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第二章 王立騎士団

3 つきまとう同僚

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「ソニーどうかしたか?」
つい油断していた。今日は門番の当番で詰所で待機中だった。

「あ、なんでもないです。今行きます。」

今日の相棒は歳の離れた…歳上の先輩……テオだ。ずいぶん鍛えているようで、筋肉質の美男だ。俺の腕をちょっと見てみる、一回り、いや二回り大きいぞ。ちょとうらやましいぞ。
「……泣いていたのか?」
「……」
いやいや、気づいても言わないでくださいよ。恥ずかしいなあ。
「いえ、目にゴミが入って。」
「大丈夫か、顔見せてみろ?」
いつの間にかすぐそばに来ていて、腕が背中に回される。顎を持ち上げられ、俺は見上げる形でテオと顔を合わせた。
  ニヤリと笑うその顔にゾッとした。コイツは、ヤバイ!近づいてはいけない奴だ。気を付けよう。
「だ、大丈夫です。時間ですね。い…行きましょうか。」
あわてて腕を突っ張り、距離をとる。

「ソニーはもっと食った方がいいな、痩せすぎだぞ。」
ウエストあたりに手を回してきた。うおっ!やめてくれ。俺は遠慮なくその手を払う。
「そんなことないですよ。普通です。」
「こんどおごってやる。何が食べたい?」
  うわあ、やな展開。どうしよう。ぐいぐい来る~男同士のデートなんて、勘弁してくれ。……あ、そうだ。
  苦し紛れで、一つ考えがひらめいた。
「レディのレストランなら、なんでも美味しいですよ。」
  ちょっとニコッとして言ってやった。男が好きなら、多分マックの噂は知ってるだろう。マックと親しくしてると知ったら…マックがライバルなら…諦めてくれるかも。
「ふ~ん、レディねぇ~。彼をレディって呼ぶ奴、初めて見たよ。」 
ニヤニヤ顔のテオ。これは……間違えたか?全然効かないな。 
「そうなんですか?」
「おまえは、彼にファライエって呼ばれるのか?」
「ナイショです。二人の時になんて呼ばれてるかなんて先輩には教えられませんよ。」
うまく誤解してくれたようだ。ただ、男もOKとの誤解もされたが……後でマックにうまく合わせてもらうように言っとこう。
「さあ、仕事、仕事。」

  だが、その後もテオには何かと構われた。うっとおしいが、同僚なので話しかけられると、無視することもできない。
  同僚に話を聞いてみると、テオは同僚間でもゲイだと認識されているようで、俺まで、同僚からそんな目で見られ始めている。まいったな……レディ、ファーと呼びあう仲だとか……ファーって、何処から出た?……マックの愛人だとか……誰彼構わず誘うとか…噂が……まあ、不用意な発言をした俺が悪いな、マックにはあやまっておこう。……はぁ、全く…どう訂正すればいいのか………
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