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お仕事の時間ですよ
王宮騎士物語 第5話 お茶会は和やかに
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お茶会は和やかに……
「聞いてる?」
「聞いてるわよ。公爵の愛人の話でしょ?ひどいわよね。」
「結婚までに片付けるんでしょ?」
「カトリーヌ、あなた妾は認めるって、言ってたわよね。」
「それは結婚してからの話よ。それでも一年くらいは我慢してもらわないと。愛人付きで結婚なんて、笑い者になるわ。」
「よくあることなんじゃないの?」
「性格、最悪よ。あの女だけは我慢できない。」
「ジュディ、あなたも婚約者に虫がつかないよう監視しときなさいよ。」
「やだ~まだ、子どもだから、大丈夫よ。」
「油断はだめよ、若い子ほど、どこで孕ましてるやら……もう、何人都から追い出したか……いっそ、女好きの公爵との結婚なんて破談にならないかしら……」
「ふふふ、破談になったら、もっと面倒よ。愛人に手切れ金渡して都から追い出しなさいよ。」
「公爵に任せていたら、いつまでたっても切れないわよ。カトリーヌ、あなたが動けば、すぐ逃げ出すわよ。」
「そうね。」
「ソフィーナ、あなたはどうなの?」
ジュディがちらりと扉を見た。扉の向こうには王女の騎士ハンスがいるはずだ。
「どうって……」
「彼、素敵よね。」
「あの目は、ソフィーナに恋してる目よ。」
「何言ってるのよ。彼は近衛騎士の一人。」
「どうせ、近隣の三男だか、四男だかの、バカ王子を婿に取るんでしょ。ソフィーナは女王になるんだから。」
「そんなの、わからないわよ。この先男児が生まれるかも……」
「やっぱり、王妃様は体調が優れないの?心配よね。」
「ええ。側室の方が生んだ子も、女児……男児はいないわね。」
「バカ王子を婿にして跡継ぎつくっちゃえば、あとは好きにしていいわよ。ハンスは側に置いて、いちゃいちゃしちゃえばいいのよ。」
「カトリーヌ、もう……好き勝手言わないでよ。」
「好きなんでしょ?」
「……気に…なってる…けど……」
「ソフィーナ可愛い!ここに、ハンス呼んじゃう?」
「やめて、カトリーヌ、もう!」
同級生の彼女たちは、賑やかにおしゃべりを続ける。扉の外では、周囲を警戒しているハンスが顔を真っ赤にしていた。異変があったときにはすぐに感知し、王女のもとへ駆けつけられるよう、扉は少し開けられている。彼女達は自分達の声がここまで、届いているのを知らないのか………
色恋の話を明け透けに話す王女の友人達は成人したばかりで結婚間近だ。生まれると同時に親が決めた、許嫁の元へ嫁ぎ、道を外れることなく、嘘と作り笑いで生きる。立場は違えど、王女もまた、逆らう事の出来ない流れの中、近隣の国の王子とその内結婚をするだろう。正式な相手の発表はまだないが、年頃の王子など、いくらでもいるので、そう遠い話でもないだろう。
たかが、近衛騎士への恋など、叶うはずもない。そして、胸の奥底に沈められるのだ。
「聞いてる?」
「聞いてるわよ。公爵の愛人の話でしょ?ひどいわよね。」
「結婚までに片付けるんでしょ?」
「カトリーヌ、あなた妾は認めるって、言ってたわよね。」
「それは結婚してからの話よ。それでも一年くらいは我慢してもらわないと。愛人付きで結婚なんて、笑い者になるわ。」
「よくあることなんじゃないの?」
「性格、最悪よ。あの女だけは我慢できない。」
「ジュディ、あなたも婚約者に虫がつかないよう監視しときなさいよ。」
「やだ~まだ、子どもだから、大丈夫よ。」
「油断はだめよ、若い子ほど、どこで孕ましてるやら……もう、何人都から追い出したか……いっそ、女好きの公爵との結婚なんて破談にならないかしら……」
「ふふふ、破談になったら、もっと面倒よ。愛人に手切れ金渡して都から追い出しなさいよ。」
「公爵に任せていたら、いつまでたっても切れないわよ。カトリーヌ、あなたが動けば、すぐ逃げ出すわよ。」
「そうね。」
「ソフィーナ、あなたはどうなの?」
ジュディがちらりと扉を見た。扉の向こうには王女の騎士ハンスがいるはずだ。
「どうって……」
「彼、素敵よね。」
「あの目は、ソフィーナに恋してる目よ。」
「何言ってるのよ。彼は近衛騎士の一人。」
「どうせ、近隣の三男だか、四男だかの、バカ王子を婿に取るんでしょ。ソフィーナは女王になるんだから。」
「そんなの、わからないわよ。この先男児が生まれるかも……」
「やっぱり、王妃様は体調が優れないの?心配よね。」
「ええ。側室の方が生んだ子も、女児……男児はいないわね。」
「バカ王子を婿にして跡継ぎつくっちゃえば、あとは好きにしていいわよ。ハンスは側に置いて、いちゃいちゃしちゃえばいいのよ。」
「カトリーヌ、もう……好き勝手言わないでよ。」
「好きなんでしょ?」
「……気に…なってる…けど……」
「ソフィーナ可愛い!ここに、ハンス呼んじゃう?」
「やめて、カトリーヌ、もう!」
同級生の彼女たちは、賑やかにおしゃべりを続ける。扉の外では、周囲を警戒しているハンスが顔を真っ赤にしていた。異変があったときにはすぐに感知し、王女のもとへ駆けつけられるよう、扉は少し開けられている。彼女達は自分達の声がここまで、届いているのを知らないのか………
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たかが、近衛騎士への恋など、叶うはずもない。そして、胸の奥底に沈められるのだ。
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