黒頭巾は異世界で…

雪城 いぶき

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56話 ジャガイモ

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お昼になり、少しひらけた場所でお昼休憩にする事になった、ライアスが結界針を設置していく。
オルトとディーネは異空間に戻ってもらった。
メイジーは皆んなの浮き立つようだ足取りに首を傾げ、準備を進めていく。
だけど、次第に視線を感じ顔をあげると、何故か皆んなからの期待の眼差しがぶつかる。

三人は期待した眼差しでメイジーを見ていた。

「どうしたんですか?」

何故、皆んなから見られているのか分からず、メイジーは首を傾げた。
代表してエヴァドネが口を開く。

「メイジーの…あの…サンド。」

最後の方は声が小さくて聞き取れなくて、メイジーは聞き返す。

「え?」

「だから、メイジーの……サンドが…。」

エヴァドネの顔が徐々に赤くなり目が泳いでいて、声が小さくなって聞き取りずらい。

「…サンドが何ですか?」

え?サンド?昨日食べたカツサンドのことだろうか?…で?そのサンドがどうしたんだろう?

メイジーはエヴァドネに首を傾げて見せたが、三人は"おい、はっきり…"とか"頼む"とかエヴァドネに言い寄っている。

あのー、どうしたの?何?

エヴァドネが覚悟を決めたのか、私の顔を見て大声を上げた。

「メイジーの…あの美味しい、カツサンドが食べたい!…です。」

エヴァドネの顔は恥ずかしさのあまり頰が赤く、目を思いっきり瞑って声を張り上げて言っていたが、申し訳ない気持ちもあるのか最後の言葉は小さくなって敬語になっていた。


「そんなに美味しかったですか?あれはただパンに挟んだだけなんですけど。…その前に、追加の食材を購入していないんですけど…。」

メイジーの言葉に三人とも、あからさまにしょんぼりしている。

えー?そんなに食べたかったの?
ま、まあ。三つ残っているから、食べさせてあげられるけど…。

ホログラムマップで周辺を確かめ、魔物や人がいないかを見て、いない事を確認し提案する。

「あー。カツサンド、三つ残っているから食べる?」

先程と打って変わって三者三様に嬉しそうな顔をしている。

「やったー!」

一番喜んでいるのはエヴァドネである。

「アディス、手持ちに干し肉と野菜類ある?」

「ああ。ある。何が必要だ?」

なんだかアディスも、期待の篭った目で聞いてくる。

「干し肉四つと…。」

魔導コンロと鍋を用意し、鍋に魔法で水を入れ沸かす。
アディスから干し肉を貰い切って鍋に投入させる。

「後は、玉葱三玉、人参一本、あればジャガイモ…」

「え?」

玉葱と人参を貰って、最後のジャガイモと伝えると、横からエヴァドネの驚き声が聞こえ、アディスとライアスが目を見開いて、口を半開きで驚いていた。

「え?どうしたんですか?そんなに驚いて。なければ玉葱もう一玉貰えれば…。」

「え?ジャガイモって言った?!」

「え?言ったけれど、なんでそんなに驚いてるの?」

「だって、ジャガイモって毒を含んでいて食べられないんだよ!?」

「は?」

エヴァドネが言った"毒"と言う言葉に目を丸くし、間の抜けた声を上げてしまった。

「えーっと、それって…芽が出ていたり、緑色に変色していたりしているジャガイモなんじゃないの?」

「そうだよ。半数はメイジーが言っていた物が混じってる。」

「え?ダメじゃん。」

エヴァドネの話に突っ込んでしまった。

あっ、野菜切らないと…。

玉葱と人参の皮を剥き、千切りにして鍋に投入し、話を再開させる。

「ジャガイモの芽と緑に変色しているのは毒性があって食中毒になるから、捨てないと駄目だよ。食べられるのは黄色みで芽が出ていない物を食べるんです。最初に言った芽が出ているとか緑色の物は収穫が遅い、収穫してから少し経っている物なんじゃないかな?後は暗くて、涼しくて、通気性の良い場所で保存しないといけないよ。付け加えると、食べる時ジャガイモの芽の部分を包丁の角で取り除いて調理すれば大丈夫なんだけど。」

皆んなにジャガイモの話をし終えて、鍋に調味料を入れ、味を調える。少し煮立たせ、次に卵をメイジーのアイテムポーチから取り出してお椀に卵を割りいた後、鍋の中に回しながら卵を入れ、少しかき回したら火を止める。

スープが出来た所で、アディス達を見ると目を丸くしていたのだった。




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