上 下
10 / 79
第一章

俺、留学する!

しおりを挟む
「俺、留学する。」
    始業前の教室でユーリが突然宣言した。
「ふ~ん。」
また、何か思い付いたのか。とマックは軽く返事をした。
「今度は本気だ!」
「はいはい。頑張ってね。」
   隣の席のミユルが声を掛けた。
   少し前に転校してきた子だ。グループ行動でいつも一緒にいるため、仲良くなったのだ。マックと同じ、タクーン星から引っ越してきた女の子なんだけど、さばさばしていて男の子みたいで、すぐにクラスに打ち解けた。
「ミユル、今度は〈半年〉に食券一枚。」
「いやいや、〈一ヶ月〉に二枚!」
ミユルも乗ってきた。
   とにかく、ユーリは思い付いてすぐ行動するタイプだが、飽きるのも早かった。そんな彼の行動をよく知っている二人は食堂の食券を賭けて遊んでいた。
「ふふん。〈意志を通す〉に十枚だ!」
自ら参戦のユーリに、ミユルがご馳走になります~と背中を叩いた。
「で?今度は何をやりたいのさ。」
マックは聞いた。留学というからには目的があるのだろう。
「うん。パイロットになる。」
「はあ?あんた、外交官の息子でしょう?無理ッショ。」
    サーアの外交官の父が、シーラに赴任した関係で、ユーリはここにきたのだ。
   議員や官僚が山ほどいる家系で、親が許すわけないでしょう。何考えるのよ、と、ミユルが言う。
「だって、昨日の宇宙ステーション特集見ただろ?あのアービッグ船長とパイロットの話、カッコいいよな。」
「確かに!カッコ良かった!」
「たしかに、それはみとめるわ。」
 
   数年後、本当にユーリとマックが留学することになるのだが、この時の三人はそこまで、真剣に考えていたわけではない。
   実際ユーリは一度挫折し、食券をぶんどられたのだ。
    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の彼氏は義兄に犯され、奪われました。

天災
BL
 私の彼氏は、義兄に奪われました。いや、犯されもしました。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

出産は一番の快楽

及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。 とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。 【注意事項】 *受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。 *寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め *倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意 *軽く出産シーン有り *ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り 続編) *近親相姦・母子相姦要素有り *奇形発言注意 *カニバリズム発言有り

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】

海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。 発情期はあるのに妊娠ができない。 番を作ることさえ叶わない。 そんなΩとして生まれた少年の生活は 荒んだものでした。 親には疎まれ味方なんて居ない。 「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」 少年達はそう言って玩具にしました。 誰も救えない 誰も救ってくれない いっそ消えてしまった方が楽だ。 旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは 「噂の玩具君だろ?」 陽キャの三年生でした。

EDEN ―孕ませ―

豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。 平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。 【ご注意】 ※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。 ※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。 ※前半はほとんどがエロシーンです。

処理中です...