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第二章
食堂にて
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食堂に着いて、ユーリ達は本日のランチを頼み、トレーを受けとる。
「ピット、先輩に目をつけられたら、やっかいだぞ。」
「知らん。向こうがかかってくるなら、応戦するまでだ。リーンは、もう、学校に来るなよ。あ、あそこあいてる。」
昼の一番込み合う時間であったが、空きスペースを見つけて、三人で固まって座る。
「ごめん…て。書類の不備があったから出せって言われてさ。」
「親父も一人で行かせるなよ。」
「何?弟?」
「リーンです。兄がお世話になります。よろしくお願いします。」
「おお、よろしくな。ところで、聞いてもいいか?」
「あ?おれも獣人か?ってことが聞きたいのかよ。」
「見た目じゃわからんからさ。」
「リーンも俺もハーフだよ。たまたま俺は耳が人族型だったけど。」
「ふーん。そっか~うん。あ、……飲み物取ってこよう。何かいる?」
「……何?言いたい事あるならはっきり言えよ……俺が獣人なら何だっていうんだ。」
ユーリは立ち上がろうとしたが、ピットの問いに驚いたように動きを止める。
「そんなこと言ってないだろうが。」
「お前らもか?」
「いや。俺やマックはシーラから来たからな……あそこは身近に異種族が大勢いたから慣れてるし、友人もいるし……お前も気にするな。」
ユーリは大したことではない、とあっさり言った。
小柄なピットの感情に揺れる顔をみて、弟がいたらこんな感じで可愛く思うのかな、と考えていたユーリは、あやうく、ピットの頭をグリグリ撫でかけて 、必死で手を押さえたのは内緒だ。
シーラ星は色んな人種が混ざり合うところで、他国の人々も獣人族も多かった。幼年学校の先生や生徒だけでも、百人を超えるだろう。
獣人族を下に見るやからは認めたくないのだろうが、実は獣人族の基本能力は高い。学者や博士、医者がごろごろいるし、プロスポーツ選手にも沢山いる。商売に関しても大商人の名前を上げると必ず何人も名前が挙がる。この(トールト星の)学校の先生に一人もいない事がユーリは不思議だった。
「あ、ちょっとごめん。」
ポケットの携帯電話が着信を知らせた。
「マックからだ。」
携帯の画面を見ながら、口を歪めた。
「なんだって?」
「デートしてるってさ。」
「はあ?誰とよ?」
「ミズカ先生と。」
「なんで!?どういう流れでよ?」
「さあね。午後の授業は遅れるって。まあ、次の先生の授業はノートうつせば、問題ないだろうけど、困った奴だな。」
ユーリは首を振った。
「理解できねぇ。親友のお前なら解るのか?」
「いーや。それが全然…予想をこえてくるな、そうか…ミズカ先生…かぁ……はぁ…」
全く想定外の相手に、ユーリはため息が出る。長く友人として接してきただけに、急に色恋を意識してほしいと言える訳もなく……新しい環境で、少しは関係を進めたいと密かに思っていたユーリ。それなのに、肝心のマックはどんどん綺麗になり周りの熱い視線を集めて、よそ見ばかりして俺は恋愛対象外。
「対象の行動は読めないなあ。……やり方変えるか…」
そんなユーリのため息には気がつかないピットだったが、彼は彼で聞こえないくらい小さく呟いて、机に顎をのせてため息をついた。
「おいしいよ、食べないの?」
ため息をつき、食べる手が止まった二人を不思議そうに見ながら、リーンが一人、もぐもぐと美味しそうに食していた。
「ピット、先輩に目をつけられたら、やっかいだぞ。」
「知らん。向こうがかかってくるなら、応戦するまでだ。リーンは、もう、学校に来るなよ。あ、あそこあいてる。」
昼の一番込み合う時間であったが、空きスペースを見つけて、三人で固まって座る。
「ごめん…て。書類の不備があったから出せって言われてさ。」
「親父も一人で行かせるなよ。」
「何?弟?」
「リーンです。兄がお世話になります。よろしくお願いします。」
「おお、よろしくな。ところで、聞いてもいいか?」
「あ?おれも獣人か?ってことが聞きたいのかよ。」
「見た目じゃわからんからさ。」
「リーンも俺もハーフだよ。たまたま俺は耳が人族型だったけど。」
「ふーん。そっか~うん。あ、……飲み物取ってこよう。何かいる?」
「……何?言いたい事あるならはっきり言えよ……俺が獣人なら何だっていうんだ。」
ユーリは立ち上がろうとしたが、ピットの問いに驚いたように動きを止める。
「そんなこと言ってないだろうが。」
「お前らもか?」
「いや。俺やマックはシーラから来たからな……あそこは身近に異種族が大勢いたから慣れてるし、友人もいるし……お前も気にするな。」
ユーリは大したことではない、とあっさり言った。
小柄なピットの感情に揺れる顔をみて、弟がいたらこんな感じで可愛く思うのかな、と考えていたユーリは、あやうく、ピットの頭をグリグリ撫でかけて 、必死で手を押さえたのは内緒だ。
シーラ星は色んな人種が混ざり合うところで、他国の人々も獣人族も多かった。幼年学校の先生や生徒だけでも、百人を超えるだろう。
獣人族を下に見るやからは認めたくないのだろうが、実は獣人族の基本能力は高い。学者や博士、医者がごろごろいるし、プロスポーツ選手にも沢山いる。商売に関しても大商人の名前を上げると必ず何人も名前が挙がる。この(トールト星の)学校の先生に一人もいない事がユーリは不思議だった。
「あ、ちょっとごめん。」
ポケットの携帯電話が着信を知らせた。
「マックからだ。」
携帯の画面を見ながら、口を歪めた。
「なんだって?」
「デートしてるってさ。」
「はあ?誰とよ?」
「ミズカ先生と。」
「なんで!?どういう流れでよ?」
「さあね。午後の授業は遅れるって。まあ、次の先生の授業はノートうつせば、問題ないだろうけど、困った奴だな。」
ユーリは首を振った。
「理解できねぇ。親友のお前なら解るのか?」
「いーや。それが全然…予想をこえてくるな、そうか…ミズカ先生…かぁ……はぁ…」
全く想定外の相手に、ユーリはため息が出る。長く友人として接してきただけに、急に色恋を意識してほしいと言える訳もなく……新しい環境で、少しは関係を進めたいと密かに思っていたユーリ。それなのに、肝心のマックはどんどん綺麗になり周りの熱い視線を集めて、よそ見ばかりして俺は恋愛対象外。
「対象の行動は読めないなあ。……やり方変えるか…」
そんなユーリのため息には気がつかないピットだったが、彼は彼で聞こえないくらい小さく呟いて、机に顎をのせてため息をついた。
「おいしいよ、食べないの?」
ため息をつき、食べる手が止まった二人を不思議そうに見ながら、リーンが一人、もぐもぐと美味しそうに食していた。
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