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第六章 王子
1メイド詰所
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「すぐ、お戻り下さい。」
急いで戻ると、宰相のイグナートと、疲れた表情の王妃。王立騎士団長他、俺のしらない何人かが口々に話すものだから、聞き取れないが、王が、とか聞こえたので、何か大変な事が起きたことが解った。王妃はすぐにアーネスをつれて別室へ行こうとするので、護衛の俺もついていく。
「ソニーはここに。」
イグナートに呼ばれた。
一礼して、王子を見送り、宰相の側へ。
「何かあったのですか。」
「国王は崩御あらせられました。」
「!」
それから、王宮内は蜂の巣をつついたような大騒ぎだった。新王の崩御。即位後、一年もたっていないのだ。前王の病は重く、王妃は鬱ぎ、宰相は寝る間もなく奔走した。
しめやかに、国葬が行われ国中に黒い旗 がなびいた。アーネス王子の側にいる俺も灰色の礼装で、祈りを捧げた。棺から泣いて離れないアーネス王子は俺が抱き止め、地下の墓へ向かう棺を見送る。
「さ、参りましょう。」
人気の少ない王宮の廊下を殿下の手を引き歩いていると、人の気配を感じた。
「誰か!!」
大声をあげ、王子を抱き上げた。
王子を抱いたまま俺は走り出した。
殺気をまとった侵入者が追ってくる。
「ソニー!」
「テオ!」
頼もしい助っ人が現れた。
「二人だ!」
なにも言わずに彼は仕事に取りかかる。その隙に俺は駆け抜けて安全な場所を探す。
「ソニーこっちだ。」
衛兵が呼ぶ。声の方に振り向くと、こいこいと手招きされた。
飛び込んだところはメイドの詰所。何でまたこんなところに、と思ったが、ここからは至るところに通じる通路と通信機器がある。どこに呼ばれても、すぐ来る訳だ。と納得した。
「敵は?」
「人数、正体は不明だが、前王とアーグ殿下を狙ってた。アーネス王子も危ない。」
腕に抱いたままの王子は気を失っている。
「どう、動く?」
「情報がほしいな。」
メイドの一人を呼んで、様子を見てきてくれと衛兵が言う。
「おい、女一人で、危険だろ。」
躊躇なく行動するメイドに驚きながら言うと、大丈夫と返された。
「貴方より強いですよ彼女は。」
「はー。わかった。イグナートか。」
「至るところに手の者はおりますから。」
となると、この衛兵もだな。
急いで戻ると、宰相のイグナートと、疲れた表情の王妃。王立騎士団長他、俺のしらない何人かが口々に話すものだから、聞き取れないが、王が、とか聞こえたので、何か大変な事が起きたことが解った。王妃はすぐにアーネスをつれて別室へ行こうとするので、護衛の俺もついていく。
「ソニーはここに。」
イグナートに呼ばれた。
一礼して、王子を見送り、宰相の側へ。
「何かあったのですか。」
「国王は崩御あらせられました。」
「!」
それから、王宮内は蜂の巣をつついたような大騒ぎだった。新王の崩御。即位後、一年もたっていないのだ。前王の病は重く、王妃は鬱ぎ、宰相は寝る間もなく奔走した。
しめやかに、国葬が行われ国中に黒い旗 がなびいた。アーネス王子の側にいる俺も灰色の礼装で、祈りを捧げた。棺から泣いて離れないアーネス王子は俺が抱き止め、地下の墓へ向かう棺を見送る。
「さ、参りましょう。」
人気の少ない王宮の廊下を殿下の手を引き歩いていると、人の気配を感じた。
「誰か!!」
大声をあげ、王子を抱き上げた。
王子を抱いたまま俺は走り出した。
殺気をまとった侵入者が追ってくる。
「ソニー!」
「テオ!」
頼もしい助っ人が現れた。
「二人だ!」
なにも言わずに彼は仕事に取りかかる。その隙に俺は駆け抜けて安全な場所を探す。
「ソニーこっちだ。」
衛兵が呼ぶ。声の方に振り向くと、こいこいと手招きされた。
飛び込んだところはメイドの詰所。何でまたこんなところに、と思ったが、ここからは至るところに通じる通路と通信機器がある。どこに呼ばれても、すぐ来る訳だ。と納得した。
「敵は?」
「人数、正体は不明だが、前王とアーグ殿下を狙ってた。アーネス王子も危ない。」
腕に抱いたままの王子は気を失っている。
「どう、動く?」
「情報がほしいな。」
メイドの一人を呼んで、様子を見てきてくれと衛兵が言う。
「おい、女一人で、危険だろ。」
躊躇なく行動するメイドに驚きながら言うと、大丈夫と返された。
「貴方より強いですよ彼女は。」
「はー。わかった。イグナートか。」
「至るところに手の者はおりますから。」
となると、この衛兵もだな。
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