遠く、イズガルドの地にて。

羽兎里

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番外編―2―2 僕の願い ※ 

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僕の体の変化は確かに他の人とは違っていたようだ。普通だったら1月ほどかかることが、20日もかからず終わった。

「もう少し安静にしていた方がいいのではないのか?」

ライアスが心配して、少しでも長く僕をベッドに縛り付けようとする。

「大丈夫だよ。ライアスの言う通り、王都の治療師様にちゃんと診てもらっただろ?治療師様、何て言ったっけ?」

「体の変化は、すべて整っていると。」

「ね、ライアスもちゃんと聞いたでしょ?」

「しかし、デニスの場合は例外だろ?いつイレギュラーが出るか分からない。もう少し安静にしていた方がいい。」


「もう、ライアスがそう言うから、治療師様が大丈夫と言ってくれた日から、5日も安静にしていたんだからね。これ以上治療院は休みにしません。明日から再開します。」

「…分かった。では、絶対に無理はしないと、それだけは約束してくれ。」

「ライアス過保護すぎ。僕はもう全然大丈夫なのに。」

「本当に?」

「本当に。ちゃんと診察してもらって、5日前の時点で、女性としての機能はすべて正常だと言われたんだから。」

「そうか……。」

あれ…、今一瞬、ライアスの背後に、黒い炎が……。

「デニス、…デニスの体がどう変わったのかすべて見たい。」

そう言えば、変化が始まったころはとても怠くて、お風呂から何からライアスにいろいろしてもらっていたけれど、最近は、だいぶ調子が良くなっていたから、たいていの事は自分でやっていたんだ。
つまり、変化し切った体は、まだライアスに見せていなかった……。
やだ、すごく恥ずかしい。いずれは見せることになると思うけれ、女性になった僕の体を見て、ライアスはどう思うかな。
綺麗と思ってくれるかな?それとも幻滅させてしまうかな。
兎に角すぐには、恥ずかしいから嫌。
自分だってまだまともに見たことないんだから。
何とか逃げなくちゃ。
でも、そううまくはいかなかった。
いくはずがなかった。
だって僕は相変わらず、居間のソファでライアスに抱きかかえられているし、
ライアスのお願いを断れるほど、肝が据わっていないから。

「ライアス、あの、僕、お風呂…。」

「は、さっき入ったよね。」

「はい。」

「ねえ、デニス。脱いで?」

「え!ここで?」


「いや?」

「ていうか、恥ずかしい。」

「それじゃあ、私が脱がしてあげる。」

「ね、ライアス、寝室に行こう?」

あそこなら、居間ほど明るくないから少しはいい。此処よりは恥ずかしくない。

「そうだね。あそこの方が、デニスが楽だね。」

楽って何がでしょうか。
そして僕はライアスに手を引かれ、寝室に移動した。
でもね、何で暗いはずの寝室が、こんなに明るいの?

「だって、暗いとデニスがよく見えないじゃないか。」
見なくていいよ!ていうか、見ないで!
ライアスは、光の魔法で、寝室をこれでもかって言うほど明るくしていたんだ。

「そんな、もったいない!」

こんな事に、魔法を無駄遣いしないで!!
まあ、言っても無駄だとは思うけど。

ライアスは僕を立たせたまま、1枚1枚夜着や、下着を脱がせていった。
そして、裸になった僕をじっと見つめる。

「……なんて美しいんだ………。」

僕は改めて、自分の体を見下ろしてみた。
ふんわりと膨らんだ胸。
そんなに大きくはないけれど、子どもができると、もっと大きくなるんだって。
それから、くびれたウエスト。
張り出した腰。
骨格も随分変わったようだ。
肌の肌理も細かくなったような気がする。
僕の局部もとても小さくなり、今は女性のクリトリスへと変化している。
この変化が、わずか20日程で起こるとは…。すごいな、この肉体は……。
つい、治療師からの目で見てしまう。
するとライアスが、僕を優しく抱き上げベッドに横たえた。

「綺麗だデニス。まるで天使や女神さえ敵わぬほど美しい。」

そう言いながら僕の体を組み伏せ、唇を合わせ、舌を絡ませる。
いつものように、くちゅくちゅと、なまめかしい音がする。
そして、ライアスの両手が僕の膝を割ろうとする。

「嫌。」

僕は膝に力を込めた。
自分ですら見ていないそこを見られるのはものすごく恥ずかしい。

「お願い、見せて。女性になったデニスがどう変わったのか見たいんだ。」

そう言えば、僕も実際に女性の部分を見たのはルルさんの出産の時が初めてだ。
きっと僕もあれと同じように変化しているはず。
それを見てライアスはどう思うだろう
気持ち悪いと思わないだろうか…。

「やっぱり嫌!こんなの見たら、きっと僕を幻滅する。」

ライアスの下から逃げ出し、自分の体を守るよう、膝を抱え込んで体を丸め見上げる。

「デニス、そんなかっこをして、私を煽っているのか?」

僕を再び組み伏せ膝を抱え上げ、大きく割り開いた。
力では全然かなわない。

「やだ!やめて、ライアス。お願い見ないで!」

僕は半泣き状態で叫んだ。

「し―っ、泣かないで。デニスはどこもかしこも綺麗だよ。此処が変化したのは私の為だろ?」

それはそうだけど。

「私の為に変わってくれたものを、嫌うはずないじゃないか。」

「ほんと?」

「本当さ、だからよく見せて。無理強いするのは嫌なんだ。」

「やっぱり見るんだ。」

僕は今、真っ赤になっているんだろうな。

「ふふ、見せて、そしてデニスの体が本当に大丈夫であれば、それ以上の事もしたい。」

僕が変化する前、エッチは何回もしたのに、女性になった今は感情がリセットされた気がして、ものすごく恥ずかしい。

「するの?」

「やはり、辛いかい?」

「体は…大丈夫だと思うけど、でも、すごく…恥ずかしい。」

嘘をついて、体が辛いと言えば、いつまでたっても治療院を再開させてもらえない。

「大丈夫、本当の夫婦になって初めての行為だ。最初の時以上にやさしくするよ。でも、デニスも治療師だから分かっていると思うけど、」

「知っている。女性は初めての時は痛みを伴うって。でも痛みは我慢できる。だから……愛してライアス。」

羞恥さえ我慢してしまえば、本当は僕だってライアスに愛してほしいんだ。
僕は自分からライアスの首に腕を回した。
その先はライアスにすべて身を任せた。
早々に服を脱ぎ捨て、大きく開かれた僕の足の間に陣取ったライアスはものすごく嬉しそうに僕の女性部に悪戯を始めた。
正確には悪戯のつもりは無かったんだと思う。けれど僕にしてみたら、悪戯されているとしか思えない。
やっぱり恥ずかしすぎる。
お願いそんなにじっと見ないで。
顔を近づけないで。

「ハウッ!」

ダメ、舐めないで、

「すごい、本当に女性になったんだね。ちゃんと膣ができているよ。そこからトロトロの蜜が溢れ出している。」

いやん、そんなこと言わなくていいか…ら……。

「ん――――っ!」

いきなり今まで感じたことのない感覚が僕を襲った。

「デニス。どんな感じ?」

答えようとして、答えられるものじゃない。

「あ…あぁ……あぅ…。」

首を振りながら喘ぐしかない。
多分ライアスは僕の膣に指を入れ、こね回しているんだと思う。

「綺麗だデニス。綺麗で、色っぽくていやらしい。」

いや、そんな事を言われると、自分が淫乱になった気がする。
こんな姿をライアスに見せたくない。
僕は暴れだし、ライアスを拒んだ。

「落ち着けデニス。」

ライアスは僕を抱きしめてくれた、そしてやさしく髪をなでる。

「いったいどうしたんだ?」

「だって、僕、汚い。知らずにライアスを誘惑するようないやらしい体になっちゃったんだ。」

僕は両手で顔を隠し、まるで駄々っ子のようにライアスの手を拒む。

「悪かった、意地の悪い言い方をしてしまったな。決してお前な事を貶めるつもりで言ったのではないんだ。」

「でも、ライアスには僕がすごくいやらしく見えたんでしょ?」

ライアスが、僕の両手を取り見つめる。

「デニスは?デニスは私がいやらしく感じないかい?」

「……、ちょっと感じる……。」

「そんな私を嫌いになる?」

「ならない。絶対ならない!」

「私だって同じだ。返って、そう言う風になってくれないと、私はデニスに惚れられていないのかと思ってしまう。」

「こんないやらしい僕でもいいの?」

「当たり前だろう。」

そう言うとライアスはにやりと笑い、僕への悪戯を再開した。
でも、今度はその端々で、必ず僕への愛を呟いてくれる。
そして僕の体がもうこれ以上無理、限界と音を上げた時、よりにもよってライアスが動きを止めた。

「デニス、ひとつ確認していいか?」

いや、止めちゃいやだぁ。ねえ、続きをしてくれないの?

「デニスの体はここの所変化の連続だった。だからしばらくはデニスには無理してほしくはない。」

「…僕、大丈夫だよ。」

大丈夫、何ともない。治療院だって再開できる。患者さんが待っている。

「ん、見た目はそうかもしれない。でも中はきっとまだ脆い。」

「そうかもしれない。でも、」

「仕事をしたいのなら反対はしない。だが、子どもはもう少し時間を置いた方がいい。」

え、そっちの話なの?

「赤ちゃん、だめ?」

「駄目とは言っていない。ただもう少しの間、自分を大切にしてほしいだけだ。」

「僕は、自然に任せたい。ライアスの赤ちゃんは自然が頃合いを見て、良い時に与えてくれるような気がするんだ。」

「そううまくいくかどうか……。」

「だからお願い、赤ちゃんはしばらく待つなんて言わないで。」

「だが、お前が思っている通りになるかどうか分からないだろう?」

あ、これはだめなパターンだ。ライアスさんは僕に対してかなり過保護だから、こうなったらなかなか自分の信念を変えないだろうな。

これは先手必勝だ。
僕はサイアスをベッドに押し倒した。

「ライアス、続きをして?僕、ライアスが途中でやめたから、もう我慢できない。」

「それは私も同じだ。だが続きをするならそれなりに支度をさせてくれ。」

「いや、すぐにしたいの。」

それから僕は、ライアスの喜ぶことを思いっきりした。
羞恥心もかなぐり捨てて、キスし、ライアス自信を手にし、含み、擦り、自分から入れようとした。

「駄目だ。これ以上は私にさせてくれ。」

ライアスはクルリと僕を下にし、膣に指を入れる。

「あぁぁ…。」

そうだった、これからは愛し合う時はこちらを使うんだった。

「あぅっ、あぁ、ダメェ。」

すごい快感……。
抗えない。
ライアスの悪戯は段々酷くなる。
いや、僕の中を柔らかくしているんだ。
それでも、その行為になれるとさらに貪欲に快感を欲しがる僕の体。
まるでそれに合わせるように、ライアスの指も増えていく。

「ライアス、ね、も、大丈夫だから…。」

「いや、もう少し、解した方がいい。」

「お願い、ライアス。も、我慢するの、いやぁー。」

ライアスは上から僕の目をじっと見つめた。

「我慢できるか?」

「出来る、出来るからお願い!」

覚悟を決めたのか、自信を僕のそこにあてがい、ぎちぎちと少しずつ奥へと進める。

「あ…、ああ。」

やっぱり痛い。僕はライアスにしがみ付き、歯をかみしめた。
痛いけど、この痛みはライアスが僕に与えているもの。
そう思うと幸せ。
やがて、ライアスは動きを止めた。

「デニス、全部入ったよ。」

そう言いながら、深いキスをくれる。
そして、しばらく僕を優しく抱きしめてくれる。
どれぐらいそうしていただろう。僕は回した手で、ライアスの背をポンポンと軽くたたく。
「も、動いて…大丈夫だよ。」
すると、ものすごい綺麗の微笑を僕に向けた。
それからはもう成す術が無いほど翻弄された。
最初はやはりまだ痛かったけれど、我慢した。
でも、だんだんそれも薄れ、快感が勝ってくる。
今はもう音を上げる事が出来ないほど気持ちがいい。
女性は男性よりも快感が凄いと聞いたことが有るけれどそれは本当だった。
僕はあっという間に上りつめてしまったし、ライアスもちゃんと僕の中に放ってくれた。
でもライアスは僕がいくら強請っても、1度しかいかせてくれなかった。

「私だって、もっとデニスが欲しいんだよ。でも今日はもうお終い。少しづつ回数を重ねていこう。そのうちデニスが、嫌って言っても、してあげるから。」

それはそれで困ると思う。


僕は僕を必要としてくれる人が欲しかった。
それが叶うと、ライアスが恋しくてたまらなくなった。
そして、ライアスは僕をお嫁さんにしてくれた。
僕はとても幸せになったのに、もっともっと欲しいものが増えていく。
ライアス、僕は本当に欲張りなんだよ。
そして、今一番の望みは、この陽だまりのような毎日が、いつまでも続くことなんだ。
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