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第1章『3領地同時攻防戦』編
第25話 3領地同時攻防戦Ⅳ――北方ノースポール領戦線④
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ミルの唇を奪ったニーナは、鼻息をフンフンと荒げて興奮していた。
そしてそのままミルの両肩を抑えるように掴むと、おおいかぶさるようにして、再び唇を奪う。今度は唇を触れ合うだけのソフトなキスではなく、強く唇を押し付けて、ミルの唇に吸い付くような深い口づけだった。
「ん、ちゅ……ちゅ……」
「ん…む、いやっ……ちゅば……た、隊長……止めてくだ……んむう……んはっ……し、舌が……」
突然すぎる展開に意識がついていかないミルだったが、それでも同性同士のこのような行為に反射的にニーナの身体を押し戻そうとするが、ミルの細腕ではビクともしない。そうこうしているうちに、唇を吸ってくるニーナは、舌を伸ばしてきてミルの唇をなぞり始める。
「ん、れろ……ちゅう……」
「ど、どうしてこんなことを……んんんっ……私達女の子同士なのに……んっ……やだ。止めてっ……私にはクーガ君が……」
差し出されてくるニーナの舌はミルの唇を開かせるような動きでねっとりと唇をなぞってくるが、ミルは唇を固く閉じて拒絶する。
「あんなゲスな男なんて忘れなさいよ。私が女同士の良さを教えてあげるから……ね?」
なかなか唇を開かないミルに、ニーナは彼女の耳元に熱い吐息を吹きかけながら、その小ぶりな胸をそっと揉み始める。
「っあふ……んむっ?」
あまりにも熟達したニーナの甘い愛撫に反応してしまい、唇を半開きにしてしまうミル。その隙を逃さず、またもニーナはミルの唇に吸い付くと、舌をミルの口内に差し入れる。
「んっ……んんん~っ……んれ……れろ……」
ニーナの腕の中でじたばたともがくように暴れるミル。しかしニーナはそんなミルの抵抗を意にも介さずに、舌を深く入れ込んで、ミルの舌へ自らの舌を絡め取る。
「っんむ! んっ、んっ、んんん~っ! れろ……れろ……はふ……」
まるで蛇のようにくねくねと動きながら、ねっとりとミルの舌に絡みついてくるニーナの舌。その柔らかくてザラついた感触は、同性同士という嫌悪感をミルの意識から取り払っていく。代わりに熱くて甘い疼きが体の奥底からこみ上げてくると、ミルは堅くしていた表情を徐々に緩ませて、頬を紅潮させていく。
既にニーナの身体を押し戻そうとする力は抜け落ちてしまっていた。ニーナはミルの抵抗がなくなると、彼女の手を取って恋人同士のように握り合わせる。そしてミルが握られた手を握り返してくると、ニーナはようやく唇を離すのだった。
「どーお? 私の舌……どんな真面目な娘も、私のキスでトロットロになっちゃうんだけど」
ニーナは、お互いの唾液で濡れた唇をペロリと舐める。ニーナとミルの唇は、唾液の糸で繋がり合っていた。
ニーナは妖艶な瞳でミルの表情を見つめながら問いかけると……
「あっ、ふあ……た、隊長ぉ……私、変です……も、もっと欲しい……!」
ニーナの言葉通り、ミルは今の口づけで表情をすっかり蕩けさせてしまっていた。半開きになった唇からは、物欲しそうに舌がはみ出している。
そんなミルの様子に、ニーナはにっこりと優しい笑みを浮かべる。
「じゃあもう1回、大人のキスをしましょう。舌、出して……ミル?」
「は、はい……れぇぇ……」
つい今まで抵抗していたミルは、自ら舌を伸ばして、顔をニーナへ近づけていく。
「んむ……ちゅ……れろ……はふ……た、隊長ぉ……」
「れろれろ……ん……ちゅば……ミルも舌を動かして? もっと擦り合わせて、絡めましょう? れろれろ……ちゅうう」
お互いに舌を伸ばし合い、積極的に絡め合い、お互いの舌と舌を味わうように動かし合う。
その間にニーナはミルのインナーを脱がしにかかり、そのまま乳房が露出するまで裾を上げると、その小ぶりな乳房を直接揉みしだく。
「っあん! だ、ダメです……そんな、こと……ちゅば……ちゅうう……」
「ふふ、そんなこと言っちゃって……おっぱい触ったら、キスも積極的になっているわよ。乳首触っちゃったらどうなっちゃうかな~? っえい」
まるで悪戯をするように、ニーナは既に硬く尖っている乳房の先端部を指でつまむ。
「っひゃん? っあ……ああ……そ、そんな……だめ! あぁぁん! 隊長……止めて下さい! あんっ……ああん!」
甘い声を漏らしながら、ニーナの愛撫に合わせて身体をくねらせるミルの様子は、その幼げな容貌に似合わずとても卑猥な姿だった。
そんなミルの反応に、ニーナは生唾をごくりと飲み込みながら、舌を彼女の頬から首筋へと這わせていく。
「はうううっ……お願い……やだぁ……止めて下さいぃ……」
羞恥や快感と混乱で、ミルは涙をこぼしながら懇願するように訴える。
「ん、ごめん。もう止まんないわ。でも天国に連れて行ってあげるから、許してちょ」
必死なミルとは対照的に、極めて気軽でおどけた口調のニーナは、ミルの懇願を呆気なく却下する。
それだけ冷静なら止まらないことはないのでは…と、副官のゴーガンがいたら突っ込まれそうなものだが、残念ながら彼はこの場にいない。
ミルの首筋に這わせていたニーナの舌は、そのまま下へ降りていく。そしていよいよ乳房へと辿りつくと、小さな乳輪を焦らすようになぞってから、その突起部へ舌を触れさせる。
「あふんっ……!」
びくっとミルの身体が跳ね上がり、甘い喘ぎ声が漏れ出る。そんなミルの反応に、ニーナは舌での刺激を徐々に強く、激しくしていく。
「んあああっ? あっ、あっ……あああっ! あ~っ! あんっ! あぁぁん!」
「もうこんなにカチカチにしちゃってるじゃない。っていうか、思いのほか声大きいわね。これじゃ外に丸聞こえだわ」
「い、いやっ! そんなの恥ずかしいっ……ああああ~! で、でもそんなに舌で舐められたら……あああああ~! 声出ちゃうっ! 止まりませんっ! お願い、止めてぇぇぇ!」
しかし、むしろニーナはより大きな声を出させようと、舌の動きを激しくしていく。
「安心しなさい。多分、みんなもう知っているから」
「そ、そんな……」
あっけらかんと答えるニーナ。もはや女性らしい恥じらいも何もあったものではない。
「そんなことより……どう、私の舌は? あんな愛情の欠片もない、クズ男なんかより、よっぽど気持ちいいでしょう? れろぉ~」
「はうぅぅぅぅっ……!」
硬くなっている乳首を舌で押しつぶすようにしながら、わざと問いかけるニーナ。ビクビクと身体を痙攣させるミルは、グスグスと泣きながら快感に悶える。
「あう……ク、クーガ君にはこんなこと……してもらったことない、です……」
「え、そうなの?」
てっきり昼間の会話から肉体関係はあるのだと思い込んでいたニーナは、その予想外の言葉に思わず素に戻ってしまう。
こんな異常な状況だからか、ミルも普段なら絶対に告白しないようなことをニーナに吐露してしまう。
「クーガ君とのエッチは……その、いつも私がシテあげるだけで……それ以外は、ずっとセックスばっかりで。キスもしたことないし……こんなことしてもらったことないです……いつもいつも痛いだけで……嫌だけど、でもエッチの時だけはクーガ君が好きって言ってくれるから、いつも我慢して……びえええええええん!」
想いを寄せる相手に捨てられまいと必死に溜め込んできた感情が、その相手との行為を吐露することで爆発してしまう。
「嫌だったの! 本当は痛いだけで、エッチなんてしたくなかった! でもでも、クーガ君が好き……うん、好きだから! 我慢していたの! キスもして欲しいのに、気持ち悪いって言って1回もしてくれなかった。いつも乱暴で、痛くて、終わった後は汚いって言われて、そのままどこか行っちゃうけど……でもクーガ君に捨てられたくなかったから! 我慢してたの! うわああああああん!」
1度決壊した心の堤防は、感情の波を止めることが出来ずに、どんどんと溢れ出す。おそらくは、今まで誰にも吐き出せなかったミルの苦しみと悲しみの悩みが、津波のようにニーナに押し寄せてくるようだった。
そのあまりの内容に、最初は不快感をあらわにしていたニーナだったが、ある程度までいったところで、急にニコやかな表情になる。
「うん。あいつのチンコ、焼き切っとくわ」
「だめですよ!?」
下品かつ過激なニーナの一言で、ミルはようやく正気に戻る。
「まーまー、それじゃ丁度いいじゃない。そんな男、忘れなさいって。これからお姉さんが、めくりめく甘くてドロッドロな百合の世界を教えてあげるわよ。ウェルカムトゥー百合ワールド!」
いまいち自分と噛み合っていないハイテンションのニーナに、ミルは若干引きながら。
「あう。でも、私女の人は無理! 無理です! 隊長、離して下さいっ!」
「ひょほほほ。みんな最初はそう言うんじゃああ! いいから大人しく言うことを聞きなさーい! 数分後には、自分からおねだりするようになるわよぉぉ!」
深刻なのか、じゃれ合っているのか、悲しいのか、笑わそうとしているのか、なんだかよく分からない雰囲気が、このテントの中に溢れていた。
□■□■
しかし決して冗談では済まない男がここにいる。
シャンディ部隊副隊長ゴーガンである。
「い、いやっ! ああん! 隊長、止めて……そこは……ああ~ん!」
「ふひひひ、ガキのねんねじゃあるまいし。観念せい! くるしゅうない。くるしゅうないぞぉぉ!」
2人の龍牙騎士が入り口を警備するテントの中から、2人の女性の甘い(しかし片方は甘くない)が聞こえてくる。それを聞いて、ゴーガンはプルプルと身体を震わせていた。
彼がこの時間にニーナのテントを訪れたのは、昼間の戦闘報告をすると事前に約束をしていたからなのだが。
「……」
無言のまま顔をうつむかせているゴーガンを見て、警備をしている2人の龍牙騎士もまた、何も言えずに、直立不動を貫いている。彼にはバレないように、冷や汗を流しながら。
「……どうして」
ボソリと、おもむろに言葉を発したゴーガンに、龍牙騎士の2人はびくりと反応する。
「どうして、あんな変態が隊長なんだよぉぉぉぉ! 俺、彼女も作らずに、ずーっと真面目にやってきたのに、なんで年下のあんな変態の部下やっているんだよぉぉぉ! おかしいだろぉぉぉぉ!」
「ふ、副隊長っ! 血の涙がっ! っていうか、今入るのはさすがにまずいですって! 落ち着いて!」
普段は冷静なゴーガンからは想像できない、まるで獣のような咆哮を上げながらテントの中に突っ込もうとする彼を、2人の龍牙騎士は身を挺して全力で止めるのだった。
そしてそのままミルの両肩を抑えるように掴むと、おおいかぶさるようにして、再び唇を奪う。今度は唇を触れ合うだけのソフトなキスではなく、強く唇を押し付けて、ミルの唇に吸い付くような深い口づけだった。
「ん、ちゅ……ちゅ……」
「ん…む、いやっ……ちゅば……た、隊長……止めてくだ……んむう……んはっ……し、舌が……」
突然すぎる展開に意識がついていかないミルだったが、それでも同性同士のこのような行為に反射的にニーナの身体を押し戻そうとするが、ミルの細腕ではビクともしない。そうこうしているうちに、唇を吸ってくるニーナは、舌を伸ばしてきてミルの唇をなぞり始める。
「ん、れろ……ちゅう……」
「ど、どうしてこんなことを……んんんっ……私達女の子同士なのに……んっ……やだ。止めてっ……私にはクーガ君が……」
差し出されてくるニーナの舌はミルの唇を開かせるような動きでねっとりと唇をなぞってくるが、ミルは唇を固く閉じて拒絶する。
「あんなゲスな男なんて忘れなさいよ。私が女同士の良さを教えてあげるから……ね?」
なかなか唇を開かないミルに、ニーナは彼女の耳元に熱い吐息を吹きかけながら、その小ぶりな胸をそっと揉み始める。
「っあふ……んむっ?」
あまりにも熟達したニーナの甘い愛撫に反応してしまい、唇を半開きにしてしまうミル。その隙を逃さず、またもニーナはミルの唇に吸い付くと、舌をミルの口内に差し入れる。
「んっ……んんん~っ……んれ……れろ……」
ニーナの腕の中でじたばたともがくように暴れるミル。しかしニーナはそんなミルの抵抗を意にも介さずに、舌を深く入れ込んで、ミルの舌へ自らの舌を絡め取る。
「っんむ! んっ、んっ、んんん~っ! れろ……れろ……はふ……」
まるで蛇のようにくねくねと動きながら、ねっとりとミルの舌に絡みついてくるニーナの舌。その柔らかくてザラついた感触は、同性同士という嫌悪感をミルの意識から取り払っていく。代わりに熱くて甘い疼きが体の奥底からこみ上げてくると、ミルは堅くしていた表情を徐々に緩ませて、頬を紅潮させていく。
既にニーナの身体を押し戻そうとする力は抜け落ちてしまっていた。ニーナはミルの抵抗がなくなると、彼女の手を取って恋人同士のように握り合わせる。そしてミルが握られた手を握り返してくると、ニーナはようやく唇を離すのだった。
「どーお? 私の舌……どんな真面目な娘も、私のキスでトロットロになっちゃうんだけど」
ニーナは、お互いの唾液で濡れた唇をペロリと舐める。ニーナとミルの唇は、唾液の糸で繋がり合っていた。
ニーナは妖艶な瞳でミルの表情を見つめながら問いかけると……
「あっ、ふあ……た、隊長ぉ……私、変です……も、もっと欲しい……!」
ニーナの言葉通り、ミルは今の口づけで表情をすっかり蕩けさせてしまっていた。半開きになった唇からは、物欲しそうに舌がはみ出している。
そんなミルの様子に、ニーナはにっこりと優しい笑みを浮かべる。
「じゃあもう1回、大人のキスをしましょう。舌、出して……ミル?」
「は、はい……れぇぇ……」
つい今まで抵抗していたミルは、自ら舌を伸ばして、顔をニーナへ近づけていく。
「んむ……ちゅ……れろ……はふ……た、隊長ぉ……」
「れろれろ……ん……ちゅば……ミルも舌を動かして? もっと擦り合わせて、絡めましょう? れろれろ……ちゅうう」
お互いに舌を伸ばし合い、積極的に絡め合い、お互いの舌と舌を味わうように動かし合う。
その間にニーナはミルのインナーを脱がしにかかり、そのまま乳房が露出するまで裾を上げると、その小ぶりな乳房を直接揉みしだく。
「っあん! だ、ダメです……そんな、こと……ちゅば……ちゅうう……」
「ふふ、そんなこと言っちゃって……おっぱい触ったら、キスも積極的になっているわよ。乳首触っちゃったらどうなっちゃうかな~? っえい」
まるで悪戯をするように、ニーナは既に硬く尖っている乳房の先端部を指でつまむ。
「っひゃん? っあ……ああ……そ、そんな……だめ! あぁぁん! 隊長……止めて下さい! あんっ……ああん!」
甘い声を漏らしながら、ニーナの愛撫に合わせて身体をくねらせるミルの様子は、その幼げな容貌に似合わずとても卑猥な姿だった。
そんなミルの反応に、ニーナは生唾をごくりと飲み込みながら、舌を彼女の頬から首筋へと這わせていく。
「はうううっ……お願い……やだぁ……止めて下さいぃ……」
羞恥や快感と混乱で、ミルは涙をこぼしながら懇願するように訴える。
「ん、ごめん。もう止まんないわ。でも天国に連れて行ってあげるから、許してちょ」
必死なミルとは対照的に、極めて気軽でおどけた口調のニーナは、ミルの懇願を呆気なく却下する。
それだけ冷静なら止まらないことはないのでは…と、副官のゴーガンがいたら突っ込まれそうなものだが、残念ながら彼はこの場にいない。
ミルの首筋に這わせていたニーナの舌は、そのまま下へ降りていく。そしていよいよ乳房へと辿りつくと、小さな乳輪を焦らすようになぞってから、その突起部へ舌を触れさせる。
「あふんっ……!」
びくっとミルの身体が跳ね上がり、甘い喘ぎ声が漏れ出る。そんなミルの反応に、ニーナは舌での刺激を徐々に強く、激しくしていく。
「んあああっ? あっ、あっ……あああっ! あ~っ! あんっ! あぁぁん!」
「もうこんなにカチカチにしちゃってるじゃない。っていうか、思いのほか声大きいわね。これじゃ外に丸聞こえだわ」
「い、いやっ! そんなの恥ずかしいっ……ああああ~! で、でもそんなに舌で舐められたら……あああああ~! 声出ちゃうっ! 止まりませんっ! お願い、止めてぇぇぇ!」
しかし、むしろニーナはより大きな声を出させようと、舌の動きを激しくしていく。
「安心しなさい。多分、みんなもう知っているから」
「そ、そんな……」
あっけらかんと答えるニーナ。もはや女性らしい恥じらいも何もあったものではない。
「そんなことより……どう、私の舌は? あんな愛情の欠片もない、クズ男なんかより、よっぽど気持ちいいでしょう? れろぉ~」
「はうぅぅぅぅっ……!」
硬くなっている乳首を舌で押しつぶすようにしながら、わざと問いかけるニーナ。ビクビクと身体を痙攣させるミルは、グスグスと泣きながら快感に悶える。
「あう……ク、クーガ君にはこんなこと……してもらったことない、です……」
「え、そうなの?」
てっきり昼間の会話から肉体関係はあるのだと思い込んでいたニーナは、その予想外の言葉に思わず素に戻ってしまう。
こんな異常な状況だからか、ミルも普段なら絶対に告白しないようなことをニーナに吐露してしまう。
「クーガ君とのエッチは……その、いつも私がシテあげるだけで……それ以外は、ずっとセックスばっかりで。キスもしたことないし……こんなことしてもらったことないです……いつもいつも痛いだけで……嫌だけど、でもエッチの時だけはクーガ君が好きって言ってくれるから、いつも我慢して……びえええええええん!」
想いを寄せる相手に捨てられまいと必死に溜め込んできた感情が、その相手との行為を吐露することで爆発してしまう。
「嫌だったの! 本当は痛いだけで、エッチなんてしたくなかった! でもでも、クーガ君が好き……うん、好きだから! 我慢していたの! キスもして欲しいのに、気持ち悪いって言って1回もしてくれなかった。いつも乱暴で、痛くて、終わった後は汚いって言われて、そのままどこか行っちゃうけど……でもクーガ君に捨てられたくなかったから! 我慢してたの! うわああああああん!」
1度決壊した心の堤防は、感情の波を止めることが出来ずに、どんどんと溢れ出す。おそらくは、今まで誰にも吐き出せなかったミルの苦しみと悲しみの悩みが、津波のようにニーナに押し寄せてくるようだった。
そのあまりの内容に、最初は不快感をあらわにしていたニーナだったが、ある程度までいったところで、急にニコやかな表情になる。
「うん。あいつのチンコ、焼き切っとくわ」
「だめですよ!?」
下品かつ過激なニーナの一言で、ミルはようやく正気に戻る。
「まーまー、それじゃ丁度いいじゃない。そんな男、忘れなさいって。これからお姉さんが、めくりめく甘くてドロッドロな百合の世界を教えてあげるわよ。ウェルカムトゥー百合ワールド!」
いまいち自分と噛み合っていないハイテンションのニーナに、ミルは若干引きながら。
「あう。でも、私女の人は無理! 無理です! 隊長、離して下さいっ!」
「ひょほほほ。みんな最初はそう言うんじゃああ! いいから大人しく言うことを聞きなさーい! 数分後には、自分からおねだりするようになるわよぉぉ!」
深刻なのか、じゃれ合っているのか、悲しいのか、笑わそうとしているのか、なんだかよく分からない雰囲気が、このテントの中に溢れていた。
□■□■
しかし決して冗談では済まない男がここにいる。
シャンディ部隊副隊長ゴーガンである。
「い、いやっ! ああん! 隊長、止めて……そこは……ああ~ん!」
「ふひひひ、ガキのねんねじゃあるまいし。観念せい! くるしゅうない。くるしゅうないぞぉぉ!」
2人の龍牙騎士が入り口を警備するテントの中から、2人の女性の甘い(しかし片方は甘くない)が聞こえてくる。それを聞いて、ゴーガンはプルプルと身体を震わせていた。
彼がこの時間にニーナのテントを訪れたのは、昼間の戦闘報告をすると事前に約束をしていたからなのだが。
「……」
無言のまま顔をうつむかせているゴーガンを見て、警備をしている2人の龍牙騎士もまた、何も言えずに、直立不動を貫いている。彼にはバレないように、冷や汗を流しながら。
「……どうして」
ボソリと、おもむろに言葉を発したゴーガンに、龍牙騎士の2人はびくりと反応する。
「どうして、あんな変態が隊長なんだよぉぉぉぉ! 俺、彼女も作らずに、ずーっと真面目にやってきたのに、なんで年下のあんな変態の部下やっているんだよぉぉぉ! おかしいだろぉぉぉぉ!」
「ふ、副隊長っ! 血の涙がっ! っていうか、今入るのはさすがにまずいですって! 落ち着いて!」
普段は冷静なゴーガンからは想像できない、まるで獣のような咆哮を上げながらテントの中に突っ込もうとする彼を、2人の龍牙騎士は身を挺して全力で止めるのだった。
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