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第四章 君と一緒に生きていきたい
無人の星 7
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「ジュジュ?」
目が覚めると、マラジャのすぐそばにジュジュが座ってじっと顔を覗き込んでいた。マラジャが手を伸ばすと、彼女は頭を近づけ、彼は優しく撫でるように包み胸に引き寄せた。
「大丈夫。」
記憶を失って、見知らぬ土地に放り出された彼と同じようにジュジュも言葉の通じない見知らぬ土地に来てしまった。そんな心細さを感じていたが、寄り添うマラジャの手の温かさに安心し目を閉じた。
ジュジュは一日のほとんどをマラジャの側で過ごすようになった。マラジャの姿が見えなくなると、感情が不安定になり、泣き出してしまう。オッドが「マラジャはすぐに戻るよ」と声をかけても、ジュジュは落ち着かず、泣きながらマラジャを探し始める。
「マラジャ!」
彼の姿を目にすると抱きつき、怖かったと吐露する。そんな事があってからマラジャは出来るだけジュジュの側にいるようになったのだ。
「マラジャ…どこにもいかないで……」
ジュジュの小さな声がマラジャの胸をくすぐる。ジュジュを生まれ育った葵の村に送り届けたいが、今の彼にその力はない。彼らが元いた場所を調べられる可能性のある同胞の元へ準備が出来次第、送り届ける約束をオッドもしてくれた。
彼らが今出来る事、やらなければならない事はリハビリと、言葉を学ぶ事、この世界を知る事。そして……マラジャの自由に動かない足の治療だった。
目が覚めると、マラジャのすぐそばにジュジュが座ってじっと顔を覗き込んでいた。マラジャが手を伸ばすと、彼女は頭を近づけ、彼は優しく撫でるように包み胸に引き寄せた。
「大丈夫。」
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ジュジュは一日のほとんどをマラジャの側で過ごすようになった。マラジャの姿が見えなくなると、感情が不安定になり、泣き出してしまう。オッドが「マラジャはすぐに戻るよ」と声をかけても、ジュジュは落ち着かず、泣きながらマラジャを探し始める。
「マラジャ!」
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ジュジュの小さな声がマラジャの胸をくすぐる。ジュジュを生まれ育った葵の村に送り届けたいが、今の彼にその力はない。彼らが元いた場所を調べられる可能性のある同胞の元へ準備が出来次第、送り届ける約束をオッドもしてくれた。
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