76 / 81
第四章 君と一緒に生きていきたい
無人の星 8
しおりを挟む
二人がスファナで見るものは初めての物ばかりのようで、俺が連れてまわり、一つ一つ説明すると驚きっぱなしだった。
歪みのない透明なガラスのコップ一つを取っても、ジュジュとマラジャは目を見開き、手の中で感触を確かめ、上下左右から眺めたりしていた。
日々の日用品から、家具、衣服にまで、これは何だと、次々と質問を浴びせてきた。
調査船が行くような未開発の星にいたから、それは当然か……と思うが、彼らの世界に存在しないものを言葉で説明するのは苦労した。
特に理解が出来ないのが彼らが宇宙船で星を渡ってここへ来たという事。空を飛ぶ鳥しか知らない彼らが、人の作った乗り物が宙に浮くことや、自分達が立つ地が、夜空に見える星と同じものであると理解するのは難しい。こればかりは実際旅立つ時に経験してもらうしかない。
マラジャの曲がって自由に動かない足を治療するための医療器具が残っていたのは幸運だった。最後の船に全て積み込む予定だったので、手術をすれば杖なしで歩けると説明し、幾つかプランを提案した。
まず時間のかかる、細胞を育てる方法。これは自分の足を作りあげるためスファナを出てから何年もかかる。俺が責任もって最後まで付き合ってやれないが、引っ越し先で治療を続けてもらえば、可能だろう。
次に、義肢を付ける方法。新しい足に慣れるまでは少し時間はかかるだろうが、他の方法より短時間で治療が完了する。脳から神経末端へ送られる信号は筋肉内に埋められたのセンサーにより義足内の受信機が受け取る。人の動作により近い仕組みを使った義足の動きは本来の人の足と変わらないし、力の加減も出来るし、傷もつかない、痛みも怪我もない。定期的に整備すれば、不便はないはず。だが、高度な医療とか、科学とか、彼にとって未知の機械や技術は抵抗があるようだ。
同じく彼にとって、未知の治療法ではあるが、破損した骨を人工骨と取り替える方法。リハビリに時間はかかるが、見た目も一番馴染むだろう。
彼と話し合い、気持ち的に一番抵抗の少ない人工骨を使う事にした。俺は義足をおすすめしたんだが、どうやら、良さが伝わらなかったようで残念だ。
歪みのない透明なガラスのコップ一つを取っても、ジュジュとマラジャは目を見開き、手の中で感触を確かめ、上下左右から眺めたりしていた。
日々の日用品から、家具、衣服にまで、これは何だと、次々と質問を浴びせてきた。
調査船が行くような未開発の星にいたから、それは当然か……と思うが、彼らの世界に存在しないものを言葉で説明するのは苦労した。
特に理解が出来ないのが彼らが宇宙船で星を渡ってここへ来たという事。空を飛ぶ鳥しか知らない彼らが、人の作った乗り物が宙に浮くことや、自分達が立つ地が、夜空に見える星と同じものであると理解するのは難しい。こればかりは実際旅立つ時に経験してもらうしかない。
マラジャの曲がって自由に動かない足を治療するための医療器具が残っていたのは幸運だった。最後の船に全て積み込む予定だったので、手術をすれば杖なしで歩けると説明し、幾つかプランを提案した。
まず時間のかかる、細胞を育てる方法。これは自分の足を作りあげるためスファナを出てから何年もかかる。俺が責任もって最後まで付き合ってやれないが、引っ越し先で治療を続けてもらえば、可能だろう。
次に、義肢を付ける方法。新しい足に慣れるまでは少し時間はかかるだろうが、他の方法より短時間で治療が完了する。脳から神経末端へ送られる信号は筋肉内に埋められたのセンサーにより義足内の受信機が受け取る。人の動作により近い仕組みを使った義足の動きは本来の人の足と変わらないし、力の加減も出来るし、傷もつかない、痛みも怪我もない。定期的に整備すれば、不便はないはず。だが、高度な医療とか、科学とか、彼にとって未知の機械や技術は抵抗があるようだ。
同じく彼にとって、未知の治療法ではあるが、破損した骨を人工骨と取り替える方法。リハビリに時間はかかるが、見た目も一番馴染むだろう。
彼と話し合い、気持ち的に一番抵抗の少ない人工骨を使う事にした。俺は義足をおすすめしたんだが、どうやら、良さが伝わらなかったようで残念だ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……
魔術師セナリアンの憂いごと
野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。
偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。
シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。
現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。
ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。
公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。
魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。
厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる