結婚ー彼女と再会するまでの男の長い話ー

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幕間 エミリア

エミリアの憂鬱 2

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  国内が落ち着かない中、第一王子が失踪した。
「エミリア様、大変です!第一王子がいなくなりました。」
「ええ、聞いたわ。どうしましょう。」
「第一王子がお戻りいただければ、問題ないのですが、このまま不明であれば、第二王子が即位されます。状況が状況だけに、エミリア様もしばらくは行動を控えていただきます。ああ、至急王妃教育を始めましょうね。」
……あー、完全に想定外。王妃は重いわぁ。……
「わかったわ。よろしく。」

  失踪した第一王子は生きているのかどうかもわからず、結局発見されなかった。
  エミリアは頭の回転が速く、政治家としての才能があったようで、ソルーシアの協力を、いや、ソルーシアの実家の協力を得て、王室内の情報を収集し、軍内部には火種をまき、互いに監視させ力を削らせる。
  また、エミリアの後ろに軍事大国アスターネスを見る軍関係者は、貴族重視の王室関係者よりよっぽどエミリアの発言に注視していた。
  そのため、大将軍一人が力を持っていた頃に比べると、王の(エミリアの)発言力は増し、大将軍がエミリアの存在を…そのもって生まれた政治センスとその利用価値を知り、お互いに益ある関係になれると理解してからは、大将軍はエミリアと情報を交換し、暫くの間は協力しあうことを約束し、国を立て直し始めた。もともと、豊かな自然と、豊かな食文化を持つコノセルギアに大型レジャー施設を作る計画もエミリアの発案であった。他国出身のエミリアから見た自国の優れた面を生かし、外貨を集め国の再建に回す計画だ。アスターネス国の援助も受け国営の観光施設が作られると、次々と参入してくる企業と訪れる沢山の観光客。各国、学校の修学旅行の行き先人気第一位になり、新婚旅行の定番となり、長期滞在も人気で、各種イベントも合わせて行われるようになった。食フェスもその一つで、たくさんの屋台は様々な国の食べ物が並び、地元民も楽しみにしている。

  長い攻防ののち、革命家達は次第に数を減らし、一般市民の中に紛れ、息を潜めた。国内の緊張はなくなり、市民は平和をもたらし、国の再建を成したエミリアを国の母と呼んだ。その頃にはエミリアの地位も揺るがぬものと、なっていた。
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