結婚ー彼女と再会するまでの男の長い話ー

キュー

文字の大きさ
上 下
63 / 97
第九章 大学院

6 天使の宿の宿 微*絡み

しおりを挟む
  天使の宿では歓迎会が続いていた。
「アラ、コイツら酔いつぶれちゃったよ~」
「女の部屋まで連れて行って置いてこい。」
「俺は一度帰る。」
「じゃ、俺新顔が起きるまでここにいるわ。何か指示ある?」
「上がソイツら放すなって。確実にエサやって、取り込めよ。」
「了解。」
「念押しされるってことは、良いとこの、子息ってことだよな。」
「俺たちも楽しもうぜ。」

「ん……」
「あ、起きた?」
「だ、誰!?えっ、ここどこ。二人は……?」
「ここは天使の宿の奥にあるお宿。なんてね、ふふ、私の部屋。」
「すいません。ご迷惑を……」
「全然?私、魅力ない?」
「いや、そんなこと、いやいや、色っぽくて、むしろ……トイレ借ります。」
朝でもあり、目が覚めたら色気たっぷりのお姉さんが……そりゃ、ダメでしょ。前固くなっちゃいましたよ。何がどうして、こうなった~?
「え~抜いてあげるのにぃ~君可愛から、襲っちゃおうかな~」
後ろから声がしたが、遠慮しますぅ。他の二人はどうなったかな……食べられちゃったかな。

「すみません。お世話になりました。帰ります。」
なんとか落ち着いて、トイレからでた俺はすぐに部屋をでようとした。
「そお?いいのよ?気持ち良いことしなくていいの?」
後ろ髪引かれる思いはあったものの、ここで足止めされるわけにはいかない。部屋の扉を開けると、ここは天使の宿の二階にいくつかある部屋の一つであることがわかった。階段を降りると、店に直接出られる仕組み。つまり、逆に店から外に出ずにいい雰囲気になった男女が…つまりは、そういう行為をするために作られた部屋なのだろう。
……俺、早速、やらかした……うわ、どうしよう……
ぐるぐる頭の中で先ほどの胸の盛り上がりを思いだしてどきどきしていた。
……飲み物、酒入っていたよな、酔っぱらった?覚えていない…やってないよな俺…
「うわぁ!」
頭の上で叫び声がした。
……起きたな。モルデか?フォルティム?
「おはよう。昨日は楽しんだかい?」
店内に入ると客はいないかったが、シオと名乗った人がカウンター席で隣の美人とイチャイチャしながら言った。
「いえ、そんな。」
「あらぁ、お好みじゃなかったの?彼女可愛いのに。」
「酔っぱらって寝ちゃったから、店の娘に頼んだのよ。お酒に弱いのね。また、いつでもどうぞ。今度はお代をいただきますね。今回はサービスよ~」
「俺、帰ります。」
「まてまて、残り二人おいて帰るのかい?」
「でも、学校………」
「だあいじょうぶ。授業出てなくても卒業できるから。」
「え?」
「そういうトコなのこの学校。学生貴族の遊び場。勉強はやりたい奴がすればいいのさ。俺たちは卒業まで羽を伸ばして自由の身。うるさい親元離れて遊べ!あそべ。」
「……とりあえず、帰るかどうか、二人を呼んでもらえますか?」
「呼んでやれよ。」
シオが隣の美人に言う。
「ええ~良いことの最中だったらどうしよう~」
  そういいながら身体にピッタリの下着が見えそうな超ミニのワンピースの美人は、くねっと腰を振りながら階段を上がっていく。
一つ目の扉を開ける音がした。
「いい!いい!…あ、あ、あ……」
ベッドが規則正しくギシギシ音をたて、女のあえぐ声とリズミカルな男の短いうめき声が廊下に響く。店の扉を開けていたので。下の二人にも真っ最中の音が聞こえてきた。
アレグロッドは顔を赤くして下をむいた。それをニヤニヤしながらシオがみている。
「いや~ん。ごめんねぇ~下で彼が聞いてこいって~お邪魔しました~」
扉を閉めると二人の声は聞こえなくなった。
「あけるよ~まだ寝てるの?うんわかった。伝える~」
下の二人にも聞こえる彼女の声。
階段を降りてくる音がした。
「一人はまだ起きられないって。で、もう一人は気持ち良いことしてたから、しばらく帰らないわ。どうする?」
「先に…帰ります。」
「まてまて、今から行っても授業には間に合わないよ。少し話さないか?」
「少しだけですよ?」
「うん、うん。」
「少しだけ。」
  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

処理中です...