82 / 97
第十章兄弟
9今日もいい天気だな
しおりを挟む
「テオ・ドール、君は今日から、息子のイグナートの下で働いてもらう。」
任務で長く王都から離れていたので、直接上司のハルバートと顔を合わすのは何年ぶりだろうか。
「はい。ハルバート様。」
「今まで、ご苦労だった。これからのお前の働きに期待しているぞ。」
ハルバートは宰相の補佐に息子を置くつもりらしい。
「ありがとうございます。私ごとき、他に替えがいくらでもおりますゆえ、いかようにでもお使いください。」
「配置の希望はあるのか?」
「長く外におりましたから、叶うのでしたら王都近くに。」
「うん。テオ、早速だが、今、お前はいくつだ?。」
「はい。イグナート様。もうじき五十歳に。」
「そうはみえないが、そうか……今、騎士の増員を考えている。能力は問題ないな、いずれ近衛に……手順通りに訓練を一通りこなしてもらう…しかし、新人近衛騎士というには、年齢がな…若くは見えるが、無理があるか。別の部署からの配置変えにするか……」
考えて込んでいるようだったので、解決策を提案する。
「年相応の顔に整形すれば、問題ありませんね。」
「そこまで……するのか……?」
「問題ありません。今までにも、潜入のおり、経験しておりますから。今のこの顔も、生まれたままではありません。気になさらないで下さい。」
「親父殿……容赦ないな……そうだな、頼む。テオ。他に希望があれば、言ってくれ。」
「はい。」
子どもの頃は自分は頭が悪い、学校なんて行かなくていい。と思っていた。教会を出て貴族の屋敷の庭師の養子になり、ご主人様の好意で学校に通うことになった。すぐに、成績は上位をキープ。卒業まで、トップはとれなかったが、片手には入っていた。ご主人様も喜んで、上の学校をすすめてくれて、大学校もそこそこ優秀な成績で卒業した。優秀な生徒は大学時代から大手企業からの誘いがあるが、俺の場合はご主人様の知り合いの領主が、事務と秘書をほしがっていたので、しばらくしそこで仕事をすることにした。
身体を鍛えたくて、学校に入る頃から体術を学んでいた。こちらも俺に、合っていたようで、トップと張り合うくらいにはなった。しかし、なかなか大会で優勝することはなかった。
「テオ、長い間ありがとう。ようやく正式な秘書が来てくれることになった。君のおかげて、助かったよ。これ、仕事の紹介状だ。先方には話してある。頑張れよ。」
「はい。御世話になりました。」
領主から仕事の終わりを告げられ、紹介状を手渡される。
紹介状をもって面接に行ったら、王宮の中で事務手伝いをすることになった。そこで初めてハルバートに会った。何度目かで声を掛けられ、一年がたつ頃には、ハルバートの手伝いを頼まれるようになっていた。いくつも研修を重ねて頼まれ事をこなしていくうちに、あれ?何か普通じゃないよな?この仕事って、気が付いた。ハルバートの表の仕事をこなす傍ら裏の仕事も…するようになっていく。
俺はそんな仕事でも、まあ、優秀だったんだ。
この俺が近衛騎士になって、もう何年だ?。嘘みたいだよな。俺の見た目は三、四十歳。だが、もう百三十歳。目の前にいるやつなんて、二十歳だぜ?騙すのなんて、ちょろいわ。
「ソニー。」
「あ、テオ。おはよう。」
イグナートは重要人物だと言ったが、とてもそんな風に見えない。何かを隠しているのか。それも……どうでもいい。
「今日もいい天気だな。」
呑気な奴。
指令が来た。
俺はこれから、約束を果たさなくてはならない。
ルーカ……ようやく……だ…
「あ、テオ、イグナートが呼んでた。今日交代したら話があるって言ってたよ。」
「わかった。今日は護衛か?今度飲みにいかないか?」
「飲むだけなら、いつでもいいぜ。」
「飲むだけかぁ。こことも付き合いたいなぁ。」
形のいい尻を撫でる。
「やめろよ。俺は可愛い女の子と付き合うの。」
「はいはい。仕事仕事。」
俺は今日は門番だ。退屈な仕事だが、 今は少しでも疑われる行動は出来ない。
ようやく、今日…終わる。
任務で長く王都から離れていたので、直接上司のハルバートと顔を合わすのは何年ぶりだろうか。
「はい。ハルバート様。」
「今まで、ご苦労だった。これからのお前の働きに期待しているぞ。」
ハルバートは宰相の補佐に息子を置くつもりらしい。
「ありがとうございます。私ごとき、他に替えがいくらでもおりますゆえ、いかようにでもお使いください。」
「配置の希望はあるのか?」
「長く外におりましたから、叶うのでしたら王都近くに。」
「うん。テオ、早速だが、今、お前はいくつだ?。」
「はい。イグナート様。もうじき五十歳に。」
「そうはみえないが、そうか……今、騎士の増員を考えている。能力は問題ないな、いずれ近衛に……手順通りに訓練を一通りこなしてもらう…しかし、新人近衛騎士というには、年齢がな…若くは見えるが、無理があるか。別の部署からの配置変えにするか……」
考えて込んでいるようだったので、解決策を提案する。
「年相応の顔に整形すれば、問題ありませんね。」
「そこまで……するのか……?」
「問題ありません。今までにも、潜入のおり、経験しておりますから。今のこの顔も、生まれたままではありません。気になさらないで下さい。」
「親父殿……容赦ないな……そうだな、頼む。テオ。他に希望があれば、言ってくれ。」
「はい。」
子どもの頃は自分は頭が悪い、学校なんて行かなくていい。と思っていた。教会を出て貴族の屋敷の庭師の養子になり、ご主人様の好意で学校に通うことになった。すぐに、成績は上位をキープ。卒業まで、トップはとれなかったが、片手には入っていた。ご主人様も喜んで、上の学校をすすめてくれて、大学校もそこそこ優秀な成績で卒業した。優秀な生徒は大学時代から大手企業からの誘いがあるが、俺の場合はご主人様の知り合いの領主が、事務と秘書をほしがっていたので、しばらくしそこで仕事をすることにした。
身体を鍛えたくて、学校に入る頃から体術を学んでいた。こちらも俺に、合っていたようで、トップと張り合うくらいにはなった。しかし、なかなか大会で優勝することはなかった。
「テオ、長い間ありがとう。ようやく正式な秘書が来てくれることになった。君のおかげて、助かったよ。これ、仕事の紹介状だ。先方には話してある。頑張れよ。」
「はい。御世話になりました。」
領主から仕事の終わりを告げられ、紹介状を手渡される。
紹介状をもって面接に行ったら、王宮の中で事務手伝いをすることになった。そこで初めてハルバートに会った。何度目かで声を掛けられ、一年がたつ頃には、ハルバートの手伝いを頼まれるようになっていた。いくつも研修を重ねて頼まれ事をこなしていくうちに、あれ?何か普通じゃないよな?この仕事って、気が付いた。ハルバートの表の仕事をこなす傍ら裏の仕事も…するようになっていく。
俺はそんな仕事でも、まあ、優秀だったんだ。
この俺が近衛騎士になって、もう何年だ?。嘘みたいだよな。俺の見た目は三、四十歳。だが、もう百三十歳。目の前にいるやつなんて、二十歳だぜ?騙すのなんて、ちょろいわ。
「ソニー。」
「あ、テオ。おはよう。」
イグナートは重要人物だと言ったが、とてもそんな風に見えない。何かを隠しているのか。それも……どうでもいい。
「今日もいい天気だな。」
呑気な奴。
指令が来た。
俺はこれから、約束を果たさなくてはならない。
ルーカ……ようやく……だ…
「あ、テオ、イグナートが呼んでた。今日交代したら話があるって言ってたよ。」
「わかった。今日は護衛か?今度飲みにいかないか?」
「飲むだけなら、いつでもいいぜ。」
「飲むだけかぁ。こことも付き合いたいなぁ。」
形のいい尻を撫でる。
「やめろよ。俺は可愛い女の子と付き合うの。」
「はいはい。仕事仕事。」
俺は今日は門番だ。退屈な仕事だが、 今は少しでも疑われる行動は出来ない。
ようやく、今日…終わる。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる