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第1章『3領地同時攻防戦』編
第30話 3領地同時攻防戦Ⅸ--中央クラベール領戦線①
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第2王女派の軍師フェスティアが仕掛けてきた3領地同時攻防戦における各地の状況は以下の通りである。
北方ノースポール領は、第1王子派の圧倒的火力で第2王女派の侵攻を食い止めており、戦況は膠着状態。
南方イシス領は、『殲滅』のオーエンが率いる新白薔薇騎士団を中心に編成された部隊の強襲により、開戦から1週間で第2王女派が占領。領主エンディール侯爵及び部隊を率いていたフィリオスは共に戦死。逃げ遅れた多くの領民達が第2王女派の手に捕まった。
そしてこの3領地における最重要拠点である中央のクラベール領。
第1王子派、第2王子派共に最大戦力をぶつけ合っているこの戦場は、事前の予想通り最も苛烈な激戦を繰り広げていたのだった。
南方のイシス領は第2王女派に占領された。
北方のノースポール領も第2王女派の侵攻を食い止めているとはいえ、その戦力は小規模で新白薔薇騎士すらいない程。そんな僅かな戦力のために、龍牙騎士団の中で最大火力を保有する魔術師部隊がその場から動けないでいる。
これらは、フェスティアの思惑通りであった。
グラシャス、バーグランドに続き、この3領地の戦いでも依然として劣勢を強いられる第1王子派。これを跳ね返すには、もはや中央クラベール領での戦いで勝利するしかなかった。
□■□■
クラベール領が重要拠点である理由はいくつかある。
仮に第2王女派が今回の3領地同時侵攻戦に勝利したとして、その後に更に王都ユールディアを目指すとなると、次に控える戦場はダリア領となる。
ダリア領は、聖アルマイト王国の中で最も広大な領地である。もしも、このダリア領すら第2王女派に陥落させられるようなことがあれば第1王子派と第2王女派の勢力図は逆転する、分水嶺となる領地。
またダリア領から王都ユールディアの間には、まだ小さな領地がいくつか挟まれているものの、物理的な距離的も、いよいよ王都に手が届く程になるのだ。ダリア領を占領されれば、王都ユールディアまでの侵攻を本格的に覚悟しなくてはならなくなる。第1王子派にとっては、喉元に刃をつきつけられるようなものだ。
ダリア領は、それほどの重要な領地。そのため、フェスティアは間違いなくダリア領を一大決戦の場として想定しているはずだった。
そして話をクラベール領に戻すと、この地は第2王女派からすると、ダリア領の決戦における中継拠点として絶対に欲しい領地というわけである。
クラベール領は城塞都市として街が作られており、様々な機能も充実している。そのため軍事拠点としての価値が非常に高い。第2王女派がここを抑えて、王都ユールディア侵攻への中継拠点とすることが出来れば、以後の戦況をより有利に運ぶことが出来る。
逆の立場の第1王子派からすると、それは決してあってはならないことである。
激戦区、中央クラベール領の戦線を支えているのは、龍牙騎士団新副団長のジュリアス=ジャスティン自らである。
最前線にて第2王女派との戦闘を任されているジュリアスにとって、正念場であった。
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クラベール領の領境で、第1王子派と第2王子派の部隊が激闘を繰り広げていた。
兵数にして、第2王女派は約1万。対する第1王子派は、クラベール領の部隊と龍牙騎士の部隊併せて約2万。数の上では第1王子派が倍の戦力を有しているにも関わらず、戦況は第1王子派が押され気味だった。
「副長。第1防衛線も、もう保ちません!」
顔の右半分を覆う程の眼帯をつけている龍牙騎士団副団長のジュリアスは、自身も馬上で剣を振り、迫り来る敵を斬り伏せながらその報告を受け取った。
第2王女派の猛攻が始まってから3日目――意地でも敵をクラベール領内に入れまいとして、必死に領境で防衛線を支えていたジュリアスだったが、ここに来てその限界に達したことを悟る。
「やはり、新白薔薇騎士が厄介ですね」
相変わらずの丁寧な口調のまま、ジュリアスは額に冷や汗を流す。
龍の爪の兵士の練度などたいしたことはない。ジュリアス麾下の龍牙騎士であれば相手にならない程度の相手だが、それに交じって襲い掛かってくる新白薔薇騎士の実力は、龍牙騎士を上回っている。
実力を上回る相手に、ジュリアスは新白薔薇騎士1人に対して必ず3人以上で当たるように指示を飛ばすが、数が多い龍の爪の兵士がそれを妨害する。
どれだけこちらが的確な指示を飛ばしても、相手は見事と言わざるを得ない程に対応してくる。
過去のグラシャス領やバーグランド領からこのクラベール領の戦いに至るまで、常にジュリアスはこのように辛酸をなめさせられ続けており、今もジリジリと苦戦を強いられていた。
「――仕方ありません。撤退です。戦線を下げましょう」
絶対に領内へ第2王女派を侵入させまいと奮闘していたジュリアスは、苦渋の表情で決断する。
『現場の細かい戦術指揮については、俺なんかより経験豊富なジュリアス副長に任せます。但し、感情的になって徒に被害を増やさないことは肝に命じておいてください。戦死するくらいなら撤退を――これが、元帥としての命令です』
領地防衛よりも人命優先。それが、元帥のコウメイより前線指揮官であるジュリアスに下された至上命令であった。
ジュリアスの命令を受けた伝令係が、即座に馬を駆けさせて、前線へ撤退命令を伝えに行く。
ジュリアスもそのまま前線へ馬を走らせて、新白薔薇騎士相手に苦戦を強いられている龍牙騎士の助太刀に入る。
「す、すみません。副長!」
右腕が痛々しく流血している龍牙騎士が、代わりに新白薔薇騎士の剣を受けたジュリアスに礼を言う。ジュリアスはそれに反応する余裕も無く、目の前の新白薔薇騎士と剣を打ち合い、そして彼女を斬り伏せる。
「撤退です。殿は私が務めますから、負傷者は優先して後退して下さい。余裕がある者は、私と一緒に殿を。速やかに動いて下さい」
「りょ、了解です」
静かで淡々とした命令を受けた龍牙騎士は、その命令通りに後方へ下がっていく。ジュリアスは更に前進しながら、龍の爪の兵士と新白薔薇騎士を斬り伏せながら、負傷を追っている仲間達を、次々と下がらせていく。
副団長に抜擢されるだけあり、隻眼となった今でもジュリアスは、一般の新白薔薇騎士程度であれば、圧倒する程の実力を有していた。
(――クリスは、この戦場にはいませんか)
戦場の真っただ中で、迫りくる敵を倒し続けるジュリアス。彼は眼帯に指を滑らせながら、この傷を負わせた張本人を無意識に探していた。
しかし、結局この日、ジュリアスはその因縁の相手を見つけることは出来ず。
ーーこの日第2王女派は、遂に重要地であるクラベール領内へ、その侵攻の歩みを一歩踏み入れたのだった。
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クラベール領における戦いにおいて、ジュリアスはあらかじめいくつかの防衛線を定めていた。
隣接するバーグランド領との領境を第1防衛線。その領境から、クラベール領の中心地となる城塞都市までの中間位置にある第2防衛線。そしてその城塞都市そのものが第3防衛線だった。
今第1防衛は突破され、次なる戦場は第2防衛線となる。ここまでもが突破されれば、次はいよいよ都市を巻き込んだ戦闘へ突入する。つまり、領民への被害が避けられないものとなってしまう。
「クラベール侯は、相変わらずですか……」
ジュリアスは第2防衛線に構築した陣地内を歩いていた。彼自身は怪我を負うことはなかったが、陣地内には数多の負傷者が溢れているようだった。手当する者と手当される者ばかりが目に付く。
「ええ。楽観的というか能天気というか……ここまで敵が迫ってきているにも関わらず、龍牙騎士団がいれば負けるはずがないと信じ込んでいます。領民の避難は全く進んでいません」
ジュリアスに付いて歩くのは、副官のテアレス=アドボーン。耳を覆い隠す程の長さの癖毛が特徴的で、騎士らしい精悍な顔つきをしている若者である。昨年龍牙騎士になったばかりの新人騎士であり、前任ダストンの後任として、ジュリアスの副官として彼の補佐をしていた。
ため息を漏らしながらジュリアスの問いに答えるテアレスの表情には、うんざりした色がありありと出ていた。
「困りましたね……それなら、戦線はこれ以上絶対に下げられません。何としてもこの第2防衛線で防ぎきらないといけませんね」
それは第1防衛線の戦いに臨む時にジュリアス自身がこぼした言葉と全く同じだった。
副団長に抜擢されて第2王女派との前線を任されているジュリアスの実力を、テアレスは決して疑ってはいない。むしろ、その卓越した指揮能力にも個人の実力にも憧れてすらいる。
しかし、それでも開戦から今日まで敗戦が続いている現状では、そのジュリアスの言葉には全く信頼感を持てなかった。
新白薔薇騎士達の予想外の実力に加えて、敵指揮官のフェスティアによりこちらは裏ばかりかかれている。個々の兵士の実力も、指揮官同士の指揮能力も、全てが第2王女派に負けていると認めざるを得ない状況だった。
実は王都にいるカリオスやコウメイよりも、こうやって最前線で敵の脅威に触れている騎士達こそが、第2王女派の恐ろしさを実感していたのが現状なのである。
「副長……この戦い、我々は勝てるのでしょうか」
不敬だとは分かっていても、テアレスは問わずにはいられなかった。
物腰穏やかで丁寧な口調で言葉を発するこの副団長の本音を、テアレスは図りかねていた。この絶望的といっても差し支えない状況で、ジュリアスは何を考えて戦いに臨んでいるのだろうか。
テアレスの問いに、ジュリアスは残された左眼を閉じて、静かにうなずく。
「バーグランド領に残された人たちの悲惨な状況も聞いています。同じ悲劇を、ここクラベールで起こすわけにはいきません。絶対に、勝たねばなりません」
しかし……と、思わず声を出しかけたテアレスは、すんでのところで口を紡ぐ。だが、ジュリアスはそんな部下の様子を見て、テアレスが何を言いたいのか察したようだった。
ジュリアスはその穏和な表情の中に、笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「敵部隊には、まだフェスティア率いる敵本隊は到着していない――フェスティアが不在の状況でも、これだけ劣勢では、不安になるのも分かります」
「……も、申し訳ありませんっ!」
龍牙騎士団副団長たるジュリアスに対して何という無礼な考えを持ってしまったのか。本当にそう思っていたとしても、当のジュリアスにそのことが伝わってしまうなど、副官にあるまじき態度だった。
しかし、その丁寧な口調そのまま、穏やかな性格のジュリアスは「いいんですよ」と前置きをしてから、部下の不安に応える。
「先日の御前会議で、いよいよコウメイ元帥閣下が前線に来られることが決まったそうです。また、その元帥閣下に先立って、例の新しい“龍騎士”が増援部隊を率いてやってくるそうですよ」
ジュリアスは信頼に満ちた声で、そのことをテアレスに告げる。
――が、テアレスは、その言葉で安心感を得ることは出来なかった。
なんでも今回龍騎士の称号を与えられたのは、自分と同じ2年目の新人騎士だという。しかも特に何の実績も挙げていない、ごく平凡な騎士という話だ。
そして、同じく元帥として任命されたコウメイという人物――元龍牙騎士で、ルエール前団長の付き人的存在だったという。今回の反乱の発端?とも言われている、先のミュリヌス領の戦いでの功績を認められて元帥に任じられたと聞いている。
テアレスにとっては、その話を聞いただけで、コウメイがこのクラベール領の苦しい状況を跳ね返せる程の才覚を持った人物だと安易に受け入れることはとても出来ない。
ジュリアスは、特にコウメイに関しては強い信頼感を寄せているようにみえるが、テアレスにとっては未知数である。
しかし、それでも今のテアレスの立場であれば、ジュリアスを信じるしかないだろう。
「ですが、コウメイ閣下がいらっしゃるまでに、クラベールを落とされては元も子もありませんから私達でなんとか戦線を保たないといけないという事実は変わりません。――今の敵部隊の指揮官は、確か龍の爪所属の人間ですよね?」
ジュリアスも、それ以上コウメイ達のことをテアレスに語ることはなかった。それよりもするべきことに向けて、思考を切り替える。
「送り込んだ間者によれば、ルルマンド=ディランドという、いまいちパッとしない男のようです。肥満体型で、とても戦士とも言えないような男、と聞いておりますが」
「ふむ……」
テアレスの報告に、眼帯に指を滑らすジュリアス。どうやら考え事をする時の癖となっているようだ。
ルルマンド部隊の攻撃は至って単純。ひたすら正面からの力押しだけで、戦術と呼べるようなものは仕掛けてこない。
もっとも、新白薔薇騎士を擁して地力で勝るからこそ、単純な力押しが有効な戦術と言える。現にジュリアスはその単純な力押しに苦しめられているのだ。
ただ、ルルマンドという人物はそれ程優れた指揮官とは思えない。いや、むしろ愚鈍ですらあると、ジュリアスは評価している。
有効だから力押しという戦術を取っているのではなく、それしか出来ないのではないか。
「そのルルマンドという男が報告通りの人物であれば、付け入る隙はありそうですね。ーーですが……」
最期の方にはぶつぶつというような独り言に変わってしまい、ジュリアスはそれ以上を喋らなかった。
その言葉にはテアレスも信頼感を持つことが出来た。
ジュリアスがここまで負け続けているのは、あくまでフェスティアに対してである。
しかし、この戦場にフェスティアはまだ到着していない。そしてルルマンドという男は無能そのものであるという。そんな男に、尊敬するジュリアスが指揮能力で劣るとはとても思えない。
それ故に言葉の最後が、妙に歯切れが悪いことが気になってしまう。
「何か、懸念が有るのでしょうか? やはり新白薔薇騎士でしょうか?」
「……いえ、大丈夫です」
テアレスの疑問に、やはりジュリアスはどこか歯切れ悪く答える。少なくとも、何か懸念があるのは間違いなさそうだった。
ジュリアスはテアレスに言うことはなく、自分の頭の中だけでその懸念を吐露する。
(本当にルルマンドが無能な男だとしたら、どうしてフェスティアはそんな人物をこの重要拠点であるクラベール領の指揮官に据えてきたのでしょうか?)
もしかすると、戦術指揮は優れていても人を見る目はない人物なのだろうか。いや、とてもそうだとは思えない。
ジュリアスは思案に暮れる。しかし、ルルマンドの人事についてフェスティアに何かしらの意図があったしても、ここまで常に裏をかかれているジュリアスが、彼女の思考を読み取るのは難しいだろう。
考えてもどうしようもないことに神経を削られるよりは、今はとにかく目の前の敵を撃退することに心血を注ぐべきだ。
「動ける戦力はどのくらいでしょうか」
速やかに、正確に現状をまとめてジュリアスに報告することが副官たるテアレスが求められている役割である。
そのジュリアスの問いに、テアレスは準備していたようにスムーズに返答する。
「負傷者の治療や搬送の手間に必要な人員も考えると、次の戦闘で動員出来るのは1万と少しといったところでしょうか」
その数字はジュリアスが想定していたものに足りず、ルルマンド部隊の全軍とほぼ同等といったところだった。
「もう少し兵力が欲しいところですね」
クラベール領でのルルマンド部隊の戦い方や彼の性格から、既にジュリアスは対応策を思いついていた。しかしそれを実行にするには、今の報告通りの兵数では足りない。少なくとも、ざっくり相手側の1.5倍程度は必要だった。つまり、あと5000程の戦力。
ジュリアスが悩んでいると、テアレスとは別の部下が、それを吹き飛ばす報告を運んでくる。
「ジュリアス副長! 王都より増援部隊が到着しました。龍騎士リューイ殿と、支援部隊統括のダストン部隊長率いる5000の部隊です!」
ジュリアス=ジャスティン龍牙騎士団副団長による反撃が始まろうとしていた。
北方ノースポール領は、第1王子派の圧倒的火力で第2王女派の侵攻を食い止めており、戦況は膠着状態。
南方イシス領は、『殲滅』のオーエンが率いる新白薔薇騎士団を中心に編成された部隊の強襲により、開戦から1週間で第2王女派が占領。領主エンディール侯爵及び部隊を率いていたフィリオスは共に戦死。逃げ遅れた多くの領民達が第2王女派の手に捕まった。
そしてこの3領地における最重要拠点である中央のクラベール領。
第1王子派、第2王子派共に最大戦力をぶつけ合っているこの戦場は、事前の予想通り最も苛烈な激戦を繰り広げていたのだった。
南方のイシス領は第2王女派に占領された。
北方のノースポール領も第2王女派の侵攻を食い止めているとはいえ、その戦力は小規模で新白薔薇騎士すらいない程。そんな僅かな戦力のために、龍牙騎士団の中で最大火力を保有する魔術師部隊がその場から動けないでいる。
これらは、フェスティアの思惑通りであった。
グラシャス、バーグランドに続き、この3領地の戦いでも依然として劣勢を強いられる第1王子派。これを跳ね返すには、もはや中央クラベール領での戦いで勝利するしかなかった。
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クラベール領が重要拠点である理由はいくつかある。
仮に第2王女派が今回の3領地同時侵攻戦に勝利したとして、その後に更に王都ユールディアを目指すとなると、次に控える戦場はダリア領となる。
ダリア領は、聖アルマイト王国の中で最も広大な領地である。もしも、このダリア領すら第2王女派に陥落させられるようなことがあれば第1王子派と第2王女派の勢力図は逆転する、分水嶺となる領地。
またダリア領から王都ユールディアの間には、まだ小さな領地がいくつか挟まれているものの、物理的な距離的も、いよいよ王都に手が届く程になるのだ。ダリア領を占領されれば、王都ユールディアまでの侵攻を本格的に覚悟しなくてはならなくなる。第1王子派にとっては、喉元に刃をつきつけられるようなものだ。
ダリア領は、それほどの重要な領地。そのため、フェスティアは間違いなくダリア領を一大決戦の場として想定しているはずだった。
そして話をクラベール領に戻すと、この地は第2王女派からすると、ダリア領の決戦における中継拠点として絶対に欲しい領地というわけである。
クラベール領は城塞都市として街が作られており、様々な機能も充実している。そのため軍事拠点としての価値が非常に高い。第2王女派がここを抑えて、王都ユールディア侵攻への中継拠点とすることが出来れば、以後の戦況をより有利に運ぶことが出来る。
逆の立場の第1王子派からすると、それは決してあってはならないことである。
激戦区、中央クラベール領の戦線を支えているのは、龍牙騎士団新副団長のジュリアス=ジャスティン自らである。
最前線にて第2王女派との戦闘を任されているジュリアスにとって、正念場であった。
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クラベール領の領境で、第1王子派と第2王子派の部隊が激闘を繰り広げていた。
兵数にして、第2王女派は約1万。対する第1王子派は、クラベール領の部隊と龍牙騎士の部隊併せて約2万。数の上では第1王子派が倍の戦力を有しているにも関わらず、戦況は第1王子派が押され気味だった。
「副長。第1防衛線も、もう保ちません!」
顔の右半分を覆う程の眼帯をつけている龍牙騎士団副団長のジュリアスは、自身も馬上で剣を振り、迫り来る敵を斬り伏せながらその報告を受け取った。
第2王女派の猛攻が始まってから3日目――意地でも敵をクラベール領内に入れまいとして、必死に領境で防衛線を支えていたジュリアスだったが、ここに来てその限界に達したことを悟る。
「やはり、新白薔薇騎士が厄介ですね」
相変わらずの丁寧な口調のまま、ジュリアスは額に冷や汗を流す。
龍の爪の兵士の練度などたいしたことはない。ジュリアス麾下の龍牙騎士であれば相手にならない程度の相手だが、それに交じって襲い掛かってくる新白薔薇騎士の実力は、龍牙騎士を上回っている。
実力を上回る相手に、ジュリアスは新白薔薇騎士1人に対して必ず3人以上で当たるように指示を飛ばすが、数が多い龍の爪の兵士がそれを妨害する。
どれだけこちらが的確な指示を飛ばしても、相手は見事と言わざるを得ない程に対応してくる。
過去のグラシャス領やバーグランド領からこのクラベール領の戦いに至るまで、常にジュリアスはこのように辛酸をなめさせられ続けており、今もジリジリと苦戦を強いられていた。
「――仕方ありません。撤退です。戦線を下げましょう」
絶対に領内へ第2王女派を侵入させまいと奮闘していたジュリアスは、苦渋の表情で決断する。
『現場の細かい戦術指揮については、俺なんかより経験豊富なジュリアス副長に任せます。但し、感情的になって徒に被害を増やさないことは肝に命じておいてください。戦死するくらいなら撤退を――これが、元帥としての命令です』
領地防衛よりも人命優先。それが、元帥のコウメイより前線指揮官であるジュリアスに下された至上命令であった。
ジュリアスの命令を受けた伝令係が、即座に馬を駆けさせて、前線へ撤退命令を伝えに行く。
ジュリアスもそのまま前線へ馬を走らせて、新白薔薇騎士相手に苦戦を強いられている龍牙騎士の助太刀に入る。
「す、すみません。副長!」
右腕が痛々しく流血している龍牙騎士が、代わりに新白薔薇騎士の剣を受けたジュリアスに礼を言う。ジュリアスはそれに反応する余裕も無く、目の前の新白薔薇騎士と剣を打ち合い、そして彼女を斬り伏せる。
「撤退です。殿は私が務めますから、負傷者は優先して後退して下さい。余裕がある者は、私と一緒に殿を。速やかに動いて下さい」
「りょ、了解です」
静かで淡々とした命令を受けた龍牙騎士は、その命令通りに後方へ下がっていく。ジュリアスは更に前進しながら、龍の爪の兵士と新白薔薇騎士を斬り伏せながら、負傷を追っている仲間達を、次々と下がらせていく。
副団長に抜擢されるだけあり、隻眼となった今でもジュリアスは、一般の新白薔薇騎士程度であれば、圧倒する程の実力を有していた。
(――クリスは、この戦場にはいませんか)
戦場の真っただ中で、迫りくる敵を倒し続けるジュリアス。彼は眼帯に指を滑らせながら、この傷を負わせた張本人を無意識に探していた。
しかし、結局この日、ジュリアスはその因縁の相手を見つけることは出来ず。
ーーこの日第2王女派は、遂に重要地であるクラベール領内へ、その侵攻の歩みを一歩踏み入れたのだった。
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クラベール領における戦いにおいて、ジュリアスはあらかじめいくつかの防衛線を定めていた。
隣接するバーグランド領との領境を第1防衛線。その領境から、クラベール領の中心地となる城塞都市までの中間位置にある第2防衛線。そしてその城塞都市そのものが第3防衛線だった。
今第1防衛は突破され、次なる戦場は第2防衛線となる。ここまでもが突破されれば、次はいよいよ都市を巻き込んだ戦闘へ突入する。つまり、領民への被害が避けられないものとなってしまう。
「クラベール侯は、相変わらずですか……」
ジュリアスは第2防衛線に構築した陣地内を歩いていた。彼自身は怪我を負うことはなかったが、陣地内には数多の負傷者が溢れているようだった。手当する者と手当される者ばかりが目に付く。
「ええ。楽観的というか能天気というか……ここまで敵が迫ってきているにも関わらず、龍牙騎士団がいれば負けるはずがないと信じ込んでいます。領民の避難は全く進んでいません」
ジュリアスに付いて歩くのは、副官のテアレス=アドボーン。耳を覆い隠す程の長さの癖毛が特徴的で、騎士らしい精悍な顔つきをしている若者である。昨年龍牙騎士になったばかりの新人騎士であり、前任ダストンの後任として、ジュリアスの副官として彼の補佐をしていた。
ため息を漏らしながらジュリアスの問いに答えるテアレスの表情には、うんざりした色がありありと出ていた。
「困りましたね……それなら、戦線はこれ以上絶対に下げられません。何としてもこの第2防衛線で防ぎきらないといけませんね」
それは第1防衛線の戦いに臨む時にジュリアス自身がこぼした言葉と全く同じだった。
副団長に抜擢されて第2王女派との前線を任されているジュリアスの実力を、テアレスは決して疑ってはいない。むしろ、その卓越した指揮能力にも個人の実力にも憧れてすらいる。
しかし、それでも開戦から今日まで敗戦が続いている現状では、そのジュリアスの言葉には全く信頼感を持てなかった。
新白薔薇騎士達の予想外の実力に加えて、敵指揮官のフェスティアによりこちらは裏ばかりかかれている。個々の兵士の実力も、指揮官同士の指揮能力も、全てが第2王女派に負けていると認めざるを得ない状況だった。
実は王都にいるカリオスやコウメイよりも、こうやって最前線で敵の脅威に触れている騎士達こそが、第2王女派の恐ろしさを実感していたのが現状なのである。
「副長……この戦い、我々は勝てるのでしょうか」
不敬だとは分かっていても、テアレスは問わずにはいられなかった。
物腰穏やかで丁寧な口調で言葉を発するこの副団長の本音を、テアレスは図りかねていた。この絶望的といっても差し支えない状況で、ジュリアスは何を考えて戦いに臨んでいるのだろうか。
テアレスの問いに、ジュリアスは残された左眼を閉じて、静かにうなずく。
「バーグランド領に残された人たちの悲惨な状況も聞いています。同じ悲劇を、ここクラベールで起こすわけにはいきません。絶対に、勝たねばなりません」
しかし……と、思わず声を出しかけたテアレスは、すんでのところで口を紡ぐ。だが、ジュリアスはそんな部下の様子を見て、テアレスが何を言いたいのか察したようだった。
ジュリアスはその穏和な表情の中に、笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「敵部隊には、まだフェスティア率いる敵本隊は到着していない――フェスティアが不在の状況でも、これだけ劣勢では、不安になるのも分かります」
「……も、申し訳ありませんっ!」
龍牙騎士団副団長たるジュリアスに対して何という無礼な考えを持ってしまったのか。本当にそう思っていたとしても、当のジュリアスにそのことが伝わってしまうなど、副官にあるまじき態度だった。
しかし、その丁寧な口調そのまま、穏やかな性格のジュリアスは「いいんですよ」と前置きをしてから、部下の不安に応える。
「先日の御前会議で、いよいよコウメイ元帥閣下が前線に来られることが決まったそうです。また、その元帥閣下に先立って、例の新しい“龍騎士”が増援部隊を率いてやってくるそうですよ」
ジュリアスは信頼に満ちた声で、そのことをテアレスに告げる。
――が、テアレスは、その言葉で安心感を得ることは出来なかった。
なんでも今回龍騎士の称号を与えられたのは、自分と同じ2年目の新人騎士だという。しかも特に何の実績も挙げていない、ごく平凡な騎士という話だ。
そして、同じく元帥として任命されたコウメイという人物――元龍牙騎士で、ルエール前団長の付き人的存在だったという。今回の反乱の発端?とも言われている、先のミュリヌス領の戦いでの功績を認められて元帥に任じられたと聞いている。
テアレスにとっては、その話を聞いただけで、コウメイがこのクラベール領の苦しい状況を跳ね返せる程の才覚を持った人物だと安易に受け入れることはとても出来ない。
ジュリアスは、特にコウメイに関しては強い信頼感を寄せているようにみえるが、テアレスにとっては未知数である。
しかし、それでも今のテアレスの立場であれば、ジュリアスを信じるしかないだろう。
「ですが、コウメイ閣下がいらっしゃるまでに、クラベールを落とされては元も子もありませんから私達でなんとか戦線を保たないといけないという事実は変わりません。――今の敵部隊の指揮官は、確か龍の爪所属の人間ですよね?」
ジュリアスも、それ以上コウメイ達のことをテアレスに語ることはなかった。それよりもするべきことに向けて、思考を切り替える。
「送り込んだ間者によれば、ルルマンド=ディランドという、いまいちパッとしない男のようです。肥満体型で、とても戦士とも言えないような男、と聞いておりますが」
「ふむ……」
テアレスの報告に、眼帯に指を滑らすジュリアス。どうやら考え事をする時の癖となっているようだ。
ルルマンド部隊の攻撃は至って単純。ひたすら正面からの力押しだけで、戦術と呼べるようなものは仕掛けてこない。
もっとも、新白薔薇騎士を擁して地力で勝るからこそ、単純な力押しが有効な戦術と言える。現にジュリアスはその単純な力押しに苦しめられているのだ。
ただ、ルルマンドという人物はそれ程優れた指揮官とは思えない。いや、むしろ愚鈍ですらあると、ジュリアスは評価している。
有効だから力押しという戦術を取っているのではなく、それしか出来ないのではないか。
「そのルルマンドという男が報告通りの人物であれば、付け入る隙はありそうですね。ーーですが……」
最期の方にはぶつぶつというような独り言に変わってしまい、ジュリアスはそれ以上を喋らなかった。
その言葉にはテアレスも信頼感を持つことが出来た。
ジュリアスがここまで負け続けているのは、あくまでフェスティアに対してである。
しかし、この戦場にフェスティアはまだ到着していない。そしてルルマンドという男は無能そのものであるという。そんな男に、尊敬するジュリアスが指揮能力で劣るとはとても思えない。
それ故に言葉の最後が、妙に歯切れが悪いことが気になってしまう。
「何か、懸念が有るのでしょうか? やはり新白薔薇騎士でしょうか?」
「……いえ、大丈夫です」
テアレスの疑問に、やはりジュリアスはどこか歯切れ悪く答える。少なくとも、何か懸念があるのは間違いなさそうだった。
ジュリアスはテアレスに言うことはなく、自分の頭の中だけでその懸念を吐露する。
(本当にルルマンドが無能な男だとしたら、どうしてフェスティアはそんな人物をこの重要拠点であるクラベール領の指揮官に据えてきたのでしょうか?)
もしかすると、戦術指揮は優れていても人を見る目はない人物なのだろうか。いや、とてもそうだとは思えない。
ジュリアスは思案に暮れる。しかし、ルルマンドの人事についてフェスティアに何かしらの意図があったしても、ここまで常に裏をかかれているジュリアスが、彼女の思考を読み取るのは難しいだろう。
考えてもどうしようもないことに神経を削られるよりは、今はとにかく目の前の敵を撃退することに心血を注ぐべきだ。
「動ける戦力はどのくらいでしょうか」
速やかに、正確に現状をまとめてジュリアスに報告することが副官たるテアレスが求められている役割である。
そのジュリアスの問いに、テアレスは準備していたようにスムーズに返答する。
「負傷者の治療や搬送の手間に必要な人員も考えると、次の戦闘で動員出来るのは1万と少しといったところでしょうか」
その数字はジュリアスが想定していたものに足りず、ルルマンド部隊の全軍とほぼ同等といったところだった。
「もう少し兵力が欲しいところですね」
クラベール領でのルルマンド部隊の戦い方や彼の性格から、既にジュリアスは対応策を思いついていた。しかしそれを実行にするには、今の報告通りの兵数では足りない。少なくとも、ざっくり相手側の1.5倍程度は必要だった。つまり、あと5000程の戦力。
ジュリアスが悩んでいると、テアレスとは別の部下が、それを吹き飛ばす報告を運んでくる。
「ジュリアス副長! 王都より増援部隊が到着しました。龍騎士リューイ殿と、支援部隊統括のダストン部隊長率いる5000の部隊です!」
ジュリアス=ジャスティン龍牙騎士団副団長による反撃が始まろうとしていた。
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