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第七章 軍事演習
6 マックと防衛大臣
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「マック!」
「よお、マック。」
「先日はお世話になりました。」
「マック、紹介するよ。」
「今度遊びにいらっしゃい。」
「マック、このドレス見て。素敵でしょ?」
「これ、お土産にどうぞ。」
「マック~」
「いつもお美しい。」
「わぁい、マックだぁ~」
「また、来てよね。」
……………
次々声を掛けられ挨拶するマックを驚きながら眺めるフォート将校。
……なんだ?知り合いだらけじゃないか………
「マック!こっちこっち!」
人の輪をくぐってマックの手を引く女性に人の波がサッと引いた。
女性が連れていった先には、フォート将校もご存知の防衛大臣。
「姉さん、慌てなくても……」
「お姉さん…ですか…」
一緒についていくフォート将校は呟く。
「ああ、紹介しますね。」
目の前にいる防衛大臣もマックを見つめ、微笑んでいる。その隣には老人……
「私の姉のレイナとその息子で前防衛大臣、隣はその子どもで…現防衛大臣。」
「…フォートです。」
驚きのあまり、声が震えるが、なんとか名乗り、握手をした。
……なんだ、聞いてないぞ?姉の孫が防衛大臣?……たしか…防衛大臣の祖父は…………
「……ユーリ元大統領の!」
「ええ。妻ですわ。よろしく。夫はもう、亡くなりましたが、私はまだまだ元気ですのよ。」
あまりの大物揃いに、足が震えた。なんだこれは………
「マック~ぅぅ」
呆然としていると、目の前が異様な光景になっていた。元防衛大臣と現防衛大臣が先を争ってマックに抱きつき、甘えている。なぜだ。
「お二人とも、今日は時間がたっぷり、ありますから……落ち着いて。」
「だって、なかなか会いにきてくれないからさ。何度もこっそり行こうと計画したのに、邪魔されてさ、マック、抱っこして。」
「はいはい。」
ぎゅっと抱き締めて頭を撫でる。
「二人とも小さい頃からマックが大好きで…いつまでも、甘えるのよ。公式の場では我慢してるみたいだけど、いつ醜態をさらすか、ひやひやしているのよ。」
……レイナ様…あんまりなお言葉ですが……
「お父様ばかり、ずるい。俺も抱っこ。キスも。」
「まって……はい。チュッ」
「もう、防衛大臣でしょ?しゃんとして?」
「だって…人の目があるからダメなら抜けて、あっちいこ?」
ベタベタに甘える防衛大臣を周囲の者は止めもしない。いつもの事なのか?この姿は?
「ダメですよ、今日はお仕事しなきゃ。」
「わかった。ちゃんとしたら、後でご褒美ちょうだいね。」
目尻を下げていた彼は直ぐ様姿勢を正しくし、公式の場で見る表情になった。
「フォート殿。今回の演習は四ヶ国が協力して素晴らしいものとなりました。これからも、揺るぎない関係を築きあげたいと思います。そして、あなた方の国アスターネスと我が国サーアの友情が続くことを願っておりますよ。」
「はい。私も同じ気持ちです。」
先ほどまで友好的だった彼の表情が豹変した。
「ただ…私の大切な天使に良からぬ事を考えてなかろうな?私は迷わず仕掛けるよ。」
「何のことでしょうか。私はそんな考えは全く……」
「その目を見ればわかるよ。動かぬことよ。我が身が可愛ければ。」
何を知っているのか、この人は!?
天使?
マックに手出しをするなと、言っているのか?
「おっしゃる意味がわかりませんが、両国の不利益になる行動は致しません故、ご安心下さい。」
これは、まずい。マックに迂闊に手出しをすると、この人を敵にまわす事になる。
「そうですよ。四ヶ国それぞれ強みがありますもの。協力し合いましょう。……シーラには父と一番下の弟がいますのでよく訪れますが…あの国の技術力は群を抜いてますよね。……コノセルギアの太皇太后エミリア様はアスターネス出身でマックとも友人で親しくさせてもらってるんですよ。休暇には、子どもや孫達をつれて、レジャー施設に行ったり、楽しいですよね。国内外から訪れる人で財政は潤っているみたいです。……アスターネスは言うにおよばずですわよね。……あら、しゃべり過ぎですね私…でも………もし、身内に悪さしようとする輩には……私も…容赦しませんことよ。…不埒ものは身体を裂かれる程の地獄を見るでしょうね。ふふっ。」
………レイナ様ニッコリ笑って凄いこと言ってますが……まずい、まずいぞ……計画を即座に中止するよう指示をしなくては……
「フォート将校?顔色が悪いですよ。ご気分が優れないのですか?」
今まで発言もせずに付き従っていた副官が声を掛けた。
「あの、先ほどこれを渡されまして……」
二通の封筒。一つ目の封筒を開けると二枚の写真。
「!」
……やられた。
「よお、マック。」
「先日はお世話になりました。」
「マック、紹介するよ。」
「今度遊びにいらっしゃい。」
「マック、このドレス見て。素敵でしょ?」
「これ、お土産にどうぞ。」
「マック~」
「いつもお美しい。」
「わぁい、マックだぁ~」
「また、来てよね。」
……………
次々声を掛けられ挨拶するマックを驚きながら眺めるフォート将校。
……なんだ?知り合いだらけじゃないか………
「マック!こっちこっち!」
人の輪をくぐってマックの手を引く女性に人の波がサッと引いた。
女性が連れていった先には、フォート将校もご存知の防衛大臣。
「姉さん、慌てなくても……」
「お姉さん…ですか…」
一緒についていくフォート将校は呟く。
「ああ、紹介しますね。」
目の前にいる防衛大臣もマックを見つめ、微笑んでいる。その隣には老人……
「私の姉のレイナとその息子で前防衛大臣、隣はその子どもで…現防衛大臣。」
「…フォートです。」
驚きのあまり、声が震えるが、なんとか名乗り、握手をした。
……なんだ、聞いてないぞ?姉の孫が防衛大臣?……たしか…防衛大臣の祖父は…………
「……ユーリ元大統領の!」
「ええ。妻ですわ。よろしく。夫はもう、亡くなりましたが、私はまだまだ元気ですのよ。」
あまりの大物揃いに、足が震えた。なんだこれは………
「マック~ぅぅ」
呆然としていると、目の前が異様な光景になっていた。元防衛大臣と現防衛大臣が先を争ってマックに抱きつき、甘えている。なぜだ。
「お二人とも、今日は時間がたっぷり、ありますから……落ち着いて。」
「だって、なかなか会いにきてくれないからさ。何度もこっそり行こうと計画したのに、邪魔されてさ、マック、抱っこして。」
「はいはい。」
ぎゅっと抱き締めて頭を撫でる。
「二人とも小さい頃からマックが大好きで…いつまでも、甘えるのよ。公式の場では我慢してるみたいだけど、いつ醜態をさらすか、ひやひやしているのよ。」
……レイナ様…あんまりなお言葉ですが……
「お父様ばかり、ずるい。俺も抱っこ。キスも。」
「まって……はい。チュッ」
「もう、防衛大臣でしょ?しゃんとして?」
「だって…人の目があるからダメなら抜けて、あっちいこ?」
ベタベタに甘える防衛大臣を周囲の者は止めもしない。いつもの事なのか?この姿は?
「ダメですよ、今日はお仕事しなきゃ。」
「わかった。ちゃんとしたら、後でご褒美ちょうだいね。」
目尻を下げていた彼は直ぐ様姿勢を正しくし、公式の場で見る表情になった。
「フォート殿。今回の演習は四ヶ国が協力して素晴らしいものとなりました。これからも、揺るぎない関係を築きあげたいと思います。そして、あなた方の国アスターネスと我が国サーアの友情が続くことを願っておりますよ。」
「はい。私も同じ気持ちです。」
先ほどまで友好的だった彼の表情が豹変した。
「ただ…私の大切な天使に良からぬ事を考えてなかろうな?私は迷わず仕掛けるよ。」
「何のことでしょうか。私はそんな考えは全く……」
「その目を見ればわかるよ。動かぬことよ。我が身が可愛ければ。」
何を知っているのか、この人は!?
天使?
マックに手出しをするなと、言っているのか?
「おっしゃる意味がわかりませんが、両国の不利益になる行動は致しません故、ご安心下さい。」
これは、まずい。マックに迂闊に手出しをすると、この人を敵にまわす事になる。
「そうですよ。四ヶ国それぞれ強みがありますもの。協力し合いましょう。……シーラには父と一番下の弟がいますのでよく訪れますが…あの国の技術力は群を抜いてますよね。……コノセルギアの太皇太后エミリア様はアスターネス出身でマックとも友人で親しくさせてもらってるんですよ。休暇には、子どもや孫達をつれて、レジャー施設に行ったり、楽しいですよね。国内外から訪れる人で財政は潤っているみたいです。……アスターネスは言うにおよばずですわよね。……あら、しゃべり過ぎですね私…でも………もし、身内に悪さしようとする輩には……私も…容赦しませんことよ。…不埒ものは身体を裂かれる程の地獄を見るでしょうね。ふふっ。」
………レイナ様ニッコリ笑って凄いこと言ってますが……まずい、まずいぞ……計画を即座に中止するよう指示をしなくては……
「フォート将校?顔色が悪いですよ。ご気分が優れないのですか?」
今まで発言もせずに付き従っていた副官が声を掛けた。
「あの、先ほどこれを渡されまして……」
二通の封筒。一つ目の封筒を開けると二枚の写真。
「!」
……やられた。
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