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転生編
私の中の、もう一人の私
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新しくダウンロードしたゲームは、乙女ゲーム。
王子様とヒロインが、ラブラブになって、幸せになるっていう奴だ。
”幸せのバラ 王子様に愛されて。”
すっごく安直なタイトルだけど、すっごく幸せになれそうな、この題名。
タイトル惚れした私は、すぐさまダウンロードした。
ゲームの中なら、こんな私でもみんな優しくしてくれる(筈)
そして、私はとてもきれいなヒロインになり、王子様に優しくしてもらって、
砂糖を吐くような、甘い言葉を囁いてもらえる。
早くゲームがしたくて、説明文もそこそこに、私はキャラ設定に勤しむ。
「さて、これでいいわ。
完璧!」
満足した私は、長期戦を覚悟し、ジャージに着替えて布団に潜り込む。
「準備万端、いざ勝負!」
そう思ったら、急に胸が痛んだ。
痛いと思ったら、耐えられないほどの痛みに変わるまで、そう時間がかからなかった。
私は胸を押さえ、布団の中でのた打ち回る。
「死ぬ!死んじゃう!!」
そして、その痛みに耐えられなくなり、私の意識は暗転した。
それから、気が付くと、頭の中がこんがらかっていて、
更に目が覚めて今に至る。
「えーと、ちょっと頭の中を整理しようか。」
私の名前は河本美夏。
うん、間違いないよね。
それじゃあアンリエッタって誰。
確か公爵令嬢ってほざいていたよね。
ファンタジ~。
生まれたのは鹿島村。
アンリエッタはダットワルツと言っているけど……。
で、県立島津精華高校1年で、今は連休の…何日目だ?
まずい、余計な時間を潰してしまった。
さっさとゲームしなくちゃ。
すると誰かがそれを止める。
『いけませんわ。私、とてもおなかが空いておりますの。
食は大切。ちゃんと食べなければ、死んでしまいますのよ。』
そんな訳ないじゃない。たかだか1食抜いたぐらいで。
『いけません!
それにご飯を食べなかったのは1回だけではなかったはず。』
そうだっけ?
私は部屋の目覚まし時計見た。
日付は5月1日午前8時
「うっそおおーー!」
何故よ、ゲームをダウンロードしてから、3日経ったってこと!?
何て時間を無駄ににしたんだろう、早くゲームしなくちゃ。
『だからいけませんと言っているのです。
ごはん、ごはんですわ。
それと水分を取らなくては。
早くして下さいませ。』
あー五月蠅い。
でも、確かにお腹空いたし、のども乾いた。
しょうがない、ご飯を食べるか。
私はのろのろと起き上がり、やかんを火に掛け、戸棚から、カップラーメンを取り出す。
お湯を注いで3分間。
おもむろに蓋を剥がし、はしを持つ。
『まあ、何ですのこれ?
とてもいい香りがします。
でも、オードブルはどこですの?
デザートはどういたしましょう。
私、ワインは飲めませんから、オレンジジュースで結構ですわ。』
何なんだ、この頭の中で騒いでいる奴は。
「今はこれしかないの、大人しくして。」
『これしか無いのですか?』
「無いの。」
『それなら仕方ありませんね。
でも、これもとても美味しそう。
早く食べましょ。』
「だったら黙って食べさせて。
麺が伸びる。」
カップに箸を突っ込み、ズズツと麺をすする。
久しぶりの食事で、流石に食に疎い私も美味しく感じる。
『なっ、何ですのこれ。
すっごく美味しいです。』
「うん、美味しいね。」
何か、二人で食事している気分だ。
一人で鬱々とご飯を食べるより、美味しく感じる。
これが美味しいと感じるなら、
カレーとか、ハンバーグとか、グラタンなんて、感激するんじゃないかな。
そう言えば最近食べてないなぁ、
久々に食べたいな。
そう思いながら、カップラーメンの汁を飲み尽くした。
それから水をがぶ飲みし、歯を磨き、ついでにシャワーを浴びる。
脱衣所の鏡を見た時、何故か違和感を覚えた。
『凄いですわ。
お湯が上から降ってきます。』
まあ、下から降っては来ないわな。
何て屁理屈を思いながら、
違うジャージを着込み、
やっとゲームができると布団に潜り込もうとする。
『ねえ、この布団、ちょっと湿気っぽいですわよ。』
五月蠅いなぁ。別に寝れない訳じゃ無いんだからいいじゃない。
『でも、湿気っぽいですわ。
どうせ寝るなら気持ち良い方がいいです。
それになぜ、昼間から寝るんですか?
具合はいいですよね。』
何故布団に入るかって?、ゲームをするからだよ。
『ゲームとは、布団の中でするものですか?』
……………。
分ったわよ、天気もいいし、布団を干そう。
ついでにシーツをはぎ取り、洗濯機を回す。
何て健全な作業だろう。
王子様とヒロインが、ラブラブになって、幸せになるっていう奴だ。
”幸せのバラ 王子様に愛されて。”
すっごく安直なタイトルだけど、すっごく幸せになれそうな、この題名。
タイトル惚れした私は、すぐさまダウンロードした。
ゲームの中なら、こんな私でもみんな優しくしてくれる(筈)
そして、私はとてもきれいなヒロインになり、王子様に優しくしてもらって、
砂糖を吐くような、甘い言葉を囁いてもらえる。
早くゲームがしたくて、説明文もそこそこに、私はキャラ設定に勤しむ。
「さて、これでいいわ。
完璧!」
満足した私は、長期戦を覚悟し、ジャージに着替えて布団に潜り込む。
「準備万端、いざ勝負!」
そう思ったら、急に胸が痛んだ。
痛いと思ったら、耐えられないほどの痛みに変わるまで、そう時間がかからなかった。
私は胸を押さえ、布団の中でのた打ち回る。
「死ぬ!死んじゃう!!」
そして、その痛みに耐えられなくなり、私の意識は暗転した。
それから、気が付くと、頭の中がこんがらかっていて、
更に目が覚めて今に至る。
「えーと、ちょっと頭の中を整理しようか。」
私の名前は河本美夏。
うん、間違いないよね。
それじゃあアンリエッタって誰。
確か公爵令嬢ってほざいていたよね。
ファンタジ~。
生まれたのは鹿島村。
アンリエッタはダットワルツと言っているけど……。
で、県立島津精華高校1年で、今は連休の…何日目だ?
まずい、余計な時間を潰してしまった。
さっさとゲームしなくちゃ。
すると誰かがそれを止める。
『いけませんわ。私、とてもおなかが空いておりますの。
食は大切。ちゃんと食べなければ、死んでしまいますのよ。』
そんな訳ないじゃない。たかだか1食抜いたぐらいで。
『いけません!
それにご飯を食べなかったのは1回だけではなかったはず。』
そうだっけ?
私は部屋の目覚まし時計見た。
日付は5月1日午前8時
「うっそおおーー!」
何故よ、ゲームをダウンロードしてから、3日経ったってこと!?
何て時間を無駄ににしたんだろう、早くゲームしなくちゃ。
『だからいけませんと言っているのです。
ごはん、ごはんですわ。
それと水分を取らなくては。
早くして下さいませ。』
あー五月蠅い。
でも、確かにお腹空いたし、のども乾いた。
しょうがない、ご飯を食べるか。
私はのろのろと起き上がり、やかんを火に掛け、戸棚から、カップラーメンを取り出す。
お湯を注いで3分間。
おもむろに蓋を剥がし、はしを持つ。
『まあ、何ですのこれ?
とてもいい香りがします。
でも、オードブルはどこですの?
デザートはどういたしましょう。
私、ワインは飲めませんから、オレンジジュースで結構ですわ。』
何なんだ、この頭の中で騒いでいる奴は。
「今はこれしかないの、大人しくして。」
『これしか無いのですか?』
「無いの。」
『それなら仕方ありませんね。
でも、これもとても美味しそう。
早く食べましょ。』
「だったら黙って食べさせて。
麺が伸びる。」
カップに箸を突っ込み、ズズツと麺をすする。
久しぶりの食事で、流石に食に疎い私も美味しく感じる。
『なっ、何ですのこれ。
すっごく美味しいです。』
「うん、美味しいね。」
何か、二人で食事している気分だ。
一人で鬱々とご飯を食べるより、美味しく感じる。
これが美味しいと感じるなら、
カレーとか、ハンバーグとか、グラタンなんて、感激するんじゃないかな。
そう言えば最近食べてないなぁ、
久々に食べたいな。
そう思いながら、カップラーメンの汁を飲み尽くした。
それから水をがぶ飲みし、歯を磨き、ついでにシャワーを浴びる。
脱衣所の鏡を見た時、何故か違和感を覚えた。
『凄いですわ。
お湯が上から降ってきます。』
まあ、下から降っては来ないわな。
何て屁理屈を思いながら、
違うジャージを着込み、
やっとゲームができると布団に潜り込もうとする。
『ねえ、この布団、ちょっと湿気っぽいですわよ。』
五月蠅いなぁ。別に寝れない訳じゃ無いんだからいいじゃない。
『でも、湿気っぽいですわ。
どうせ寝るなら気持ち良い方がいいです。
それになぜ、昼間から寝るんですか?
具合はいいですよね。』
何故布団に入るかって?、ゲームをするからだよ。
『ゲームとは、布団の中でするものですか?』
……………。
分ったわよ、天気もいいし、布団を干そう。
ついでにシーツをはぎ取り、洗濯機を回す。
何て健全な作業だろう。
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