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航海 4 ※
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「それでもいいんです。それでも僕は今日あなたに噛んでほしい……。」
だけど、僕に無駄な痛みを与えたくないと躊躇するアダム様。
お願いです。そんな事、気にしないで。
たとえ今は仮初でも、僕はあなたの物だと言う証が欲しいんです。
「本当に、お前はかわいい…。
だが、いくらお前の望みでも、やはり悪戯に傷つけることは俺にはできないよ。」
「そんな…、痛みとか、傷つけるとか関係ないんです。
何て言ったらいいんだろう……、僕がそれを望んでもダメですか?
「んー、無理だ。流れでその気になってしまう可能性もあるが…。
それはあくまでも、ただの欲望であって、番としての本能じゃない。
マシューにとっては、悪戯に傷を負わせるだけだ。」
アダム様が僕の事を思って言って下さっていると分っている。
だけど、僕はまたアダム様に拒まれたような気がして、悲しくなった。
だけど、考えてみれば、これは僕の一方的な我儘だ。
アダム様は、僕の体の事を考えて、拒否しているのだから。
このまま僕が我を張ると、またアダム様を困らせてしまう。
そう思って考え直し、何とか笑おうとするけど、どうしても涙が出てしまった。
「す、すまないマシュー。お前が泣くほど望んでいたとは…、
決してお前の気持ちを軽んじたつもりは無いんだ。」
アダム様は僕をギュッと抱き締め、チョーカーを外し、僕の後髪をかき上げ顔を寄せる。
きっとあなたは今、僕の項を噛もうとしているのですね。
でもそれは、あなたの意思でするのでは無いのですよね。
僕の我儘に負けただけ。
「ダメ、しないで…。」
「マシュー?」
「ごめんなさい、馬鹿ですよね僕は、
そんな自己満足の為に、アダム様の気持ちを疎かにするなんて。
強要された証など、何の意味も持たないと言うのに。
そんな、まがい物の印を欲しがるなんて。」
本当に馬鹿みたいだ。人の気持ちは、その人自身のもの。
他人に乞われて無理やりしたって、それにはその人の気持ちが籠っている訳では無いのに。
僕がアダム様を好きだと言う気持ちだって僕自身のものだ。
誰かに言われたものじゃない。
「うん、もう大丈夫。ごめんなさい、我がまま言って。
気にしないでアダム様。
僕、目が覚めました。」
「え?」
「愛すると言うこの気持ちは、人に強要されるものでは無いのですよね。」
「当たり前だ。俺がマシューを愛しているこの気持ちも、俺自身の心の内から生まれたものだ。」
「ありがとう、アダム様。大好きです。」
そう言ってアダム様に口づけた。
「ん、もう平気、落ち着いた。僕、ずいぶん馬鹿なこと言いましたよね。
ご心配お掛けしてすいません。
さ、アダム様お腹空かれたでしょ?お昼にしましょうか。」
「…………ちょっと待った、肝心な事を忘れていないか?」
「はい?」
えっと?何かありましたっけ?
「うっかり丸め込まれるところだった。」
「何ですか?」
僕はアダム様を丸め込むなんて、そんな事しません。
「マシュー、約束を破ったよな。」
あっ……。
「どこかへ行く時は、必ず俺に断ってから行くと約束したよな?」
「ご、ごめんなさい……。」
つい、アダム様の言葉にショックを受けて、その事を忘れていました。
怒って…いますよね……。
でもアダム様はため息を一つついた後、
「もういい、何か、色々有って毒気を抜かれてしまったみたいだ。
ただマシュー、いい加減俺を信じてくれないか?
お前が望めば何度でも愛していると言う。
でもな、お前がそれを信じてくれない限り、
その言葉は俺が何度言っても、いつまでたってもお前の胸に刻まれていないだろう?」
「そんな事有りません、僕はアダム様の事……。」
するとアダム様は両手で僕の頬を包み、僕の目を真直ぐ見据え、言葉を綴る。
「いいかマシュー、俺の事を、俺の言葉を信じるんだ。
俺はお前の運命の番だ。
この世界で愛を乞うのはお前しかいない。
命を懸けて守りたいと思うのはお前だけだ。
愛しているマシュー。信じてくれ。お願いだ。」
アダム様の言葉は、少しずつ、でも確実に僕の心に染み渡っていく。
「はい…。アダム様。」
「しかしそれはそれ、お仕置きは必要だよな。」
「はい?」
「もちろん、約束を破った罰。
俺に心配を掛けた罰だ。
ついでを言えば、この肩に付いている気に喰わない雄の匂いは何だ?」
「雄の匂いって…。あ、あの人かな?
アダム様、僕新しい知り合いが出来たんですよ。
食堂の人で、とても親切な人なんです。
友達になってくれないかなぁ。食事を運ぶのを手伝ってくれて、此処まで一緒に持って来てくれたんです。
そうだ、今度の金曜日のメニューはBがお勧めなんですって。
良かったら一緒に食べに行きませんか?
サービスしてくれるって言ってくれたのでちょっと楽しみなんです。それでね…」
「もういい。」
「え?」
アダム様は僕をいきなり肩に担ぎ上げ、そのままシャワールームの方へ歩いて行く。
何故かアダム様が怒っている気がするんですけど。僕また何か失敗したのでしょうか。
その状態のまま、アダム様はいきなりシャワーのハンドルをひねる。
「つ、冷たい!」
「じきに暖かくなる。」
「アダム様、それより服が。
シャワーを浴びるなら脱がないと。
せっかく作っていただいた服が台無しになってしまいます。」
「そんな気に食わない雄の匂いのするものなど、
いらないから気にしなくていい。」
そんな……。
「そんなに脱ぎたければ脱がしてやろう。」
そう言って、僕を下ろしたアダム様は、乱暴に僕の服をはぎ取っていく。
「いたっ、そ、そんなに乱暴にしたら、服が破れてしまいます。僕、自分で脱ぎます。」
「そうか、自分で脱ぐか。」
そう言うと、アダム様は僕から少し離れ、自分の軍服を脱ぎ始めた。
まぁ、アダム様の服も濡れてしまっているから、そうするのは当然とは思いますが……。
この先の展開が想像できすぎて、僕は一体どうすればいいのか…。
さっさと自分の物を脱いでしまったアダム様は、まだぐずぐずしていた僕を目でせかす。
仕方がないので、はだけていた上着を脱ぎ、思い切って肌着も脱ぎ捨てた。
「下は?」
やっぱり…、このままでは駄目ですよね。
覚悟を決めて、ズボンのホックを外し、ファスナーを下ろす。
でも、お願いですから、そんなにじっと見つめないでほしいんですけど…。
「濡れて脱ぎにくそうだな。仕方がない。手伝ってやる。」
「えっ?」
そう言ったアダム様は、片膝をつき、下着ごといっきに僕のズボンを引き下ろした。
「マシュー、どうしてこれを、こんなに大きくしているんだ?」
アダム様はにやっとしながら言う。
い、意地悪だ…。
「アダム様だって、アダム様だって、すごく大きいじゃありませんか!」
て、違う、こんな恥ずかしい事言いたい訳じゃありません。
「お前もなかなか言うようになったな。」
そう言いながら、僕の物に悪戯を始める。
「い…やぁ、ダメです…。」
「だが、気持ちいいのだろう?」
正直になれ。そう言われる。
「…いい…です、気持ちいいで…す。でも、力が抜けて、立っていられなくなっちゃう…。」
「罰だからな。もう少し、そのまま頑張ってもらおうか。」
「あぁ、アダム様…。」
僕はシャワー室の冷たい壁に背を預け、手を這わせてなるべく倒れないように力を込める。
アダム様の手は執拗に僕を責める。
「ふふ、マシュー、すごく厭らしい顔をしているよ。」
えっ?
見下ろすと、アダム様がじっと僕を見つめている。
「いやっ、アダム様…。」
「マシュー、そのまま見ていろよ。」
そう言うと、ゆっくりと舌を出し、僕を下から上へと舐め上げる。
それからわざと見せつけるように僕を含み、強く吸う。
「い…やらしい…のは、ア…ダム様……です。」
それ以上言葉は続けられない。
力が入らず、僕はアダム様に覆いかぶさるように、体を傾けた。
「マシュー、まだまだだからな。」
そう言うと、アダム様は自分の膝に僕を座らせ、向かい合った僕の頭を引き寄せ深いキスをする。
絡み合う舌。
それが妙に愛しくて、僕の方からアダム様の舌を吸う。
濡れる肌と肌が暖かくて気持ちいい。思わず擦り寄ってしまうほどに。
「あぁマシュー、抱かれる時のお前はまるで、魔性の物の様だ。
子を成す時のお前は一体どうなってしまうのだろうな。」
「そんな事はどうでもいいです。今の僕に火をつけたのはあなた。
今の僕を見て、愛して……。」
「あぁ、その通りだマシュー。」
そしてまた何度もキスをする。
お互いの体を弄り、舌を這わす。
「キャウンッ。」
アダム様の指が一本、僕の中に入ってくる。
まだ慣れないその感触。
「あ…、ああっ。」
何度も何度も出たり入ったりし、僕の中をゆっくり解していく。
まだ、この後時間をかけて、僕を解すんでしょう?
「いや、もうこのままでいいから、お願い、すぐあなたが欲しいの。」
「駄目だ、お前の此処は、まだ十分に解れていない。
言っただろ?俺はお前をいたずらに傷つけることはしたくないんだ。」
それでもいい、早くアダム様がほしいの。
「これも罰だと思って諦めろ。」
それから、ゆっくり、念入りに解されたけど、これって絶対に虐めですよね……。
でも、その分アダム様自身も我慢していて、
その後、思うさま蹂躙された僕は、更なる罰を受けた気分です。
アダム様の膝の上で、抱きしめられながら犯されるなんて、考えも付かなった。
「だ…めぇ…。もう壊れちゃう……。」
アダム様に何度も下から突き上げられて、息も絶え絶えになった僕は、何度イったか分からない。
そしてアダム様も何度も僕の中に精を放った。
「も…、だめぇ、もう許して…下さい……。」
「これで最後だ。終りにする。」
あぁ、アダ…ム様……。
「後はベッドでゆっくり続きをしような。」
えっ?
……嘘…ですよね……?
でも、アダム様は、僕に嘘を付かない人でした。
「あのアダム様、お聞きするのはちょっと怖いんですけれど、
あの時どうして僕に“近寄るな”って仰ったんですか?」
「あぁ、あの時は、いなくなったお前の事が心配で、少し気が高ぶっていたんだ。
ジークに無理やり止められていたせいだ。
そんな正気を失ったような俺の傍にお前を置きたくなかった。
お前が近くに居たら、一体何をしでかすか分からなかったからな。
そんなつもりで言った言葉だったんだが、大方お前に勘違いさせたんだろう。
俺の言葉が短かった、すまなかったな。」
そうだったんだ。僕はあの時、アダム様に嫌われたわけじゃなかったんだ。良かった。
だけど、僕に無駄な痛みを与えたくないと躊躇するアダム様。
お願いです。そんな事、気にしないで。
たとえ今は仮初でも、僕はあなたの物だと言う証が欲しいんです。
「本当に、お前はかわいい…。
だが、いくらお前の望みでも、やはり悪戯に傷つけることは俺にはできないよ。」
「そんな…、痛みとか、傷つけるとか関係ないんです。
何て言ったらいいんだろう……、僕がそれを望んでもダメですか?
「んー、無理だ。流れでその気になってしまう可能性もあるが…。
それはあくまでも、ただの欲望であって、番としての本能じゃない。
マシューにとっては、悪戯に傷を負わせるだけだ。」
アダム様が僕の事を思って言って下さっていると分っている。
だけど、僕はまたアダム様に拒まれたような気がして、悲しくなった。
だけど、考えてみれば、これは僕の一方的な我儘だ。
アダム様は、僕の体の事を考えて、拒否しているのだから。
このまま僕が我を張ると、またアダム様を困らせてしまう。
そう思って考え直し、何とか笑おうとするけど、どうしても涙が出てしまった。
「す、すまないマシュー。お前が泣くほど望んでいたとは…、
決してお前の気持ちを軽んじたつもりは無いんだ。」
アダム様は僕をギュッと抱き締め、チョーカーを外し、僕の後髪をかき上げ顔を寄せる。
きっとあなたは今、僕の項を噛もうとしているのですね。
でもそれは、あなたの意思でするのでは無いのですよね。
僕の我儘に負けただけ。
「ダメ、しないで…。」
「マシュー?」
「ごめんなさい、馬鹿ですよね僕は、
そんな自己満足の為に、アダム様の気持ちを疎かにするなんて。
強要された証など、何の意味も持たないと言うのに。
そんな、まがい物の印を欲しがるなんて。」
本当に馬鹿みたいだ。人の気持ちは、その人自身のもの。
他人に乞われて無理やりしたって、それにはその人の気持ちが籠っている訳では無いのに。
僕がアダム様を好きだと言う気持ちだって僕自身のものだ。
誰かに言われたものじゃない。
「うん、もう大丈夫。ごめんなさい、我がまま言って。
気にしないでアダム様。
僕、目が覚めました。」
「え?」
「愛すると言うこの気持ちは、人に強要されるものでは無いのですよね。」
「当たり前だ。俺がマシューを愛しているこの気持ちも、俺自身の心の内から生まれたものだ。」
「ありがとう、アダム様。大好きです。」
そう言ってアダム様に口づけた。
「ん、もう平気、落ち着いた。僕、ずいぶん馬鹿なこと言いましたよね。
ご心配お掛けしてすいません。
さ、アダム様お腹空かれたでしょ?お昼にしましょうか。」
「…………ちょっと待った、肝心な事を忘れていないか?」
「はい?」
えっと?何かありましたっけ?
「うっかり丸め込まれるところだった。」
「何ですか?」
僕はアダム様を丸め込むなんて、そんな事しません。
「マシュー、約束を破ったよな。」
あっ……。
「どこかへ行く時は、必ず俺に断ってから行くと約束したよな?」
「ご、ごめんなさい……。」
つい、アダム様の言葉にショックを受けて、その事を忘れていました。
怒って…いますよね……。
でもアダム様はため息を一つついた後、
「もういい、何か、色々有って毒気を抜かれてしまったみたいだ。
ただマシュー、いい加減俺を信じてくれないか?
お前が望めば何度でも愛していると言う。
でもな、お前がそれを信じてくれない限り、
その言葉は俺が何度言っても、いつまでたってもお前の胸に刻まれていないだろう?」
「そんな事有りません、僕はアダム様の事……。」
するとアダム様は両手で僕の頬を包み、僕の目を真直ぐ見据え、言葉を綴る。
「いいかマシュー、俺の事を、俺の言葉を信じるんだ。
俺はお前の運命の番だ。
この世界で愛を乞うのはお前しかいない。
命を懸けて守りたいと思うのはお前だけだ。
愛しているマシュー。信じてくれ。お願いだ。」
アダム様の言葉は、少しずつ、でも確実に僕の心に染み渡っていく。
「はい…。アダム様。」
「しかしそれはそれ、お仕置きは必要だよな。」
「はい?」
「もちろん、約束を破った罰。
俺に心配を掛けた罰だ。
ついでを言えば、この肩に付いている気に喰わない雄の匂いは何だ?」
「雄の匂いって…。あ、あの人かな?
アダム様、僕新しい知り合いが出来たんですよ。
食堂の人で、とても親切な人なんです。
友達になってくれないかなぁ。食事を運ぶのを手伝ってくれて、此処まで一緒に持って来てくれたんです。
そうだ、今度の金曜日のメニューはBがお勧めなんですって。
良かったら一緒に食べに行きませんか?
サービスしてくれるって言ってくれたのでちょっと楽しみなんです。それでね…」
「もういい。」
「え?」
アダム様は僕をいきなり肩に担ぎ上げ、そのままシャワールームの方へ歩いて行く。
何故かアダム様が怒っている気がするんですけど。僕また何か失敗したのでしょうか。
その状態のまま、アダム様はいきなりシャワーのハンドルをひねる。
「つ、冷たい!」
「じきに暖かくなる。」
「アダム様、それより服が。
シャワーを浴びるなら脱がないと。
せっかく作っていただいた服が台無しになってしまいます。」
「そんな気に食わない雄の匂いのするものなど、
いらないから気にしなくていい。」
そんな……。
「そんなに脱ぎたければ脱がしてやろう。」
そう言って、僕を下ろしたアダム様は、乱暴に僕の服をはぎ取っていく。
「いたっ、そ、そんなに乱暴にしたら、服が破れてしまいます。僕、自分で脱ぎます。」
「そうか、自分で脱ぐか。」
そう言うと、アダム様は僕から少し離れ、自分の軍服を脱ぎ始めた。
まぁ、アダム様の服も濡れてしまっているから、そうするのは当然とは思いますが……。
この先の展開が想像できすぎて、僕は一体どうすればいいのか…。
さっさと自分の物を脱いでしまったアダム様は、まだぐずぐずしていた僕を目でせかす。
仕方がないので、はだけていた上着を脱ぎ、思い切って肌着も脱ぎ捨てた。
「下は?」
やっぱり…、このままでは駄目ですよね。
覚悟を決めて、ズボンのホックを外し、ファスナーを下ろす。
でも、お願いですから、そんなにじっと見つめないでほしいんですけど…。
「濡れて脱ぎにくそうだな。仕方がない。手伝ってやる。」
「えっ?」
そう言ったアダム様は、片膝をつき、下着ごといっきに僕のズボンを引き下ろした。
「マシュー、どうしてこれを、こんなに大きくしているんだ?」
アダム様はにやっとしながら言う。
い、意地悪だ…。
「アダム様だって、アダム様だって、すごく大きいじゃありませんか!」
て、違う、こんな恥ずかしい事言いたい訳じゃありません。
「お前もなかなか言うようになったな。」
そう言いながら、僕の物に悪戯を始める。
「い…やぁ、ダメです…。」
「だが、気持ちいいのだろう?」
正直になれ。そう言われる。
「…いい…です、気持ちいいで…す。でも、力が抜けて、立っていられなくなっちゃう…。」
「罰だからな。もう少し、そのまま頑張ってもらおうか。」
「あぁ、アダム様…。」
僕はシャワー室の冷たい壁に背を預け、手を這わせてなるべく倒れないように力を込める。
アダム様の手は執拗に僕を責める。
「ふふ、マシュー、すごく厭らしい顔をしているよ。」
えっ?
見下ろすと、アダム様がじっと僕を見つめている。
「いやっ、アダム様…。」
「マシュー、そのまま見ていろよ。」
そう言うと、ゆっくりと舌を出し、僕を下から上へと舐め上げる。
それからわざと見せつけるように僕を含み、強く吸う。
「い…やらしい…のは、ア…ダム様……です。」
それ以上言葉は続けられない。
力が入らず、僕はアダム様に覆いかぶさるように、体を傾けた。
「マシュー、まだまだだからな。」
そう言うと、アダム様は自分の膝に僕を座らせ、向かい合った僕の頭を引き寄せ深いキスをする。
絡み合う舌。
それが妙に愛しくて、僕の方からアダム様の舌を吸う。
濡れる肌と肌が暖かくて気持ちいい。思わず擦り寄ってしまうほどに。
「あぁマシュー、抱かれる時のお前はまるで、魔性の物の様だ。
子を成す時のお前は一体どうなってしまうのだろうな。」
「そんな事はどうでもいいです。今の僕に火をつけたのはあなた。
今の僕を見て、愛して……。」
「あぁ、その通りだマシュー。」
そしてまた何度もキスをする。
お互いの体を弄り、舌を這わす。
「キャウンッ。」
アダム様の指が一本、僕の中に入ってくる。
まだ慣れないその感触。
「あ…、ああっ。」
何度も何度も出たり入ったりし、僕の中をゆっくり解していく。
まだ、この後時間をかけて、僕を解すんでしょう?
「いや、もうこのままでいいから、お願い、すぐあなたが欲しいの。」
「駄目だ、お前の此処は、まだ十分に解れていない。
言っただろ?俺はお前をいたずらに傷つけることはしたくないんだ。」
それでもいい、早くアダム様がほしいの。
「これも罰だと思って諦めろ。」
それから、ゆっくり、念入りに解されたけど、これって絶対に虐めですよね……。
でも、その分アダム様自身も我慢していて、
その後、思うさま蹂躙された僕は、更なる罰を受けた気分です。
アダム様の膝の上で、抱きしめられながら犯されるなんて、考えも付かなった。
「だ…めぇ…。もう壊れちゃう……。」
アダム様に何度も下から突き上げられて、息も絶え絶えになった僕は、何度イったか分からない。
そしてアダム様も何度も僕の中に精を放った。
「も…、だめぇ、もう許して…下さい……。」
「これで最後だ。終りにする。」
あぁ、アダ…ム様……。
「後はベッドでゆっくり続きをしような。」
えっ?
……嘘…ですよね……?
でも、アダム様は、僕に嘘を付かない人でした。
「あのアダム様、お聞きするのはちょっと怖いんですけれど、
あの時どうして僕に“近寄るな”って仰ったんですか?」
「あぁ、あの時は、いなくなったお前の事が心配で、少し気が高ぶっていたんだ。
ジークに無理やり止められていたせいだ。
そんな正気を失ったような俺の傍にお前を置きたくなかった。
お前が近くに居たら、一体何をしでかすか分からなかったからな。
そんなつもりで言った言葉だったんだが、大方お前に勘違いさせたんだろう。
俺の言葉が短かった、すまなかったな。」
そうだったんだ。僕はあの時、アダム様に嫌われたわけじゃなかったんだ。良かった。
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