結婚ー彼女と再会するまでの男の長い話ー

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イグナートの報告書

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  マックが留学していた時に、戦争が始まり帰国が出来なくなり、イグナートが送っていた護衛のセントスの助けで寺院に逃れた。
  その際に怪我をし捕らえられたセントスは現地の探偵社の友人に助けられた。マックと連絡をとろうか………という時に、寺院から突然マックは消える。

  この後の行動は、後の調べである程度わかっている。

  寺院からは、商品配送時に荷物に紛れてベルドンナに脱出する。だが、その滞在先から再び失踪する。マックは、ラーカスのバー[隼]でしばらく過ごし、そこで両親に手紙を出す。
  両親が返事の手紙を送り、連絡を取ろうとするが、手紙が届いた時、マックは既にそこにいなかった。居なくなる少し前に事件に巻き込まれた様だが、詳細は記されていない。両親やイグナートが周辺を探したが、見つからず、また時は流れる。懐中時計はそこには残されていなかった。

  イグナートがマックから聞き取ったその頃の説明では、一人暮らしの女性の部屋に転がりこんでいたマックは、彼女の夫が帰ってきた時に遭遇し、暴行を受け、倒れている所をレストラン『デザーテュ』のキュー・キューイという獣人族の男に助けられたということ。しばらくそこで働き、国際A級調理師の免許を取得。だがそこにも、居辛くなり、行き先を誰にも告げずキューイと共に離れたそうだ。

  ずいぶんたってから、マックの親友ユーリがラーカス星で、マックの料理コンテストの写真を偶然見て、マックが勤めていたレストランを特定する。ここで時計を見つけたということだ。

  俺の父はハルバートにマックの監視を命じた。父は独自にその後も、密かにファータの親族の監視を続けていて……ってことはハルバートと父と両方の監視があったってことだよな。
  結局、父は亡くなる少し前にマックに一目会いたいと言って、身分を隠して会ったらしい。しかも、一度や二度じゃなかったらしい。孫のマックもだが、曾孫の可愛さにデレデレだったようだ。もっと早くに行動に移せばよかったのにな?アレクの子の即位まで待つなんて、真面目な父上らしいな。
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