再会ー男と親友の写真の話ー

第六章

走り疲れて

  走って、走って、限界まで足は止まらない。疲れて道路に崩れ落ちた。
  陽はとっくに高くなり、人通りもあるが、汚れて寝間着を着たボロボロの男をよけて通って行く。酔っぱらい、浮浪者、行き倒れなんて、ゴロゴロいる。関わり合いになんてなりたくない。

  動かないマックに、一人の女が近づいて声を掛けた。
「※※※※※」
言葉を知るものはそれが、心配して、呼び掛ける言葉だと、わかるのだろうが、マックにはたとえ意識があっても通じなかったであろう。

  女はマックを自らの家に連れて戻った。非力な女であり、相手はまだ十五歳とはいえ大人と変わらない体格の人を運ぶのは難しい。一人で難儀していたら、近所の顔馴染みが手を貸してくれた。身長はあるものの、体調をくずしてから、ごっそり体重は落ちていたので、女二人でなんとか運ぶことができた。
「※※※※※※？」
「？」
目が覚めたマックは、話しかける女の言葉がわからず、困っていた。
「ノーカ」
彼女は自分を指差して言った。彼女の名前だとわかり、マックは頷く。
「マ…ック」
まだうまく声が出ないが、自分を指差し、なんとか絞り出した。

「※※※まーく※※！」
ニコニコとマックの頭をなで、彼女は話しかけた。とりあえず、ここにいてもいいみたい。

  ノーカとは言葉は通じないものの、身振り手振りで、なんとか伝わるようだ。
「まーく※※※」
「うん、着替える。」
  彼女が持ってきたのは男物のセーターとコットンパンツ。タンスのの中から出てきたそれは、彼女の男のものだろう。今は姿が見えないが、出掛けているのかな。留守中に知らない男を入れちゃって大丈夫？とマックは思ったが、無一文の宿無しなので許してもらおう。