8 / 15
王女様のお相手以外は通常運転です
しおりを挟む
結局その戦争は、休憩時間が終わり出発するまで続いた。
私が副隊長に休戦させるようにお願いしても、副隊長は我関せず。
「あの二人にとって、あれは時間潰しのリクレーションです。
エリーが気に病む必要は有りませんよ。」
なるほど、あれは仲良しさんのじゃれ合いでしたか。
それならお邪魔したら悪いですね。
私は副隊長の横に座り込み、頬杖をついてそれを見ていた。
再び私は馬車の中、
ねぇエリーちゃんの好きなお菓子は?好きな色は?
では今度、その色のドレスを作りましょう。
って一体何を仰っているのやら。
私の事ばかり話が振られるから、あまり話す事が無くなってきた。
私の事より、ユーフェミア様の話を聞きたいですとも言えない。
だってそれは機密事項だ。
下手な事を聞き出せば、エルマ大先輩が黙っていないでしょう。
お仕置きされてしまいます。
さて、トボトボと流れていた時間も、
やっと今日の宿泊地に着く時間となりました。
今日のお泊りは、グランシアにあるベルトムート侯爵のお屋敷です。
さっそく隊長達のお世話をしなくては。
今回は野営と違いお屋敷に泊まるから、食事の支度は免除されますが、
反って気を遣わなければならない事が有ります。
だって他人様のお家です。
隊員の部屋割りの確認や、担当する人の安全確保の確認。
そうそう、湯あみのお湯の支度もしなくてはなりませんね。
私は着せられていたドレスを脱ぎ、いつものお仕着せに着替えます。
「そんな服より、そのドレスのが可愛いのに。
あなたはこの旅の間、そちらのドレスを着てらっしゃいな。」
そうもいきません、これは私達にとっては必需品。
「王女様、これは私達の戦闘服なんです。
このお仕着せにはいろいろな機能が有りまして………。」
「ン、ンンッ……!」
おっと、エルマ大先輩が私を睨んでいます。
これは私達に取っての機密事項。
例え王女様でも漏らす訳には行きませんでした。
エルマ大先輩殿、申し訳ありませんでした‼
着替え終わった私はお姉さま達の下に向かうべく、
馬車を真っ先に下ります。
これは新米が、目上の方が敵に襲われないよう、守る為の行為でもあります。
「えっ、エリーちゃんどこに行くの?」
「どこって、隊長達のお世話に戻ります。」
王女様には、先輩を始めとした何人ものお付きや、
ガード役の騎士様が付いていますよね。
それに私は、隊長と副隊長付きです。
つまりあの二人には私しか世話をする人間がいないのです。
「そんなの放っておきなさい。
食事もお部屋も一緒に取りましょう。
何だったら私の事をお姉様って呼んでもいいのよ。」
滅相もございませんし、いい加減に私を愛玩動物から解放して下さい。
ただでさえ手の掛かる男が二人もいるのに、その上お姉様はいりません。
私が仕事に慣れて、もっとお世話が上手になった頃、
また声を掛けてもらえると嬉しいです。
そして私は縋るように、エルマ大先輩を見つめた。
「さあさユーフェミア様、早くお部屋にお入りください。
さて、この後のご予定ですが、
多分お茶の用意が整っていると思いますので、まずは軽くご休憩を。
その後は湯あみをしていただきます。
お夕食は19時よりと伺っております。
ですので19時ピッタリに会場に入られますように。
早すぎても、遅すぎてもいけません。
ですから…………。」
王女様業も大変なようです。
さて、お姉さま達とお屋敷の見取り図を見て、
隊長達の部屋の場所を確認しました。
解散後、すぐに隊長達の部屋へ向かいます。
とにかく隊長達が来る前にあらゆる事を済ませておく必要が有りますから。
まず、部屋のドアに耳を寄せ、中の音を確認します。
それから胸のペンに見立てたナイフを手にし、そっとドアのノブに手を掛けます。
はたから見れば、完全に不審者でしょうが、そんな事を言ってはいられません。
音がしていない事を確認した私は、
勢い良くドアを開け、いきなりしゃがみ込みました。
もし中に暗殺者がいた場合を想定しての行動です。
「第一段階クリア。」
人がいない事を確認してから立ち上がり、
それでも気を抜かず、部屋の中のチェックに移ります。
魔道具探査システムを起動させ、室内に魔道具が仕掛けられていないか。
怪しい物が無いか、チェックしながら壁沿いを見て回ります。
隠し扉が無いかの確認です。
もちろん寝室もトイレも風呂もです。
「オールクリア。
大丈夫なようですね。」
これを城に帰るまで毎日行います。
大変なように見えますが、
殆んどいつもの事ですから、苦では有りません。
それから私はお風呂にお湯を張り、部屋に設置されていたセットを使い、
隊長達のお茶の用意をします。
「ア~疲れた。
エリー、大丈夫か?
疲れなかったか?
王女に嫌な目に遭わされなかったか?」
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。
でもありがとうございます。
さ、お茶が入りました。
一服なさって下さい。」
私はにっこりと笑いながら、いつも通り給仕をします。
ナイスタイミングでしたね。
お茶の支度が間に合ってよかったです。
そこのあなた。
それって男尊女卑じゃ無いのってお思いかもしれませんが、
これはお仕事です。
私達はお給金をいただいて、好んでこの仕事をしているのです。
お間違い無きよう。
(*注:この部分は騎士様は読まない様に*
だって、隊長達は無理でしょうが、
いずれ違う騎士様の担当になれたら、
うまくすれば玉の輿に乗れるかもしれないし、
再就職の時もすごくいい職に就けるって、
お姉さまが教えてくれましたもの。)
私が副隊長に休戦させるようにお願いしても、副隊長は我関せず。
「あの二人にとって、あれは時間潰しのリクレーションです。
エリーが気に病む必要は有りませんよ。」
なるほど、あれは仲良しさんのじゃれ合いでしたか。
それならお邪魔したら悪いですね。
私は副隊長の横に座り込み、頬杖をついてそれを見ていた。
再び私は馬車の中、
ねぇエリーちゃんの好きなお菓子は?好きな色は?
では今度、その色のドレスを作りましょう。
って一体何を仰っているのやら。
私の事ばかり話が振られるから、あまり話す事が無くなってきた。
私の事より、ユーフェミア様の話を聞きたいですとも言えない。
だってそれは機密事項だ。
下手な事を聞き出せば、エルマ大先輩が黙っていないでしょう。
お仕置きされてしまいます。
さて、トボトボと流れていた時間も、
やっと今日の宿泊地に着く時間となりました。
今日のお泊りは、グランシアにあるベルトムート侯爵のお屋敷です。
さっそく隊長達のお世話をしなくては。
今回は野営と違いお屋敷に泊まるから、食事の支度は免除されますが、
反って気を遣わなければならない事が有ります。
だって他人様のお家です。
隊員の部屋割りの確認や、担当する人の安全確保の確認。
そうそう、湯あみのお湯の支度もしなくてはなりませんね。
私は着せられていたドレスを脱ぎ、いつものお仕着せに着替えます。
「そんな服より、そのドレスのが可愛いのに。
あなたはこの旅の間、そちらのドレスを着てらっしゃいな。」
そうもいきません、これは私達にとっては必需品。
「王女様、これは私達の戦闘服なんです。
このお仕着せにはいろいろな機能が有りまして………。」
「ン、ンンッ……!」
おっと、エルマ大先輩が私を睨んでいます。
これは私達に取っての機密事項。
例え王女様でも漏らす訳には行きませんでした。
エルマ大先輩殿、申し訳ありませんでした‼
着替え終わった私はお姉さま達の下に向かうべく、
馬車を真っ先に下ります。
これは新米が、目上の方が敵に襲われないよう、守る為の行為でもあります。
「えっ、エリーちゃんどこに行くの?」
「どこって、隊長達のお世話に戻ります。」
王女様には、先輩を始めとした何人ものお付きや、
ガード役の騎士様が付いていますよね。
それに私は、隊長と副隊長付きです。
つまりあの二人には私しか世話をする人間がいないのです。
「そんなの放っておきなさい。
食事もお部屋も一緒に取りましょう。
何だったら私の事をお姉様って呼んでもいいのよ。」
滅相もございませんし、いい加減に私を愛玩動物から解放して下さい。
ただでさえ手の掛かる男が二人もいるのに、その上お姉様はいりません。
私が仕事に慣れて、もっとお世話が上手になった頃、
また声を掛けてもらえると嬉しいです。
そして私は縋るように、エルマ大先輩を見つめた。
「さあさユーフェミア様、早くお部屋にお入りください。
さて、この後のご予定ですが、
多分お茶の用意が整っていると思いますので、まずは軽くご休憩を。
その後は湯あみをしていただきます。
お夕食は19時よりと伺っております。
ですので19時ピッタリに会場に入られますように。
早すぎても、遅すぎてもいけません。
ですから…………。」
王女様業も大変なようです。
さて、お姉さま達とお屋敷の見取り図を見て、
隊長達の部屋の場所を確認しました。
解散後、すぐに隊長達の部屋へ向かいます。
とにかく隊長達が来る前にあらゆる事を済ませておく必要が有りますから。
まず、部屋のドアに耳を寄せ、中の音を確認します。
それから胸のペンに見立てたナイフを手にし、そっとドアのノブに手を掛けます。
はたから見れば、完全に不審者でしょうが、そんな事を言ってはいられません。
音がしていない事を確認した私は、
勢い良くドアを開け、いきなりしゃがみ込みました。
もし中に暗殺者がいた場合を想定しての行動です。
「第一段階クリア。」
人がいない事を確認してから立ち上がり、
それでも気を抜かず、部屋の中のチェックに移ります。
魔道具探査システムを起動させ、室内に魔道具が仕掛けられていないか。
怪しい物が無いか、チェックしながら壁沿いを見て回ります。
隠し扉が無いかの確認です。
もちろん寝室もトイレも風呂もです。
「オールクリア。
大丈夫なようですね。」
これを城に帰るまで毎日行います。
大変なように見えますが、
殆んどいつもの事ですから、苦では有りません。
それから私はお風呂にお湯を張り、部屋に設置されていたセットを使い、
隊長達のお茶の用意をします。
「ア~疲れた。
エリー、大丈夫か?
疲れなかったか?
王女に嫌な目に遭わされなかったか?」
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。
でもありがとうございます。
さ、お茶が入りました。
一服なさって下さい。」
私はにっこりと笑いながら、いつも通り給仕をします。
ナイスタイミングでしたね。
お茶の支度が間に合ってよかったです。
そこのあなた。
それって男尊女卑じゃ無いのってお思いかもしれませんが、
これはお仕事です。
私達はお給金をいただいて、好んでこの仕事をしているのです。
お間違い無きよう。
(*注:この部分は騎士様は読まない様に*
だって、隊長達は無理でしょうが、
いずれ違う騎士様の担当になれたら、
うまくすれば玉の輿に乗れるかもしれないし、
再就職の時もすごくいい職に就けるって、
お姉さまが教えてくれましたもの。)
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる