55 / 97
幕間 エミリア
エミリアの憂鬱 3
しおりを挟む
それはエミリアが七十二歳の時。
「エミリア様、アスターネスより知らせが届いております。」
「見せて。」
それはアスターネスの宰相からの知らせ。
「今度の食フェス、国際A級が来るわよ。」
「国際…A級…ですか?」
「そう。聞いたことない?」
「申し訳ありません。不勉強でした。」
「仕方ないわ。タクーンには今まで一人もいなかったから。でも、彼はアスターネス生まれですって。」
「どんな方でしょうね。」
「楽しみね。」
マックはコノセルギアの食フェスに招待され、宿泊するホテルに家族と共に案内された。
数日滞在するので、いい機会だと、家族旅行もしちゃおう、ということになった。家族旅行で泊まるには豪華すぎるホテルは、元々最上階すべて貸し切りで宿泊用に用意されていた。アスターネスからマックに複数付き添いが来ることを想定していたので、家族が数人増えたところで、問題ないとのこと。
最近出来た大型複合娯楽施設に子ども達を連れていこう。キュールも子ども達も喜んでくれるといいな、とマックは思った。
「こんなに豪華なホテル……私たちまでいいのかな…」
キュールはマーシャと手を繋ぎ、あまりの豪華さに、足が止まっていた。
「さ、ここで止まっていては、他のお客さんの迷惑。入ろうキュール。」
マックはアルを抱っこして、キュールに大丈夫と先に進むよう促した。
肩書きのつくマックは今までにも、厚くもてなされた経験がある。しかし、たかが料理人にここまで歓待するものなのか?
案内人は部屋の前まで先導し、鍵をテーブルの上に置いた。
「マック様、明日朝、お迎えに上がります。ホテルの案内図と、近くの地図をここに置いています。他にご用があれば、いつでも、お呼びください。」
「はい。ありがとうございます。」
翌日は地元の食材を使った素人料理コンテストの審査員。それが終わったら。インタビューが数件。その後は貴族の誰だったかな……?と親睦の会。忙しい一日になりそうだ。移動で疲れたマックと家族はあっという間に眠りについた。
翌日、予定をこなし、最後の予定の、親睦の会場に移動する途中に案内人がマックに言った。
「マック様、申し訳ありません。安全上、隠しておりましたが、本日は皇太后様にお会いしていただきます。」
「ええ!?皇太后様?」
「何か預かり物をお持ちじゃございませんか?」
「あ、ああ、あ!」
そういえば、イグナートから受け取った物が あったっけ。
「はい。」
「マックさま、ご案内いたします。」
しばらく、車で街中を走り、ホテルに戻った。
「え?戻っちゃったよ。」
「申し訳ありません。」
「じゃあ、ここに?」
「はい。重ねて謝罪しなくてはなりません。実は、先に御家族様はお会いに……」
「ええ!キュール達が?」
「はい。お部屋に残られていたので、皇太后様が……」
「大丈夫かなぁ……」
「エミリア様、アスターネスより知らせが届いております。」
「見せて。」
それはアスターネスの宰相からの知らせ。
「今度の食フェス、国際A級が来るわよ。」
「国際…A級…ですか?」
「そう。聞いたことない?」
「申し訳ありません。不勉強でした。」
「仕方ないわ。タクーンには今まで一人もいなかったから。でも、彼はアスターネス生まれですって。」
「どんな方でしょうね。」
「楽しみね。」
マックはコノセルギアの食フェスに招待され、宿泊するホテルに家族と共に案内された。
数日滞在するので、いい機会だと、家族旅行もしちゃおう、ということになった。家族旅行で泊まるには豪華すぎるホテルは、元々最上階すべて貸し切りで宿泊用に用意されていた。アスターネスからマックに複数付き添いが来ることを想定していたので、家族が数人増えたところで、問題ないとのこと。
最近出来た大型複合娯楽施設に子ども達を連れていこう。キュールも子ども達も喜んでくれるといいな、とマックは思った。
「こんなに豪華なホテル……私たちまでいいのかな…」
キュールはマーシャと手を繋ぎ、あまりの豪華さに、足が止まっていた。
「さ、ここで止まっていては、他のお客さんの迷惑。入ろうキュール。」
マックはアルを抱っこして、キュールに大丈夫と先に進むよう促した。
肩書きのつくマックは今までにも、厚くもてなされた経験がある。しかし、たかが料理人にここまで歓待するものなのか?
案内人は部屋の前まで先導し、鍵をテーブルの上に置いた。
「マック様、明日朝、お迎えに上がります。ホテルの案内図と、近くの地図をここに置いています。他にご用があれば、いつでも、お呼びください。」
「はい。ありがとうございます。」
翌日は地元の食材を使った素人料理コンテストの審査員。それが終わったら。インタビューが数件。その後は貴族の誰だったかな……?と親睦の会。忙しい一日になりそうだ。移動で疲れたマックと家族はあっという間に眠りについた。
翌日、予定をこなし、最後の予定の、親睦の会場に移動する途中に案内人がマックに言った。
「マック様、申し訳ありません。安全上、隠しておりましたが、本日は皇太后様にお会いしていただきます。」
「ええ!?皇太后様?」
「何か預かり物をお持ちじゃございませんか?」
「あ、ああ、あ!」
そういえば、イグナートから受け取った物が あったっけ。
「はい。」
「マックさま、ご案内いたします。」
しばらく、車で街中を走り、ホテルに戻った。
「え?戻っちゃったよ。」
「申し訳ありません。」
「じゃあ、ここに?」
「はい。重ねて謝罪しなくてはなりません。実は、先に御家族様はお会いに……」
「ええ!キュール達が?」
「はい。お部屋に残られていたので、皇太后様が……」
「大丈夫かなぁ……」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。


家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています


勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる