隊を率いて聖アルマイト王国を攻め込まざるを得なくなる。でも、逆に言えば君らが頑張れば、僕は味方になることが出来る』
そこまで読んだところで……後半の過激な内容に、スタインはさすがに目を細めると、手紙から視線を外して男の方を見る。
「これは……」
「まあ、最後まで読めって」
後頭部に頭を組みながら気安く言う男の言葉のまま、スタインは残りの部分を読み進める。
『君たちの状況が良くなればよくなるほど、僕も君たちと連絡が取りやすくなる。でも、現状はダメだ。君らは「純白の姫」程度の相手に苦戦しすぎている。勿論、裏には例の男の暗躍があるんだろうけど……このままじゃ、本当にヤバいよ? はっきり言っちゃうけど、聖アルマイトはファヌスに虎視眈々と狙われていると思っておいた方が良いよ。
僕は、本当に感情的にはコウメイ君の味方をしたいと思っているんだ。だから、心の底から健闘を祈っているんだよ。だから頑張ってね。
最後に、アンナちゃんの薬は役に立ったかな? 僕も1度は関わった以上、大陸最高峰の治癒術師として、彼女の回復を願って止まない』
――そう締めくくられて、ファヌス魔法大国王子イルギルスからの手紙は終えていた。
スタインは、もう1度最初から流し読むようにして内容を確認すると、そのまま手紙を折りたたんで、天井を仰いだ。
「これは――」
イルギルスの想いや複雑な状況などはどうあれ
「ファヌス魔法大国からの宣戦布告のようなものですね。ある意味では」
そのスタインの言葉を聞いて、リューゲルがギョッとする。
次の大きな戦い――クラベール領の戦いにおいて、第1王子派が敗北するようなことがあれば、強力なファヌスの魔法部隊が攻め込んでくる可能性を示唆している。
クラベール領で敗北した上に、南からファヌスに攻め込まれてしまえば、耐えきれるはずがない。北の小国家群も、旧帝国領の反アルマイト勢力も、それに乗じないはずがない。
その時王都ユールディアは、史上最大の陥落の危機を迎えるだろう。
「コウメイ元帥……」
この苦境を任されたスタインは苦渋の表情を隠せなかった。
交渉と駆け引きで、ファヌスとの関係を調整するのがスタインに任された任務だ。しかし、そもそもそのスタートラインに立つために必要なことは、現地のコウメイにかかっている。
今のスタインは、前線のコウメイに希望を託すしかなかった。
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