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炎天下に見たヘボ幻夢
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私はオカルトや不思議な世界に心惹かれるオタクであります。
何故そのような趣味を持つに至ったのかを自分なりに分析してみましたので、それを書きたいと思います。
一応言っておきますが、この先に語るのは『ヘボい不幸話』&『食事中に読むと気分を害する話』に属するものなので閲覧注意です。
私は生まれた家がビンボーでありました。
あれは確か幼稚園の夏休みの出来事でした。
5歳の頃でしょうか。
例のごとく腹を空かせていた私は、家から駄菓子屋までの遠い道のりを、小銭が落ちてないか探しながら何往復も彷徨っていました。(小銭を駄菓子屋でチロルチョコにかえるためです)
帽子も被らず彷徨ううちに、真夏の炎天下、私は暑くてボーとし始めました。
アスファルトから立ち昇る蜃気楼の中に水たまりが見えて、水に触りたいなあと思い前進するものの、一向に水たまりは現れません。
何故かなあ、何故かなあ、と不思議に思いながら徘徊を続けるうちに、本格的にボーとしてきた。
なんとなく命の危機みたいのを感じた私は、帰ろうとするんですが、どっちが家の方向かわからない。
十歩歩いては方向を疑い、歩いては方向を疑い……と、完全に判断力を失った状態でした。
道中に人影はありませんでした。
腹は減ってるし暑いし喉は渇いているし、道はよく分からんし、泣きそうになってました。
私はこのまま死ぬのかなあ、と恐ろしく思いました。
やがて、風に乗って、どこからか甘い匂いが漂ってきました。
腹を空かせていたので、フラフラ~と匂いの発生源に歩いていきました。
見ると、道端に、ホカホカと湯気を上げる焼き芋が落ちているではありませんか。
甘い匂いは、この焼き芋だったんだ!
5歳の女児の脳内が、パァーーと明るくなりました。
拾い食いは絶対ダメ
という、よく聞くフレーズが頭に浮かびましたが、ビンボーな私に通用する訳のねえ
『上流階級国民どもが吹聴してくる気取った清潔概念』
などクソほどどうでも良い。
こちらは腹が減っているんだ。
この焼き芋をゲット出来ねば死ぬかもしれないという洒落にならない死活問題、これが当時の私のリアルであり、みっともないとか汚いとか気にしてる余裕なんぞ皆無でありました。
では、拾うか。
一応人影のない事を確認したあと、ニヤつきながら腰を屈め、焼き芋を至近距離で見たのですが。
伸ばした手が、そこで止まってしまいました。
なんか、よく見ると、焼き芋ではないように見えるんです。
なんか。
なんかよく見ると、形状と質感がウ○コにソックリである。
湯気を発してる所からして『産みたて』のウ○コに見えてくる………
私は神妙な面で、物体の正体を見極めようとしました。
コレってウ○コなのかな?
もし、ウ○コと仮定して。
まず、人糞な訳は無いです。
ブツが落ちてたのは道路の中央で、隠れる事は不可能です。こんな所で真っ昼間からケツを出せる猛者が存在するとは思えない。
大型犬だとしても、先刻から徘徊する中で犬の影など見えなかった。
それにブツが放つ匂いというのが、紛れもなく焼き芋の匂いなんです。
その中に、ウ○コらしい臭気というのが一切感じられないのです。
もしも私が盲目であればコレを間違いなく焼き芋と断定し、直ちに拾って懐におさめていることだろう。
ギュッと目を瞑って盲目の人になりきって、鼻だけでブツの正体を捉えようともしました。
でも目を開けてみれば、それはウ○コでありました。
私は混乱に陥りました。
匂いは100パー焼き芋なのに、見た目は70パーウ○コみたいな、『ブツ』の正体が見極められずに混乱に陥りました。
一度『焼き芋』と断じてしまったので、その未練は簡単に捨てられない、絶対に諦めたくないしウ○コなどとは認めたくない、『焼き芋を拾って持って帰って食う』という、ドビンボー女児にとってはスッゲーミラクルなラッキー現象を、飢えて炎天下でアホになっていた私は取り憑かれたように追い求めた訳です。
あなたは焼き芋さんですか?
それともウ○こさん?
いつの間にか、心の中で問いかけていました。
妖精とか付喪神とか物体の擬人化とか、そういう存在を私はテレビアニメや絵本で見知ってましたので、それを信じて、ブツ相手に素直に『対話』を試みたのです。
けれども、ブツは押し黙ったままです。
私はこの時ほど、本気でテレパシー能力を所望した事はありません。もう必死でしたからね。
私の心が汚れているから、お話してくれないのかな…
だんだん落ち込む女児。
罪悪感はあったのですね。
道に落ちてるお金は交番に届けなきゃならないけど、それを拾ってチロルチョコに変えていた悪行というものがここにきて突き刺さってきます。
私が悪者だから、テレパシーが通じないのかなあ。
でもなんか納得がいかない。
金が無いのは自分のせいではありません。
働きたくとも、自分は子どもだから金は貰えないです。
やがて、ブツに一匹のハエが着地しました。
緑色だか紫色だかよくわからない、メタリックのツヤを持ってハエでした。
なあハエ、それって焼き芋?それともウ○コ?
ハエという虫には何故か軽蔑感を覚えてましたから、タメ口で語りかけました。だけど返事はありません。
それに、ハエ=ウ○コという方程式がテレビによって植え付けられていた。
私はだんだん腹が立ってきました。
残念、コレはウ○コだ、諦めろ
と、ハエに笑われてるような気がしてきました。
なんか知らんが、私はここで限界となりました。
ああそうなんだろう、お前の言うとおりソレはウ○コなのだろうよ、だが説明してほしい、ならばこの焼き芋の匂いはどういう事なのかと。
ハエよ、思うにこのブツは、ビンボーに苦しむ私を哀れんだ神様が、私だけに与えられるように『ウ○コという擬態』を施したこの世でただひとつの焼き芋なんじゃねえのか?そしてお前は、神様から『ウ○コ擬態』を手伝うように命じられた天界からの使者であり、この焼き芋が他の誰の手にも渡らぬよう、そんなふうにしてウ○コ演出を頑張ってんだろ?
ハエよ、その焼き芋を享受する哀れな者とは、この私なんだよ。
だからもう、ウ○コ演出は要らんのだ。
私の焼き芋に触らんでくれ。
お前はアレだろ?
どうせさっきまで、他のマジモンのウ○コを触っていたのだろう?
どっか行けやハエーーーーーー!!(゚∀゚)
だがどんなに念じても、ハエはピクリとも動かない。
怒り心頭となった私はハエを抹殺しようと、ブツもろとも足で踏みつけてやりました。
しかしハエは難なく飛び去りました。
ブツを踏み抜いた瞬間に私はやっと気づくんですね。
木の棒か何か拾ってブツを切ってみて、断面の色を確認する事でブツの正体を判定するという三次元的な手法。
それを使えば秒で問題解決が出来たのに、判断力を失った私はテレパシーで語りかけるなどという五次元的な方法に縋ってしまった。
しまった!と悔いた時には遅かったんです。
私のボロ靴にはベッタリとウ○コがついてしまい、何をどうやっても取れない状態に……
ババアに殺される
と思いました。
この場合のババアとは、母の事ですが、靴を汚して帰るなんてビンボーの家では許されない事でしたから、私は泣いてしまいましたね。
考えたあげく、靴はドブ川に放り投げました。
そのあと家に帰って、……その後の記憶はありません。
こんな事があって、当時の私はマジでテレパシーを駆使しようとしたので、なんか未だに見えない存在には興味が尽きないです。
一度強烈に刻みつけられてしまった興味というのはなかなか消えないんです。
そして私には超能力も霊能力も備わっていない。
どこまで行っても幻でありファンタジーであり、決して手が届かないオカルトの世界に、魅了され続けているんです。
イモに対する執着は未だに強く、焼き芋を見かけたらだいたい買ってます。
だいたいハエとウ○コの記憶がセットになってくっついてきますが、今から思えば良い思い出だったなあと微笑みながら食べられます。
そんな風に思い出も変えられるのだから時間というのは凄いなあ、と思いました。
最後まで読んでくださったあなたは、とても優しい人間だと思います。
お礼として、あなたの金運アップをお祈りします。
忘れていたカードのポイントに気づく、しまいこんでいた服のポケットから小銭が出てきた。
そんなラッキー現象が起こる事を祈っております。
ではでは。
何故そのような趣味を持つに至ったのかを自分なりに分析してみましたので、それを書きたいと思います。
一応言っておきますが、この先に語るのは『ヘボい不幸話』&『食事中に読むと気分を害する話』に属するものなので閲覧注意です。
私は生まれた家がビンボーでありました。
あれは確か幼稚園の夏休みの出来事でした。
5歳の頃でしょうか。
例のごとく腹を空かせていた私は、家から駄菓子屋までの遠い道のりを、小銭が落ちてないか探しながら何往復も彷徨っていました。(小銭を駄菓子屋でチロルチョコにかえるためです)
帽子も被らず彷徨ううちに、真夏の炎天下、私は暑くてボーとし始めました。
アスファルトから立ち昇る蜃気楼の中に水たまりが見えて、水に触りたいなあと思い前進するものの、一向に水たまりは現れません。
何故かなあ、何故かなあ、と不思議に思いながら徘徊を続けるうちに、本格的にボーとしてきた。
なんとなく命の危機みたいのを感じた私は、帰ろうとするんですが、どっちが家の方向かわからない。
十歩歩いては方向を疑い、歩いては方向を疑い……と、完全に判断力を失った状態でした。
道中に人影はありませんでした。
腹は減ってるし暑いし喉は渇いているし、道はよく分からんし、泣きそうになってました。
私はこのまま死ぬのかなあ、と恐ろしく思いました。
やがて、風に乗って、どこからか甘い匂いが漂ってきました。
腹を空かせていたので、フラフラ~と匂いの発生源に歩いていきました。
見ると、道端に、ホカホカと湯気を上げる焼き芋が落ちているではありませんか。
甘い匂いは、この焼き芋だったんだ!
5歳の女児の脳内が、パァーーと明るくなりました。
拾い食いは絶対ダメ
という、よく聞くフレーズが頭に浮かびましたが、ビンボーな私に通用する訳のねえ
『上流階級国民どもが吹聴してくる気取った清潔概念』
などクソほどどうでも良い。
こちらは腹が減っているんだ。
この焼き芋をゲット出来ねば死ぬかもしれないという洒落にならない死活問題、これが当時の私のリアルであり、みっともないとか汚いとか気にしてる余裕なんぞ皆無でありました。
では、拾うか。
一応人影のない事を確認したあと、ニヤつきながら腰を屈め、焼き芋を至近距離で見たのですが。
伸ばした手が、そこで止まってしまいました。
なんか、よく見ると、焼き芋ではないように見えるんです。
なんか。
なんかよく見ると、形状と質感がウ○コにソックリである。
湯気を発してる所からして『産みたて』のウ○コに見えてくる………
私は神妙な面で、物体の正体を見極めようとしました。
コレってウ○コなのかな?
もし、ウ○コと仮定して。
まず、人糞な訳は無いです。
ブツが落ちてたのは道路の中央で、隠れる事は不可能です。こんな所で真っ昼間からケツを出せる猛者が存在するとは思えない。
大型犬だとしても、先刻から徘徊する中で犬の影など見えなかった。
それにブツが放つ匂いというのが、紛れもなく焼き芋の匂いなんです。
その中に、ウ○コらしい臭気というのが一切感じられないのです。
もしも私が盲目であればコレを間違いなく焼き芋と断定し、直ちに拾って懐におさめていることだろう。
ギュッと目を瞑って盲目の人になりきって、鼻だけでブツの正体を捉えようともしました。
でも目を開けてみれば、それはウ○コでありました。
私は混乱に陥りました。
匂いは100パー焼き芋なのに、見た目は70パーウ○コみたいな、『ブツ』の正体が見極められずに混乱に陥りました。
一度『焼き芋』と断じてしまったので、その未練は簡単に捨てられない、絶対に諦めたくないしウ○コなどとは認めたくない、『焼き芋を拾って持って帰って食う』という、ドビンボー女児にとってはスッゲーミラクルなラッキー現象を、飢えて炎天下でアホになっていた私は取り憑かれたように追い求めた訳です。
あなたは焼き芋さんですか?
それともウ○こさん?
いつの間にか、心の中で問いかけていました。
妖精とか付喪神とか物体の擬人化とか、そういう存在を私はテレビアニメや絵本で見知ってましたので、それを信じて、ブツ相手に素直に『対話』を試みたのです。
けれども、ブツは押し黙ったままです。
私はこの時ほど、本気でテレパシー能力を所望した事はありません。もう必死でしたからね。
私の心が汚れているから、お話してくれないのかな…
だんだん落ち込む女児。
罪悪感はあったのですね。
道に落ちてるお金は交番に届けなきゃならないけど、それを拾ってチロルチョコに変えていた悪行というものがここにきて突き刺さってきます。
私が悪者だから、テレパシーが通じないのかなあ。
でもなんか納得がいかない。
金が無いのは自分のせいではありません。
働きたくとも、自分は子どもだから金は貰えないです。
やがて、ブツに一匹のハエが着地しました。
緑色だか紫色だかよくわからない、メタリックのツヤを持ってハエでした。
なあハエ、それって焼き芋?それともウ○コ?
ハエという虫には何故か軽蔑感を覚えてましたから、タメ口で語りかけました。だけど返事はありません。
それに、ハエ=ウ○コという方程式がテレビによって植え付けられていた。
私はだんだん腹が立ってきました。
残念、コレはウ○コだ、諦めろ
と、ハエに笑われてるような気がしてきました。
なんか知らんが、私はここで限界となりました。
ああそうなんだろう、お前の言うとおりソレはウ○コなのだろうよ、だが説明してほしい、ならばこの焼き芋の匂いはどういう事なのかと。
ハエよ、思うにこのブツは、ビンボーに苦しむ私を哀れんだ神様が、私だけに与えられるように『ウ○コという擬態』を施したこの世でただひとつの焼き芋なんじゃねえのか?そしてお前は、神様から『ウ○コ擬態』を手伝うように命じられた天界からの使者であり、この焼き芋が他の誰の手にも渡らぬよう、そんなふうにしてウ○コ演出を頑張ってんだろ?
ハエよ、その焼き芋を享受する哀れな者とは、この私なんだよ。
だからもう、ウ○コ演出は要らんのだ。
私の焼き芋に触らんでくれ。
お前はアレだろ?
どうせさっきまで、他のマジモンのウ○コを触っていたのだろう?
どっか行けやハエーーーーーー!!(゚∀゚)
だがどんなに念じても、ハエはピクリとも動かない。
怒り心頭となった私はハエを抹殺しようと、ブツもろとも足で踏みつけてやりました。
しかしハエは難なく飛び去りました。
ブツを踏み抜いた瞬間に私はやっと気づくんですね。
木の棒か何か拾ってブツを切ってみて、断面の色を確認する事でブツの正体を判定するという三次元的な手法。
それを使えば秒で問題解決が出来たのに、判断力を失った私はテレパシーで語りかけるなどという五次元的な方法に縋ってしまった。
しまった!と悔いた時には遅かったんです。
私のボロ靴にはベッタリとウ○コがついてしまい、何をどうやっても取れない状態に……
ババアに殺される
と思いました。
この場合のババアとは、母の事ですが、靴を汚して帰るなんてビンボーの家では許されない事でしたから、私は泣いてしまいましたね。
考えたあげく、靴はドブ川に放り投げました。
そのあと家に帰って、……その後の記憶はありません。
こんな事があって、当時の私はマジでテレパシーを駆使しようとしたので、なんか未だに見えない存在には興味が尽きないです。
一度強烈に刻みつけられてしまった興味というのはなかなか消えないんです。
そして私には超能力も霊能力も備わっていない。
どこまで行っても幻でありファンタジーであり、決して手が届かないオカルトの世界に、魅了され続けているんです。
イモに対する執着は未だに強く、焼き芋を見かけたらだいたい買ってます。
だいたいハエとウ○コの記憶がセットになってくっついてきますが、今から思えば良い思い出だったなあと微笑みながら食べられます。
そんな風に思い出も変えられるのだから時間というのは凄いなあ、と思いました。
最後まで読んでくださったあなたは、とても優しい人間だと思います。
お礼として、あなたの金運アップをお祈りします。
忘れていたカードのポイントに気づく、しまいこんでいた服のポケットから小銭が出てきた。
そんなラッキー現象が起こる事を祈っております。
ではでは。
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