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第九章 大学院
11 よろしくッス
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「ちーっす。柵の修理に来ました。担当さん、お願いしますッス。」
大きな作業帽子に繋ぎの作業服。大きな工具箱を持って、少し場違いな雰囲気の彼は事務局の窓口で挨拶した。
「あ、ああ、もう、来てくれたんだ。アル君連絡してくれてたのね。」
「メッセージは来てたけど、ずっと、連絡つかなくてさ、何か聞いてます?」
「今日は来てないねえ。誰か知ってる?」
近くにいた事務員達はプルプルと首を振る。
「じゃぁ、現場見さしてもらってイイッスか?」
「案内いる?」
「お願いしますよ、俺ここ初めてで。」
「ちょっと、行ってきます~」
「うわぁ、ボロボロッスね。」
「間違って人が入らないようにしときたいのよ。あ、でも、中には入らないでね。」
「了解ッス。ん?」
「どうしたの?」
「中から、何か聞こえるッス。」
「?別に何もきこえないわよ。」
「声がするッス、やっぱり……」
「やだ!幽霊?ホントに?」
「何言ってんスか。人ッス。」
「私は嫌よ。」
「じゃあ、ここで、待つッス!通報して助けを呼ぶッス!」
「通報?」
「!今!助けを呼ぶ声が!」
「そんなの聞こえない~」
「俺には聞こえるッス!」
彼は自分の作業帽を掴み帽子を取る。左右に頭を振ると、ぷるんと垂れた少し長い丸みをおびた耳がピンと立ち上がった。
「あ、獣人さんでしたか…」
「かなり、危ないッス!俺、行って来るッス。通報よろしくッス!扉壊すけど、怒らないで下さいッス!」
彼は工具箱を持ったまま、駆け出した
大きな作業帽子に繋ぎの作業服。大きな工具箱を持って、少し場違いな雰囲気の彼は事務局の窓口で挨拶した。
「あ、ああ、もう、来てくれたんだ。アル君連絡してくれてたのね。」
「メッセージは来てたけど、ずっと、連絡つかなくてさ、何か聞いてます?」
「今日は来てないねえ。誰か知ってる?」
近くにいた事務員達はプルプルと首を振る。
「じゃぁ、現場見さしてもらってイイッスか?」
「案内いる?」
「お願いしますよ、俺ここ初めてで。」
「ちょっと、行ってきます~」
「うわぁ、ボロボロッスね。」
「間違って人が入らないようにしときたいのよ。あ、でも、中には入らないでね。」
「了解ッス。ん?」
「どうしたの?」
「中から、何か聞こえるッス。」
「?別に何もきこえないわよ。」
「声がするッス、やっぱり……」
「やだ!幽霊?ホントに?」
「何言ってんスか。人ッス。」
「私は嫌よ。」
「じゃあ、ここで、待つッス!通報して助けを呼ぶッス!」
「通報?」
「!今!助けを呼ぶ声が!」
「そんなの聞こえない~」
「俺には聞こえるッス!」
彼は自分の作業帽を掴み帽子を取る。左右に頭を振ると、ぷるんと垂れた少し長い丸みをおびた耳がピンと立ち上がった。
「あ、獣人さんでしたか…」
「かなり、危ないッス!俺、行って来るッス。通報よろしくッス!扉壊すけど、怒らないで下さいッス!」
彼は工具箱を持ったまま、駆け出した
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