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第1章『3領地同時攻防戦』編
第13話 思いを力に代える剣
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王下直轄部隊・元帥の護衛騎士“龍騎士”リューイ=イルスガンドに、最前線へ向かうように命令が下った。
行先はアルベール領。第2王女派による猛攻を受けている激戦区であり、リューイは第2王女派戦線の現場指揮官を任されているジュリアス=ジャスティン副騎士団長の指揮下に入ることが決まった。
出立を明日に備えたその日――リューイは第1王子にして国王代理のカリオスの執務室を訪れていた。
「よう。悪いな出発前の慌ただしい時に」
リューイが扉を開けて中に入ると、カリオスは棚の中から1つの書物を取り出しているところだった。今は公務中ではないためか、服装もいつもの王族らしい豪奢な服に比べればラフで軽い恰好をしている。
「とんでもありません。私も出発前に殿下とお話をしたいと思っていましたから」
「わっはっは。相変わらずクソ真面目だな。まあ、座れ」
カリオスは部屋の中央にあるソファにリューイを促すと、リューイは畏まって頭を下げてから、そこに座る。
カリオスは手に取った書物を執務机の上に置くと、リューイと机を挟んで対面側に座る。
すると、まるでそのタイミングを図ったかのように扉がノックされる。カリオスの許可と共に入ってきたのは、まだリューイもよりも若いメイドだった。カリオスは2人分のお茶を持ってくるよう命じると、メイドは速やかにその場を後にしていった。
「聞いたぞ。コウメイに増援部隊の隊長を命じられたってな」
「ええ、まあ」
「わははは! お前も色々大変だな。ま、領内を移動するだけだ。道中率いていく以外にやることもない。ダストンもいるし、気軽に頑張ってこい」
その「色々大変」な状況を作った根本の原因は、この目の前で豪快に笑う王子なのだが。
しかしリューイは不快な表情など見せるどころか、そんなカリオスの様子を見て安堵したように頬を緩めるのだった。
「ご体調が優れているようで、安心しました」
そんなリューイの柔らかい声に、カリオスは眉をピクリとさせて反応する。
「んん、まあな。正直、リリライトのことは気が気でならねえが……それ以前に、色々何とかしないといけないことが多いからな。個人的な感情で悩んでいる暇がないってのが正しいかもな」
カリオスのその言葉が終わったタイミングで、先ほどのメイドが2人分のお茶を持ってくる。「失礼します」と、どこか堅くて不慣れな手つきで、2人の前にティーカップを置いてから、退室していく。
「まあ飲め。王都を発ったら、もうこんなにのんびり出来る時間は無いだろうしな。リリライトが好きだった、カシアミっていう茶葉だ。王都でしか採れない高級品だぞ?」
「そうなんです。では、いただきます」
リューイが礼を言いながらカップを口に付けると、カリオスもそれに倣うように中の液体を味わう。
「どうだ?」
「美味しいですね。後味がすっきりしていて、こういうミント系の爽やかな味は、リアラが好みそうな味です。甘いお菓子と合いそうだし」
「ははっ、悪いな! 菓子折りまでは準備してねぇ」
最愛の妹が好んでいた紅茶を褒められて、カリオスは満足そうな顔をする。
「まだ母上――王妃がご健在だった頃、リリライトが王妃と一緒に飲んでた茶葉で、ずっとお気に入りなんだ。あいつがミュリヌスに行った後も、定期的に王都から送っていたんだけどな」
嬉しそうな顔で語るカリオス。
特にリューイはカリオスを気遣ったのではない。カシアミの紅茶の味は、本音の感想だった。それがカリオスも分かるからか、より一層満足そうな顔をしていた。
そこから、カリオスの妹自慢が始まる。
兄想いの出来た妹、細かいところまで気配りが出来る女性の鑑、まだまだ子供なのに頑張って大人ぶるところがまた可愛い、誰よりも努力家、笑顔が可愛い、少し抜けているところはむしろ魅力、白薔薇が良く似合う清楚可憐な容姿、素直で正直――
驚くべきことに、実に30分程の間、ほとんど言葉を切らすことなく妹リリライトの魅力を語り尽くして自慢するバカ兄を発揮するカリオス。
しかしリューイは嫌な顔1つせずに、カリオスの言葉1つ1つに微笑みながらうなずいて見せる。それもカリオスの言葉を加速させた要因の1つだ。
こんな状況――その最愛の妹リリライトが、聖アルマイトに対する反逆者として、史上稀に見る悪者とされている――では、カリオスは他の人間に、迂闊にこんな話が出来ないのであろう。
カリオス、そしてコウメイもリューイも知っている。
リリライトが全ての悪者とされていることが、真実ではないということ。
リリライトは、裏で全てを操る醜悪な悪魔に操られているに過ぎないのだ。本当のリリライトは、今まさにカリオスが語る通りの、素晴らしい姫であり、可愛いらしい妹のままであるはず。そう信じているからこそ、カリオスはこんな嬉々として妹自慢をするのだろう。
ここ最近、疲労や苦渋の顔しか見せなかったカリオスだったが、今そうやって嬉しそうで晴れやかな笑顔を見れば、彼に仕えるリューイも自然と嬉しくなっていた。
存分に――いや、やっぱり足りていないのだろうが――リリライトの魅力を語り尽くしたカリオスは、急に眼を細めて真面目な表情になってリューイを見据える。
「新白薔薇騎士団長リアラ=リンデブルグは、恐るべき敵だ。彼女はお前に任せる。頼んだぞ“龍騎士”リューイ=イルスガンド」
その真剣なカリオスの声色と視線に、リューイも真っ直ぐな視線で応えてうなずく。
「カリオス殿下。例の話は真実なのですか?」
カリオスの話を聞きながら、すっかり飲み干したティーカップを机に置くリューイ。そのリューイの言葉を察したカリオスは、難しい顔をしながらうなずく。
「――間違いない。リアラ=リンデブルグ……彼女は“勇者”の家系の直系だ。アルマイト家と同じ、暗黒時代に魔王を倒した4英雄の血を引いている」
第2王女派はリアラ=リンデブルグを新白薔薇騎士団長と世間に対して公表するのと同時に、彼女を“勇者”と標榜した。具体的には、カリオスの言葉通り“勇者”の血を引いた人間である、と。
第2王女派の謀略を司る軍師フェスティアの思惑は明確だった。
遥か昔に人類を救ったという伝説の存在である“勇者”に所縁ある者が第2王女派に与しているということにして、世論の支持を得るためだ。
しかし『リアラ=リンデブルグは勇者である』という口頭での宣言以上の、説明が無ければ証明もされていない。そのため、当初そのことを信じる者は皆無に近かった。そして、第1王子派でもリアラ=リンデブルグを“勇者”扱いする第2王女派側の意図を理解しかねていた。
――但し、いざリアラが戦場に現れてその力を奮い始めると、世論の風向きが変わり始めた。
リアラが“勇者”らしい圧倒的な実力を見せつけることで、それまでその話を歯牙にもかけなかった人々は、その真偽を疑い始めていく。
そうしていって、リアラの影響で第1王子派が劣勢を強いられるまでになると、リアラが本当に勇者なのではないかという噂が徐々に広まりつつあるのだ。
「まあコウメイが言うには、リアラ=リンデブルグが勇者じゃなかったとしても、フェスティアなら世間がそう信じ込むような策を打ってくるって言ってたけどな」
その話を始めると話の方向性が逸れてしまう。カリオスは咳ばらいをしながら方向修正をして、続ける。
「お前も、少しでも聖アルマイト史を勉強したことがあるなら知っているだろう。かつて魔王を倒した4人の英雄――現代になって、その血を受け継ぐ家系がはっきりしているのは2つの血筋のみ。つまり、戦士アルマイトと剣士ヴァルガンダルだ」
カリオスの説明にリューイはうなずく。
リアラが勇者であると第2王女派から発せられてから、リューイも慌てて聖アルマイト史――アルマイト王国の建国に至った、魔王討伐や暗黒時代の伝説を調べたのだ。
「残る2人の英雄ーー勇者リンデブルグと賢者サージュについては、あえてその名を後世に伝えていない。理由は、魔族の生き残りに子孫が狙われるからだ。
魔王を滅ぼした4人の英雄なんて、魔族の生き残りからしたら憎くて仕方ないだろうからな。血を引いてるってだけで、格好の標的になる。だから名を隠し、魔族の残党から守ることにしたんだそうだ。だから、その2人については存在のみ歴史に残したが、その名前は消されることになったんだ」
「でも、そうだとしたらアルマイト家とヴァルガンダル家はどうして名を残したんでしょうか?」
「うーん……俺もおや――陛下から口で聞いただけだから詳しくは分からんが、当時ゼロから国を作り上げた人物だったからな。人類をまとめるには、やっぱり魔王を倒した英雄っていう肩書が必要だったんじゃないか? 子孫が魔族に狙われるデメリットがあったとしても」
言葉が多くなったカリオスは、喉を潤すために、残っていたカシアミティーを飲み干すと、リューイと同じようにティーカップを机の上に戻す。
「まあ、お前も聞きたいことはたくさんあるだろうが、アルマイト家以外には決して口外出来ない言い伝えも少なくはないんだ。とりあえず、話を戻そう。
そんな経緯でリンデブルグの名前は伏せられることとなったが、仲間だったアルマイト家は書物ではなく口伝で、代々アルマイト直系の血を引く者のみにリンデブルグの名を後世に伝えることにした。何かあった時に勇者の、リンデブルグの家系を守れるようにな。
だから、いくつかあるリンデブルグ姓の中でも、リアラ=リンデブルグが勇者の直系であることを、アルマイト家長男の俺は陛下から伝えられて知っているってわけだ。
ちなみに、ラミアやリリライトは聞かされていないはずだ。同じ王族、同じ直径の血筋でも、それを伝えられるのは当代の1人に限られる。それ程に勇者の存在は秘中の秘とされていたんだ」
カリオスの口から語られる伝説――いや、歴史の真実をリューイは食い入るように聞いていた。よもや自分が思いを寄せた相手が、そんな伝説の存在と関りが深い人物だとは思いも寄らなかった。
「まあ、俺も気づいたのは第2王女派が彼女を勇者と担ぎ出してからなんだけどな」
少し話し疲れたのか、カリオスはソファに深く腰掛けて体重を背もたれに預ける。するとリューイは何か逡巡しているような表情で、誰にともなくつぶやくように言う。
「リアラ自身は、自覚があったんでしょうかね。自分が勇者の血を引いていることは」
「ああ……多分、自覚は無かったんじゃないか。アルマイト家では口伝していたが、当のリンデブルグ本人は、魔王を討伐して家庭を持ってからは、ごく普通の一般人として生活していたらしいし、わざわざ子供に自分の功績を話すような性格じゃない――って聞いてるしな」
つまり本人は自身の強さや名誉などには無頓着で、周りが盛り上がったり慌てふためいたりするようなタイプの人間だったのだろうか。
飛びぬけた実力と才能を持ちながら、それを鼻にかけないで誰とも親し気に接するリアラを思い出し、なんとなく重なる部分があると感じるリューイ。
「さて、それ程までの存在だった勇者が敵に回ったわけだ。リリライトの反乱よりも、実はこっちの方がヤバい状況かもしれん。迂闊に広めて、こっちがリアラ=リンデブルグを勇者と認めるわけにもいかねえし、難しい状況だ。ちなみに、このことを知っているのは俺とお前と、あとはコウメイの3人だけだからな」
英雄達がこぞって守ろうとした勇者の血筋――それが、今は魔族よりも凶悪で厄介なグスタフに操られている。そして人類の敵として、その陣頭に立って襲い掛かってくるという現実は、カリオスの言う通り恐怖でしかありえない。
そんな存在に自分は立ち向かおうとしている。
リューイはそう思うと、手に汗を滲ませる。
「殿下は、どうしてそのことを俺に?」
ミュリヌス領のフォルテア大森林で繰り広げられた死闘――そこでのリューイとリアラを見て、カリオスはリューイへの“龍騎士”の叙勲を決めたという。
恐るべき最強の敵“勇者”に相対するための“龍騎士”という称号をリューイに与えたのである。龍牙騎士の叙勲を受けたばかりの、ごく平凡な新人騎士でしかない自分に。
「理屈じゃねえ。俺はあの時、お前の強さを見たんだ。
俺はリリライトを壊されて、自分の頭がイカれそうになった。その時、肝心の狂ったリリライトの姿なんか見ちゃいなかった。怒りと憎しみをグスタフに向けることで、あのクソ野郎を殺そうとすることで、見たくない現実から目を逸らしていたんだ。
でも、お前は同じように最愛の人間を壊されていたにも関わらず、その意志はまっすぐ1つだけに向けられていた。辛い現実から目を逸らしていなかった。お前はずっとグスタフを殺すことではなく、リアラを救うということを突き通していた。
剣じゃない。魔法でもない。俺は俺ですら持っていない心の強さをお前にみたんだ。だから“龍騎士”の称号を……そして――」
カリオスは背もたれに体重を預けたまま、右手をスッと伸ばすと、リューイの腰に下げている剣を指さす。この部屋に訪れるにあたって、必ず持参してくるようにと厳命したその剣は、龍騎士の称号たる剣――『龍牙真打』である。
「その剣を与えた。その剣の素材になっている『龍輝石』の言い伝えは知っているだろう?」
それは聖アルマイトでは有名な話だ。
聖アルマイトを守護する聖龍が死する時、死んだ後も聖アルマイトを守らんとするために、自らの心臓を当時の国王に譲り渡したという。透き通るような綺麗な翡翠色をしながら、淡く緑色に発光する、まるで宝石のような龍の心臓ーーそれが『龍輝石』。そしてその『龍輝石』には、扱うものの想いを力に代えることが出来るという言い伝えがあった。
それを素材に鍛えられた剣が、龍騎士の剣『龍牙真打』。
すなわち、龍牙真打は使い手の想いを力に代えることが出来る、ということになる。
――というのが、おとぎ話の類として聖アルマイトに暮らす者ならば子供でも知っているようなーーそれこそ龍牙騎士になろうとする子供にとっては常識ですらある--話だ。どこまでが本当で、どこからが創作なのかは定かではない話。
少なくとも言えることは、カリオスが行使する神器のように、持ち主に超人的な能力を与えるものでも、超威力の魔法や技を発動できるものではない。素材が唯一無二の特別というだけで、間違いなく人の手で鍛えられた剣なのである。
「でも、俺は結構本気で信じているだぜ。その剣は持ち主の想いを力に変える剣だって、な」
そう言うと、カリオスはおもむろにソファから立ち上がる。
すると、国王代理たる彼が、なんとリューイに向けて深々と頭を下げる。そんなカリオスの予想外の行動に、リューイは眼を丸くしてソファに座ったまま動けないでいた。
「おそらく、勇者リアラ=リンデブルグを倒す――いや、救うことが出来るのは“戦士”の血を引く俺じゃない。彼女を真に想うことが出来るお前、リューイ=イルスガンドだけだ。だからお前に、想いを力にする龍牙真打を託すんだ。頼む、お前の力で彼女を救ってやってくれ。そして――」
驚いて反応出来ないリューイをよそに、カリオスは更に深く身体を折る。その表情はどんなものなのか、想像だに出来ない。
「頼む。リリライトを――リリをまだ救える可能性を、俺に見せてくれ。大切な妹なんだ。絶対に助けたいんだ。だから、頼むぞ。龍騎士リューイ=イルスガンド」
グスタフの異能に捕らわれて狂って壊れたリアラとリリライト。
もしもリューイがリアラを救えることが出来たのなら、同じ異能で狂ったリリライトも救うことが出来る可能性が、希望が、見いだせる。
もう、これは自分1人だけの戦いではない。
だから絶対に負けられない。想いを貫かなければならない。
想いを力に変えるという龍騎士の剣『龍牙真打』――腰に下げたその剣の柄を力強く握りしめるリューイ。
王族としてではなく、妹を思うただ1人の兄として頭を下げる主君の姿を見ながら、ソファから立ち上がるリューイ。そして、心の底からの敬礼で応える。
「必ずや、リアラを……そして、リリライト殿下をお救いすることを誓います」
行先はアルベール領。第2王女派による猛攻を受けている激戦区であり、リューイは第2王女派戦線の現場指揮官を任されているジュリアス=ジャスティン副騎士団長の指揮下に入ることが決まった。
出立を明日に備えたその日――リューイは第1王子にして国王代理のカリオスの執務室を訪れていた。
「よう。悪いな出発前の慌ただしい時に」
リューイが扉を開けて中に入ると、カリオスは棚の中から1つの書物を取り出しているところだった。今は公務中ではないためか、服装もいつもの王族らしい豪奢な服に比べればラフで軽い恰好をしている。
「とんでもありません。私も出発前に殿下とお話をしたいと思っていましたから」
「わっはっは。相変わらずクソ真面目だな。まあ、座れ」
カリオスは部屋の中央にあるソファにリューイを促すと、リューイは畏まって頭を下げてから、そこに座る。
カリオスは手に取った書物を執務机の上に置くと、リューイと机を挟んで対面側に座る。
すると、まるでそのタイミングを図ったかのように扉がノックされる。カリオスの許可と共に入ってきたのは、まだリューイもよりも若いメイドだった。カリオスは2人分のお茶を持ってくるよう命じると、メイドは速やかにその場を後にしていった。
「聞いたぞ。コウメイに増援部隊の隊長を命じられたってな」
「ええ、まあ」
「わははは! お前も色々大変だな。ま、領内を移動するだけだ。道中率いていく以外にやることもない。ダストンもいるし、気軽に頑張ってこい」
その「色々大変」な状況を作った根本の原因は、この目の前で豪快に笑う王子なのだが。
しかしリューイは不快な表情など見せるどころか、そんなカリオスの様子を見て安堵したように頬を緩めるのだった。
「ご体調が優れているようで、安心しました」
そんなリューイの柔らかい声に、カリオスは眉をピクリとさせて反応する。
「んん、まあな。正直、リリライトのことは気が気でならねえが……それ以前に、色々何とかしないといけないことが多いからな。個人的な感情で悩んでいる暇がないってのが正しいかもな」
カリオスのその言葉が終わったタイミングで、先ほどのメイドが2人分のお茶を持ってくる。「失礼します」と、どこか堅くて不慣れな手つきで、2人の前にティーカップを置いてから、退室していく。
「まあ飲め。王都を発ったら、もうこんなにのんびり出来る時間は無いだろうしな。リリライトが好きだった、カシアミっていう茶葉だ。王都でしか採れない高級品だぞ?」
「そうなんです。では、いただきます」
リューイが礼を言いながらカップを口に付けると、カリオスもそれに倣うように中の液体を味わう。
「どうだ?」
「美味しいですね。後味がすっきりしていて、こういうミント系の爽やかな味は、リアラが好みそうな味です。甘いお菓子と合いそうだし」
「ははっ、悪いな! 菓子折りまでは準備してねぇ」
最愛の妹が好んでいた紅茶を褒められて、カリオスは満足そうな顔をする。
「まだ母上――王妃がご健在だった頃、リリライトが王妃と一緒に飲んでた茶葉で、ずっとお気に入りなんだ。あいつがミュリヌスに行った後も、定期的に王都から送っていたんだけどな」
嬉しそうな顔で語るカリオス。
特にリューイはカリオスを気遣ったのではない。カシアミの紅茶の味は、本音の感想だった。それがカリオスも分かるからか、より一層満足そうな顔をしていた。
そこから、カリオスの妹自慢が始まる。
兄想いの出来た妹、細かいところまで気配りが出来る女性の鑑、まだまだ子供なのに頑張って大人ぶるところがまた可愛い、誰よりも努力家、笑顔が可愛い、少し抜けているところはむしろ魅力、白薔薇が良く似合う清楚可憐な容姿、素直で正直――
驚くべきことに、実に30分程の間、ほとんど言葉を切らすことなく妹リリライトの魅力を語り尽くして自慢するバカ兄を発揮するカリオス。
しかしリューイは嫌な顔1つせずに、カリオスの言葉1つ1つに微笑みながらうなずいて見せる。それもカリオスの言葉を加速させた要因の1つだ。
こんな状況――その最愛の妹リリライトが、聖アルマイトに対する反逆者として、史上稀に見る悪者とされている――では、カリオスは他の人間に、迂闊にこんな話が出来ないのであろう。
カリオス、そしてコウメイもリューイも知っている。
リリライトが全ての悪者とされていることが、真実ではないということ。
リリライトは、裏で全てを操る醜悪な悪魔に操られているに過ぎないのだ。本当のリリライトは、今まさにカリオスが語る通りの、素晴らしい姫であり、可愛いらしい妹のままであるはず。そう信じているからこそ、カリオスはこんな嬉々として妹自慢をするのだろう。
ここ最近、疲労や苦渋の顔しか見せなかったカリオスだったが、今そうやって嬉しそうで晴れやかな笑顔を見れば、彼に仕えるリューイも自然と嬉しくなっていた。
存分に――いや、やっぱり足りていないのだろうが――リリライトの魅力を語り尽くしたカリオスは、急に眼を細めて真面目な表情になってリューイを見据える。
「新白薔薇騎士団長リアラ=リンデブルグは、恐るべき敵だ。彼女はお前に任せる。頼んだぞ“龍騎士”リューイ=イルスガンド」
その真剣なカリオスの声色と視線に、リューイも真っ直ぐな視線で応えてうなずく。
「カリオス殿下。例の話は真実なのですか?」
カリオスの話を聞きながら、すっかり飲み干したティーカップを机に置くリューイ。そのリューイの言葉を察したカリオスは、難しい顔をしながらうなずく。
「――間違いない。リアラ=リンデブルグ……彼女は“勇者”の家系の直系だ。アルマイト家と同じ、暗黒時代に魔王を倒した4英雄の血を引いている」
第2王女派はリアラ=リンデブルグを新白薔薇騎士団長と世間に対して公表するのと同時に、彼女を“勇者”と標榜した。具体的には、カリオスの言葉通り“勇者”の血を引いた人間である、と。
第2王女派の謀略を司る軍師フェスティアの思惑は明確だった。
遥か昔に人類を救ったという伝説の存在である“勇者”に所縁ある者が第2王女派に与しているということにして、世論の支持を得るためだ。
しかし『リアラ=リンデブルグは勇者である』という口頭での宣言以上の、説明が無ければ証明もされていない。そのため、当初そのことを信じる者は皆無に近かった。そして、第1王子派でもリアラ=リンデブルグを“勇者”扱いする第2王女派側の意図を理解しかねていた。
――但し、いざリアラが戦場に現れてその力を奮い始めると、世論の風向きが変わり始めた。
リアラが“勇者”らしい圧倒的な実力を見せつけることで、それまでその話を歯牙にもかけなかった人々は、その真偽を疑い始めていく。
そうしていって、リアラの影響で第1王子派が劣勢を強いられるまでになると、リアラが本当に勇者なのではないかという噂が徐々に広まりつつあるのだ。
「まあコウメイが言うには、リアラ=リンデブルグが勇者じゃなかったとしても、フェスティアなら世間がそう信じ込むような策を打ってくるって言ってたけどな」
その話を始めると話の方向性が逸れてしまう。カリオスは咳ばらいをしながら方向修正をして、続ける。
「お前も、少しでも聖アルマイト史を勉強したことがあるなら知っているだろう。かつて魔王を倒した4人の英雄――現代になって、その血を受け継ぐ家系がはっきりしているのは2つの血筋のみ。つまり、戦士アルマイトと剣士ヴァルガンダルだ」
カリオスの説明にリューイはうなずく。
リアラが勇者であると第2王女派から発せられてから、リューイも慌てて聖アルマイト史――アルマイト王国の建国に至った、魔王討伐や暗黒時代の伝説を調べたのだ。
「残る2人の英雄ーー勇者リンデブルグと賢者サージュについては、あえてその名を後世に伝えていない。理由は、魔族の生き残りに子孫が狙われるからだ。
魔王を滅ぼした4人の英雄なんて、魔族の生き残りからしたら憎くて仕方ないだろうからな。血を引いてるってだけで、格好の標的になる。だから名を隠し、魔族の残党から守ることにしたんだそうだ。だから、その2人については存在のみ歴史に残したが、その名前は消されることになったんだ」
「でも、そうだとしたらアルマイト家とヴァルガンダル家はどうして名を残したんでしょうか?」
「うーん……俺もおや――陛下から口で聞いただけだから詳しくは分からんが、当時ゼロから国を作り上げた人物だったからな。人類をまとめるには、やっぱり魔王を倒した英雄っていう肩書が必要だったんじゃないか? 子孫が魔族に狙われるデメリットがあったとしても」
言葉が多くなったカリオスは、喉を潤すために、残っていたカシアミティーを飲み干すと、リューイと同じようにティーカップを机の上に戻す。
「まあ、お前も聞きたいことはたくさんあるだろうが、アルマイト家以外には決して口外出来ない言い伝えも少なくはないんだ。とりあえず、話を戻そう。
そんな経緯でリンデブルグの名前は伏せられることとなったが、仲間だったアルマイト家は書物ではなく口伝で、代々アルマイト直系の血を引く者のみにリンデブルグの名を後世に伝えることにした。何かあった時に勇者の、リンデブルグの家系を守れるようにな。
だから、いくつかあるリンデブルグ姓の中でも、リアラ=リンデブルグが勇者の直系であることを、アルマイト家長男の俺は陛下から伝えられて知っているってわけだ。
ちなみに、ラミアやリリライトは聞かされていないはずだ。同じ王族、同じ直径の血筋でも、それを伝えられるのは当代の1人に限られる。それ程に勇者の存在は秘中の秘とされていたんだ」
カリオスの口から語られる伝説――いや、歴史の真実をリューイは食い入るように聞いていた。よもや自分が思いを寄せた相手が、そんな伝説の存在と関りが深い人物だとは思いも寄らなかった。
「まあ、俺も気づいたのは第2王女派が彼女を勇者と担ぎ出してからなんだけどな」
少し話し疲れたのか、カリオスはソファに深く腰掛けて体重を背もたれに預ける。するとリューイは何か逡巡しているような表情で、誰にともなくつぶやくように言う。
「リアラ自身は、自覚があったんでしょうかね。自分が勇者の血を引いていることは」
「ああ……多分、自覚は無かったんじゃないか。アルマイト家では口伝していたが、当のリンデブルグ本人は、魔王を討伐して家庭を持ってからは、ごく普通の一般人として生活していたらしいし、わざわざ子供に自分の功績を話すような性格じゃない――って聞いてるしな」
つまり本人は自身の強さや名誉などには無頓着で、周りが盛り上がったり慌てふためいたりするようなタイプの人間だったのだろうか。
飛びぬけた実力と才能を持ちながら、それを鼻にかけないで誰とも親し気に接するリアラを思い出し、なんとなく重なる部分があると感じるリューイ。
「さて、それ程までの存在だった勇者が敵に回ったわけだ。リリライトの反乱よりも、実はこっちの方がヤバい状況かもしれん。迂闊に広めて、こっちがリアラ=リンデブルグを勇者と認めるわけにもいかねえし、難しい状況だ。ちなみに、このことを知っているのは俺とお前と、あとはコウメイの3人だけだからな」
英雄達がこぞって守ろうとした勇者の血筋――それが、今は魔族よりも凶悪で厄介なグスタフに操られている。そして人類の敵として、その陣頭に立って襲い掛かってくるという現実は、カリオスの言う通り恐怖でしかありえない。
そんな存在に自分は立ち向かおうとしている。
リューイはそう思うと、手に汗を滲ませる。
「殿下は、どうしてそのことを俺に?」
ミュリヌス領のフォルテア大森林で繰り広げられた死闘――そこでのリューイとリアラを見て、カリオスはリューイへの“龍騎士”の叙勲を決めたという。
恐るべき最強の敵“勇者”に相対するための“龍騎士”という称号をリューイに与えたのである。龍牙騎士の叙勲を受けたばかりの、ごく平凡な新人騎士でしかない自分に。
「理屈じゃねえ。俺はあの時、お前の強さを見たんだ。
俺はリリライトを壊されて、自分の頭がイカれそうになった。その時、肝心の狂ったリリライトの姿なんか見ちゃいなかった。怒りと憎しみをグスタフに向けることで、あのクソ野郎を殺そうとすることで、見たくない現実から目を逸らしていたんだ。
でも、お前は同じように最愛の人間を壊されていたにも関わらず、その意志はまっすぐ1つだけに向けられていた。辛い現実から目を逸らしていなかった。お前はずっとグスタフを殺すことではなく、リアラを救うということを突き通していた。
剣じゃない。魔法でもない。俺は俺ですら持っていない心の強さをお前にみたんだ。だから“龍騎士”の称号を……そして――」
カリオスは背もたれに体重を預けたまま、右手をスッと伸ばすと、リューイの腰に下げている剣を指さす。この部屋に訪れるにあたって、必ず持参してくるようにと厳命したその剣は、龍騎士の称号たる剣――『龍牙真打』である。
「その剣を与えた。その剣の素材になっている『龍輝石』の言い伝えは知っているだろう?」
それは聖アルマイトでは有名な話だ。
聖アルマイトを守護する聖龍が死する時、死んだ後も聖アルマイトを守らんとするために、自らの心臓を当時の国王に譲り渡したという。透き通るような綺麗な翡翠色をしながら、淡く緑色に発光する、まるで宝石のような龍の心臓ーーそれが『龍輝石』。そしてその『龍輝石』には、扱うものの想いを力に代えることが出来るという言い伝えがあった。
それを素材に鍛えられた剣が、龍騎士の剣『龍牙真打』。
すなわち、龍牙真打は使い手の想いを力に代えることが出来る、ということになる。
――というのが、おとぎ話の類として聖アルマイトに暮らす者ならば子供でも知っているようなーーそれこそ龍牙騎士になろうとする子供にとっては常識ですらある--話だ。どこまでが本当で、どこからが創作なのかは定かではない話。
少なくとも言えることは、カリオスが行使する神器のように、持ち主に超人的な能力を与えるものでも、超威力の魔法や技を発動できるものではない。素材が唯一無二の特別というだけで、間違いなく人の手で鍛えられた剣なのである。
「でも、俺は結構本気で信じているだぜ。その剣は持ち主の想いを力に変える剣だって、な」
そう言うと、カリオスはおもむろにソファから立ち上がる。
すると、国王代理たる彼が、なんとリューイに向けて深々と頭を下げる。そんなカリオスの予想外の行動に、リューイは眼を丸くしてソファに座ったまま動けないでいた。
「おそらく、勇者リアラ=リンデブルグを倒す――いや、救うことが出来るのは“戦士”の血を引く俺じゃない。彼女を真に想うことが出来るお前、リューイ=イルスガンドだけだ。だからお前に、想いを力にする龍牙真打を託すんだ。頼む、お前の力で彼女を救ってやってくれ。そして――」
驚いて反応出来ないリューイをよそに、カリオスは更に深く身体を折る。その表情はどんなものなのか、想像だに出来ない。
「頼む。リリライトを――リリをまだ救える可能性を、俺に見せてくれ。大切な妹なんだ。絶対に助けたいんだ。だから、頼むぞ。龍騎士リューイ=イルスガンド」
グスタフの異能に捕らわれて狂って壊れたリアラとリリライト。
もしもリューイがリアラを救えることが出来たのなら、同じ異能で狂ったリリライトも救うことが出来る可能性が、希望が、見いだせる。
もう、これは自分1人だけの戦いではない。
だから絶対に負けられない。想いを貫かなければならない。
想いを力に変えるという龍騎士の剣『龍牙真打』――腰に下げたその剣の柄を力強く握りしめるリューイ。
王族としてではなく、妹を思うただ1人の兄として頭を下げる主君の姿を見ながら、ソファから立ち上がるリューイ。そして、心の底からの敬礼で応える。
「必ずや、リアラを……そして、リリライト殿下をお救いすることを誓います」
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